平成26年度 春期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
2進数で表現すると無限小数になる10進小数はどれか。
ア 0.375
イ 0.45 正解
ウ 0.625
エ 0.75
正解 イ
解説
10進小数を2進数で有限桁に表せるのは,分母が2のべき乗の分数に直せる場合だけである。0.375=3/8,0.625=5/8,0.75=3/4 はいずれも分母が2のべき乗なので,それぞれ 0.011,0.101,0.11 と有限小数になる。
0.45=9/20 は分母に5が残り,2のべき乗にできない。2倍して整数部を取り出す操作を続けると 0.45→0.9→1.8→1.6→1.2→0.4→0.8→1.6… と繰り返しになり,0.0111001100… の無限小数になる。イが正しい。
2進数で有限桁になる小数,ならない小数
10進小数を2進数で有限桁に表せるのは,分母が2のべき乗の分数に直せるときだけ。0.375=3/8,0.625=5/8,0.75=3/4 は有限で,0.011・0.101・0.11 になる。0.45=9/20 は分母に5が残るので,2倍して整数部を取り出すと 0.4→0.8→1.6→1.2→0.4… と繰り返し,無限小数になる。
10進
分数
2進
0.375
3/8
0.011
有限
0.625
5/8
0.101
有限
0.75
3/4
0.11
有限
0.45
9/20
0.0111001100…
無限(イ)
0.45 を2倍していく:0.9 → 1.8 → 1.6 → 1.2 → 0.4 → 0.8 → 1.6 …
1.6 から先が繰り返しになる
分母に 2 以外の素因数(5 など)が残ると有限にならない
分母が 2 のべき乗にならない 0.45=9/20 が無限小数
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
三つのグラフ A~C の同形関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,二つのグラフが同形であるとは,一方のグラフの頂点を他方のグラフの頂点と1対1に漏れなく対応付けることができ,一方のグラフにおいて辺でつながれている頂点同士は他方のグラフにおいても辺でつながれていて,一方のグラフにおいて辺でつながれていない頂点同士は他方のグラフにおいても辺でつながれていないことをいう。
ア A は C と同形であるが,B とは同形でない。 正解
イ B は C と同形であるが,A とは同形でない。
ウ どの二つのグラフも同形である。
エ どの二つのグラフも同形でない。
正解 ア
解説
二つのグラフが同形かどうかは,頂点の対応付けで辺のつながりが完全に重なるかで決まる。A は,頂点を a0,a2,a4 の組と a1,a3,a5 の組に分けると,どの辺も二つの組をまたぎ,各頂点が反対側の3頂点すべてと辺でつながる。これは3頂点ずつ2組の完全二部グラフ(K3,3)である。C も c0,c1,c5 の組と c2,c3,c4 の組に分けると,左右の全頂点どうしが辺でつながる K3,3 なので,A と C は同形である。B は b0,b1,b5 の3頂点がたがいに辺でつながって三角形をつくっているが,K3,3 には辺が必ず二つの組をまたぐので三角形がない。このため B は A とも C とも同形でない。アが適切である。
イは B と C が同形だとしているが,B には三角形があって C にはない。ウは三つとも同形,エは A と C が同形でないとしており,どちらも A と C が K3,3 になっていることと食い違う。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
次の BNF において非終端記号 〈A〉 から生成される文字列はどれか。
〈R0 〉 ::= 0 | 3 | 6 | 9 〈R1 〉 ::= 1 | 4 | 7 〈R2 〉 ::= 2 | 5 | 8 〈A〉 ::= 〈R0 〉 | 〈A〉〈R0 〉 | 〈B〉〈R2 〉 | 〈C〉〈R1 〉 〈B〉 ::= 〈R1 〉 | 〈A〉〈R1 〉 | 〈B〉〈R0 〉 | 〈C〉〈R2 〉 〈C〉 ::= 〈R2 〉 | 〈A〉〈R2 〉 | 〈B〉〈R1 〉 | 〈C〉〈R0 〉
正解 ア
解説
〈A〉〈B〉〈C〉は,それぞれ“各桁の数字の和を 3 で割った余りが 0,1,2 になる数字列”を生成する。〈R0 〉は 0,3,6,9(余り 0),〈R1 〉は 1,4,7(余り 1),〈R2 〉は 2,5,8(余り 2)で,たとえば〈A〉::= 〈B〉〈R2 〉は,余り 1 の列に余り 2 の数字を続けて余り 0 の列を作る規則である。123 は,“1”が〈B〉,“12”が〈B〉〈R2 〉で〈A〉になり,さらに 3 を〈A〉〈R0 〉で続けて〈A〉になる(各桁の和 6 が 3 の倍数)。アが正しい。
イの 124(和 7)とウの 127(和 10)は余りが 1 なので〈B〉,エの 128(和 11)は余りが 2 なので〈C〉から生成される文字列で,〈A〉からは生成されない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
表は,入力記号の集合が {0,1},状態集合が {a,b,c,d} である有限オートマトンの状態遷移表である。長さ3以上の任意のビット列を左(上位ビット)から順に読み込んで最後が 110 で終わっているものを受理するには,どの状態を受理状態とすればよいか。
正解 ウ
解説
初期状態 a から 110 を読むと,1 で b,1 で d,0 で c へ遷移して c にたどり着く。d や c の状態から読み始めても,1,1,0 の3文字を読めば同じく c に到達する。110 を読み終えたときに必ず入る状態は c だけなので,受理状態とすべきはウの c になる。
他の選択肢では 110 で終わる列を受理できない。表で 0 を読んで到達できるのは a と c だけなので,末尾が 0 の列を受理するにはこの二つのどちらかである必要があり,イの b とエの d は初めから当てはまらない。アの a に 0 で入るのは直前が a のときで,これは 110 の並びとは対応しない。
どこから読み始めても 110 で c に着く
状態遷移表は,a:0→a,1→b/b:0→c,1→d/c:0→a,1→b/d:0→c,1→d。どの状態から 1,1,0 を読んでも,最後は c に着く(a→b→d→c,b→d→d→c,c→b→d→c,d→d→d→c)。だから c を受理状態にすれば,最後が 110 の列を受理できる。
読み始め
1 を読む
1 を読む
0 を読む
a
b
d
c
b
d
d
c
c
b
d
c
d
d
d
c
最後はいつも c → 受理状態は c
表:a 0→a 1→b/b 0→c 1→d/c 0→a 1→b/d 0→c 1→d
1,1,0 の3文字を読むと,どこから始めても c で終わる
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
記憶領域を管理するアルゴリズムのうち,ベストフィット方式の特徴として,適切なものはどれか。
ア 空きブロック群のうち,アドレスが下位のブロックを高い頻度で使用するので,アドレスが上位の方に大きな空きブロックが残る傾向にある。
イ 空きブロック群のうち,要求された大きさを満たす最小のものを割り当てるので,最終的には小さな空きブロックが多数残る傾向にある。 正解
ウ 空きブロックの検索にハッシュ関数を使用しているので,高速に検索することができる。
エ 空きブロックをアドレスの昇順に管理しているので,隣接する空きブロックを簡単に見つけられ,より大きな空きブロックにまとめることができる。
正解 イ
解説
ベストフィット方式は,要求された大きさを満たす空きブロックのうち,最も小さいものを割り当てる方式である。無駄になる部分は少なくて済むが,割り当てた後に残るすき間はごく小さくなるので,使い道のない小さな空きブロックが多数残る傾向がある。イが適切である。
アは空きブロックを先頭(下位アドレス)から探して最初に見つかったものを割り当てるファーストフィット方式の特徴。ウのハッシュ関数による検索や,エのアドレスの昇順での管理による隣接ブロックの統合は,ベストフィット方式そのものの特徴ではない。
空き領域の選び方(ファースト・ベスト・ワーストフィット)
空き領域が 30・12・50・15 の順にあり,14 の領域を求められた例。ファーストフィットは先頭から探して最初に足りる 30 を,ベストフィットは足りる中で最も小さい 15 を,ワーストフィットは最も大きい 50 を使う。ベストフィットは残りが 1 のようなごく小さな空きになりやすく,小さな空きが多数たまる。
空き領域(要求は 14)
ファーストフィット
14
16
12
50
15
ベストフィット
30
12
50
14
残り1
ワーストフィット
30
12
14
36
15
ベストフィットの残り 1 は小さすぎて使い道がない
ベストフィットは無駄が小さいが,使えない小さな空きが残りやすい
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
従業員番号と氏名の対が n 件格納されている表に線形探索法を用いて,与えられた従業員番号から氏名を検索する。この処理における平均比較回数を求める式はどれか。ここで,検索する従業員番号はランダムに出現し,探索は常に表の先頭から行う。また,与えられた従業員番号がこの表に存在しない確率を a とする。
ア (n+1)/2+na/2
イ (n+1)(1-a)/2
ウ (n+1)(1-a)/2+n/2
エ (n+1)(1-a)/2+na 正解
正解 エ
解説
従業員番号が表にある確率は 1-a。表にあるときは,探す番号が先頭から何番目にあるかが等確率なので,比較回数は 1 回から n 回まで同じ確率になり,平均は (1+2+…+n)/n=(n+1)/2 回である。表にないとき(確率 a)は,表の全 n 件と比べて見つからないと分かるので,比較回数は n 回。平均比較回数は (n+1)(1-a)/2+na となり,エが正しい。
アは,表にある場合の平均 (n+1)/2 に確率 1-a を掛けておらず,表にない場合の比較回数も n 回ではなく n/2 回としている。イは,表にない場合の na が抜けている。ウは,表にない場合の比較回数を n/2 としているが,存在しない番号は全件と比べるまで分からないので n 回であり,確率 a も掛かっていない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
プログラム言語におけるデータ型に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 実数型は,有限長の2進数で表現され,数学での実数集合と一致する。
イ 整数型は,2の補数表示を使用すると8ビットでは-128~127が扱える。 正解
ウ 文字型は,英文字と数字の集合を定めたものである。
エ 論理型は,AND,OR,NOT の三つの値をもつ。
正解 イ
解説
整数型を2の補数表示で8ビットに納めると,最上位ビットが符号を表すので,-27 ~27 -1,すなわち-128~127 の整数を扱える。イが適切である。
アは誤りで,実数型は有限長の2進数(浮動小数点数)で表すので,0.1 のように2進数では無限小数になる値は近似値になり,数学での実数全体とは一致しない。ウは誤りで,文字型が扱う文字集合には英字と数字のほか,記号や仮名,漢字なども含まれる。エは誤りで,論理型がもつ値は真と偽の二つであり,AND,OR,NOT は値ではなく論理演算である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
100 MIPS の CPU で動作するシステムにおいて,タイマ割込みが1ミリ秒ごとに発生し,タイマ割込み処理として1万命令が実行される。この割込み処理以外のシステムの処理性能は,何 MIPS 相当になるか。ここで,CPU 稼働率は 100%,割込み処理の呼出し及び復帰に伴うオーバヘッドは無視できるものとする。
正解 イ
解説
100 MIPS は 1 秒間に 1 億命令を実行できる性能で,1 ミリ秒では 10 万命令になる。タイマ割込み処理が 1 ミリ秒ごとに 1 万命令を使うので,割込み処理以外に使えるのは 1 ミリ秒当たり 10 万-1 万=9 万命令である。1 秒間では 9 万×1,000=9,000 万命令なので,90 MIPS 相当になる。イが正しい。
アの 10 は,割込み処理が使っている分(1 万命令×1,000=1,000 万命令/秒=10 MIPS)を答えにしたものである。ウの 99 と エの 99.9 は,割込み処理の占める割合を 1%,0.1% と見誤った値である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
メイン処理,及び表に示す二つの割込み A,B の処理があり,多重割込みが許可されている。割込み A,B が図のタイミングで発生するとき,0ミリ秒から5ミリ秒までの間にメイン処理が利用できる CPU 時間は何ミリ秒か。ここで,割込み処理の呼出し及び復帰に伴うオーバヘッドは無視できるものとする。
正解 ア
解説
優先度の高い割込み A は,割込み B の処理中でも割り込んで先に実行される。0ミリ秒に B が発生し 0〜1 ミリ秒を処理したところで,1ミリ秒に A が割り込み 1〜1.5 ミリ秒を処理する。B は残りの 0.5 ミリ秒を 1.5〜2 ミリ秒で処理して終わる。
続いて 2〜2.5 ミリ秒はメイン処理,2.5〜3 ミリ秒は A,3〜3.5 ミリ秒はメイン処理,3.5〜4 ミリ秒は A,4〜5 ミリ秒はメイン処理となり,5ミリ秒に B が発生する。メイン処理が利用できる時間は 0.5+0.5+1=2 ミリ秒で,アが正しい。多重割込みを考えずに処理時間を単純に引くと,5−(1.5+0.5×3)=2 となり結果は同じだが,途中の順序を追うと割込みの重なりを確かめられる。
