令和3年度 春期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
任意のオペランドに対するブール演算 A の結果とブール演算 B の結果が互いに否定の関係にあるとき,A は B の(又は,B は A の)相補演算であるという。排他的論理和の相補演算はどれか。
正解 ア
解説
排他的論理和は,二つの入力が異なるときに真になる演算。その否定は「二つの入力が同じときに真」となり,これが等価演算(一致演算,XNOR)である。図でも,等価演算は二つの円の重なり部分(両方が真)と円の外側(両方が偽)が塗られていて,排他的論理和が真になる範囲とちょうど裏返しの関係になっている。アが正しい。
イの否定論理和は二つの円の外側だけなので,両方が真の場合が抜けており,相補にはならない。ウの論理積は重なり部分だけ,エの論理和は二つの円の全体で,いずれも排他的論理和の否定とは一致しない。
排他的論理和と等価演算
排他的論理和は,A と B のどちらか一方だけが真のときに真で,ベン図では2つの円の重なっていない部分。その否定は,両方が真(重なり)か両方が偽(円の外)のときに真になる等価演算(一致)で,塗る部分がちょうど裏返しになる。
A
B
排他的論理和
A
B
等価演算(一致)
排他的論理和の相補演算は等価演算。塗る部分が裏返しになる
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
桁落ちによる誤差の説明として,適切なものはどれか。
ア 値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたとき,有効桁数が減ることによって発生する誤差 正解
イ 指定された有効桁数で演算結果を表すために,切捨て,切上げ,四捨五入などで下位の桁を削除することによって発生する誤差
ウ 絶対値が非常に大きな数値と小さな数値の加算や減算を行ったとき,小さい数値が計算結果に反映されないことによって発生する誤差
エ 無限級数で表される数値の計算処理を有限項で打ち切ったことによって発生する誤差
正解 ア
解説
桁落ちは,値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたときに,上位の桁が打ち消し合って有効数字の桁数が少なくなることで生じる誤差である。例えば有効数字4桁の 1.234 と 1.233 の差は 0.001 となり,有効数字が1桁に減ってしまう。アが適切である。
イは有効桁数に合わせて下位の桁を切り捨てたり丸めたりすることで生じる丸め誤差。ウは絶対値の大きな数と小さな数を加減算したときに小さな数が反映されない情報落ち。エは無限に続く計算を途中で打ち切ることで生じる打切り誤差の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
サンプリング周波数 40 kHz,量子化ビット数 16 ビットで A/D 変換したモノラル音声の1秒間のデータ量は,何 k バイトとなるか。ここで,1k バイトは 1,000 バイトとする。
正解 ウ
解説
サンプリング周波数 40 kHz は,1秒間に 40,000 回標本を取ることを表す。量子化ビット数 16 ビットは1標本が 16 ビット=2バイトなので,モノラル(1チャネル)の1秒間のデータ量は 40,000×2=80,000 バイト=80k バイトになる。ウが正しい。
アの 20 は1標本を 0.5 バイト(4ビット),イの 40 は1標本を 1 バイト(8ビット)としたときの値である。エの 640 は 40×16 で,単位がビット(k ビット)のままバイトに直していない値である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
体温を測定するのに適切なセンサはどれか。
ア サーミスタ 正解
イ 超音波センサ
ウ フォトトランジスタ
エ ポテンショメータ
正解 ア
解説
体温の測定には,温度によって電気抵抗が変化する素子を使う。サーミスタは温度の変化に応じて抵抗値が大きく変わる半導体素子で,体温計や温度制御に使われる温度センサである。アが適切である。
イの超音波センサは,超音波が物体に当たって返るまでの時間から距離を測る。ウのフォトトランジスタは光の強さを電気信号に変える光センサ。エのポテンショメータは,つまみの回転角や位置を抵抗値の変化として取り出す素子で,温度は測れない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
A,B,C の順序で入力されるデータがある。各データについてスタックへの挿入と取出しを1回ずつ行うことができる場合,データの出力順序は何通りあるか。
正解 ウ
解説
スタックは後入れ先出しなので,各データの push と pop を1回ずつ行うときに得られる出力順序は ABC,ACB,BAC,BCA,CBA の5通り。
CAB は作れない。C を最初に出すには A,B,C を全て積む必要があり,その時点で残りは B,A の順にしか取り出せないため。なお,この個数は n=3 のカタラン数に一致する。
スタックで作れる出力順と作れない出力順
A,B,C の順に入力し,それぞれ1回ずつ積んで取り出す。ABC,ACB,BAC,BCA,CBA の5通りは作れる。CAB は作れない。C を最初に出すには A,B,C を全部積む必要があり,そのときスタックの上には B があるので,次に出せるのは B だけ(CBA になる)。
C を最初に出すとき
A
B
C
A,B,C を積む
A
B
→ C
C を出す
A
→ B
次は B しか出せない
作れる:ABC・ACB・BAC・BCA・CBA の5通り
作れない:CAB(C の次に A は出せない)
後から積んだものが先に出る。C を先に出したら,残りは B,A の順に決まる
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
配列 A[1],A[2],…,A[n] で,A[1] を根とし,A[i] の左側の子を A[2i],右側の子を A[2i+1] とみなすことによって,2分木を表現する。このとき,配列を先頭から順に調べていくことは,2分木の探索のどれに当たるか。
ア 行きがけ順(先行順)深さ優先探索
イ 帰りがけ順(後行順)深さ優先探索
ウ 通りがけ順(中間順)深さ優先探索
エ 幅優先探索 正解
正解 エ
解説
A[1] を根とし,A[i] の子を A[2i] と A[2i+1] とする配列表現では,添字は根(1)の次に深さ1の節点(2,3),その次に深さ2の節点(4〜7)というように,上の段から,同じ段は左から右へ並ぶ。配列を先頭から順に調べるとは,この順に節点を訪れることなので,浅い節点から段ごとに調べる幅優先探索に当たる。エが正しい。
ア,イ,ウは,いずれも根から枝を深く下って調べる深さ優先探索で,節点を訪れる順番だけが違う。行きがけ順は親→左→右,通りがけ順は左→親→右,帰りがけ順は左→右→親の順に節点を訪れ,どれも配列の添字の順にはならない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
アルゴリズム設計としての分割統治法に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 与えられた問題を直接解くことが難しいときに,幾つかに分割した一部分に注目し,とりあえず粗い解を出し,それを逐次改良して精度の良い解を得る方法である。
イ 起こり得る全てのデータを組み合わせ,それぞれの解を調べることによって,データの組合せのうち無駄なものを除き,実際に調べる組合せ数を減らす方法である。
ウ 全体を幾つかの小さな問題に分割して,それぞれの小さな問題を独立に処理した結果をつなぎ合わせて,最終的に元の問題を解決する方法である。 正解
エ まずは問題全体のことは考えずに,問題をある尺度に沿って分解し,各時点で最良の解を選択し,これを繰り返すことによって,全体の最適解を得る方法である。
正解 ウ
解説
分割統治法は,解きにくい問題を同じ構造をもつ小さな問題に分割し,それぞれを独立に解いてから結果を組み合わせて元の問題の解を得る手法。マージソートやクイックソートが代表例で,再帰的に適用されることが多い。ウが正しい。
アは粗い解を求めてから繰り返し精度を上げる逐次近似法の説明。イは調べる必要のない組合せを枝刈りして探索範囲を狭める分枝限定法。エは各段階でその時点の最良を選ぶ貪欲法(欲張り法)の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
次の特徴をもつプログラム言語及び実行環境であって,オープンソースソフトウェアとして提供されているものはどれか。
〔特徴〕
統計解析や機械学習の分野に適している。 データ分析,グラフ描画などの,多数のソフトウェアパッケージが提供されている。 変数自体には型がなく,変数に代入されるオブジェクトの型は実行時に決まる。
正解 ウ
解説
R は,統計解析やデータ分析,グラフ描画のために作られたオープンソースのプログラム言語及び実行環境で,多数のパッケージが提供されている。変数に型の宣言がなく,代入されたオブジェクトの型が実行時に決まる動的型付けの言語である。ウが該当する。
アの Go,イの Kotlin,エの Scala はいずれもオープンソースだが,変数の型がコンパイル時に決まる静的型付けの言語で,統計解析向けの言語ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
表に示す命令ミックスによるコンピュータの処理性能は何 MIPS か。
正解 ウ
解説
命令ミックスは,各命令の実行速度とその出現頻度の加重平均で,1命令当たりの平均実行時間を求める。10×0.5+40×0.3+40×0.2=5+12+8=25 ナノ秒。1秒間に実行できる命令数は 1÷(25×10-9 )=4,000万=40 MIPS になる。ウが正しい。
アの 11 は 1,000÷90 の値で,三つの実行速度を単に足した 90 ナノ秒から求めたもの。イの 25 は平均実行時間(ナノ秒)のままで,MIPS に直していない。エの 90 は 10+40+40 の合計で,頻度で重み付けしていない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
ディープラーニングの学習に GPU を用いる利点として,適切なものはどれか。
ア 各プロセッサコアが独立して異なるプログラムを実行し,異なるデータを処理できる。
イ 汎用の行列演算ユニットを用いて,行列演算を高速に実行できる。 正解
ウ 浮動小数点演算ユニットをコプロセッサとして用い,浮動小数点演算ができる。
エ 分岐予測を行い,パイプラインの利用効率を高めた処理を実行できる。
正解 イ
解説
ディープラーニングの学習では,大量のデータに対して,ニューラルネットワークの重みを更新する行列演算(積和演算)を膨大な回数繰り返す。GPU は,数百から数千の演算コアで同じ種類の演算を一斉に並列実行するのが得意なので,この行列演算を高速に実行でき,学習時間を短縮できる。イが適切である。
アは,コアごとに別のプログラムとデータを処理する MIMD 型のマルチコア CPU の特徴で,GPU の利点ではない。ウは,浮動小数点演算ユニットをコプロセッサとして用いる構成の説明で,GPU が学習に向く理由を述べていない。エの分岐予測とパイプラインの効率化は,CPU が命令を高速に実行するための仕組みである。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
グリッドコンピューティングの説明はどれか。
ア OS を実行するプロセッサ,アプリケーションソフトウェアを実行するプロセッサというように,それぞれの役割が決定されている複数のプロセッサによって処理を分散する方式である。
イ PC から大型コンピュータまで,ネットワーク上にある複数のプロセッサに処理を分散して,大規模な一つの処理を行う方式である。 正解
ウ カーネルプロセスとユーザプロセスを区別せずに,同等な複数のプロセッサに処理を分散する方式である。
エ プロセッサ上でスレッド(プログラムの実行単位)レベルの並列化を実現し,プロセッサの利用効率を高める方式である。
正解 イ
解説
グリッドコンピューティングは,ネットワークでつながった PC やサーバ,大型コンピュータなど多数のコンピュータの処理能力を束ね,一つの大規模な処理を分担して実行させる方式である。遊休状態のコンピュータの能力も活用できる。イが該当する。
アは役割の決まった複数のプロセッサで処理を分担する非対称型マルチプロセッサ(AMP),ウは同等な役割のプロセッサに処理を分散する対称型マルチプロセッサ(SMP)の説明である。エは,一つのプロセッサで複数のスレッドを並行して実行するマルチスレッディング(同時マルチスレッディングなど)の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
キャッシュメモリへの書込み動作には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。それぞれの特徴のうち,適切なものはどれか。
ア ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリにだけ書き込むので,高速に書込みができる。
イ ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,主記憶の内容は常に最新である。 正解
ウ ライトバック方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,速度が遅い。