多重割込みとメイン処理の時間
0 ミリ秒に割込み B(1.5ミリ秒,優先度低)が始まり,1 ミリ秒に割込み A(0.5ミリ秒,優先度高)が割り込む。A が 1〜1.5 で終わると B の残りが 1.5〜2 で終わる。その後はメイン 2〜2.5,A 2.5〜3,メイン 3〜3.5,A 3.5〜4,メイン 4〜5。メイン処理が使えるのは 0.5+0.5+1=2 ミリ秒。
割込み A
A
A
A
割込み B
B
B
メイン
メイン
0
1
2
3
4
5
メイン処理 0.5 + 0.5 + 1 = 2 ミリ秒
B は A に中断され,A が終わってから残りを処理する
優先度の高い A は,B の処理中でも割り込む
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
命令のアドレス部から実効アドレスを生成する方式のうち,絶対アドレス方式はどれか。
ア 基準アドレスとしてスタックポインタの値を用い,命令のアドレス部を基準アドレスからの変位として加算し,実効アドレスを生成する。
イ 基準アドレスとして命令アドレスレジスタの値を用い,命令のアドレス部を基準アドレスからの変位として加算し,実効アドレスを生成する。
ウ 命令のアドレス部で指定したメモリの内容を,実効アドレスとする。
エ 命令のアドレス部の値をそのまま実効アドレスとする。 正解
正解 エ
解説
絶対アドレス方式は,命令のアドレス部に書かれた値をそのまま実効アドレス(実際にアクセスするアドレス)とする方式である。エが該当する。
アは,スタックポインタの値を基準アドレスにして,アドレス部を変位として加えるので,基準アドレスからの相対位置で指す方式(ベースアドレス方式の一種)である。イは,命令アドレスレジスタ(プログラムカウンタ)の値を基準にして変位を加えるので,相対アドレス方式である。ウは,アドレス部で指定した番地に入っている内容を実効アドレスとするので,間接アドレス方式である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
RAID の種類 a,b,c に対応する組合せとして,適切なものはどれか。
ア a:RAID3 b:RAID4 c:RAID5 正解
イ a:RAID3 b:RAID5 c:RAID4
ウ a:RAID4 b:RAID3 c:RAID5
エ a:RAID4 b:RAID5 c:RAID3
正解 ア
解説
RAID3 は,ビット(バイト)単位でデータを複数台のディスクに分けて書き込み(ストライピング),誤り訂正のパリティを専用の1台に固定して格納する。RAID4 は,ストライピングの単位がブロックで,パリティは専用ディスクに固定される。RAID5 は,ブロック単位のストライピングで,パリティを全てのディスクに分散して格納する。表の a(ビット・固定)は RAID3,b(ブロック・固定)は RAID4,c(ブロック・分散)は RAID5 に当たり,アが適切である。
イは b と c を入れ替えており,b を RAID5,c を RAID4 としている。ウは a と b を入れ替えており,a を RAID4,b を RAID3 としている。エは a を RAID4,b を RAID5,c を RAID3 とし,三つとも誤っている。
RAID1・3・4・5 の違い
RAID1 は同じデータを2台に書くミラーリング。RAID3 はビット(バイト)単位で分散し,パリティを専用の1台に固定する。RAID4 はブロック単位で分散し,パリティを専用の1台に固定する。RAID5 はブロック単位で分散し,パリティを全ての台に分散する。
RAID1
ミラーリング
A
B
A
B
RAID3
ビット単位・パリティ固定
a1
b1
a2
b2
P
P
RAID4
ブロック単位・パリティ固定
A1
B1
A2
B2
P
P
RAID5
ブロック単位・パリティ分散
A1
B1
A2
P
P
B2
P:パリティ(1台壊れても残りから復元できる)
分散の単位(ビット・ブロック)と,パリティの置き場(固定・分散)で見分ける
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
3層クライアントサーバシステムのファンクション層で処理される二つの機能の組合せはどれか。
ア 検索条件の入力,データ処理条件の組立て
イ 検索条件の入力,データへのアクセス
ウ データ処理条件の組立て,データの加工 正解
エ データへのアクセス,データの加工
正解 ウ
解説
3層クライアントサーバシステムは,利用者との入出力を受け持つプレゼンテーション層,業務の処理内容(ロジック)を受け持つファンクション層,データベースへのアクセスを受け持つデータ層に分かれる。ファンクション層では,入力された検索条件をもとにデータ処理条件を組み立てることや,取り出したデータを業務に合わせて加工することを行う。ウが適切である。
アの検索条件の入力はプレゼンテーション層の機能である。イの検索条件の入力はプレゼンテーション層,データへのアクセスはデータ層の機能で,ファンクション層の機能は含まれない。エのデータへのアクセスはデータ層の機能である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
キャパシティプランニングで行うことはどれか。
ア コンピュータシステムで,操作ミスや設計上の不具合などによる障害が発生することをあらかじめ想定し,被害が最小限になるように対策を検討する。
イ コンピュータシステムに効率よく投資するために,性能,経済性及び拡張性を考えてシステムの構成を決定する。 正解
ウ コンピュータシステムのデータを適切に保護する観点から,誰にデータのアクセスを許可するか,データを暗号化して格納するか否かなどを決める。
エ コンピュータシステムを複数台の機器で構成し,機器のうちの1台が故障しても処理を続行したままで修理や故障した機器の交換ができるようにする。
正解 イ
解説
キャパシティプランニングは,現在の資源の使用状況や将来の業務量の予測から,必要な処理能力や記憶容量などを見積もり,性能,経済性及び拡張性を考えてシステムの構成を決める活動である。過剰な投資や能力不足を避け,コンピュータシステムに効率よく投資することが目的である。イが正しい。
アの障害の発生をあらかじめ想定し,被害が最小限になるよう対策を検討するのは,障害対策やリスク対策の検討である。ウのデータのアクセス権や暗号化の要否を決めるのは,情報セキュリティ対策(アクセス制御の設計)である。エの 1 台が故障しても処理を続けたまま修理や交換ができるようにするのは,冗長構成と活性交換によるフォールトトレラント設計である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された1件の検索を処理するために,サーバで平均 100 万命令が実行される。1件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは平均 2×105 バイトである。このサーバの性能は 100 MIPS であり,ネットワークの転送速度は 8×107 ビット/秒である。このシステムにおいて,1秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1バイトは8ビットとする。
正解 ア
解説
サーバは 100 MIPS,すなわち1秒間に 100 万命令を実行でき,1件の検索に 100 万命令が必要なので,1秒間に処理できるのは 100 件である。ネットワークは1件当たり 2×105 バイト=1.6×106 ビットを転送し,転送速度が 8×107 ビット/秒なので,1秒間に転送できるのは 8×107 ÷1.6×106 =50 件である。
システム全体で処理できる件数は,遅いほうのネットワークで決まり,1秒間に 50 件となる。アが正しい。1バイト=8ビットの換算を忘れると,ネットワークが 400 件(エ)となり,サーバの 100 件(イ)が上限と誤る。
サーバとネットワークで,1秒に処理できる件数を比べる
サーバは 100 MIPS で1件 100 万命令なので,1秒に 100 件。ネットワークは1件 2×10⁵ バイト=1.6×10⁶ ビットを 8×10⁷ ビット/秒で送るので,1秒に 50 件。全体は遅いほうのネットワークで決まり,1秒に 50 件。バイトをビットにし忘れるとネットワークが 400 件になり,サーバの 100 件を答えてしまう。
サーバ
100 件/秒
100 MIPS ÷ 100 万命令
ネットワーク
50 件/秒
8×10⁷ ÷ 1.6×10⁶ ビット
システム全体:1 秒に 50 件(ア)
遅いほう(ネットワークの 50 件)で決まる
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
システムの信頼性指標に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア MTBF と MTTR は,稼働率が 0.5 のときに等しくなる。 正解
イ MTBF は,システムが故障してから復旧するまでの平均時間を示す。
ウ MTTR は,MTBF に稼働率を掛けると求めることができる。
エ MTTR は,システムに発生する故障と故障の間隔の平均時間を示す。
正解 ア
解説
稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR) で求める。MTBF=MTTR なら MTBF÷(2×MTBF)=0.5 となるので,稼働率 0.5 のとき MTBF と MTTR は等しい。アが適切である。
イは誤りで,故障から復旧までの平均時間は MTTR(平均修理時間)。エは誤りで,故障と故障の間隔の平均は MTBF(平均故障間隔)であり,イとエは説明が入れ替わっている。ウは誤りで,MTBF に稼働率を掛けても MTTR にはならない(MTTR=MTBF×(1−稼働率)÷稼働率 の関係になる)。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
OS のプロセス制御におけるプリエンプティブ方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 各プロセスがシステム資源を自主管理できるので,マルチプログラミングに向いている。
イ ノンプリエンプティブ方式に比べて,コンテキスト切替えのためのオーバヘッドが小さい。
ウ ノンプリエンプティブ方式に比べて,特定のプロセスがプロセッサを独占することが多い。
エ プリエンプティブ方式を実現するには,OS がプロセスを強制的に切り替えて実行する機構が必要になる。 正解
正解 エ
解説
プリエンプティブ方式は,実行中のプロセスから OS が強制的に CPU を取り上げ,優先度の高いプロセスなどに切り替える方式である。そのため,タイマ割込みなどを使って OS がプロセスを強制的に切り替える機構が必要になる。エが適切である。
アは誤りで,資源を管理するのは OS であり,各プロセスが自主的に CPU を明け渡すのはノンプリエンプティブ方式の考え方である。イは誤りで,強制的な切替えが多い分,コンテキスト切替えのオーバヘッドは大きくなる。ウは誤りで,特定のプロセスが CPU を独占しやすいのは,プロセスが自ら明け渡すまで切り替わらないノンプリエンプティブ方式である。
タスクの3つの状態
実行可能状態のタスクは,CPU を割り当てられる(ディスパッチ)と実行状態になる。実行状態のタスクは,入出力の完了などを自分で待つと待ち状態に,優先度の高いタスクに CPU を取り上げられる(プリエンプション)と実行可能状態に移る。待ち状態のタスクは,待っていた事象が起きると実行可能状態に移り,直接は実行状態に移らない。
実行
CPU を使っている
実行可能
CPU の割当て待ち
待ち
入出力の完了待ち
ディスパッチ
プリエンプション
入出力など
を待つ
待っていた事象が起きた
待ち → 実行 へ直接は移らない(一度,実行可能に並ぶ)
プリエンプションで移るのは実行可能状態。待ち状態から実行状態へは直接移らない
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
CPU スケジューリングにおけるラウンドロビンスケジューリング方式に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 自動制御システムなど,リアルタイムシステムのスケジューリングに適している。
イ タイマ機能のないシステムにおいても,簡単に実現することができる。
ウ タイムシェアリングシステムのスケジューリングに適している。 正解
エ タスクに優先順位をつけることによって,容易に実現することができる。
正解 ウ
解説
ラウンドロビン方式は,実行可能なタスクを待ち行列に並べ,先頭から順に,あらかじめ決めた一定の時間(タイムクォンタム)だけ CPU を割り当て,時間が来たら実行を中断して待ち行列の最後尾に回す方式である。全てのタスクに CPU を公平に割り当てられるので,複数の利用者が同時に対話的に使うタイムシェアリングシステムに適している。ウが適切である。
アのリアルタイムシステムでは,応答の期限を守るために,優先度の高いタスクを先に実行する方式が向く。イは,一定時間で処理を中断するのにタイマ割込みが必要なので,タイマ機能がないと実現できない。エの“優先順位を付ける”のは,優先度順(プライオリティ)方式の特徴である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
仮想記憶方式において,論理アドレスから物理アドレスへの変換を行うのはいつか。
ア 主記憶に存在するページをアクセスするとき 正解
イ ページフォールトが発生したとき
ウ ページを主記憶にページインするとき
エ ページを補助記憶にページアウトするとき
正解 ア
解説