エ ライトバック方式では,読出し時にキャッシュミスが発生してキャッシュメモリの内容が追い出されるときに,主記憶に書き戻す必要が生じることはない。
正解 イ
解説
ライトスルー方式は,書込みのたびにキャッシュメモリと主記憶の両方へ書くので,主記憶の内容が常に最新に保たれる。イが正しい。キャッシュだけを見て主記憶が古いという状態にならないため,複数のプロセッサや DMA から主記憶を参照する構成でも整合性を取りやすい。
アはライトバック方式の特徴で,キャッシュだけに書くから速い。ウはライトスルー方式の説明を「ライトバック方式」として書いているので誤り。エはライトバック方式では主記憶が古いままなので,追い出されるときに書き戻しが必要になる。
ライトスルーとライトバック
ライトスルー方式は,CPU が書き込むたびにキャッシュメモリと主記憶の両方に書くので,主記憶の内容は常に最新だが,書込みは主記憶の速さに引きずられる。ライトバック方式は,キャッシュメモリにだけ書いて済ませ,そのブロックがキャッシュから追い出されるときにまとめて主記憶に書き戻す。書込みは速いが,追い出されるまで主記憶は古いまま。
ライトスルー
CPU
キャッシュ
主記憶
書く
同時に書く
主記憶は常に最新,書込みは遅い
ライトバック
CPU
キャッシュ
主記憶
書く
追い出すときに
まとめて書き戻す
速いが,主記憶は古いことがある
ライトスルーは主記憶が常に最新,ライトバックは追い出すときに書き戻す
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
システムの信頼性設計に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア フェールセーフとは,利用者の誤操作によってシステムが異常終了してしまうことのないように,単純なミスを発生させないようにする設計方法である。
イ フェールソフトとは,故障が発生した場合でも機能を縮退させることなく稼働を継続する概念である。
ウ フォールトアボイダンスとは,システム構成要素の個々の品質を高めて故障が発生しないようにする概念である。 正解
エ フォールトトレランスとは,故障が生じてもシステムに重大な影響が出ないように,あらかじめ定められた安全状態にシステムを固定し,全体として安全が維持されるような設計方法である。
正解 ウ
解説
フォールトアボイダンス(故障回避)は,構成要素の品質や信頼性そのものを高めることで,故障の発生を未然に防ごうとする考え方。
アはフールプルーフ(利用者の誤操作を防ぐ)の説明。イは誤りで,フェールソフトは機能を縮退させてでも稼働を継続する考え方。エはフェールセーフ(故障時に安全側に倒す)の説明で,フォールトトレランスは故障が起きても冗長性によって機能を維持する考え方。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
稼働率が x である装置を四つ組み合わせて,図のようなシステムを作ったときの稼働率を f(x) とする。区間 0≦x≦1 における y=f(x) の傾向を表すグラフはどれか。ここで,破線は y=x のグラフである。
正解 エ
解説
直列につないだ2台は両方が動いていないと機能しないので,その組の稼働率は x2 。これを2系統並列にしているので,両方の系統が止まる確率 (1−x2 )2 を1から引いて f(x)=1−(1−x2 )2 =2x2 −x4 となる。x=0.5 では f=0.4375 で y=x より下,x=0.9 では f=0.9639 で上になる。f(x)=x となるのは x=(√5−1)/2≒0.618 と x=1 なので,はじめは y=x の下を通り,途中で交差して上に出て(1,1)に達する。エがこの形になっている。
アは全区間で y=x より上,イは全区間で下にあり,途中で交差しない。ウは上下が逆で,x が小さいところで y=x より上になっている。稼働率の低い装置では直列部分が足を引っ張るので,原点付近でシステムの稼働率が装置単体より高くなることはない。
2台直列の組を2つ並列にしたときの稼働率 f(x)
2台直列の組の稼働率は x²。それを2つ並列にして f(x)=1−(1−x²)²=2x²−x⁴。x が小さいうちは直列が足を引っ張って y=x より下,x≒0.618 で交わり,それより大きいと y=x より上になって (1,1) に達する。x=0.5 で 0.4375,x=0.9 で 0.9639。
x
x
x
x
f(x)=2x²−x⁴
x≒0.618 で交わる
y=x
x
下
上
1
稼働率の低い装置では直列が足を引っ張り,高い装置では並列が効く
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
密結合マルチプロセッサの性能が,1台当たりのプロセッサの性能とプロセッサ数の積に等しくならない要因として,最も適切なものはどれか。
ア 主記憶へのアクセスの競合 正解
イ 通信回線を介したプロセッサ間通信
ウ プロセッサのディスパッチ処理
エ 割込み処理
正解 ア
解説
密結合マルチプロセッサは,複数のプロセッサが一つの主記憶を共有して処理する方式である。プロセッサを増やしても,共有する主記憶へのアクセスが競合して待ちが生じるため,性能はプロセッサ数に比例して伸びない。アが最も適切である。
イの通信回線を介したプロセッサ間通信は,主記憶を共有せずにプロセッサ間で通信する疎結合マルチプロセッサで性能が伸びない要因である。ウのディスパッチ処理やエの割込み処理は,プロセッサが1台でも発生する処理で,台数を増やしたときに性能が比例しない主な要因ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
ジョブの多重度が1で,到着順にジョブが実行されるシステムにおいて,表に示す状態のジョブ A~C を処理するとき,ジョブ C が到着してから実行が終了するまでのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しない。
正解 ア
解説
多重度 1 で到着順に実行するので,ジョブ A が時刻 0 から 5 まで実行され,その間に到着したジョブ B が 5 から 11 まで,ジョブ C が 11 から 14 まで実行される。ジョブ C は時刻 3 に到着して時刻 14 に終了するので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒であり,アになる。
エの 14 は到着時刻を差し引かずに終了時刻をそのまま答えた値である。イの 12 やウの 13 は,実行の順序や待ち時間を取り違えた値である。
到着順に実行するジョブのターンアラウンドタイム
多重度1で到着順に実行するので,ジョブ A が 0〜5 秒,その間に到着した B が 5〜11 秒,C が 11〜14 秒に実行される。C は 3 秒に到着して 14 秒に終わるので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒。
CPU
A
B
C
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
A着
B着
C着
C のターンアラウンドタイム 14−3=11 秒
秒
ターンアラウンドタイムは「到着してから終わるまで」。待っている時間も含む
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
リアルタイム OS において,実行中のタスクがプリエンプションによって遷移する状態はどれか。
ア 休止状態
イ 実行可能状態 正解
ウ 終了状態
エ 待ち状態
正解 イ
解説
プリエンプションは,実行中のタスクより優先度の高いタスクが実行可能になったときなどに,OS が実行権を取り上げて切り替えること。取り上げられたタスク自体は実行を続けられる状態のままなので,実行状態から実行可能状態に戻る。イが正しい。
アの休止状態はタスクがまだ起動されていないか終了した後の状態。ウの終了状態はタスクが処理を終えたときに移る状態。エの待ち状態は,入出力の完了やイベントの発生をタスク自身が待つときに移る状態で,横取りによる遷移先ではない。
タスクの3つの状態
実行可能状態のタスクは,CPU を割り当てられる(ディスパッチ)と実行状態になる。実行状態のタスクは,入出力の完了などを自分で待つと待ち状態に,優先度の高いタスクに CPU を取り上げられる(プリエンプション)と実行可能状態に移る。待ち状態のタスクは,待っていた事象が起きると実行可能状態に移り,直接は実行状態に移らない。
実行
CPU を使っている
実行可能
CPU の割当て待ち
待ち
入出力の完了待ち
ディスパッチ
プリエンプション
入出力など
を待つ
待っていた事象が起きた
待ち → 実行 へ直接は移らない(一度,実行可能に並ぶ)
プリエンプションで移るのは実行可能状態。待ち状態から実行状態へは直接移らない
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
プログラム実行時の主記憶管理に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 主記憶の空き領域を結合して一つの連続した領域にすることを,可変区画方式という。
イ プログラムが使用しなくなったヒープ領域を回収して再度使用可能にすることを,ガーベジコレクションという。 正解
ウ プログラムの実行中に主記憶内でモジュールの格納位置を移動させることを,動的リンキングという。
エ プログラムの実行中に必要になった時点でモジュールをロードすることを,動的再配置という。
正解 イ
解説
ガーベジコレクションは,プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,どこからも参照されなくなった領域を自動的に見つけて回収し,再び割当てに使えるようにする仕組み。イが正しい。
アの空き領域を結合して連続領域にすることはコンパクション(ガーベジコレクションの一部として行われることもある)。ウの実行中にモジュールの格納位置を移動させることは動的再配置。エの必要になった時点でモジュールをロードすることは動的リンキング(動的ロード)で,ウとエは用語が入れ替わっている。
ガーベジコレクション:どこからも参照されない領域を回収する
プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,変数(ルート)からたどれる領域はまだ使われている。どこからもたどれなくなった領域は二度と使われないので,ガーベジコレクションが自動的に見つけて回収し,再び割り当てに使えるようにする。空き領域を寄せて連続にするのはコンパクション,細切れになる現象はフラグメンテーション。
変数
(ルート)
ヒープ
A
B
C
D
E
どこからも参照されない
塗り(D・E):ルートからたどれない → 回収して再利用
D から E を指していても,D に誰も届かなければ E も回収
ルートからたどれない領域を見つけて回収する
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
ページング方式の仮想記憶において,ページアクセス時に発生する事象をその回数の多い順に並べたものはどれか。ここで,A≧B は,A の回数が B の回数以上,A=B は,A と B の回数が常に同じであることを表す。
ア ページアウト ≧ ページイン ≧ ページフォールト
イ ページアウト ≧ ページフォールト ≧ ページイン
ウ ページフォールト = ページアウト ≧ ページイン
エ ページフォールト = ページイン ≧ ページアウト 正解
正解 エ
解説
ページフォールトは,アクセスしたページが主記憶にないときに発生する。この処理では必ずそのページを主記憶へ読み込むので,ページフォールトの回数とページインの回数は常に等しい。一方ページアウトは,読み込む先の空きがなく既存のページを追い出すときにだけ起こるので,ページインの回数以下になる。エが正しい。
アとイはページアウトを最も多いものとしているが,追い出しはページインに伴ってしか起こらないのでページインを超えない。ウはページフォールトとページアウトが常に等しいとしているが,主記憶に空きがあれば追い出しは起こらないので誤り。
ページフォールト・ページイン・ページアウトの回数(例)
主記憶に3ページ分の枠があり,ページ1〜5を順に読む例。最初の3回は空きがあるので,ページフォールトのたびにページインだけが起きる。4回目からは空きがないので,1ページ追い出す(ページアウト)してから読み込む。ページフォールトのたびに必ずページインが起きるので両者は等しく,ページアウトは空きがないときだけなので,ページインの回数以下になる。
読むページ
1
2
3
4
5
フォールト
○
○
○
○
○
ページイン
○
○
○
○
○
ページアウト
○
○
主記憶の枠は 3 つ(4 ページ目から空きがない)
フォールト 5 回 = ページイン 5 回
≧ ページアウト 2 回(空きがないときだけ)
ページフォールト = ページイン ≧ ページアウト
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
Hadoop の説明はどれか。
ア Java EE 仕様に準拠したアプリケーションサーバ
イ Linux や Windows などの様々なプラットフォーム上で動作する Web サーバ
ウ 機能の豊富さが特徴の RDBMS
エ 大規模なデータセットを分散処理するためのソフトウェアライブラリ 正解
正解 エ
解説
Hadoop は,Apache Software Foundation が開発しているオープンソースの分散処理基盤で,大規模なデータセットを複数のコンピュータに分散して蓄積(HDFS)・処理(MapReduce)するためのソフトウェアライブラリである。エが正しい。
アは Java EE 仕様に準拠したアプリケーションサーバで,WildFly や GlassFish などが当たる。イは Apache HTTP Server や nginx などの Web サーバ。ウは機能が豊富な RDBMS の説明で,Hadoop は RDBMS ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
RFID の活用事例として,適切なものはどれか。
ア 紙に印刷されたディジタルコードをリーダで読み取ることによる情報の入力
イ 携帯電話とヘッドフォンとの間の音声データ通信
ウ 赤外線を利用した近距離データ通信
エ 微小な無線チップによる人又は物の識別及び管理 正解
正解 エ
解説
RFID は,微小な IC チップとアンテナを組み合わせたタグに識別情報を記録し,電波で非接触に読み書きする技術。商品や部品,入退室者の識別と管理に使われ,箱の中のタグをまとめて読み取れる点がバーコードとの違いになる。エが正しい。
アはバーコードや二次元コードによる入力,イは Bluetooth による無線通信,ウは IrDA などの赤外線通信の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
SoC の説明として,適切なものはどれか。
ア システム LSI に内蔵されたソフトウェア
イ 複数の MCU を搭載したボード
ウ 複数のチップで構成していたコンピュータシステムを,一つのチップで実現した LSI 正解
エ 複数のチップを単一のパッケージに封入してシステム化したデバイス
正解 ウ
解説
SoC(System on a Chip)は,複数のチップで構成していたコンピュータシステム(CPU,メモリ,周辺回路など)を,一つのチップに集積した LSI である。ウが適切である。
アはファームウェア,イは MCU を複数載せた基板で,いずれも SoC の説明ではない。エは複数のチップを一つのパッケージに封入する SiP(System in Package)の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
図は DC モータの正転逆転制御の動作原理を示す回路である。A1 から A4 の四つの制御信号の組合せの中で,モータが逆転するものはどれか。ここで,モータの+端子から-端子に電流が流れるときモータは正転し,S1 から S4 のそれぞれのスイッチ素子は,対応する A1 から A4 の制御信号がそれぞれ High のとき導通するものとする。
ア A1=Low,A2=Low,A3=Low,A4=Low
イ A1=Low,A2=High,A3=Low,A4=High
ウ A1=Low,A2=High,A3=High,A4=Low 正解
エ A1=High,A2=Low,A3=Low,A4=High
正解 ウ
解説
制御信号が High のスイッチ素子が導通する。逆転は,モータの-端子から+端子へ電流が流れる場合である。S3 と S2 が導通すると,電源 +V から S3 を通ってモータの-端子に入り,モータを通って+端子から出て,S2 を通って接地へ流れる。A2 と A3 が High,A1 と A4 が Low の組合せで,ウが正しい。
アは全てのスイッチが切れていて電流が流れない。イは S2 と S4 が導通し,モータの両端が接地につながるだけで電流は流れない。エは S1 と S4 が導通し,+端子から-端子へ電流が流れるので,正転である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
コンデンサの機能として,適切なものはどれか。
ア 交流電流は通すが直流電流は通さない。 正解
イ 交流電流を直流電流に変換する。
ウ 直流電流は通すが交流電流は通さない。
エ 直流電流を交流電流に変換する。
正解 ア
解説
コンデンサは電荷を蓄える素子で,直流電流が流れ続けることはなく,電圧が変化する交流電流は通す。アが適切である。
イは交流を直流に変換する整流回路(ダイオードなどで構成)の機能。ウは直流は通すが交流は通しにくいコイル(インダクタ)の性質。エは直流を交流に変換するインバータの機能である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S を一旦 0 にした後,再び 1 に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。
ア X=0,Y=0
イ X=0,Y=1
ウ X=1,Y=0 正解
エ X=1,Y=1
正解 ウ
解説
X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。
S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。
ラッチ回路の値の移り変わり
X=¬(S・Y),Y=¬(R・X) の回路。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で安定している。S を0にすると X=¬(0・Y)=1 になり,続いて Y=¬(1・1)=0 になる。S を1に戻しても Y=0 なので X=¬(1・0)=1 のままで,X=1,Y=0 が保たれる。
S
R
X
Y
S
R
X
Y
1
1
0
1
0
1
1
0
1
1
1
0
初め:
S を0に:
S を1に戻す:
X=¬(1・1)=0,Y=¬(1・0)=1 で安定
X=¬(0・1)=1 → Y=¬(1・1)=0
X=¬(1・0)=1 のまま(保持)
S を一度0にすると状態が入れ替わり,1に戻してもそのまま保たれる
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
利用者が現在閲覧している Web ページに表示する,Web サイトのトップページからそのページまでの経路情報を何と呼ぶか。
ア サイトマップ
イ スクロールバー
ウ ナビゲーションバー
エ パンくずリスト 正解
正解 エ
解説
パンくずリストは,閲覧中のページが Web サイトの階層のどこにあるかを,トップページから現在のページまでの経路として「ホーム > 製品 > …」のように示すナビゲーションである。エが正しい。
アのサイトマップは,Web サイト全体の構成を一覧にしたページ。イのスクロールバーは,画面に収まらない内容を移動して見るための部品。ウのナビゲーションバーは,主要なページへのリンクを並べたメニューで,現在位置までの経路を示すものではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
W3C で仕様が定義され,矩形や円,直線,文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述し,Web ページでの図形描画にも使うことができる画像フォーマットはどれか。
ア OpenGL
イ PNG
ウ SVG 正解
エ TIFF
正解 ウ
解説
SVG(Scalable Vector Graphics)は W3C が仕様を定めたベクター画像フォーマットで,矩形・円・直線・文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述する。拡大しても劣化せず,HTML に直接埋め込んで Web ページの図形描画に使える。
アの OpenGL は3次元グラフィックスの API であって画像フォーマットではない。イの PNG とエの TIFF はいずれもラスタ(ビットマップ)形式の画像フォーマット。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
NoSQL の一種である,グラフ指向 DB の特徴として,適切なものはどれか。
ア データ項目の値として階層構造のデータをドキュメントとしてもつことができる。また,ドキュメントに対しインデックスを作成することもできる。
イ ノード,リレーション,プロパティで構成され,ノード間をリレーションでつないで構造化する。ノード及びリレーションはプロパティをもつことができる。 正解
ウ 一つのキーに対して一つの値をとる形をしている。値の型は定義されていないので,様々な型の値を格納することができる。
エ 一つのキーに対して複数の列をとる形をしている。関係データベースとは異なり,列の型は固定されていない。
正解 イ
解説
グラフ指向 DB は,データをノード(点)とノード間を結ぶリレーション(関係)で表し,ノードとリレーションがそれぞれプロパティ(属性)をもつ NoSQL である。人のつながりや経路など,関係をたどる処理に向いている。イが適切である。
アは,階層構造のデータをドキュメントとして格納し,インデックスも作れるドキュメント指向 DB。ウは,一つのキーに対して一つの値を対応させるキーバリュー型。エは,一つのキーに対して複数の列をもつ列指向(ワイドカラム)型の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
商品の注文を記録するクラス(顧客,商品,注文,注文明細)の構造を概念データモデルで表現する。a~d に入れるべきクラス名の組合せはどれか。ここで,顧客は何度も注文を行い,一度に一つ以上の商品を注文でき,注文明細はそれぞれ1種類の商品に対応している。また,モデルの表記には UML を用いる。
ア a:顧客,b:注文,c:注文明細,d:商品 正解
イ a:商品,b:注文,c:注文明細,d:顧客
ウ a:注文,b:注文明細,c:顧客,d:商品
エ a:注文明細,b:商品,c:注文,d:顧客
正解 ア
解説
図の多重度は,a が1で b が複数,b が1で c が複数,c が複数で d が1である。顧客は何度も注文を行うので 顧客(1)―注文(*),注文は一度に一つ以上の商品を注文でき,注文明細は注文の中の1種類の商品に対応するので 注文(1)―注文明細(*),一つの商品は多くの注文明細に現れるので 注文明細(*)―商品(1) となる。a が顧客,b が注文,c が注文明細,d が商品で,アが正しい。
イは,a が商品で b が注文なので,一つの商品に複数の注文が対応する関係になり,注文明細が顧客に直接結び付く。ウは,注文明細(b)に複数の顧客(c)が対応する関係になってしまう。エは,注文明細(a)に複数の商品(b)が対応する関係で,注文明細が1種類の商品に対応するという条件と合わない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
コストベースのオプティマイザが SQL の実行計画を作成する際に必要なものはどれか。
ア ディメンジョンテーブル
イ 統計情報 正解
ウ 待ちグラフ
エ ログファイル
正解 イ
解説
コストベースのオプティマイザは,複数ある実行計画の候補ごとにコスト(処理時間や入出力量)を見積もり,最も小さいものを選ぶ。見積もりには,表の行数,列の値の分布,索引の有無などの統計情報が必要である。イが正しい。
アのディメンジョンテーブルは,データウェアハウスの分析軸を表すテーブル。ウの待ちグラフは,ロックの待ち関係を表してデッドロックの検出に使う。エのログファイルは,障害からの回復に使う更新履歴で,実行計画の作成には使わない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
データレイクの特徴はどれか。
ア 大量のデータを分析し,単なる検索だけでは分からない隠れた規則や相関関係を見つけ出す。
イ データウェアハウスに格納されたデータから特定の用途に必要なデータだけを取り出し,構築する。
ウ データウェアハウスやデータマートからデータを取り出し,多次元分析を行う。
エ 必要に応じて加工するために,データを発生したままの形で格納する。 正解
正解 エ
解説
データレイクは,構造化・非構造化を問わず,発生したままの生データをそのままの形で大量に蓄積しておく仕組み。使い道が決まる前に貯めておき,分析するときに必要な形へ加工する点が特徴で,あらかじめ整形して格納するデータウェアハウスと対比される。エが正しい。
アはデータマイニング,イはデータマート,ウは OLAP(多次元分析)の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
IoT で用いられる無線通信技術であり,近距離の IT 機器同士が通信する無線 PAN(Personal Area Network)と呼ばれるネットワークに利用されるものはどれか。
ア BLE(Bluetooth Low Energy) 正解
イ LTE(Long Term Evolution)
ウ PLC(Power Line Communication)
エ PPP(Point-to-Point Protocol)
正解 ア
解説
無線 PAN は,数メートル程度の近距離で IT 機器同士が通信する無線ネットワークで,BLE(Bluetooth Low Energy)はその代表的な規格である。Bluetooth のうち消費電力を抑えた方式で,IoT 機器の接続に使われる。アが正しい。
イの LTE は携帯電話網で使う広域の移動通信規格。ウの PLC は電力線を通信回線に使う有線の通信技術。エの PPP は,2点間を接続するデータリンク層のプロトコルで,無線 PAN の技術ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