仮想記憶方式では,プログラムが使う論理アドレス(仮想アドレス)を,ページ表を引いて物理アドレス(実アドレス)に変換する。この動的アドレス変換は,主記憶に存在するページをアクセスするたびに行われる。アが正しい。
イのページフォールトは,アクセスしようとしたページが主記憶に無いときに起こる割込みで,アドレス変換が行えない場合である。ウのページインは補助記憶から主記憶へ,エのページアウトは主記憶から補助記憶へページを移す処理であり,アドレスの変換そのものではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
ハッシュ表の理論的な探索時間を示すグラフはどれか。ここで,複数のデータが同じハッシュ値になることはないものとする。
正解 エ
解説
ハッシュ表は,キーからハッシュ関数で格納位置を直接計算して求める。衝突(複数のデータが同じハッシュ値になること)がなければ,1回の計算でデータの位置が決まる。
したがって探索時間は表の中のデータの個数に左右されず一定(オーダーは O(1))になり,水平な直線のエが正しい。イは線形探索の O(n),ウは2分探索の O(log n) に近い形。
探索の方法と探索時間の増え方
線形探索は先頭から順に調べるので,データの個数 n に比例して長くなる(O(n))。2分探索は範囲を半分ずつ絞るので,n が増えても log n でゆっくりしか増えない。ハッシュ表探索は,衝突がなければキーから格納位置を計算して1回で見つかるので,個数によらず一定(O(1))。
データの個数 n
探索時間
線形探索 n
2分探索 log n
ハッシュ表 一定
ハッシュ表は衝突がなければ,計算で1回で見つかる
ハッシュ表は個数によらず一定,2分探索は緩やかに増え,線形探索は比例して増える
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
NAND 素子を用いた次の組合せ回路の出力 Z を表す式はどれか。ここで,論理式中の“・”は論理積,“+”は論理和,“X ”は X の否定を表す。
正解 イ
解説
NAND 素子の二つの入力に同じ信号を入れると,否定(NOT)として働く。上の NAND 素子の出力は X ,下の NAND 素子の出力は Y になる。
出力段の NAND 素子は X と Y の論理積の否定を出すので,ド・モルガンの法則により NOT(X ・Y )=X+Y となる。イが正しい。NAND 素子だけで OR 回路を組み立てられることを示す例である。
NAND 素子で作る論理和
NAND 素子の2つの入力に同じ信号を入れると否定(NOT)になるので,上の素子の出力は X̄,下の素子の出力は Ȳ。最後の NAND 素子は ¬(X̄・Ȳ) を出し,ド・モルガンの法則で X+Y になる。
X
Y
X
Y
Z
Z = ¬(X ・Y ) = X + Y
入力をつないだ NAND は NOT になる。最後の NAND はド・モルガンの法則で X+Y
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
モータの速度制御などに PWM(Pulse Width Modulation)制御が用いられる。PWM の駆動波形を示したものはどれか。ここで,波形は制御回路のポート出力であり,低域通過フィルタを通していないものとする。
正解 イ
解説
PWM(パルス幅変調)は,電圧の高さを一定にしたまま,パルスのオン時間の幅(デューティ比)を変えて,モータなどに与える平均電力を調節する方式である。低域通過フィルタを通す前のポート出力は,高さが一定でパルスの幅が変わる矩形波になる。イが該当する。
アは幅が一定で高さが変わるパルスで,PAM(パルス振幅変調)の波形である。ウは階段状になだらかに変化する波形で,PWM の信号を低域通過フィルタに通した後や D/A 変換器の出力のような波形である。エは電圧が数段階に変わる多値の信号で,PWM の波形ではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
クロックの立上りエッジでデータを最下位ビットから取り込んで上位方向へシフトし,ストローブの立上りエッジで値を確定する8ビットのシリアル入力パラレル出力シフトレジスタがある。各信号の波形を観測した結果が図のとおりであるとき,シフトレジスタの値はどれか。ここで,数値は16進数で表記している。
正解 イ
解説
クロックの立上りごとに,その時点のデータの値を最下位ビットに取り込み,全体を上位方向へシフトする。ストローブが立ち上がるのは9回目のクロックの立上りの後で10回目の前なので,値が確定するのは9回目までに取り込んだ値のうち最後の8回分,つまり2〜9回目の値である。2〜9回目の立上りでのデータは 1,0,0,0,1,1,0,1 で,先に取り込んだ値ほど上位に移るので 10001101=8D(16進数)となる。イが正しい。
エの C6 は,1〜8回目の値(11000110)で,ストローブが立ち上がった時点の並びではない。ウの B1 と アの 63 は,それぞれ 8D と C6 のビット列を逆順にした値で,最初に取り込んだ値を最下位に置いた誤りである。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
ワンチップマイコンにおける内部クロック発生器のブロック図を示す。15 MHz の発振器と,内部の PLL1,PLL2 及び分周器の組合せで CPU に 240 MHz,シリアル通信(SIO)に 115 kHz のクロック信号を供給する場合の分周器の値は幾らか。ここで,シリアル通信のクロック精度は±5%以内に収まればよいものとする。
ア 1/24
イ 1/26
ウ 1/28
エ 1/210 正解
正解 エ
解説
分周器に入るのは PLL1 の出力で,15MHz×8=120MHz。ここを 1/2n に分周して 115kHz に近づける。1/210 なら 120,000÷1,024≒117.2kHz で,115kHz との差は約1.9%なので ±5% 以内に収まる。エが正しい。
ウの 1/28 では 120,000÷256≒468.8kHz と4倍以上ずれ,イやアの分周比ではさらに大きく外れる。CPU 向けの 240MHz は PLL1 の出力を PLL2 で2逓倍して得ており,分周器はその手前の 120MHz から分岐している点に注意する。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
PDF の特徴として,適切なものはどれか。
ア インターネットでの電子文書の配布に適しており,CSS によって表示や印刷のレイアウト制御が行える。
イ 使用するフォントを文書ファイルに埋め込むことができ,閲覧や印刷時に使用するコンピュータ環境が異なっても,作成時と同じ字形で表示できる。 正解
ウ 一つのファイルの中に複数のページが格納でき,各ページは印刷再現性を重視した高解像度のビットマップ画像である。
エ ファイル構造は XML の記述形式を用いてレイアウトなどの表示情報をもっており,特定の閲覧ソフトを必要としない。
正解 イ
解説
PDF(Portable Document Format)は,文書のレイアウトや使用フォントなどの表示情報を一つのファイルに納める電子文書の形式で,フォントを文書ファイルに埋め込めるため,閲覧や印刷に使うコンピュータ環境が異なっても,作成時と同じ字形で表示できる。イが適切である。
アの CSS で表示や印刷のレイアウトを制御するのは HTML の仕組みで,PDF の特徴ではない。ウは誤りで,PDF のページは文字や図形を描画命令として記述したもので,画像を含められるが,各ページが高解像度のビットマップ画像というわけではない。エは誤りで,PDF のファイル構造は XML ではなく,閲覧にも PDF に対応した閲覧ソフトが必要である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
SQL 文において FOREIGN KEY と REFERENCES を用いて指定する制約はどれか。
正解 ウ
解説
SQL 文では,FOREIGN KEY で外部キーとする列を,REFERENCES で参照先の表と列を指定する。外部キーの値は,参照先の表に存在する値(又は NULL)に限られる。この整合性を保つ制約が参照制約である。ウが正しい。
アのキー制約は PRIMARY KEY や UNIQUE で指定する制約,イの検査制約は CHECK で列の値の条件を指定する制約,エの表明は CREATE ASSERTION で複数の表にまたがる条件を指定するもので,いずれも FOREIGN KEY と REFERENCES では指定しない。
参照制約で拒否される操作
“在庫”表の製品番号は“製品”表の製品番号を参照する外部キー。“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に無ければ拒否される。参照される側の“製品”表から,参照されている行を削除したり製品番号を変えたりするのも拒否されうる。“在庫”表の行や表の削除,“製品”表への行の追加は拒否されない。
在庫(参照する側)
管理番号
製品番号
Z01
P1
Z02
P2
Z03
P9
製品(参照される側)
製品番号
製品名
P1
ねじ
P2
ばね
P9 は製品に無い
→ 在庫への追加は拒否
参照されている P1・P2
の削除も拒否されうる
拒否されない:在庫の行・表の削除,製品への行の追加
外部キー → 参照先に同じ値が要る
参照する側への追加と,参照される側からの削除が引っかかる
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
UML を用いて表した部門と社員の関係を表すデータモデルの説明のうち,適切なものはどれか。
ア 社員が1人も所属していない部門は登録できない。
イ 社員は複数の部門に所属することができる。
ウ どの部門にも所属しない社員は登録できない。 正解
エ 一つの部門に複数の社員は所属できない。
正解 ウ
解説
UML の多重度は,関連の相手側から見て何個のインスタンスが対応するかを表す。社員から見た部門側の多重度が 1 なので,社員は必ずちょうど一つの部門に所属する。したがって,どの部門にも所属しない社員は登録できず,ウが適切である。
部門から見た社員側の多重度は *(0以上)なので,社員が1人もいない部門も登録でき,一つの部門に複数の社員が所属することもできる。ア,エは誤り。イは部門側が 1 なので,社員が複数の部門に所属することはできず誤りである。
多重度の読み方
多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。
部門
社員
1
*
社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし)
部門から見て社員は 0 人以上
書き方
意味
1
ちょうど1
0..1
0 か 1
*(0..*)
0 以上
1..*
1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
次の表はどこまで正規化されたものか。
ア 第2正規形 正解
イ 第3正規形
ウ 第4正規形
エ 非正規形
正解 ア
解説
第1正規形は表の各欄が1つの値だけをもつ状態,第2正規形は主キーの一部だけで決まる列がない状態,第3正規形は主キー以外の列から決まる列がない状態である。この表は繰返し項目がなく第1正規形を満たし,主キーが従業員番号1列だけなので,主キーの一部で決まる列もなく第2正規形も満たす。ところが,職位から職位手当が決まる(従業員番号→職位→職位手当という推移的関数従属)ため,第3正規形ではない。したがって,第2正規形までが正規化されていて,アが正しい。
イの第3正規形にするには,職位と職位手当を別の表に分ける必要がある。ウの第4正規形は,第3正規形などを満たしたうえで多値従属を解消した状態で,この表はそこまで進んでいない。エの非正規形は繰返し項目をもつ表のことで,この表は当てはまらない。
正規化で表を分けていく
受注明細(受注番号,商品番号,顧客番号,顧客名,商品名,数量)の例。主キーは受注番号と商品番号の組。第2正規形にするには,主キーの一部だけで決まる属性を分ける(受注番号で決まる顧客番号・顧客名,商品番号で決まる商品名)。第3正規形にするには,主キー以外の属性で決まる属性を分ける(顧客番号で決まる顧客名)。
第1正規形(1つの欄に1つの値)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
顧客番号
,
顧客名
,
商品名
,
数量
)
受注番号だけで顧客番号・顧客名が,商品番号だけで商品名が決まる
第2正規形(キーの一部で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
,
顧客名
)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
数量
)
商品(
商品番号
,
商品名
)
受注の中で,顧客番号から顧客名が決まる(推移的関数従属)
第3正規形(キー以外で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
)
顧客(
顧客番号
,
顧客名
)
+受注明細・商品
下線は主キー。第2は「キーの一部で決まるもの」,第3は「キー以外で決まるもの」を別の表へ
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
“東京在庫”表と“大阪在庫”表に対して,SQL 文を実行して得られる結果はどれか。ここで,実線の下線は主キーを表す。
〔SQL 文〕
SELECT 商品コード, 在庫数 FROM 東京在庫
UNION ALL
SELECT 商品コード, 在庫数 FROM 大阪在庫
正解 エ
解説
UNION ALL は,二つの問合せ結果を重複行も除かずにそのまま連結する。“東京在庫”表の 3 行と“大阪在庫”表の 3 行がすべて残り,C003 の 35 の行も 2 行出るので,6 行のエが得られる。