日本国内において,無線 LAN の規格 IEEE 802.11ac に関する説明のうち,適切なものはどれか。
ア IEEE 802.11g に対応している端末は IEEE 802.11ac に対応しているアクセスポイントと通信が可能である。
イ 最大通信速度は 600M ビット/秒である。
ウ 使用するアクセス制御方式は CSMA/CD 方式である。
エ 使用する周波数帯は 5 GHz 帯である。 正解
正解 エ
解説
IEEE 802.11ac は 5 GHz 帯だけを使う無線 LAN の規格である。エが適切である。
アの IEEE 802.11g は 2.4 GHz 帯の規格なので,5 GHz 帯だけを使う 802.11ac のアクセスポイントとは通信できない。イの最大通信速度 600M ビット/秒は IEEE 802.11n の値で,802.11ac は 1G ビット/秒を超える。ウの CSMA/CD はイーサネット(有線 LAN)のアクセス制御方式で,無線 LAN は CSMA/CA を使う。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
IPv4 ネットワークで使用される IP アドレス a とサブネットマスク m からホストアドレスを求める式はどれか。ここで,“〜”はビット反転の演算子,“|”はビットごとの論理和の演算子,“&”はビットごとの論理積の演算子を表し,ビット反転の演算子の優先順位は論理和,論理積の演算子よりも高いものとする。
ア 〜a & m
イ 〜a | m
ウ a & 〜m 正解
エ a | 〜m
正解 ウ
解説
サブネットマスク m はネットワーク部のビットが1,ホスト部のビットが0になっている。ホストアドレスはアドレス a のうちホスト部だけを残したものなので,m を反転してホスト部を1にした 〜m と a のビットごとの論理積をとればよい。ウの a & 〜m が正しい。
アの 〜a & m はアドレスを反転してからネットワーク部を取り出すもので意味をなさない。イとエは論理和なので,不要なビットを消すのではなく立てる操作になる。特にエの a | 〜m はホスト部が全て1になり,ブロードキャストアドレスを求める式である。
IP アドレスとサブネットマスクのビット演算
212.62.31.90/27(マスク 255.255.255.224)の第4オクテットで考える。90 は 01011010,マスクは 11100000,マスクを反転すると 00011111。a&m(論理積)はネットワーク部だけが残り 64,a&〜m はホスト部だけが残り 26(ホストアドレス),a|〜m はホスト部が全部1になり 95(ブロードキャストアドレス)。
a(90)
0
1
0
1
1
0
1
0
m(224)
1
1
1
0
0
0
0
0
〜m(31)
0
0
0
1
1
1
1
1
ネットワーク部
ホスト部
a & m
0
1
0
0
0
0
0
0
64 ネットワークアドレス
a & 〜m
0
0
0
1
1
0
1
0
26 ホストアドレス
a | 〜m
0
1
0
1
1
1
1
1
95 ブロードキャスト
& m でネットワーク部,& 〜m でホスト部,| 〜m でブロードキャスト
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
ONF(Open Networking Foundation)が標準化を進めている OpenFlow プロトコルを用いた SDN(Software-Defined Networking)の説明として,適切なものはどれか。
ア 管理ステーションから定期的にネットワーク機器の MIB(Management Information Base)情報を取得して,稼働監視や性能管理を行うためのネットワーク管理手法
イ データ転送機能をもつネットワーク機器同士が経路情報を交換して,ネットワーク全体のデータ転送経路を決定する方式
ウ ネットワーク制御機能とデータ転送機能を実装したソフトウェアを,仮想環境で利用するための技術
エ ネットワーク制御機能とデータ転送機能を論理的に分離し,コントローラと呼ばれるソフトウェアで,データ転送機能をもつネットワーク機器の集中制御を可能とするアーキテクチャ 正解
正解 エ
解説
SDN は,パケットを転送する機能(データプレーン)と,どう転送するかを決める機能(コントロールプレーン)を論理的に分離し,後者をコントローラに集約してネットワーク全体をソフトウェアから集中制御できるようにするアーキテクチャ。OpenFlow は,そのコントローラとスイッチの間でフローテーブルをやり取りするプロトコルである。エが正しい。
アは SNMP を使ったネットワーク管理手法。イはルーティングプロトコルによる自律分散型の経路制御で,SDN の集中制御とは逆の考え方。ウはネットワーク機能を仮想環境で動かす NFV の説明である。
SDN:制御と転送を分ける
SDN では,経路を決める制御(コントロールプレーン)をコントローラに集め,各スイッチはコントローラから OpenFlow などで受け取った規則(フローテーブル)に従ってパケットを転送するだけ(データプレーン)になる。ネットワーク全体をソフトウェアで一元的に設定・変更できる。
SDN コントローラ
コントロールプレーン
スイッチ
スイッチ
スイッチ
OpenFlow
データプレーン:規則に従って転送するだけ
頭脳(コントローラ)と手足(スイッチ)を分ける
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
2.4 GHz 帯の無線 LAN のアクセスポイントを,広いオフィスや店舗などをカバーできるように分散して複数設置したい。2.4 GHz 帯の無線 LAN の特性を考慮した運用をするために,各アクセスポイントが使用する周波数チャネル番号の割当て方として,適切なものはどれか。
ア PC を移動しても,PC の設定を変えずに近くのアクセスポイントに接続できるように,全てのアクセスポイントが使用する周波数チャネル番号は同じ番号に揃えておくのがよい。
イ アクセスポイント相互の電波の干渉を避けるために,隣り合うアクセスポイントには,例えば周波数チャネル番号 1 と 6,6 と 11 のように離れた番号を割り当てるのがよい。 正解
ウ 異なる SSID の通信が相互に影響することはないので,アクセスポイントごとに SSID を変えて,かつ,周波数チャネル番号の割当ては機器の出荷時設定のままがよい。
エ 障害時に周波数チャネル番号から対象のアクセスポイントを特定するために,設置エリアの端から 1,2,3 と順番に使用する周波数チャネル番号を割り当てるのがよい。
正解 イ
解説
2.4 GHz 帯の無線 LAN(IEEE 802.11b/g)は,隣り合うチャネルの周波数が重なるので,近くのアクセスポイントに近いチャネルを割り当てると電波が干渉して通信が遅くなる。重ならないチャネルは 1,6,11 のように 5 チャネル離れたもので,隣り合うアクセスポイントにはこれらを順に割り当てる。イが適切である。
アは,全てのアクセスポイントが同じチャネルだと互いに干渉し合うので不適切。PC の設定を変えずに近くのアクセスポイントに接続できるようにするには,SSID を同じにする。ウは,SSID が違っても同じ周波数帯でチャネルが重なれば干渉するので誤り。エは,1,2,3 と隣り合うチャネルを並べると周波数が重なって干渉する。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
Web サイトにおいて,クリックジャッキング攻撃の対策に該当するものはどれか。
ア HTTP レスポンスヘッダに X-Content-Type-Options を設定する。
イ HTTP レスポンスヘッダに X-Frame-Options を設定する。 正解
ウ 入力に HTML タグが含まれていたら,HTML タグとして解釈されないほかの文字列に置き換える。
エ 入力文字数が制限を超えているときは受け付けない。
正解 イ
解説
クリックジャッキングは,攻撃者が用意したページに対象サイトのページを透明な iframe で重ねて表示し,利用者に気付かれないままクリックさせる攻撃である。HTTP レスポンスヘッダに X-Frame-Options を設定すると,ほかのサイトのフレーム内に表示されるのを禁止でき,対策になる。イが該当する。
アの X-Content-Type-Options は,ブラウザが内容から MIME タイプを推測して解釈するのを防ぐヘッダ。ウの HTML タグの置換(エスケープ)は,クロスサイトスクリプティングの対策。エの入力文字数の制限は,バッファオーバフローなどへの対策で,クリックジャッキングは防げない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
攻撃者が行うフットプリンティングに該当するものはどれか。
ア Web サイトのページを改ざんすることによって,その Web サイトから社会的・政治的な主張を発信する。
イ 攻撃前に,攻撃対象となる PC,サーバ及びネットワークについての情報を得る。 正解
ウ 攻撃前に,攻撃に使用する PC のメモリを増設することによって,効率的に攻撃できるようにする。
エ システムログに偽の痕跡を加えることによって,攻撃後に追跡を逃れる。
正解 イ
解説
フットプリンティングは,攻撃の準備段階で,対象の PC,サーバ,ネットワークの構成や公開されている情報を調べて,攻撃に使える手掛かりを集める事前調査である。イが該当する。
アは Web サイトの改ざんで,主張の発信が目的なので,攻撃前の調査ではない。ウは攻撃に使う PC の性能向上で,攻撃対象の調査ではない。エは,ログに偽の痕跡を加えて追跡を逃れる,攻撃後の痕跡の隠蔽である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
リスクベース認証の特徴はどれか。
ア いかなる利用条件でのアクセスの要求においても,ハードウェアトークンとパスワードを併用するなど,常に二つの認証方式を併用することによって,不正アクセスに対する安全性を高める。
イ いかなる利用条件でのアクセスの要求においても認証方法を変更せずに,同一の手順によって普段どおりにシステムにアクセスできるようにし,可用性を高める。
ウ 普段と異なる利用条件でのアクセスと判断した場合には,追加の本人認証をすることによって,不正アクセスに対する安全性を高める。 正解
エ 利用者が認証情報を忘れ,かつ,Web ブラウザに保存しているパスワード情報を使用できないリスクを想定して,緊急と判断した場合には,認証情報を入力せずに,利用者は普段どおりにシステムを利用できるようにし,可用性を高める。
正解 ウ
解説
リスクベース認証は,ログインの際に,利用者の IP アドレス,端末,時間帯などを普段の利用状況と比べてリスクを判定し,普段と異なると判断したときだけ追加の本人認証を求める方式である。安全性と使いやすさを両立できる。ウが正しい。
アは,利用条件に関係なく常に二つの認証方式を併用する多要素認証。イは,どの利用条件でも認証方法を変えないので,リスクに応じて認証を変えるという特徴がない。エは,緊急と判断すると認証情報の入力を省くという内容で,認証を弱めてしまい,リスクベース認証の考え方と逆である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
暗号学的ハッシュ関数における原像計算困難性,つまり一方向性の性質はどれか。
ア あるハッシュ値が与えられたとき,そのハッシュ値を出力するメッセージを見つけることが計算量的に困難であるという性質 正解
イ 入力された可変長のメッセージに対して,固定長のハッシュ値を生成できるという性質
ウ ハッシュ値が一致する二つの相異なるメッセージを見つけることが計算量的に困難であるという性質
エ ハッシュの処理メカニズムに対して,外部からの不正な観測や改変を防御できるという性質
正解 ア
解説
原像計算困難性(一方向性)は,ハッシュ値からその元になったメッセージを求めることが計算量的に困難であるという性質。パスワードをハッシュ値で保存しても元のパスワードを復元されないのは,この性質による。アが正しい。
イは可変長の入力から固定長の値を作るというハッシュ関数一般の性質で,安全性の要件ではない。ウは同じハッシュ値をもつ二つのメッセージを見つけにくいという衝突発見困難性。エはハッシュを計算する機器の耐タンパ性に関する説明である。
暗号学的ハッシュ関数の3つの性質
原像計算困難性は,ハッシュ値が与えられたときに,そのハッシュ値になるメッセージを見つけることが難しい。第2原像計算困難性は,あるメッセージが与えられたときに,同じハッシュ値になる別のメッセージを見つけることが難しい。衝突発見困難性は,同じハッシュ値になる2つのメッセージを,どれでもよいので見つけることが難しい。違いは何が先に決まっているか。
原像計算困難性(一方向性)
メッセージ
ハッシュ値
← これになる m を探す
第2原像計算困難性
m1
メッセージ2
同じハッシュ値
m1 は決まっている
衝突発見困難性
メッセージ1
メッセージ2
同じハッシュ値
どれでもよい
塗った枠が先に決まっているもの,破線の枠が探すもの
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
経済産業省と IPA が策定した“サイバーセキュリティ経営ガイドライン(Ver2.0)”の説明はどれか。
ア 企業が IT 活用を推進していく中で,サイバー攻撃から企業を守る観点で経営者が認識すべき3原則と,サイバーセキュリティ対策を実施する上での責任者となる担当幹部に,経営者が指示すべき重要10項目をまとめたもの 正解
イ 経営者がサイバーセキュリティについて方針を示し,マネジメントシステムの要求事項を満たすルールを定め,組織が保有する情報資産を CIA の観点から維持管理し,それらを継続的に見直すためのプロセス及び管理策を体系的に規定したもの
ウ 事業体の IT に関する経営者の活動を,大きく IT ガバナンス(統制)と IT マネジメント(管理)に分割し,具体的な目標と工程として40のプロセスを定義したもの
エ 世界的規模で生じているサイバーセキュリティ上の脅威の深刻化に関して,企業の経営者を支援する施策を総合的かつ効果的に推進するための国の責務を定めたもの
正解 ア
解説
サイバーセキュリティ経営ガイドラインは,経済産業省と IPA が策定した経営者向けの手引で,サイバー攻撃から企業を守る観点で経営者が認識すべき3原則と,情報セキュリティ対策を実施する上での責任者となる担当幹部(CISO など)に経営者が指示すべき重要10項目をまとめている。アが正しい。
イは ISMS(JIS Q 27001)の説明。ウは IT ガバナンスとマネジメントに分けて40のプロセスを定義した COBIT の説明。エはサイバーセキュリティ基本法が定める国の責務に関する記述である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
JPCERT コーディネーションセンターの説明はどれか。
ア 産業標準化法に基づいて経済産業省に設置されている審議会であり,産業標準化全般に関する調査・審議を行っている。
イ 電子政府推奨暗号の安全性を評価・監視し,暗号技術の適切な実装法・運用法を調査・検討するプロジェクトであり,総務省及び経済産業省が共同で運営する暗号技術検討会などで構成される。
ウ 特定の政府機関や企業から独立した組織であり,国内のコンピュータセキュリティインシデントに関する報告の受付,対応の支援,発生状況の把握,手口の分析,再発防止策の検討や助言を行っている。 正解
エ 内閣官房に設置され,我が国をサイバー攻撃から防衛するための司令塔機能を担う組織である。
正解 ウ
解説
JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)は,特定の政府機関や企業から独立した一般社団法人で,国内のセキュリティインシデントの報告受付,対応の支援,手口の分析,再発防止策の助言などを行う。ウが正しい。
アは日本産業標準調査会(JISC),イは CRYPTREC(暗号技術評価プロジェクト),エは内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
クレジットカードの対面決済時の不正利用に対して,カード加盟店が実施する対策のうち,最も有効なものはどれか。
ア IC チップを搭載したクレジットカードによる決済時の本人確認のために,サインではなくオフライン PIN を照合する。 正解
イ クレジットカードのカード番号を加盟店で保持する。
ウ クレジットカードの決済では IC チップではなく磁気ストライプの利用を利用者に促す。
エ 利用者の取引履歴からクレジットカードの不正利用を検知するオーソリモニタリングを実施する。
正解 ア
解説
クレジットカードの対面決済では,磁気ストライプのカードを複製した偽造カードによる不正利用が問題になる。IC チップ搭載カードは偽造が難しく,さらに本人確認にサインではなくオフライン PIN(IC チップが暗証番号を照合する)を使えば,カードを盗まれても暗証番号を知らない者は使えないので,加盟店が実施する対策として最も有効である。アが適切である。
イのカード番号を加盟店で保持するのは,漏えいしたときに不正利用の原因になるので,保持しないほうが望ましい。ウの磁気ストライプの利用を促すのは,偽造されやすい方式を使わせることになる。エのオーソリモニタリングは,取引履歴から不正を検知する仕組みで,主にカード会社が行うもので,加盟店が実施する対面決済の対策としては,アより効果が限られる。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
Web システムにおいて,セッションの乗っ取りの機会を減らすために,利用者のログアウト時に Web サーバ又は Web ブラウザにおいて行うべき処理はどれか。ここで,利用者は自分専用の PC において,Web ブラウザを利用しているものとする。
ア Web サーバにおいてセッション ID を内蔵ストレージに格納する。
イ Web サーバにおいてセッション ID を無効にする。 正解
ウ Web ブラウザにおいてキャッシュしている Web ページをクリアする。
エ Web ブラウザにおいてセッション ID を内蔵ストレージに格納する。
正解 イ
解説
セッションの乗っ取りは,攻撃者が有効なセッション ID を手に入れて成りすますことで起こる。ログアウト時にサーバ側でそのセッション ID を無効にしておけば,後からその ID を入手されても使えないので,乗っ取られる機会を減らせる。イが正しい。
アとエはセッション ID をストレージに保存する処理で,残しておくことはむしろ危険を増やす。ウのキャッシュのクリアは画面に表示した内容が後から見られるのを防ぐ効果はあるが,セッション ID 自体は有効なままなので乗っ取りは防げない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
TLS のクライアント認証における次の処理 a~c について,適切な順序はどれか。
ア a → b → c
イ a → c → b
ウ b → a → c 正解
エ c → a → b
正解 ウ
解説
TLS のクライアント認証では,まずサーバがサーバ証明書をクライアントに送付し(b),サーバがクライアント証明書を要求すると,クライアントがクライアント証明書を送付し(a),サーバがそれを検証してクライアントを認証する(c)。b→a→c の順で,ウが正しい。
アとイは,サーバ証明書の送付(b)より前にクライアントが証明書を送っている。エは,クライアント証明書を受け取る(a)前にサーバがクライアントを認証(c)していて,順序が成り立たない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
IC カードの耐タンパ性を高める対策はどれか。
ア IC カードと IC カードリーダとが非接触の状態で利用者を認証して,利用者の利便性を高めるようにする。
イ 故障に備えてあらかじめ作成した予備の IC カードを保管し,故障時に直ちに予備カードに交換して利用者が IC カードを使い続けられるようにする。
ウ 信号の読出し用プローブの取付けを検出すると IC チップ内の保存情報を消去する回路を設けて,IC チップ内の情報を容易には解析できないようにする。 正解
エ 利用者認証に IC カードを利用している業務システムにおいて,退職者の IC カードは業務システム側で利用を停止して,他の利用者が利用できないようにする。
正解 ウ
解説
耐タンパ性は,IC チップの内部を不正に解析されたり,記録された情報を読み出されたりしにくい性質である。信号を読み出すためのプローブ(探針)が取り付けられたことを検出したら,チップ内の情報を消去する回路を設けておけば,物理的に解析しようとしても中身を得られない。ウが該当する。
アの非接触での認証は利用者の利便性を高めるもの,イの予備カードの保管は故障時にも使い続けられるようにする可用性の対策,エの退職者のカードの利用停止は運用上のアクセス管理であり,いずれもチップ内部の情報を解析から守る耐タンパ性の対策ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
状態遷移表のとおりに動作し,運転状況に応じて装置の温度が上下するシステムがある。システムの状態が“レディ”のとき,①~⑥ の順にイベントが発生すると,最後の状態はどれになるか。ここで,状態遷移表の空欄は状態が変化しないことを表す。
〔状態遷移表〕
〔発生するイベント〕
① メッセージ 1 を受信する。 ② メッセージ 1 を受信する。 ③ 装置の温度が 50℃以上になる。 ④ メッセージ 2 を受信する。 ⑤ 装置の温度が 40℃未満になる。 ⑥ メッセージ 2 を受信する。
正解 エ
解説
レディ(状態1)から順に追う。①メッセージ1:運転開始で高速運転(2)。②メッセージ1:状態2は空欄なので高速運転のまま。③温度が 50℃以上:減速で低速運転(3)。④メッセージ2:状態3は一時停止で一時停止(4)。⑤温度が 40℃未満:状態4は運転再開で低速運転(3)。⑥メッセージ2:状態3は一時停止で一時停止(4)。最後の状態は一時停止で,エが正しい。
アのレディに戻るのは,状態4でメッセージ2を受信して初期化したときで,この順序では状態4でメッセージ2を受信しない。イの高速運転は,③の前の状態。ウの低速運転は,⑤の直後の状態で,⑥のメッセージ2でさらに遷移する。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
あるプログラムについて,流れ図で示される部分に関するテストを,命令網羅で実施する場合,最小のテストケース数は幾つか。ここで,各判定条件は流れ図に示された部分の先行する命令の結果から影響を受けないものとする。
正解 ア
解説
命令網羅は,全ての命令(処理)を少なくとも1回は実行できればよいという基準。この流れ図には判定が3段あり,分岐先の処理はそれぞれ3個,2個,3個ある。1件のテストケースは各段から1個ずつ処理を通るので,処理が3個ある段を覆うには3件必要で,逆に3件あれば処理が2個の段も同時に覆える。よって最小のテストケース数は3で,アが正しい。
各判定条件は互いに影響しないという前提なので,段ごとに好きな分岐を選んで組み合わせられる。エの18は3×2×3で全ての経路を数えた値,イの6やウの8も経路の組合せに関する数で,命令網羅に必要な件数ではない。
命令網羅・分岐網羅・条件網羅
「A かつ B」なら処理 X を行う流れ図。命令網羅は全ての命令を一度は通すので,A も B も真の1件で足りる。分岐網羅は判定の真と偽を両方通すので,(真,真)と(偽,真)の2件が要る。条件網羅は A と B のそれぞれが真と偽を取ればよいので(真,偽)と(偽,真)でも満たせるが,このとき判定は2回とも偽で,処理 X を一度も通らない。
A かつ B
真
処理 X
偽
命令網羅
(A,B)=(真,真)の1件
分岐網羅
(真,真)(偽,真)の2件
条件網羅
(真,偽)(偽,真)でもよい
条件網羅の例では判定が2回とも偽になり,処理 X を通らない
判定条件/条件網羅は,判定と各条件の真偽を両方そろえる
条件網羅を満たしても,分岐網羅や命令網羅を満たすとは限らない
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
スクラムチームにおけるプロダクトオーナの役割はどれか。
ア ゴールとミッションが達成できるように,プロダクトバックログのアイテムの優先順位を決定する。 正解
イ チームのコーチやファシリテータとして,スクラムが円滑に進むように支援する。
ウ プロダクトを完成させるための具体的な作り方を決定する。
エ リリース判断可能な,プロダクトのインクリメントを完成する。
正解 ア
解説
スクラムのプロダクトオーナは,プロダクトの価値を最大化する責任を負い,プロダクトバックログの内容と並び順(優先順位)を決める。何を作るかを決める役割であって,どう作るかには踏み込まない。アが正しい。
イはスクラムマスタの役割で,スクラムが正しく機能するように支援する。ウとエは開発者(開発チーム)の役割で,作り方を自分たちで決め,スプリントごとにリリース判断可能なインクリメントを完成させる。
スクラムの1スプリントの流れ
プロダクトオーナーが優先順位を付けたプロダクトバックログから,スプリントプランニングで今回やることを選んでスプリントバックログにする。1か月以内のスプリントの間,毎日デイリースクラムで進み具合を確かめ,動くインクリメントを作る。最後にスプリントレビューで利害関係者に成果を見せ,スプリントレトロスペクティブでふりかえってから次のスプリントへ進む。
プロダクト
バックログ
スプリント
バックログ
プランニング
スプリント
1か月以内
毎日
デイリースクラム
インクリメント
スプリントレビュー
利害関係者に成果を見せる
レトロスペクティブ
ふりかえり(KPT など)
次のスプリントへ
プロダクトオーナー:バックログの優先順位を決める
スクラムマスター:進め方を支える
開発者:スプリントバックログを自分たちで変えられる
役割3つ・イベント4つ(プランニング・デイリー・レビュー・レトロスペクティブ)・作成物3つ
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
アジャイル開発などで導入されている“ペアプログラミング”の説明はどれか。
ア 開発工程の初期段階に要求仕様を確認するために,プログラマと利用者がペアとなり,試作した画面や帳票を見て,相談しながらプログラムの開発を行う。
イ 効率よく開発するために,2人のプログラマがペアとなり,メインプログラムとサブプログラムを分担して開発を行う。
ウ 短期間で開発するために,2人のプログラマがペアとなり,交互に作業と休憩を繰り返しながら長時間にわたって連続でプログラムの開発を行う。
エ 品質の向上や知識の共有を図るために,2人のプログラマがペアとなり,その場で相談したりレビューしたりしながら,一つのプログラムの開発を行う。 正解
正解 エ
解説