UNION(ALL なし)なら重複行を除くので,C003 の 35 の行が 1 行になって 5 行のウとなる。アは C003 の行が両方とも欠けていて,重複した行を残らず消した結果のように見えるが,そのような処理は行わない。イは同じ商品コードの在庫数を合計した結果(B002=25+15,C003=35+35)で,GROUP BY と SUM を使った場合の結果である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
分散データベースにおいて図のようなコマンドシーケンスがあった。調停者がシーケンス a で発行したコマンドはどれか。ここで,コマンドシーケンスの記述に UML のシーケンス図の記法を用いる。
ア COMMIT の実行要求
イ ROLLBACK の実行要求 正解
ウ 判定レコードの書出し要求
エ ログ書出しの実行要求
正解 イ
解説
図は分散データベースの2相コミットの手順を表している。第1相で調停者が各システムに COMMIT の可否を問い合わせ,全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を,一つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,更新の結果をそろえる。
システム2から“否”が返っているので,調停者がシーケンス a で発行するのは ROLLBACK の実行要求であり,イが正しい。アの COMMIT の実行要求は,全てのシステムが“可”と応答した場合に発行する。ウの判定レコードの書出しやエのログ書出しは,各システムや調停者が内部で行う処理で,a のコマンドではない。
2相コミット
第1相で,調停者は各システムに COMMIT できるか問い合わせる。全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を指示し,1つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,結果をそろえる。この例ではシステム2が“否”なので ROLLBACK。
調停者
システム1
システム2
第1相
COMMIT できるか
可
否
第2相
ROLLBACK
全部“可”なら COMMIT,1つでも“否”なら ROLLBACK
1つでも“否”があれば,全部 ROLLBACK。全部“可”のときだけ COMMIT
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
トランザクションの原子性(atomicity)の説明として,適切なものはどれか。
ア データの物理的格納場所やアプリケーションプログラムの実行場所を意識することなくトランザクション処理が行える。
イ トランザクションが終了したときの状態は,処理済みか未処理のどちらかしかない。 正解
ウ トランザクション処理においてデータベースの一貫性が保てる。
エ 複数のトランザクションを同時に処理した場合でも,個々の処理結果は正しい。
正解 イ
解説
トランザクションの原子性(Atomicity)は,トランザクション内の処理が全て実行されるか,全く実行されないかのどちらかであるという性質で,終了したときの状態は“処理済み”か“未処理”のいずれかになる。イが適切である。
アはデータの格納場所や実行場所を意識せずに処理できる分散データベースの透過性。ウのデータベースの一貫性が保たれるのは一貫性(Consistency)。エの複数のトランザクションを同時に処理しても個々の結果が正しいのは独立性(Isolation)の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
スイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)の機能として,適切なものはどれか。
ア IP アドレスを解析することによって,データを中継するか破棄するかを判断する。
イ MAC アドレスを解析することによって,必要な LAN ポートにデータを流す。 正解
ウ OSI 基本参照モデルの物理層において,ネットワークを延長する。
エ 互いに直接,通信ができないトランスポート層以上の二つの異なるプロトコルの翻訳作業を行い,通信ができるようにする。
正解 イ
解説
スイッチングハブ(レイヤ 2 スイッチ)は,受信したフレームの宛先 MAC アドレスを MAC アドレステーブルと照らして,宛先のある LAN ポートだけにフレームを転送する。MAC アドレスを解析して必要なポートにデータを流すイが適切である。
アの IP アドレスを解析して中継か破棄かを判断するのは,ルータやレイヤ 3 スイッチ,パケットフィルタリング型のファイアウォールの機能である。ウの物理層でネットワークを延長するのはリピータやリピータハブの機能である。エのトランスポート層以上で異なるプロトコルを変換するのはゲートウェイの機能である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
WAN を介して二つのノードをダイヤルアップ接続するときに使用されるプロトコルで,リンク制御やエラー処理機能をもつものはどれか。
正解 イ
解説
PPP(Point-to-Point Protocol)は,電話回線などを使って二つのノードを1対1で接続するときのプロトコルで,リンクの確立・制御(LCP)や認証,エラー検出などの機能をもつ。イが適切である。
アの FTP はファイル転送のプロトコル。ウの SLIP は,シリアル回線で IP パケットを送るための簡易なプロトコルで,PPP のようなリンク制御やエラー処理の機能をもたない。エの UDP は,コネクションを張らないトランスポート層のプロトコルである。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
IPv4 アドレス 172.22.29.44/20 のホストが存在するネットワークのブロードキャストアドレスはどれか。
ア 172.22.29.255
イ 172.22.30.255
ウ 172.22.31.255 正解
エ 172.22.32.255
正解 ウ
解説
IPv4 アドレス 172.22.29.44/20 は,上位 20 ビットがネットワーク部,下位 12 ビットがホスト部である。第3オクテットの 29 を2進数で書くと 00011101 で,上位 4 ビット(0001)までがネットワーク部,下位 4 ビット(1101)がホスト部に入る。ブロードキャストアドレスは,ホスト部を全て1にしたものなので,第3オクテットは 00011111=31,第4オクテットは 255 となり,172.22.31.255 である。ウが正しい。
アの 172.22.29.255 は,第4オクテットだけを全て1にした /24 のブロードキャストアドレスである。イの 172.22.30.255 は,第3オクテットのホスト部が 1110 のままで全て1になっていない。エの 172.22.32.255 は,第3オクテットが 32 で,このネットワーク(172.22.16.0~172.22.31.255)の外側のアドレスである。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
TCP/IP の環境で使用されるプロトコルのうち,構成機器や障害時の情報収集を行うために使用されるネットワーク管理プロトコルはどれか。
正解 エ
解説
SNMP(Simple Network Management Protocol)は,ルータやスイッチなどのネットワーク機器の構成情報や稼働状況を収集し,障害を検知すると通知(トラップ)を受け取れるようにするネットワーク管理プロトコルである。エが正しい。
アの NNTP はネットニュースの記事を配信・取得するプロトコル,イの NTP は機器の時刻を同期させるプロトコル,ウの SMTP は電子メールを送信・転送するプロトコルである。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
Web ページの見出しや要約などのデータについて,XML を使って更新を通知するためのフォーマットはどれか。
正解 イ
解説
RSS は,Web サイトの見出し,要約,更新日時などのメタデータを XML で記述し,更新情報を配信するためのフォーマットである。RSS に対応した閲覧ソフト(RSS リーダ)を使うと,登録したサイトの更新を自動で知ることができる。イが正しい。
アの BPEL は,複数の Web サービスを組み合わせて業務プロセスを記述する XML ベースの言語である。ウの SOAP は,XML 形式のメッセージで Web サービスを呼び出すためのプロトコルである。エの WSDL は,Web サービスの内容や呼出し方法を記述する XML ベースの言語である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
人間には読み取ることが可能でも,プログラムでは読み取ることが難しいという差異を利用して,ゆがめたり一部を隠したりした画像から文字を判読させ入力させることで,人間以外による自動入力を排除する技術はどれか。
ア CAPTCHA 正解
イ QR コード
ウ 短縮 URL
エ トラックバック ping
正解 ア
解説
CAPTCHA は,ゆがめたり一部を隠したりした文字の画像を表示し,読み取って入力させることで,人間による操作かプログラムによる自動入力かを区別する技術である。人間には読めても,プログラムでは判読が難しいという差異を利用している。アが正しい。
イの QR コードは,情報を2次元のパターンで表すコードである。ウの短縮 URL は,長い URL を短い URL に置き換えて参照できるようにする仕組みである。エのトラックバック ping は,ブログなどで他のサイトの記事へ言及したことを,そのサイトへ通知する仕組みである。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
A 社の Web サーバは,認証局で生成した Web サーバ用のディジタル証明書を使って SSL/TLS 通信を行っている。A 社の Web サーバに SSL/TLS を用いてアクセスしたときの PC がサーバのディジタル証明書を入手した後に,認証局の公開鍵を利用して行うものはどれか。
ア 暗号化通信に利用する共通鍵を生成し,認証局の公開鍵を使って暗号化する。
イ 暗号化通信に利用する共通鍵を認証局の公開鍵を使って復号する。
ウ ディジタル証明書の正当性を認証局の公開鍵を使って検証する。 正解
エ 利用者が入力して送付する秘匿データを認証局の公開鍵を使って暗号化する。
正解 ウ
解説
サーバ証明書には,認証局がサーバの公開鍵などの情報に対して自身の秘密鍵で付けたデジタル署名が含まれている。PC はあらかじめ持っている認証局の公開鍵でこの署名を検証し,サーバ証明書が正当な認証局から発行され改ざんされていないことを確かめる。ウが正しい。
アとエは誤り。共通鍵の元になる情報や秘匿データを暗号化するときに使うのは,サーバ証明書に含まれるサーバの公開鍵であり,認証局の公開鍵ではない。イは誤り。公開鍵で暗号化されたデータを復号できるのは対になる秘密鍵を持つ側で,PC が認証局の公開鍵で共通鍵を復号することはない。
証明書の連鎖
サーバ証明書は中間 CA が署名し,中間 CA の証明書はルート CA が署名している。受け取った側は,サーバ証明書から中間 CA,ルート CA へと署名をたどって検証し,ブラウザや OS に組み込まれているルート CA に行き着けば信頼できると判断する。署名の検証には,署名した CA の公開鍵を使う。
ルート CA の証明書
ブラウザ・OS に組み込み済み
中間 CA の証明書
ルート CA が署名
サーバ証明書
中間 CA が署名
署名
たどって
検証
署名は,署名した CA の公開鍵で確かめる
上の CA が下の証明書に署名し,受け取った側は下から上へたどって検証する
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
チャレンジレスポンス認証方式の特徴として,適切なものはどれか。
ア SSL によって,クライアント側で固定パスワードを暗号化して送信する。
イ 端末のシリアル番号を,クライアント側で秘密鍵を使って暗号化して送信する。
ウ トークンという装置が表示する毎回異なったデータを,パスワードとして送信する。
エ 利用者が入力したパスワードと,サーバから送られたランダムなデータとをクライアント側で演算し,その結果を送信する。 正解
正解 エ
解説
チャレンジレスポンス認証では,サーバが毎回異なるランダムなデータ(チャレンジ)をクライアントに送り,クライアントはチャレンジと利用者が入力したパスワードからハッシュ関数などで計算した値(レスポンス)を返す。サーバも登録されたパスワードで同じ計算をして結果を照合する。パスワードそのものはネットワークに流れず,レスポンスも毎回変わるので,盗聴や再送攻撃に強い。エが適切である。
アは通信路を暗号化して固定パスワードを送るだけで,チャレンジを使っていない。イは端末のシリアル番号を暗号化して送るもので,毎回同じ値になる。ウは時刻同期方式のワンタイムパスワードで,値は毎回変わるがサーバからのチャレンジを受け取っていない点が異なる。
チャレンジレスポンス認証
サーバは毎回違うランダムな値(チャレンジ)を送り,クライアントはチャレンジとパスワードからハッシュ値(レスポンス)を計算して返す。サーバも同じ計算をして一致すれば認証する。パスワードそのものはネットワークに流れず,チャレンジが毎回違うので,盗聴したレスポンスを使い回しても通らない。
クライアント
サーバ
① チャレンジ(毎回違う乱数)
② レスポンス=hash(チャレンジ+パスワード)
③ サーバも同じ計算をして一致すれば認証
パスワードそのものは流れない
パスワードは流れない。チャレンジが毎回違うので,盗んだ値は使い回せない