ペアプログラミングは,2人のプログラマが1台のコンピュータに向かい,一人がコードを書き,もう一人がその場でレビューや助言をしながら一つのプログラムを開発する手法で,役割は適宜交代する。誤りを早く見つけて品質を高めるとともに,知識や技術をメンバー間で共有できる。エが適切である。
アはプログラマと利用者が試作品を見ながら要件を固めるプロトタイピング。イはメインプログラムとサブプログラムを分担する作業分割で,一つのプログラムを2人で作るものではない。ウは交代で休憩しながら長時間作業を続けるもので,ペアプログラミングの目的とは異なる。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメントのプロセスのうち,計画のプロセス群に属するプロセスはどれか。
ア スコープの定義 正解
イ 品質保証の遂行
ウ プロジェクト憲章の作成
エ プロジェクトチームの編成
正解 ア
解説
JIS Q 21500:2018 は,プロジェクトマネジメントのプロセスを,立ち上げ・計画・実行・管理・終結の五つのプロセス群と,統合・ステークホルダ・スコープ・資源などの対象群の組合せで整理している。「スコープの定義」はスコープの対象群にあり,計画のプロセス群に置かれている。アが正しい。
イの品質保証の遂行は実行のプロセス群。ウのプロジェクト憲章の作成とエのプロジェクトチームの編成は,どちらも立ち上げのプロセス群に属する。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
表は,RACI チャートを用いた,ある組織の責任分担マトリックスである。条件を満たすように責任分担を見直すとき,適切なものはどれか。
〔条件〕
各アクティビティにおいて,実行責任者は1人以上とする。 各アクティビティにおいて,説明責任者は1人とする。
ア アクティビティ ① の菊池の責任を I に変更
イ アクティビティ ② の佐藤の責任を A に変更
ウ アクティビティ ③ の鈴木の責任を C に変更
エ アクティビティ ④ の田中の責任を R に変更 正解
正解 エ
解説
RACI チャートの R は実行責任者,A は説明責任者,C は協議先,I は報告先である。条件は,各アクティビティで R が1人以上,A がちょうど1人。表では,①〜③は R が1人以上,A が1人ずつで条件を満たすが,④は佐藤と田中の二人が A になっていて,説明責任者が1人でない。田中を R に変更すると,④は R が菊池と田中,A が佐藤となって条件を満たす。エが正しい。
アは,①の R が菊池だけなので,I に変えると実行責任者がいなくなる。イは,②の A が田中なので,佐藤を A にすると A が2人になる。ウは,③の A が鈴木だけなので,C に変えると説明責任者がいなくなる。いずれも条件を破る。
責任分担マトリックス(RACI)
作業と人の表に,R(実行責任:作業をする),A(説明責任:最終的に責任を負う,1つの作業に1人),C(協議先:相談を受ける),I(報告先:結果を知らされる)を書き込む。
作業
PM
設計者
開発者
顧客
要件定義
A
R
I
C
設計
A
R
C
I
製造
A
C
R
I
R:実行責任 A:説明責任 C:協議先 I:報告先
役割と責任を作業ごとに明らかにする
A は1つの作業に1人だけ
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
プロジェクトのスケジュールを短縮したい。当初の計画は図1のとおりである。作業 E を作業 E1,E2,E3 に分けて,図2のとおりに計画を変更すると,スケジュールは全体で何日短縮できるか。
正解 ア
解説
図1のクリティカルパスは A→B→E→H→I で,5+8+9+4+2=28日。
図2では E が E1(3),E2(4),E3(2) に分割され,E3 の直前の結合点には E1 とダミー作業(E2 の後)が入る。B の完了時点(13日)から見ると,E1 経由は 3 日,E2 経由は 4 日で,遅いほうの 4 日で結合点に到達し,そこから E3 が 2 日かかる。よって B→H は 4+2=6日となり,A→B→E2→E3→H→I は 5+8+4+2+4+2=25日。もう一方の A→B→D→G は 5+8+7+7=27日なので,図2 全体は 27日。
28−27=1日短縮できる。
作業 E を分けて並行させると
当初は A→B→E→H→I が 28 日でクリティカルパス。E(9日)を E1(3日),E2(4日),E3(2日)に分け,E1 と E2 を並行させると,B の後から H の手前までが 4+2=6 日に縮まり,その経路は 25 日。代わって A→B→D→G の 27 日がクリティカルパスになり,全体は 1 日だけ縮む。
A 5
B 8
C 7
D 7
E1 3
E2 4
E3 2
F 5
G 7
H 4
I 2
0 / 0
5 / 5
13 / 13
12 / 16
20 / 20
16 / 19
17 / 27
18 / 21
22 / 25
27 / 27
変更前 28 日 → 変更後 27 日(1日短縮)
縮めた結果,別の経路(27 日)が新しいクリティカルパスになる
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
PMBOK ガイド 第6版によれば,リスクにはマイナスの影響を及ぼすリスク(脅威)とプラスの影響を及ぼすリスク(好機)がある。プラスの影響を及ぼすリスクに対する“強化”の戦略はどれか。
ア いかなる積極的行動も取らないが,好機が実現したときにそのベネフィットを享受する。
イ 好機が確実に起こり,発生確率が 100%にまで高まると保証することによって,特別の好機に関連するベネフィットを捉えようとする。
ウ 好機のオーナーシップを第三者に移転して,好機が発生した場合にそれがベネフィットの一部を共有できるようにする。
エ 好機の発生確率や影響度,又はその両者を増大させる。 正解
正解 エ
解説
PMBOK ガイド 第6版では,プラスの影響を及ぼすリスク(好機)への対応戦略として,エスカレーション,活用,共有,強化,受容が挙げられている。強化は,好機の発生確率や影響度,又はその両者を増大させて,好機から得られるベネフィットを大きくする戦略である。エが正しい。
アは,積極的な行動は取らずに好機が実現したときにベネフィットを享受する受容。イは,好機が確実に起こるようにする活用。ウは,好機のオーナーシップを第三者に移して,ベネフィットを分け合う共有の戦略である。
リスクへの対応の戦略
マイナスのリスク(脅威)には,回避(原因を取り除く・計画を変える),転嫁(保険や契約で第三者に移す),軽減(確率や影響を下げる),受容(何もしないか予備を持つ)。プラスのリスク(好機)には,活用(確実に起こす),共有(能力のある第三者と組む),強化(確率や影響を上げる),受容。
脅威(マイナス)
好機(プラス)
なくす/確実に
回避
活用
他者へ
転嫁(保険など)
共有(組む)
小さく/大きく
軽減
強化
何もしない
受容
受容
保険を掛けるのは転嫁,計画を変えて避けるのは回避
脅威は回避・転嫁・軽減・受容,好機は活用・共有・強化・受容
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
プロジェクトメンバが16人のとき,1対1の総当たりでプロジェクトメンバ相互の顔合わせ会を行うためには,延べ何時間の顔合わせ会が必要か。ここで,顔合わせ会1回の所要時間は0.5時間とする。
正解 エ
解説
顔合わせ会の回数は,16人から2人を選ぶ組合せの数なので 16×15/2=120回。1回0.5時間なので延べ時間は 120×0.5=60時間になる。エが正しい。
延べ時間を問うているので,複数の組が同時に会えるかどうかは考えない。アの8は人数の半分,イの16は人数そのもので,どちらも組合せの数を求めていない。ウの30は,0.5時間を二重に掛けてしまったときに出る値である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
ITIL 2011 edition によれば,サービス・ポートフォリオの説明のうち,適切なものはどれか。
ア サービス・プロバイダの約束事項と投資を表すものであって,サービス・プロバイダによって管理されている“検討中か開発中”,“稼働中か展開可能”及び“廃止済み”の全てのサービスが含まれる。 正解
イ サービスの販売と提供の支援に使用され,顧客に公開されるものであって,“検討中か開発中”と“廃止済み”のサービスは含まれず,“稼働中か展開可能”のサービスだけが含まれる。
ウ 投資の機会と実現される価値を含むものであって,“廃止済み”のサービスは含まれず,“検討中か開発中”のサービスと“稼働中か展開可能”のサービスが含まれる。
エ どのようなサービスが提供できたのか,実力を示すものであって,“検討中か開発中”のサービスは含まれず,“稼働中か展開可能”のサービスと“廃止済み”のサービスが含まれる。
正解 ア
解説
ITIL 2011 edition では,サービス・ポートフォリオは,サービス・プロバイダが管理する全てのサービスを表し,サービス・プロバイダの約束事項と投資を示すもので,検討中か開発中のサービス(サービス・パイプライン),稼働中か展開可能なサービス(サービス・カタログ),廃止済みサービスの全てを含む。アが適切である。
イはサービス・カタログの説明で,顧客に公開され,稼働中か展開可能なサービスだけを含む。ウは廃止済みを含まない,エは検討中か開発中を含まないとしており,どちらもサービス・ポートフォリオが三つの全てを含むことと合わない。
サービスポートフォリオの3つの部分
サービスポートフォリオは,提供者が管理する全てのサービスの一覧で,将来提供する予定の検討中・開発中のサービス(サービスパイプライン),稼働中で顧客が見られるサービス(サービスカタログ),提供を終えたサービス(廃止済みサービス)からなる。
サービスポートフォリオ(全てのサービス)
サービスパイプライン
検討中・開発中
サービスカタログ
稼働中・顧客が見る
廃止済みサービス
提供を終えた
「将来提供する予定の開発中のサービス」はパイプライン
サービスカタログは,ポートフォリオのうち稼働中のサービスだけを載せたもの
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
フルバックアップ方式と差分バックアップ方式を用いた運用に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 障害からの復旧時に差分バックアップのデータだけ処理すればよいので,フルバックアップ方式に比べ,差分バックアップ方式は復旧時間が短い。
イ フルバックアップのデータで復元した後に,差分バックアップのデータを反映させて復旧する。 正解
ウ フルバックアップ方式と差分バックアップ方式を併用して運用することはできない。
エ フルバックアップ方式に比べ,差分バックアップ方式はバックアップに要する時間が長い。
正解 イ
解説
差分バックアップは,直前のフルバックアップ以降に変更されたデータをバックアップする方式である。復旧時は,まずフルバックアップのデータで復元し,その後に最新の差分バックアップのデータを反映させる。イが適切である。
アは誤り。差分バックアップだけではフルバックアップ時点のデータがないので復元できず,フルバックアップだけで復旧するより手順が増える。ウは誤り。差分バックアップはフルバックアップと組み合わせて運用することが前提である。エは誤り。差分バックアップは変更分だけを取るので,毎回全データを取るフルバックアップより時間が短い。
フル・差分・増分バックアップ
日曜にフルバックアップを取る。差分バックアップは毎日,日曜のフル以降に変わった全てを取るので,日がたつほど量が増え,復旧はフルと最新の差分の2つで済む。増分バックアップは毎日,前日のバックアップ以降に変わった分だけを取るので量は少ないが,復旧にはフルとそれ以降の全ての増分が要る。
日
月
火
水
木
差分
フル
月
月〜火
月〜水
月〜木
増分
フル
月
火
水
木
木曜に復旧するとき 差分:フル+木の差分 増分:フル+月火水木の増分
差分は「フルから」,増分は「前回から」。復旧に使う数が違う
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
情報セキュリティ管理基準(平成28年)を基に,情報システム環境におけるマルウェア対策の実施状況について監査を実施した。判明したシステム運用担当者の対応状況のうち,監査人が,指摘事項として監査報告書に記載すべきものはどれか。
ア Web ページに対して,マルウェア検出のためのスキャンを行っている。
イ マルウェア感染によって被害を受けた事態を想定して,事業継続計画を策定している。
ウ マルウェア検出のためのスキャンを実施した上で,組織として認可していないソフトウェアを使用している。 正解
エ マルウェアに付け込まれる可能性のある脆弱性について情報収集を行い,必要に応じて修正コードを適用し,脆弱性の低減を図っている。
正解 ウ
解説
マルウェアから保護するための管理策としては,検出,予防,回復の対策に加えて,認可されていないソフトウェアの使用を禁止する方針を定めることが求められる(情報セキュリティ管理基準が拠り所とする JIS Q 27002:2014 の 12.2.1)。ウは,スキャンを実施しながら,組織として認可していないソフトウェアを使用しているので,基準に沿っておらず,指摘事項として記載すべきである。
アは Web ページのスキャンによるマルウェア検出,イは被害を想定した事業継続計画の策定,エは脆弱性の情報収集と修正コードの適用による低減で,いずれもマルウェア対策として適切に行われており,指摘事項にならない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
マスタファイル管理に関するシステム監査項目のうち,可用性に該当するものはどれか。
ア マスタファイルが置かれているサーバを二重化し,耐障害性の向上を図っていること 正解
イ マスタファイルのデータを複数件まとめて検索・加工するための機能が,システムに盛り込まれていること
ウ マスタファイルのメンテナンスは,特権アカウントを付与された者だけに許されていること
エ マスタファイルへのデータ入力チェック機能が,システムに盛り込まれていること
正解 ア
解説
可用性は,必要なときにシステムやデータを使える度合いのこと。マスタファイルが置かれたサーバを二重化しておけば,片方が故障してももう一方で処理を続けられるので,これは可用性に関する監査項目に当たる。アが正しい。
イの検索・加工の機能は業務の効率性に関わる項目。ウの特権アカウントによるメンテナンスの制限は,権限のない者に触らせないという機密性の項目。エの入力チェック機能は,正しいデータだけを登録させるという完全性(正確性)の項目である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
システム監査人が行う改善提案のフォローアップとして,適切なものはどれか。
ア 改善提案に対する改善の実施を監査対象部門の長に指示する。
イ 改善提案に対する監査対象部門の改善実施プロジェクトの管理を行う。
ウ 改善提案に対する監査対象部門の改善状況をモニタリングする。 正解
エ 改善提案の内容を監査対象部門に示した上で改善実施計画を策定する。
正解 ウ
解説
システム監査人は監査対象から独立した立場で監査を行うので,改善そのものを実施したり指示したりしてはならない。フォローアップでは,改善の実施は監査対象部門の責任に委ね,監査人はその進捗や結果を確かめる立場にとどまる。改善状況をモニタリングするというウが正しい。
アの改善の実施を指示すること,イの改善実施プロジェクトを管理すること,エの改善実施計画を策定することは,いずれも監査人が改善活動そのものに関与することになり,監査の独立性・客観性を損なう。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
エンタープライズアーキテクチャの“四つの分類体系”に含まれるアーキテクチャは,ビジネスアーキテクチャ,テクノロジアーキテクチャ,アプリケーションアーキテクチャともう一つはどれか。
ア システムアーキテクチャ
イ ソフトウェアアーキテクチャ
ウ データアーキテクチャ 正解
エ バスアーキテクチャ
正解 ウ
解説
エンタープライズアーキテクチャは,組織の全体像を四つの体系で捉える。業務のあり方を表すビジネスアーキテクチャ(政策・業務体系),扱う情報の構造を表すデータアーキテクチャ(データ体系),業務を支える情報システムの構成を表すアプリケーションアーキテクチャ(適用処理体系),それらを動かす基盤を表すテクノロジアーキテクチャ(技術体系)である。残る一つはウのデータアーキテクチャ。
アのシステムアーキテクチャ,イのソフトウェアアーキテクチャ,エのバスアーキテクチャは,いずれもこの四つの分類体系には含まれない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
業務システムの構築に際し,オープン API を活用する構築手法の説明はどれか。
ア 構築するシステムの概要や予算をインターネットなどにオープンに告知し,アウトソース先の業者を公募する。
イ 構築テーマをインターネットなどでオープンに告知し,不特定多数から資金調達を行い開発費の不足を補う。
ウ 接続仕様や仕組みが外部企業などに公開されている他社のアプリケーションソフトウェアを呼び出して,適宜利用し,データ連携を行う。 正解
エ 標準的な構成のハードウェアに仮想化を適用し,必要とする CPU 処理能力,ストレージ容量,ネットワーク機能などをソフトウェアで構成し,運用管理を行う。
正解 ウ
解説
オープン API は,接続仕様や仕組みを外部企業などに公開した API で,これを呼び出して他社のアプリケーションソフトウェアの機能やデータを適宜利用し,データ連携を行いながらシステムを構築する手法がある。ウが正しい。
アは,システムの概要や予算を告知してアウトソース先を公募する調達の方法。イは,構築テーマを公開して不特定多数から資金を集めるクラウドファンディング。エは,標準的なハードウェアに仮想化を適用してソフトウェアで構成する,ソフトウェア定義型インフラなどの構築手法である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
レコメンデーション(お勧め商品の提案)の例のうち,協調フィルタリングを用いたものはどれか。
ア 多くの顧客の購買行動の類似性を相関分析などによって求め,顧客 A に類似した顧客 B が購入している商品を顧客 A に勧める。 正解
イ カテゴリ別に売れ筋商品のランキングを自動抽出し,リアルタイムで売れ筋情報を発信する。
ウ 顧客情報から,年齢,性別などの人口動態変数を用い,“20 代男性”,“30 代女性”などにセグメント化した上で,各セグメント向けの商品を提示する。
エ 野球のバットを購入した人に野球のボールを勧めるなど商品間の関連に着目して,関連商品を提示する。
正解 ア
解説
協調フィルタリングは,利用者どうしの購買や評価の傾向が似ていることを手掛かりに,似た利用者が買っている商品を勧める方式である。商品そのものの属性ではなく,利用者の行動の類似性を使う点が特徴で,アが該当する。
イは売れ筋のランキングを出しているだけで,利用者ごとに変わらない。ウは年齢や性別といった属性で区切るデモグラフィックによる推薦。エは一緒に買われやすい商品の組合せを使うアソシエーション分析(バスケット分析)による推薦である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
情報システムの調達の際に作成される RFI の説明はどれか。
ア 調達者から供給者候補に対して,システム化の目的や業務内容などを示し,必要な情報の提供を依頼すること 正解
イ 調達者から供給者候補に対して,対象システムや調達条件などを示し,提案書の提出を依頼すること
ウ 調達者から供給者に対して,契約内容で取り決めた内容に関して,変更を要請すること
エ 調達者から供給者に対して,双方の役割分担などを確認し,契約の締結を要請すること
正解 ア
解説
RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,調達の検討段階で,実現手段や技術動向などの情報提供をベンダに依頼する文書。提案を求める前の情報収集が目的。
イは RFP(提案依頼書)の説明。ウとエは契約変更や契約締結に関するもので,いずれも RFI ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
国や地方公共団体が,環境への配慮を積極的に行っていると評価されている製品・サービスを選んでいる。この取組を何というか。
ア CSR
イ エコマーク認定
ウ 環境アセスメント
エ グリーン購入 正解
正解 エ
解説
グリーン購入は,国や地方公共団体,企業などが,製品やサービスを購入するときに,価格や品質だけでなく環境への負荷が小さいものを優先して選ぶ取組である。日本ではグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)が,国などの機関にこれを求めている。エが正しい。
アの CSR は,企業が社会的責任を果たす経営の考え方。イのエコマーク認定は,環境への負荷が少ない商品に付けられるマークの認定で,選ぶ側の取組ではない。ウの環境アセスメントは,開発事業が環境に与える影響を事前に調査・予測・評価することである。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
システム開発委託契約の委託報酬におけるレベニューシェア契約の特徴はどれか。
ア 委託側が開発するシステムから得られる収益とは無関係に開発に必要な費用を全て負担する。
イ 委託側は開発するシステムから得られる収益に関係無く定額で費用を負担する。
ウ 開発するシステムから得られる収益を委託側が受託側にあらかじめ決められた配分率で分配する。 正解
エ 受託側は継続的に固定額の収益が得られる。
正解 ウ
解説
レベニューシェア契約は,システム開発の委託報酬を,そのシステムが生む収益をあらかじめ決めた配分率で分け合う形で支払う契約。受託側は収益が上がらなければ報酬も少ないというリスクを負う代わりに,成功すれば通常の委託報酬を上回る収入が得られる。ウが正しい。
アとイは収益と無関係に費用を負担する形で,従来型の請負契約や準委任契約に当たる。エの受託側が継続的に固定額の収益を得るという形も,収益に応じて取り分が変わるレベニューシェアの特徴ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)マトリックスの a,b に入れる語句の適切な組合せはどれか。
ア a:売上高利益率,b:市場占有率
イ a:市場成長率,b:売上高利益率
ウ a:市場成長率,b:市場占有率 正解
エ a:市場占有率,b:市場成長率
正解 ウ
解説
PPM は,縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場占有率をとって事業を四つに分ける。図では縦軸の上が高,横軸の左が高になっており,左上が花形(成長率も占有率も高い),右上が問題児(成長率は高いが占有率が低い),左下が金のなる木(成長率は低いが占有率が高い),右下が負け犬に当たる。この配置に合うのは a が市場成長率,b が市場占有率のウ。
エのように a と b を入れ替えると,成長率が高く占有率の低い区画が「金のなる木」になってしまい,四つの区画の意味と合わなくなる。アとイの売上高利益率は PPM の軸には使わない。
PPM の4つの区分
縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。
花形
成長に合わせた投資も要る
問題児
シェアを取るには投資が要る
金のなる木
投資が少なく資金を生む
負け犬
撤退を考える
高
低
成長率
市場
高
低
相対的市場シェア
金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
企業の競争戦略におけるフォロワ戦略はどれか。
ア 上位企業の市場シェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどのあらゆる面での差別化戦略をとる。
イ 潜在的な需要がありながら,大手企業が参入してこないような専門特化した市場に,限られた経営資源を集中する。
ウ 目標とする企業の戦略を観察し,迅速に模倣することによって,開発や広告のコストを抑制し,市場での存続を図る。 正解
エ 利潤,名声の維持・向上と最適市場シェアの確保を目標として,市場内の全ての顧客をターゲットにした全方位戦略をとる。
正解 ウ
解説
フォロワは,市場で上位企業に追随する立場の企業である。目標とする企業の戦略を観察して迅速に模倣することで,開発や広告に掛かるコストを抑え,市場での存続を図る。ウが該当する。
アの上位企業のシェアを奪うことを目標にあらゆる面で差別化を図るのはチャレンジャの戦略。イの大手が参入しない専門特化した市場に経営資源を集中するのはニッチャの戦略。エの利潤や名声の維持と最適シェアの確保を目標に全ての顧客を狙う全方位戦略はリーダの戦略である。
競争地位別の戦略(コトラー)
経営資源の量と質で4つに分ける。リーダは市場全体を広げ,全方位でシェアを守る。チャレンジャはリーダのシェアを奪うため,あらゆる面で差別化する。フォロワは上位企業をすばやく模倣してコストを抑える。ニッチャは大手が狙わない特定の顧客・製品に資源を集中して専門化する。
リーダ
市場拡大・全方位
チャレンジャ
差別化でシェアを奪う
ニッチャ
特定の顧客・製品に集中
フォロワ
模倣してコストを抑える
質 高
質 低
量 大
量 小
経営資源の量(大・小)と質(高・低)
ニッチャは特定のセグメントに集中,フォロワは模倣
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
ジェフリー・A・ムーアはキャズム理論において,利用者の行動様式に大きな変化をもたらすハイテク製品では,イノベータ理論の五つの区分の間に断絶があると主張し,その中でも特に乗り越えるのが困難な深く大きな溝を“キャズム”と呼んでいる。“キャズム”が存在する場所はどれか。
ア イノベータとアーリーアダプタの間
イ アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間 正解
ウ アーリーマジョリティとレイトマジョリティの間
エ レイトマジョリティとラガードの間
正解 イ
解説
イノベータ理論では,新製品の採用者をイノベータ,アーリーアダプタ,アーリーマジョリティ,レイトマジョリティ,ラガードの五つに区分する。ムーアは,新しさ自体に価値を見いだす初期市場と,実用性や周囲での実績を重んじるメインストリーム市場とでは購買の動機が大きく異なるため,その境目に深く大きな溝があるとした。境目はアーリーアダプタとアーリーマジョリティの間なので,イが正しい。
他の三つの区分の間にも断絶(クラック)はあるとされるが,ムーアがキャズムと呼んだのは初期市場とメインストリーム市場との境目だけである。ア,ウ,エはいずれも初期市場の内部,又はメインストリーム市場の内部の区切りであり,該当しない。