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
認証局が侵入され,攻撃者によって不正な Web サイト用のディジタル証明書が複数発行されたおそれがある。どのディジタル証明書が不正に発行されたものか分からない場合,誤って不正に発行されたディジタル証明書を用いた Web サイトにアクセスしないために利用者側で実施すべき対策はどれか。
ア Web サイトのディジタル証明書の有効期限が過ぎている場合だけアクセスを中止する。
イ Web サイトへのアクセスログを確認し,ドメインが Whois データベースに登録されていない場合だけアクセスする。
ウ 当該認証局の CP(Certificate Policy)の内容を確認し,セキュリティを考慮している内容である場合だけアクセスする。
エ ブラウザで当該認証局を信頼していない状態に設定し,Web サイトのディジタル証明書に関するエラーが出た場合はアクセスを中止する。 正解
正解 エ
解説
認証局が侵入されて不正な証明書が発行されると,その証明書は正規の認証局の署名をもつので,ブラウザは正当な証明書として扱ってしまう。どれが不正なものか分からない場合は,ブラウザでその認証局を信頼しない設定にすれば,その認証局が発行した証明書を使う Web サイトにアクセスしたときに証明書のエラーが表示されるので,アクセスを中止できる。エが適切である。
アの有効期限による判断では,期限内の不正な証明書を見分けられない。イの Whois データベースへの登録の有無は,証明書が不正に発行されたかどうかとは関係がない。ウの CP の内容は認証局の運用方針を示すもので,侵入によって発行された個々の証明書の正当性を確かめる手段にならない。
証明書の連鎖
サーバ証明書は中間 CA が署名し,中間 CA の証明書はルート CA が署名している。受け取った側は,サーバ証明書から中間 CA,ルート CA へと署名をたどって検証し,ブラウザや OS に組み込まれているルート CA に行き着けば信頼できると判断する。署名の検証には,署名した CA の公開鍵を使う。
ルート CA の証明書
ブラウザ・OS に組み込み済み
中間 CA の証明書
ルート CA が署名
サーバ証明書
中間 CA が署名
署名
たどって
検証
署名は,署名した CA の公開鍵で確かめる
上の CA が下の証明書に署名し,受け取った側は下から上へたどって検証する
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
安全な Web アプリケーションの作り方について,攻撃と対策の適切な組合せはどれか。
ア 攻撃:SQL インジェクション 対策:SQL 文の組立てに静的プレースホルダを使用する。 正解
イ 攻撃:クロスサイトスクリプティング 対策:任意の外部サイトのスタイルシートを取り込めるようにする。
ウ 攻撃:クロスサイトリクエストフォージェリ 対策:リクエストに GET メソッドを使用する。
エ 攻撃:セッションハイジャック 対策:利用者ごとに固定のセッション ID を使用する。
正解 ア
解説
SQL インジェクションは,入力値に SQL の一部を紛れ込ませて意図しない SQL 文を実行させる攻撃である。静的プレースホルダを使うと,SQL 文の構造があらかじめ確定し,入力値は常に値として扱われるので,攻撃を根本的に防げる。アが適切である。
イは誤りで,任意の外部サイトのスタイルシートを取り込めるようにすると,かえってクロスサイトスクリプティングなどの危険が増す。ウは誤りで,クロスサイトリクエストフォージェリの対策は秘密のトークンの確認などであり,GET メソッドを使うことは対策にならない。エは誤りで,セッション ID を固定するとセッションハイジャックの危険が高まり,ログイン後に新しいセッション ID を発行するなどの対策が必要である。
SQL インジェクションとプレースホルダ
入力を文字列としてつなげて SQL 文を作ると,入力の「' OR '1'='1」が文の一部になり,条件が常に真になって全員の行が返る。プレースホルダを使うと SQL 文の形が先に決まり,入力はまるごと1つの値として当てはめられるので,命令として解釈されない。
文字列をつなげて SQL 文を作ると
入力:' OR '1'='1
SELECT * FROM 会員 WHERE id = '' OR '1'='1 '
入力の引用符で文が閉じ,OR 以下が条件に加わる → 常に真で全員分が返る
プレースホルダを使うと
SELECT * FROM 会員 WHERE id = ?
形が先に決まる
' OR '1'='1
← 1つの値として入る
入力
「id が ' OR '1'='1 の会員」を探すだけになる
根本の対策は,SQL 文の形を先に確定させるプレースホルダ
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
ディジタルフォレンジックスの説明として,適切なものはどれか。
ア あらかじめ設定した運用基準に従って,メールサーバを通過する送受信メールをフィルタリングすること
イ サーバに対する外部からの攻撃や不正なアクセスを防御すること
ウ 磁気ディスクなどの書換え可能な記憶媒体を単に初期化するだけではデータを復元できる可能性があるので,任意のデータ列で上書きすること
エ 不正アクセスなどコンピュータに関する犯罪の法的な証拠性を確保できるように,原因究明に必要な情報の保全,収集,分析をすること 正解
正解 エ
解説
ディジタルフォレンジックスは,不正アクセスや情報漏えいなどのコンピュータに関する事件・事故が起きたときに,法的な証拠として使えるように,ログや記憶媒体などの情報を改変しない形で保全・収集し,分析して原因を究明する技術や手続である。エが適切である。
アは送受信メールのフィルタリング,イはファイアウォールや IDS などによる攻撃の防御,ウは記憶媒体のデータを復元できないように上書きするデータ消去の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
ペネトレーションテストの目的はどれか。
ア 暗号化で使用している暗号方式と鍵長が,設計仕様と一致することを確認する。
イ 対象プログラムの入力に対する出力結果が,出力仕様と一致することを確認する。
ウ ファイアウォールが単位時間当たりに処理できるセッション数を確認する。
エ ファイアウォールや公開サーバに対して侵入できないことを確認する。 正解
正解 エ
解説
ペネトレーションテスト(侵入テスト)は,実際に攻撃者の立場でファイアウォールや公開サーバへ侵入を試み,防御を破れるかどうかを確かめるテスト。設定の不備や既知の脆弱性が実害につながるかを実地で確認する。エが正しい。
アの暗号方式と鍵長の確認は設計仕様との照合,イの入出力の照合は機能テスト,ウの処理できるセッション数の確認は性能テストで,いずれも侵入の可否を確かめるものではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
家庭内で,PC を無線 LAN とブロードバンドルータを介してインターネットに接続するとき,期待できるセキュリティ上の効果の記述のうち,適切なものはどれか。
ア IP マスカレード機能による,インターネットからの不正侵入に対する防止効果 正解
イ PPPoE 機能による,経路上の盗聴に対する防止効果
ウ WPA 機能による,不正な Web サイトへの接続に対する防止効果
エ WPS 機能による,インターネットからのウイルス感染に対する防止効果
正解 ア
解説
ブロードバンドルータの IP マスカレード(NAPT)機能は,家庭内の PC のプライベート IP アドレスを一つのグローバル IP アドレスに変換して通信する。インターネット側からは内部の PC のアドレスが直接見えず,内部から始めた通信の応答以外は内部に届かないので,インターネットからの不正侵入を防ぐ効果が期待できる。アが適切である。
イの PPPoE は,インターネット接続事業者との間で接続や認証を行うためのプロトコルで,通信の暗号化機能はない。ウの WPA は無線 LAN の通信を暗号化し認証する規格で,不正な Web サイトへの接続は防げない。エの WPS は無線 LAN の接続設定を簡単にする機能で,ウイルス感染を防ぐものではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
SSH の説明はどれか。
ア MIME を拡張した電子メールの暗号化とディジタル署名に関する標準
イ オンラインショッピングで安全にクレジット決済を行うための仕様
ウ 対称暗号技術と非対称暗号技術を併用した電子メールの暗号化,復号の機能をもつ電子メールソフト
エ リモートログインやリモートファイルコピーのセキュリティを強化したツール及びプロトコル 正解
正解 エ
解説
SSH(Secure Shell)は,ネットワークを介したリモートログインやファイルのコピーを,暗号化と認証によって安全に行うためのツール及びプロトコルである。telnet や rlogin,rcp などの代わりに使われる。エが正しい。
アは電子メールの暗号化とディジタル署名の標準である S/MIME,イはクレジット決済を安全に行うための仕様である SET,ウは共通鍵暗号と公開鍵暗号を併用して電子メールを暗号化するソフトウェアである PGP の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
Web サーバにおいて,機密情報を記載したページが第三者に不正利用されることを防止するためのセキュリティ対策のうち,最も適切なものはどれか。
ア Web サーバの受信用のポート番号を標準ポート番号から変更する。
イ 機密情報を記載したページでは,アクセス時に利用者認証を要求する。 正解
ウ 機密情報を記載したページの URL は非公開にし,関係者だけに伝える。
エ ドメイン名を DNS に登録せず,IP アドレスの直接入力だけでアクセスさせる。
正解 イ
解説
機密情報を記載したページが第三者に不正利用されないようにするには,アクセス時に利用者認証を要求し,認証に成功した正規の利用者だけが閲覧できるようにするのが最も適切である。イが正しい。
アのポート番号の変更は,ポートスキャンで開いているポートが見つかれば意味がなく,利用者を確認する手段にならない。ウは URL を知った人が誰でもアクセスできるうえ,URL が漏れたり推測されたりすれば第三者に閲覧される。エは IP アドレスを知れば誰でもアクセスでき,利用者の確認にはならない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
モジュール分割の良否を,モジュール結合度の視点から評価する場合,最も適切な記述はどれか。
ア 共通データ領域は,全てのモジュールからアクセスできるようになっていることが望ましい。
イ ソフトウェア全体のモジュール分割の良否は,モジュール間の結合度のうちで最も強いものがどのように分布しているかで判断するのが望ましい。
ウ 直接の呼出し関係になっていないモジュール間で情報を交換するには,共通データ領域を用いるのが最も望ましい。
エ 呼び出す側と呼び出される側のモジュール間のデータの受渡しは,引数としてデータ項目を列挙するのが最も望ましい。 正解
正解 エ
解説
モジュール結合度は,モジュール間のつながりの強さを表し,弱いほどモジュールの独立性が高く望ましい。呼出し側と呼出される側の間で,必要なデータ項目だけを引数として受け渡すのは,結合度が最も弱いデータ結合であり,最も望ましい方式である。エが適切である。
アは,全てのモジュールが共通データ領域にアクセスできる共通結合で,結合度が強く,一つのモジュールの変更が他のモジュールに及ぶので望ましくない。ウは,直接呼び出さないモジュール間の情報交換に共通データ領域を使う共通結合で,これも望ましくない。イは,モジュール分割の良否を最も強い結合度の分布だけで判断するとしており,モジュール間の結合をできるだけ弱くするという結合度の評価の考え方に合わない。
モジュール結合度とモジュール強度
結合度はモジュールどうしのつながりの強さで,弱いほどよい。弱い順に,データ結合(必要な項目だけを引数で),スタンプ結合(データ構造を引数で),制御結合(制御の情報を渡す),外部結合(単一の大域データ),共通結合(共通域のデータ構造),内容結合(相手の内部を直接参照)。強度はモジュールの中のまとまりで,強いほどよい。機能的強度が最も強く,処理コードで機能を選ぶ論理的強度や,関係のない機能を集めた暗合的強度は弱い。
結合度(弱いほどよい)
データ結合
項目を引数で
スタンプ結合
構造を引数で
制御結合
制御情報を渡す
外部結合
単一の大域データ
共通結合
共通域の構造
内容結合
内部を直接参照
強度(強いほどよい)
機能的強度
1つの機能
情報的強度
同じ情報を扱う
連絡的強度
データを受け渡す
手順的強度
順に実行する
論理的強度
コードで機能を選ぶ
暗合的強度
関係のないものの寄せ集め
上ほど望ましい(時間的強度は手順的と論理的の間)
結合度は弱いほど,強度は強いほどよい
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
ソフトウェアの使用性を向上させる施策として,適切なものはどれか。
ア オンラインヘルプを充実させ,利用方法を理解しやすくする。 正解
イ 外部インタフェースを見直し,連携できる他システムを増やす。
ウ 機能を追加し,業務においてシステムが利用できる範囲を拡大する。
エ ファイルを分散して配置し,障害によるシステム停止のリスクを減らす。
正解 ア
解説
使用性(ユーザビリティ)は,利用者がソフトウェアを理解し,習得し,操作しやすい度合いを表す品質特性である。オンラインヘルプを充実させて利用方法を理解しやすくすることは使用性の向上に当たるので,アが適切である。
イの連携できる他システムを増やすことは相互運用性(互換性),ウの機能を追加して利用できる範囲を広げることは機能性(機能適合性),エのファイルを分散配置して障害時の停止リスクを減らすことは信頼性(可用性)を向上させる施策である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
プログラムのテストに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 静的テストとは,プログラムを実行することなくテストする手法であり,コード検査,静的解析などがある。 正解
イ 単体テストでは,スタブから被検査モジュールを呼び出し,被検査モジュールから呼び出されるモジュールの代わりにドライバを使用する。
ウ トップダウンテストは,仮の下位モジュールとしてのスタブを結合してテストするので,テストの最終段階になるまで全体に関係するような欠陥が発見されにくい。
エ ブラックボックステストでは,分岐,反復などの内部構造を検証するので,全ての経路を通過するように,テストケースを設定する。
正解 ア
解説
静的テストは,プログラムを実行せずに,ソースコードや設計書を調べて欠陥を見つける手法である。人が読んで確かめるコード検査(インスペクションやウォークスルー)や,ツールで構文や制御の流れ・データの流れを解析する静的解析などがある。アが適切である。
イはスタブとドライバが逆で,単体テストでは被検査モジュールをドライバから呼び出し,被検査モジュールが呼び出す下位モジュールの代わりにスタブを使う。ウのトップダウンテストは上位モジュールから結合するので,全体の制御構造に関わる欠陥は早い段階で見つかりやすい。欠陥が最終段階まで見つかりにくいのはボトムアップテストの特徴である。エは内部構造に基づいてテストケースを設定するホワイトボックステストの説明であり,ブラックボックステストは内部構造を見ずに入力と出力の仕様から設計する。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
エクストリームプログラミング(XP)におけるリファクタリングの説明はどれか。
ア 外部から見た動作を変えずにプログラムをより良く作り直すこと 正解
イ コーチがチームメンバの意識を高めること
ウ プログラミングとテストを繰り返し行うこと
エ プログラムを作成するよりも先にテストケースを考えること
正解 ア
解説
リファクタリングは,エクストリームプログラミング(XP)のプラクティスの一つで,プログラムの外部から見た動作を変えずに,内部の構造を整理して,理解しやすく保守しやすいものに作り直すことである。アが正しい。
イは,チームが XP の進め方に沿って開発できるよう支援するコーチの役割の説明である。ウは,プログラミングとテストを小さな単位で繰り返す進め方の説明で,プログラムの構造を直すことではない。エは,プログラムを作成する前にテストケースを考える,テスト駆動開発(テストファースト)の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
マッシュアップに該当するものはどれか。
ア 既存のプログラムから,そのプログラムの仕様を導き出す。
イ 既存のプログラムを部品化し,それらの部品を組み合わせて,新規プログラムを開発する。
ウ クラスライブラリを利用して,新規プログラムを開発する。
エ 公開されている複数のサービスを利用して,新たなサービスを提供する。 正解
正解 エ
解説
マッシュアップは,Web API などで公開されている複数のサービスを組み合わせて,新しいサービスを作り出す手法である。例えば地図サービスと店舗情報のサービスを組み合わせて,店舗の場所を地図に示すサービスを作る。エが正しい。
アは既存のプログラムを解析して仕様を導き出すリバースエンジニアリング。イは既存のプログラムを部品化して組み合わせるソフトウェア部品の再利用,ウはクラスライブラリを使った開発で,いずれも自組織のプログラム資産を再利用する方法であり,外部に公開されたサービスを組み合わせるマッシュアップとは異なる。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
PMBOK のプロジェクト統合マネジメントにおいて,プロジェクトスコープの拡張や縮小を行うのに必要なものはどれか。
ア 欠陥修正
イ 是正処置
ウ 変更要求 正解
エ 予防処置
正解 ウ
解説
PMBOK ガイドでは,プロジェクトスコープを広げたり狭めたりするには変更要求を出し,統合変更管理のプロセスで影響を評価して承認を得る必要がある。スコープの変更はベースラインそのものを変えるので,変更要求による正式な手続を経る。ウが正しい。
アの欠陥修正は成果物の欠陥を直すこと,イの是正処置は実績を計画に合わせるための処置,エの予防処置は将来の実績を計画から外れないようにする処置で,いずれもスコープの拡張や縮小そのものではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
システム開発のプロジェクトにおいて,EVM を活用したパフォーマンス管理をしている。開発途中のある時点で CV(コスト差異)の値が正,SV(スケジュール差異)の値が負であるとき,プロジェクトはどのような状況か。
ア 開発コストが超過し,さらに進捗も遅れているので,双方について改善するための対策が必要である。
イ 開発コストと進捗がともに良好なので,今のパフォーマンスを維持すればよい。
ウ 開発コストは問題ないが,進捗に遅れが出ているので,遅れを改善するための対策が必要である。 正解
エ 進捗は問題ないが,開発コストが超過しているので,コスト効率を改善するための対策が必要である。
正解 ウ
解説
EVM では,CV(コスト差異)=EV−AC,SV(スケジュール差異)=EV−PV で求める。CV が正なら,出来高の価値に対して実際に掛かったコストが少なく,コストは予算内に収まっている。SV が負なら,出来高が計画に届いておらず,進捗が遅れている。
したがって,開発コストは問題ないが進捗が遅れており,その改善策が必要な状況で,ウが正しい。アは CV も負の場合,イは CV と SV がともに正の場合,エは CV が負で SV が正の場合の状況である。
EVM の3本の線と SV・CV
PV(計画の出来高)・EV(実際の出来高)・AC(実際のコスト)を累積で描く。現時点の EV と PV の縦の差がスケジュール差異 SV=EV−PV で,負なら進捗の遅れを金額で表したもの。EV と AC の差がコスト差異 CV=EV−AC で,負ならコスト超過。EV が PV 以上なら納期に遅れず,EV が AC 以上ならコストは超過しない。
時間
金額(累積)
現時点
PV
EV
AC
SV
CV
SV=EV−PV(進捗) CV=EV−AC(コスト)
EV と PV の差は進捗の遅れ(金額),EV と AC の差はコストの超過
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
スコープを縮小せずにプロジェクト全体のスケジュールを短縮する技法の一つである“クラッシング”では,メンバの時間外勤務を増やしたり,業務内容に精通したメンバを新たに増員したりする。“クラッシング”を行う際に,優先的に資源を投入すべきスケジュールアクティビティはどれか。
ア 業務の難易度が最も高いスケジュールアクティビティ
イ クリティカルパス上のスケジュールアクティビティ 正解
ウ 資源が確保できる時期に開始するスケジュールアクティビティ
エ 所要期間を最も長く必要とするスケジュールアクティビティ
正解 イ
解説
クラッシングは,資源を追加して作業期間を短縮する技法である。プロジェクト全体の所要期間はクリティカルパスの長さで決まるので,クリティカルパス上にない作業を短縮しても全体の期間は縮まらない。資源はクリティカルパス上のスケジュールアクティビティに優先的に投入すべきで,イが正しい。
アの難易度が最も高いアクティビティ,ウの資源を確保できる時期に始まるアクティビティ,エの所要期間が最も長いアクティビティは,いずれもクリティカルパス上にあるとは限らず,短縮しても全体の期間が変わらないことがある。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
ある会社におけるウォータフォールモデルによるシステム開発の標準では,開発工程ごとの工数比率を表1のとおりに配分することになっている。全体工数が 40 人月と見積もられるシステム開発に対し,表2に示す開発要員数を割り当てることになった。このシステム開発に要する期間は何か月になるか。
正解 エ
解説
工程ごとの工数は,全体工数 40 人月に工数比率を掛けて求める。基本設計は 40×10%=4 人月,詳細設計は 40×20%=8 人月,コーディング・単体テストは 40×30%=12 人月,結合テストは 40×30%=12 人月,総合テストは 40×10%=4 人月である。各工程の期間は工数÷開発要員数で,基本設計 4÷2=2 か月,詳細設計 8÷4=2 か月,コーディング・単体テスト 12÷6=2 か月,結合テスト 12÷2=6 か月,総合テスト 4÷2=2 か月となる。ウォータフォールモデルでは工程を順に進めるので,開発に要する期間は 2+2+2+6+2=14 か月で,エが正しい。
アの 2.5 は,要員の合計 16 人で全体工数 40 人月を割った値で,工程ごとの人数の違いを考慮していない。イの 6.7 は,40 人月を最大の要員数 6 人で割った値である。ウの 12 は,結合テストの工数 12 人月を期間と取り違えた値である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
IT サービスマネジメントにおける回避策(ワークアラウンド)の説明として,適切なものはどれか。
ア インシデント対応手順として採られる,サービスへの影響を低減又は除去する方法のこと 正解
イ 検出したイベントを情報,警告又は例外のカテゴリに分類すること
ウ 特定の期間に発生したインシデントや問題に対して,影響を受けた人数,停止時間の長さなどを考慮に入れて事業への影響を分析すること
エ 特定のサービス又は作業負荷をピーク時間外の時間帯に移動させて,作業負荷の平準化を図ること
正解 ア
解説
回避策(ワークアラウンド)は,インシデントや問題について恒久的な解決策がまだ得られていないときに,サービスへの影響を低減し,又は除去するための方法である。インシデントへの対応手順として採られるもので,アが適切である。
イは,イベント管理で,検出したイベントを情報,警告,例外に分類することの説明である。ウは,インシデントや問題が事業に及ぼした影響(影響を受けた人数や停止時間の長さなど)を分析することで,回避策とは別の活動である。エは,サービスや作業負荷をピーク時間外に移動させて平準化を図る,需要の管理の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア フルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量が約2倍になる。
イ フルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量が約半分になる。
ウ フルバックアップ取得の平均実行時間が約2倍になる。
エ ログ情報によって復旧するときの処理時間が平均して約2倍になる。 正解
正解 エ
解説
フルバックアップの間隔を 2 倍にすると,1 回のフルバックアップから次までに蓄積されるログの量が約 2 倍になる。復旧時はバックアップを復元してからログを反映(ロールフォワード)するので,その反映に掛かる平均処理時間が約 2 倍になる。
アとイは誤り。データの追加・変更・削除は少ないのでデータベース自体の大きさはほとんど変わらず,1 回当たりのテープ使用量は変わらない。ウも同じ理由で,フルバックアップの取得時間も変わらない。
フルバックアップの間隔を2倍にすると
データベースの大きさはほとんど変わらないので,1回のフルバックアップの量や時間は変わらない。間隔が2倍になると,次のバックアップまでにたまるログが約2倍になり,障害のあとバックアップを復元してからログを反映する(ロールフォワードする)時間が平均して約2倍になる。
今まで
2倍の間隔
■ フルバックアップ △ たまるログ
障害のときに反映するログが平均で約2倍 → 復旧時間も約2倍
変わるのは「たまるログの量」と「復旧の時間」。バックアップ1回の量は同じ
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
電源の瞬断時に電力を供給したり,停電時にシステムを終了させるのに必要な時間の電力を供給したりすることを目的とした装置はどれか。
ア AVR
イ CVCF
ウ UPS 正解
エ 自家発電装置
正解 ウ
解説
UPS(無停電電源装置)は,電源の瞬断時にもバッテリから電力を供給し,停電時には,システムを正常に終了させるのに必要な時間の電力を供給する装置である。ウが正しい。
アの AVR(自動電圧調整器)は,入力電圧の変動を一定の範囲に調整して出力する装置で,停電時の電力供給はできない。イの CVCF(定電圧定周波数電源装置)は,電圧と周波数を一定に保った電力を出力する装置で,停電時に電力を蓄えておく装置ではない。エの自家発電装置は,長時間の停電に備えて電力を供給し続ける設備だが,起動までに時間がかかるので,瞬断には対応できない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
システム監査人が負う責任はどれか。
ア 監査結果の外部への開示
イ 監査対象システムの管理
ウ 監査報告会で指摘した問題点の改善
エ 監査報告書に記載した監査意見 正解
正解 エ
解説
システム監査人は,監査の結果に基づいて監査報告書に記載した監査意見(結論,指摘事項,改善提案など)について責任を負う。エが正しい。
アの監査結果を外部に開示するかどうかは,監査を依頼した経営者などが判断する。イの監査対象システムの管理と,ウの指摘した問題点の改善は,監査対象部門(被監査部門)の責任であり,監査人がこれらを行うと独立性を損なう。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
スプレッドシートの処理内容の正確性に関わるコントロールを監査する際のチェックポイントはどれか。
ア スプレッドシートの作成者と利用者が同一であること
イ スプレッドシートのバックアップが行われていること
ウ スプレッドシートのプログラムの内容が文書化され検証されていること 正解
エ スプレッドシートを利用する場合の利用権限が定められていること
正解 ウ
解説
スプレッドシートは,セルに入れた数式やマクロなどのプログラムによって処理内容が決まる。処理内容の正確性に関わるコントロールを監査する際には,そのプログラムの内容が文書化され,検証されているかを確かめる。ウが適切である。
アの作成者と利用者が同一であることは,職務の分離の観点ではむしろ問題になりうるもので,処理の正確性を確かめるチェックポイントではない。イのバックアップは,データを失わないための可用性に関するコントロールである。エの利用権限の設定は,機密性や不正な変更を防ぐためのアクセス管理に関するコントロールである。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
営業債権管理業務に関する内部統制のうち,適切なものはどれか。
ア 売掛金回収条件の設定は,営業部門ではなく,審査部門が行っている。 正解
イ 売掛金の消込み入力と承認処理は,販売を担当した営業部門が行っている。
ウ 顧客ごとの与信限度の決定は,審査部門ではなく,営業部門の責任者が行っている。
エ 値引き又は割戻しの処理は,取引先の実態を熟知している営業部門の担当者が行っている。
正解 ア
解説
内部統制では,不正や誤りを防ぐために,業務を担当する部門と,その業務を牽制する部門の職務を分離することが重要である。売掛金の回収条件を,販売を担当する営業部門ではなく審査部門が設定していれば,営業部門が売上を優先して不利な条件で取引することを牽制できる。アが適切である。
イの消込み入力と承認処理,ウの与信限度の決定,エの値引きや割戻しの処理を,いずれも取引を担当する営業部門が自ら行っていると,担当者による不正や誤りを他の部門が発見できず,職務の分離がなされていない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
エンタープライズアーキテクチャにおいて,業務と情報システムの理想を表すモデルはどれか。
ア EA 参照モデル
イ To-Be モデル 正解
ウ ザックマンモデル
エ データモデル
正解 イ
解説
エンタープライズアーキテクチャでは,現状の姿を As-Is モデル,目指すべき理想の姿を To-Be モデルとして描き,その差を埋める道筋を計画する。業務と情報システムの理想を表すのは To-Be モデルなのでイが正しい。
アの EA 参照モデルは,業務や技術の分類体系をあらかじめ整理した参照用のひな型。ウのザックマンモデルは,観点と問い(何を・どのように・どこで など)の組合せで構造を整理するフレームワーク。エのデータモデルは四つの体系のうちデータアーキテクチャで用いる記述である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
全体最適化計画の立案時に検討する外部資源の活用に関する記述のうち,“システム管理基準”に照らして適切なものはどれか。
ア 開発業務に外部資源を活用する場合は,自社のプロジェクトマネジメントの力量に応じて,構築するシステムの規模を制限する。
イ 自社のシステム開発と運用を外部ベンダに継続して委託しているので,新規のシステム構築も同じベンダに一括委託する計画とする。
ウ 自社のシステム部門に十分な人数を擁しており,従来,自社開発を行ってきた場合は,新たな外部資源活用の計画は不要である。
エ システムの開発から運用・保守に至るプロセスにおいて活用できる内部資源の量と質を把握した上で,外部資源の活用を計画する。 正解
正解 エ
解説
全体最適化計画の立案時に外部資源の活用を検討する際には,システムの開発から運用・保守に至るプロセスにおいて,自社で活用できる内部資源の量と質を把握したうえで,外部資源の活用を計画する。エが適切である。
アは,自社のプロジェクトマネジメントの力量だけを理由に,構築するシステムの規模を制限するとしており,内部資源の把握と外部資源活用の計画という手順を踏んでいない。イは,これまで委託してきたことを理由に,新規のシステム構築も同じベンダに一括委託する計画としており,内部資源の状況を検討せずに決めている。ウは,システム部門に十分な人数がいて従来自社開発をしてきたことだけを理由に,新たな外部資源活用の計画を不要と決めつけている。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。
ア 対象をエンティティとその属性及びエンティティ間の関連で捉え,データ中心アプローチの表現によって図に示す。
イ データの流れによってプロセスを表現するために,データの発生,吸収の場所,蓄積場所,データの処理をデータの流れを示す矢印でつないで表現する。
ウ 複数の観点でプロセスを表現するために,目的に応じたモデル図法を使用し,オブジェクトモデリングのために標準化された記述ルールで表現する。 正解
エ プロセスの機能を網羅的に表現するために,一つの要件に対して発生する事象を条件分岐の形式で記述する。
正解 ウ
解説
UML はオブジェクト指向のモデリングのために標準化された記法で,クラス図,アクティビティ図,シーケンス図など目的の異なる複数の図を使い分け,同じ対象を複数の観点から表現する。ウが正しい。
アはエンティティと関連で捉える E-R 図によるデータ中心アプローチ,イはデータの流れで表す DFD(データフロー図),エは条件分岐の形で網羅的に記述するデシジョンツリーや決定表の説明で,いずれも UML の図法ではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
IT 投資効果の評価に用いられる手法のうち,ROI によるものはどれか。
ア 一定期間のキャッシュフローを,時間的変化に割引率を設定して現在価値に換算した上で,キャッシュフローの合計値を求め,その大小で評価する。
イ キャッシュフロー上で初年度の投資によるキャッシュアウトフローが何年後に回収できるかによって評価する。
ウ 金銭価値の時間的変化を考慮して,現在価値に換算されたキャッシュフローの一定期間の合計値がゼロとなるような割引率を求め,その大小で評価する。
エ 投資額を分母に,投資による収益を分子とした比率を算出し,投資に値するかどうかを評価する。 正解
正解 エ
解説
ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた収益を投資額で割った比率で,投資に見合う効果があるかを評価する指標である。エが該当する。
アはキャッシュフローを割引率で現在価値に換算して合計する NPV(正味現在価値)法。イは投資額を何年で回収できるかで評価する PBP(回収期間)法。ウは現在価値の合計がゼロになる割引率を求める IRR(内部収益率)法の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
BABOK の説明はどれか。
ア ソフトウェア品質の基本概念,ソフトウェア品質マネジメント,ソフトウェア品質技術の三つのカテゴリから成る知識体系
イ ソフトウェア要求,ソフトウェア設計,ソフトウェア構築,ソフトウェアテスティング,ソフトウェア保守など10の知識エリアから成る知識体系
ウ ビジネスアナリシスの計画とモニタリング,引き出し,要求アナリシス,基礎コンピテンシなど七つの知識エリアから成る知識体系 正解
エ プロジェクトマネジメントに関するスコープ,タイム,コスト,品質,人的資源,コミュニケーション,リスクなど九つの知識エリアから成る知識体系
正解 ウ
解説
BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)は,IIBA がまとめたビジネスアナリシスの知識体系で,ビジネスアナリシスの計画とモニタリング,引き出し,要求アナリシス,基礎コンピテンシなどの知識エリアから成る(出題当時の第2版は七つの知識エリア)。ウが正しい。
アはソフトウェア品質の知識体系である SQuBOK,イはソフトウェアエンジニアリングの知識体系である SWEBOK,エはプロジェクトマネジメントの知識体系である PMBOK の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
社内の業務システムの要件定義の承認を担う責任者に含まれるのはどれか。
ア 開発要員を派遣している派遣元の責任者
イ システムの運用・保守を担当している部門の責任者 正解
ウ 当システムの RFP 発行先の全てのベンダの責任者
エ プロジェクト管理で使用する進捗管理ツールの提供元の責任者
正解 イ
解説
要件定義は,システムに対する利用者側の要求を明確にして文書にまとめる工程で,その承認は,システムを利用する部門や,運用・保守を担当する部門など,社内でシステムに関わる部門の責任者が担う。システムの運用・保守を担当している部門は,要件の内容(運用性や保守性など)に関わるので,その責任者は承認者に含まれる。イが適切である。
アの開発要員を派遣している派遣元の責任者は,要員を提供する立場で,要件の承認は担わない。ウの RFP の発行先のベンダは,要件を受けて提案する側であり,その責任者は要件定義の承認者に当たらない。エのプロジェクト管理で使う進捗管理ツールの提供元は,システムの要件に関わる当事者ではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
ダイバーシティマネジメントの説明はどれか。
ア 従業員が仕事と生活の調和を図り,やりがいをもって業務に取り組み,組織の活力を向上させることである。
イ 性別や年齢,国籍などの面で従業員の多様性を尊重することによって,組織の活力を向上させることである。 正解
ウ 自ら設定した目標の達成を目指して従業員が主体的に業務に取り組み,その達成度に応じて評価が行われることである。
エ 労使双方が労働条件についての合意を形成し,協調して収益の増大を目指すことである。
正解 イ
解説
ダイバーシティマネジメントは,性別,年齢,国籍,障害の有無,価値観など,従業員の多様性を尊重して積極的に生かすことで,組織の創造性や活力を高めようとする取組みである。イが該当する。
アは仕事と生活の調和を図るワークライフバランス,ウは自ら設定した目標の達成度で評価する目標管理制度(MBO),エは労使が協調して労働条件を合意し収益の増大を目指す労使協調の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
バリューチェーンによる分類はどれか。
ア 競争要因を,新規参入の脅威,サプライヤの交渉力,買い手の交渉力,代替商品の脅威,競合企業の五つのカテゴリに分類する。
イ 業務を,購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスという五つの主活動と,人事・労務管理などの四つの支援活動に分類する。 正解
ウ 事業の成長戦略を,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の2軸を用いて,市場浸透,市場開発,製品開発,多角化の4象限のマトリックスに分類する。
エ 製品を,市場の魅力度と自社の強みの2軸を用いて,花形,金のなる木,問題児,負け犬の4象限のマトリックスに分類する。
正解 イ
解説
バリューチェーン(価値連鎖)は,M.E.ポーターが提唱した考え方で,企業の活動を購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスの五つの主活動と,全般管理,人事・労務管理,技術開発,調達の四つの支援活動に分類し,どの活動で価値が生み出されているかを分析する。イが正しい。
アは業界の競争要因を五つに分けるファイブフォース分析,ウは製品と市場の2軸で成長戦略を分類するアンゾフの成長マトリクス,エは製品や事業を4象限に分類する PPM の考え方(軸を市場の魅力度と自社の強みとするのは GE のビジネススクリーンの軸)である。
バリューチェーン
企業の活動を,製品やサービスが顧客に届くまでの主活動(購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービス)と,それを支える支援活動(全般管理・人事労務管理・技術開発・調達)に分け,どの活動で価値(利益,マージン)が生まれているかを分析する。
全般管理(インフラストラクチャ)
人事・労務管理
技術開発
調達活動
購買物流
製造
出荷物流
販売・マーケ
サービス
マージン
上:支援活動 下:主活動
主活動5つと支援活動4つ。右端のマージンが生み出した価値
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
営業部門で設定する KPI と KGI の適切な組合せはどれか。
ア KPI:既存顧客売上高 KGI:新規顧客売上高
イ KPI:既存顧客訪問件数 KGI:新規顧客訪問件数
ウ KPI:新規顧客売上高 KGI:新規顧客訪問件数
エ KPI:新規顧客訪問件数 KGI:新規顧客売上高 正解
正解 エ
解説
KGI は,目標がどれだけ達成できたかを測る最終的な成果の指標であり,KPI は,その最終目標に至る過程が順調に進んでいるかを測る中間的な指標である。営業部門で新規顧客の開拓を目標にするなら,最終成果である新規顧客売上高が KGI,その成果を生むための日々の活動量である新規顧客訪問件数が KPI になる。エが適切である。
アは既存顧客売上高も新規顧客売上高もどちらも最終成果の指標であり,過程を測る KPI にはならない。イはどちらも訪問件数という活動量の指標で,最終成果を表す KGI がない。ウは成果の指標と過程の指標を取り違えており,組合せが逆である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
バランススコアカードを説明したものはどれか。
ア 外部環境と内部環境の視点から,自社にとっての事業機会を導き出す手法
イ 計画,行動,評価,修正のサイクルで,戦略実行の管理を行うフレームワーク
ウ 財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の視点から,経営戦略の立案と実行を支援する手法 正解
エ ビジネス戦略を実現するために設定した,業務プロセスをモニタリングする指標
正解 ウ
解説
バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長という四つの視点から目標と業績評価指標を設定し,経営戦略の立案と実行を支援する手法である。ウが正しい。
アは,外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)から事業機会を導き出す SWOT 分析の説明である。イは,計画,行動,評価,修正のサイクルを回す PDCA の説明である。エは,ビジネス戦略を実現するために設定した,業務プロセスをモニタリングする指標で,KPI(重要業績評価指標)の説明である。
バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ
下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。
財務
売上高を伸ばす
売上高・利益率
顧客
顧客満足度を上げる
顧客満足度・シェア
内部ビジネスプロセス
出荷を速くする
出荷までの日数
学習と成長
専門人材を育てる
育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
“技術の S カーブ”の説明として,適切なものはどれか。
ア 技術の期待感の推移を表すものであり,黎明期,流行期,反動期,回復期,安定期に分類される。
イ 技術の進歩の過程を表すものであり,当初は緩やかに進歩するが,やがて急激に進歩し,成熟期を迎えると進歩は停滞気味になる。 正解
ウ 工業製品において生産量と生産性の関係を表すものであり,生産量の累積数が増加するほど生産性は向上する傾向にある。
エ 工業製品の故障発生の傾向を表すものであり,初期故障期間では故障率は高くなるが,その後の偶発故障期間での故障率は低くなり,製品寿命に近づく摩耗故障期間では故障率は高くなる。
正解 イ
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,初めは研究開発に努力を注いでも性能の向上は緩やかだが,ある時点から急速に進歩し,成熟期に入ると限界に近づいて進歩が停滞する。進歩を時間に対して描くと S 字形になることからこう呼ばれる。イが適切である。
アは技術に対する期待の変化を表すハイプサイクル,ウは累積生産量が増えるほど単位当たりのコストが下がり生産性が向上する経験曲線(学習曲線),エは故障率の時間的変化を表すバスタブ曲線の説明である。
技術の S カーブ
技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。
研究開発の努力(時間)
性能
導入期
成長期
成熟期
新しい技術
乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
図に示す①~⑧の生産ラインの作業に A,B,C の3人を配置し,A に(①,②,③),B に(④,⑤),C に(⑥,⑦,⑧)を割り当てたとき,生産ラインに資材を投入する時間間隔は幾らか。ここで,作業①~⑧の下段に示す数値は,その作業の所要時間を表す。
正解 ウ
解説
A,B,C に割り当てた作業の合計時間は,A が 5+1+2=8,B が 5+4=9,C が 7+4+2=13 である。生産ラインは,最も時間のかかる担当(ボトルネック)に合わせて資材を投入する必要があるので,投入の時間間隔は最大の 13 である。ウが正しい。
A(8)や B(9)は,C より先に作業を終えて待つことになる。C が作業を終える前に次の資材を投入すると,C の前に仕掛品がたまってしまうので,13 より短いアの 9 やイの 10 は不適切である。エの 23 は,作業①②③④⑤⑦⑧と進む最長の経路の所要時間(5+1+2+5+4+4+2)で,1個の製品が完成するまでの時間であり,投入の間隔ではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
図は,製品 A の構成部品を示し,括弧内の数字は上位部品1個当たりの所要数量である。この製品 A を 10 個生産する場合,部品 C の手配数量は何個になるか。ここで,現在の部品 C の在庫は5個である。
正解 ウ
解説
製品 A を 10 個作るには,部品 B が 2×10=20 個,A に直接使う部品 C が 1×10=10 個必要になる。B 1個に C を1個使うので,B のために C が 20 個必要になる。
部品 C の総所要量は 10+20=30 個で,在庫の 5 個を引くと,手配数量は 25 個になる。ウが正しい。B の中に含まれる C を見落とすと 10-5=5 個,在庫を引かないと 30 個(エ)と誤る。
部品 C の手配数量
製品 A を10個作るには,部品 B が 2×10=20個,A に直接使う部品 C が10個。B 1個に C を1個使うので B のための C が20個。部品 C は合計30個,在庫5個を引いて25個を手配する。
A
10個
B
2×10=20
C
1×10=10
D
E
C
1×20=20
C:10 + 20 = 30,在庫5を引いて 25 個
部品 C は2か所(A の直下と B の中)に出てくる
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
職能部門別組織を説明したものはどれか。
ア 業務遂行に必要な機能と利益責任を,製品別,顧客別又は地域別にもつことによって,自己完結的な経営活動が展開できる組織である。
イ 構成員が,自己の専門とする職能部門と特定の事業を遂行する部門の両方に所属する組織である。
ウ 購買・生産・販売・財務などの仕事の特性によって,部門を編成した組織である。 正解
エ 特定の問題を解決するために各部門から専門家を集めて編成し,期間と目標を定めて活動する一時的かつ柔軟な組織である。
正解 ウ
解説
職能部門別組織(機能別組織)は,購買,生産,販売,財務など,仕事の機能(職能)ごとに部門を編成した組織である。専門性を高めやすく規模の経済を生かせるが,部門間の調整に手間が掛かる。ウが正しい。
アは製品別,顧客別,地域別に利益責任をもつ事業部を置く事業部制組織,イは職能部門と事業部門の両方に所属するマトリックス組織,エは特定の課題のために各部門から専門家を集めて一時的に編成するプロジェクト組織の説明である。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
抜取り検査において,ある不良率のロットがどれだけの確率で合格するかを知ることができるものはどれか。
ア OC 曲線 正解
イ ゴンペルツ曲線
ウ バスタブ曲線
エ ロジスティック曲線
正解 ア
解説
OC 曲線(検査特性曲線)は,横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線である。ある不良率のロットがどれだけの確率で合格するかを読み取ることができる。アが正しい。
イのゴンペルツ曲線とエのロジスティック曲線は,ソフトウェアの信頼度成長などを表す S 字形の曲線である。ウのバスタブ曲線は,製品の故障率が時間とともに変化する様子を表す曲線である。
OC 曲線(検査特性曲線)
横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線。不良率が低い良いロット(p0)でも合格率は1にならず,不合格になる確率 α が生産者危険。不良率が高い悪いロット(p1)でも合格する確率 β が消費者危険。
ロットの不良率
合格率
1
p0
p1
α 生産者危険
良いロットが落ちる
β 消費者危険
悪いロットが通る
良いロットを落とすのが生産者危険 α,悪いロットを通すのが消費者危険 β
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
パレート図が有効に活用できる事例はどれか。
ア 新製品の発表会に際し,会場の準備や関係者への連絡などに落ち度がないような計画を立てる。
イ 建物の設計・施工に際し,幾つかの作業をどのような手順で進めれば最短時間で完成するかを調査する。
ウ 品質改善策の立案に際し,原因別の不良発生件数を分析し,優先取組みテーマを選択する。 正解
エ ライフサイクルが短い商品の販売計画策定に際し,競合他社の出方を想定して,幾つかの代替策を準備する。
正解 ウ
解説
パレート図は,不良の原因などを件数の多い順に棒グラフで並べ,累積比率の折れ線を重ねた図で,どの項目に取り組めば効果が大きいかを判断するのに使う。原因別の不良発生件数を分析して優先して取り組むテーマを選ぶ事例が当たり,ウが適切である。
イは,作業の手順と所要時間から最短で完成する進め方を調べるので,アローダイアグラム(PERT)の事例である。アは計画の抜けを防ぐ計画づくり,エは競合の出方に応じた代替策の準備で,いずれも原因別の件数を集計するパレート図の事例ではない。
パレート図
不良の原因などを件数の多い順に棒で並べ,累積比率を折れ線で重ねる。上位の少数の項目で全体の大部分(例えば80%)を占めることが分かり,どこから対策すれば効果が大きいかを決めるのに使う。
寸法
傷
汚れ
欠け
色
他
80%
100%
累積比率
上位2項目で約7割 → ここから対策する
多い順の棒と累積比率の折れ線。左の数項目に集中して対策する
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
損益計算資料から求められる損益分岐点売上高は,何百万円か。
正解 ウ
解説
変動費は材料費200+外注費100=300百万円,固定費は製造固定費100+販売固定費80=180百万円。
変動費率は 300÷500=0.6 なので,限界利益率は 1−0.6=0.4。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=180÷0.4=450百万円。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
労働基準法において,36 協定の説明はどれか。
ア 業務遂行の手段,時間配分の決定などを大幅に労働者に委ねる業務に適用され,労働時間の算定は,労使協定で定めた労働時間の労働とみなす制度
イ 業務の繁閑に応じた労働時間の配分などを行い,労使協定によって1か月以内の期間を平均して1週の法定労働時間を超えないようにする制度
ウ 時間外労働,休日労働についての労使協定を書面で締結し,行政官庁に届け出ることによって,法定労働時間外の労働が認められる制度 正解
エ 労使協定によって1か月以内の一定期間の総労働時間を定め,1日の固定勤務時間以外では,労働者に始業・終業時刻の決定を委ねる制度
正解 ウ
解説
36 協定は,労働基準法 36 条に基づき,時間外労働や休日労働について労使協定を書面で締結して労働基準監督署長に届け出ることで,法定労働時間を超える労働が認められる制度。届出をしていなければ法定労働時間を超えて働かせることはできない。
アは裁量労働制,イは1か月単位の変形労働時間制,エはフレックスタイム制の説明。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
労働者派遣法に基づいた労働者の派遣において,労働者派遣契約の関係が存在するのはどの当事者の間か。
ア 派遣先事業主と派遣労働者
イ 派遣先責任者と派遣労働者
ウ 派遣元事業主と派遣先事業主 正解
エ 派遣元事業主と派遣労働者
正解 ウ
解説
労働者派遣では,派遣元事業主と派遣先事業主の間で労働者派遣契約を結び,派遣元事業主と派遣労働者の間には雇用関係,派遣先事業主と派遣労働者の間には指揮命令関係がある(労働者派遣法第2条,第26条)。労働者派遣契約の関係が存在するのは派遣元事業主と派遣先事業主の間で,ウが正しい。
エの派遣元事業主と派遣労働者の間にあるのは雇用契約である。アの派遣先事業主と派遣労働者の間には,契約関係はなく指揮命令関係だけがある。イの派遣先責任者は,派遣先で派遣労働者の管理などを行うために選任される者で,契約の当事者ではない。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
ソフトウェアやデータに瑕疵がある場合に,製造物責任法の対象となるものはどれか。
ア ROM 化したソフトウェアを内蔵した組込み機器 正解
イ アプリケーションのソフトウェアパッケージ
ウ 利用者が PC にインストールした OS
エ 利用者によってネットワークからダウンロードされたデータ
正解 ア
解説
製造物責任法(PL 法)の対象になる“製造物”は,製造又は加工された動産である(同法 2 条 1 項)。ソフトウェアを ROM 化して組み込んだ機器は動産に当たり,その欠陥(問題文でいう瑕疵)によって損害が生じたときは製造物責任を問われうる。アが該当する。
ソフトウェア単体(イのパッケージ,ウの OS)や,ネットワークからダウンロードしたデータ(エ)は,それ自体は有体物の動産ではないので,一般に製造物責任法の対象にならないと解されている。
出典:平成26年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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