イノベータ理論とキャズム
新しい製品を採用する人を,早い順にイノベータ(2.5%),アーリーアダプタ(13.5%),アーリーマジョリティ(34%),レイトマジョリティ(34%),ラガード(16%)に分ける。アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間には大きな溝(キャズム)があり,これを越えないと市場に広がらない。
キャズム
イノベータ
アーリー
アダプタ
アーリー
マジョリティ
レイト
マジョリティ
ラガード
アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間の溝がキャズム
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
バランススコアカードの四つの視点とは,財務,学習と成長,内部ビジネスプロセスと,もう一つはどれか。
正解 イ
解説
バランススコアカードは,企業の業績を財務の数字だけで測らず,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から評価する仕組み。残る一つはイの顧客の視点で,顧客満足度やシェアなど,顧客からどう見られているかを測る。
四つの視点は,学習と成長が内部ビジネスプロセスを支え,それが顧客の評価につながり,最終的に財務の成果に結び付くという因果関係で結ばれている。アのガバナンス,ウの自社の強み,エの遵法は,いずれもこの四つには含まれない。
バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ
下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。
財務
売上高を伸ばす
売上高・利益率
顧客
顧客満足度を上げる
顧客満足度・シェア
内部ビジネスプロセス
出荷を速くする
出荷までの日数
学習と成長
専門人材を育てる
育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
“技術の S カーブ”の説明として,適切なものはどれか。
ア 技術の期待感の推移を表すものであり,黎明期,流行期,反動期,回復期,安定期に分類される。
イ 技術の進歩の過程を表すものであり,当初は緩やかに進歩するが,やがて急激に進歩し,成熟期を迎えると進歩は停滞気味になる。 正解
ウ 工業製品において生産量と生産性の関係を表すものであり,生産量の累積数が増加するほど生産性は向上する傾向にある。
エ 工業製品の故障発生の傾向を表すものであり,初期故障期間では故障率は高くなるが,その後の偶発故障期間での故障率は低くなり,製品寿命に近づく摩耗故障期間では故障率は高くなる。
正解 イ
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,初めは研究開発に努力を注いでも性能の向上は緩やかだが,ある時点から急速に進歩し,成熟期に入ると限界に近づいて進歩が停滞する。進歩を時間に対して描くと S 字形になることからこう呼ばれる。イが適切である。
アは技術に対する期待の変化を表すハイプサイクル,ウは累積生産量が増えるほど単位当たりのコストが下がり生産性が向上する経験曲線(学習曲線),エは故障率の時間的変化を表すバスタブ曲線の説明である。
技術の S カーブ
技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。
研究開発の努力(時間)
性能
導入期
成長期
成熟期
新しい技術
乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
政府は,IoT を始めとする様々な ICT が最大限に活用され,サイバー空間とフィジカル空間とが融合された“超スマート社会”の実現を推進してきた。必要なものやサービスが人々に過不足なく提供され,年齢や性別などの違いにかかわらず,誰もが快適に生活することができるとされる“超スマート社会”実現への取組は何と呼ばれているか。
ア e-Gov
イ Society 5.0 正解
ウ Web 2.0
エ ダイバーシティ社会
正解 イ
解説
Society 5.0 は,第5期科学技術基本計画(平成28年)で政府が提唱した,サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた“超スマート社会”の実現に向けた取組の名称。狩猟社会,農耕社会,工業社会,情報社会に続く5番目の社会という意味でこう呼ぶ。イが正しい。
アの e-Gov は行政情報の総合窓口となるポータルサイト。ウの Web 2.0 は利用者が情報を発信し合う形へと変わった Web の潮流を指す言葉。エのダイバーシティ社会は多様な人材が活躍できる社会を指す言葉で,いずれも政府の“超スマート社会”実現への取組の名称ではない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
SNS や Web 検索などに関して,イーライ・パリサーが提唱したフィルタバブルの記述として,適切なものはどれか。
ア PC やスマートフォンなど,使用する機器の性能やソフトウェアの機能に応じて,利用者は情報へのアクセスにフィルタがかかっており,様々な格差が生じている。
イ SNS で一般のインターネット利用者が発信する情報が増えたことで,Web 検索の結果は非常に膨大なものとなり,個人による適切な情報収集が難しくなった。
ウ 広告収入を目的に,事実とは異なるフィルタのかかったニュースが SNS などを通じて発信されるようになったので,正確な情報を検索することが困難になった。
エ 利用者の属性・行動などに応じ,好ましいと考えられる情報がより多く表示され,利用者は実社会とは隔てられたパーソナライズされた情報空間へと包まれる。 正解
正解 エ
解説
フィルタバブルは,イーライ・パリサーが提唱した概念である。SNS や検索エンジンが利用者の属性や過去の閲覧・検索の履歴などを基に,その利用者が好むと考えられる情報を優先して表示するので,利用者は自分の関心や考えに合う情報に囲まれ,泡(バブル)に包まれたように実社会の多様な情報から隔てられてしまう。エが該当する。
アは機器やソフトウェアの違いによって情報の入手に格差が生じるデジタルデバイドに近い内容,イは情報が多すぎて必要な情報を選べなくなる情報過多,ウは事実と異なるフェイクニュースの説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
アグリゲーションサービスに関する記述として,適切なものはどれか。
ア 小売販売の会社が,店舗や EC サイトなどあらゆる顧客接点をシームレスに統合し,どの顧客接点でも顧客に最適な購買体験を提供して,顧客の利便性を高めるサービス
イ 物品などの売買に際し,信頼のおける中立的な第三者が契約当事者の間に入り,代金決済等取引の安全性を確保するサービス
ウ 分散的に存在する事業者,個人や機能への一括的なアクセスを顧客に提供し,比較,まとめ,統一的な制御,最適な組合せなどワンストップでのサービス提供を可能にするサービス 正解
エ 本部と契約した加盟店が,本部に対価を支払い,販売促進,確立したサービスや商品などを使う権利をもらうサービス
正解 ウ
解説
アグリゲーションサービスは,別々の事業者に分散しているサービスや情報への窓口を一つにまとめ,比較したり,まとめて表示したり,最適な組合せを提示したりして,ワンストップで利用できるようにするサービス。複数の金融機関の口座残高をまとめて表示する家計簿サービスなどが例になる。ウが正しい。
アは店舗と EC など全ての顧客接点を統合するオムニチャネル,イは第三者が代金決済を仲介するエスクローサービス,エは本部と加盟店の関係を示すフランチャイズの説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
ハーシィ及びブランチャードが提唱した SL 理論の説明はどれか。
ア 開放の窓,秘密の窓,未知の窓,盲点の窓の四つの窓を用いて,自己理解と対人関係の良否を説明した理論
イ 教示的,説得的,参加的,委任的の四つに,部下の成熟度レベルによって,リーダシップスタイルを分類した理論 正解
ウ 共同化,表出化,連結化,内面化の四つのプロセスによって,個人と組織に新たな知識が創造されるとした理論
エ 生理的,安全,所属と愛情,承認と自尊,自己実現といった五つの段階で欲求が発達するとされる理論
正解 イ
解説
ハーシィ及びブランチャードが提唱した SL 理論(Situational Leadership theory)は,唯一最適なリーダシップは存在せず,有効なスタイルは部下の成熟度によって変わるとする理論である。成熟度が低い順に,細かく指示する教示的,説明して納得させる説得的,意思決定に加わってもらう参加的,任せる委任的の四つにスタイルを分ける。イが正しい。
アは,自分が知っているか,他人が知っているかの組合せで四つの窓に分けて自己理解と対人関係を説明するジョハリの窓である。ウは,共同化,表出化,連結化,内面化のプロセスで知識が創造されるとする SECI モデルである。エは,マズローの欲求段階説である。
SL 理論(状況対応リーダーシップ)
ハーシィとブランチャードの SL 理論は,最適なリーダーシップは部下の成熟度によって変わるとする。成熟度が低いと細かく指示する教示的,少し上がると説明して納得させる説得的,さらに上がると意思決定に加える参加的,十分に高いと任せる委任的なスタイルが有効。
教示的
細かく指示
説得的
説明し納得
参加的
決定に加える
委任的
任せる
部下の成熟度 低 → 高
ジョハリの窓・SECI・欲求5段階とは別のもの
部下の成熟度が上がるにつれ,教示的 → 説得的 → 参加的 → 委任的
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
系統図法の活用例はどれか。
ア 解決すべき問題を端か中央に置き,関係する要因を因果関係に従って矢印でつないで周辺に並べ,問題発生に大きく影響している重要な原因を探る。
イ 結果とそれに影響を及ぼすと思われる要因との関連を整理し,体系化して,魚の骨のような形にまとめる。
ウ 事実,意見,発想を小さなカードに書き込み,カード相互の親和性によってグループ化して,解決すべき問題を明確にする。
エ 目的を達成するための手段を導き出し,更にその手段を実施するための幾つかの手段を考えることを繰り返し,細分化していく。 正解
正解 エ
解説
系統図法は,目的を達成するための手段を導き出し,更にその手段を実施するための手段を考える,ということを繰り返して,目的から手段へと樹形図状に展開・細分化していく手法で,新 QC 七つ道具の一つである。エが適切である。
アは,要因の因果関係を矢印でつないで原因を探る連関図法。イは,結果と要因の関連を魚の骨の形に整理する特性要因図。ウは,事実や意見をカードに書いて親和性でグループ化し,問題を明確にする親和図法(KJ 法)の説明である。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
キャッシュフロー計算書において,営業活動によるキャッシュフローに該当するものはどれか。
ア 株式の発行による収入
イ 商品の仕入による支出 正解
ウ 短期借入金の返済による支出
エ 有形固定資産の売却による収入
正解 イ
解説
営業活動によるキャッシュフローは,商品の販売による収入や,商品の仕入,人件費などの支出といった,本業の営業活動に伴う資金の出入りである。イの商品の仕入による支出が該当する。
アの株式の発行による収入と,ウの短期借入金の返済による支出は,資金の調達や返済に伴うもので財務活動によるキャッシュフロー。エの有形固定資産の売却による収入は,設備などの取得や売却に伴うもので投資活動によるキャッシュフローに該当する。
キャッシュフロー計算書の3つの区分
営業活動は本業の資金の出入り(商品の販売による収入,商品の仕入や人件費の支出)。投資活動は設備や有価証券など将来のための資金の出入り(有形固定資産の取得・売却)。財務活動は資金の調達と返済(借入れとその返済,株式の発行,配当の支払)。
区分
主な例
営業活動
商品の販売の収入・仕入や人件費の支出
投資活動
有形固定資産・有価証券の取得と売却
財務活動
借入れと返済・株式の発行・配当
株式の発行は財務,固定資産の売却は投資
本業か,設備・証券か,借入れ・株式か
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
不正競争防止法で禁止されている行為はどれか。
ア 競争相手に対抗するために,特定商品の小売価格を安価に設定する。
イ 自社製品を扱っている小売業者に,指定した小売価格で販売するよう指示する。
ウ 他社のヒット商品と商品名や形状は異なるが同等の機能をもつ商品を販売する。
エ 広く知られた他人の商品の表示に,自社の商品の表示を類似させ,他人の商品と誤認させて商品を販売する。 正解
正解 エ
解説
不正競争防止法は,広く知られた他人の商品等表示と同一又は類似のものを使用して,他人の商品と混同させる行為(周知表示混同惹起行為,第2条第1項第1号)を不正競争として禁止している。エが禁止されている行為である。
アの小売価格を安価に設定する行為は,原価を著しく下回るなどの不当廉売でない限り自由である。イの小売価格を指定して販売させる行為は,独占禁止法が問題とする再販売価格の拘束に当たる。ウの商品名や形状の異なる同等機能の商品を販売する行為は,他人の商品の形態を模倣したものではないので,不正競争防止法では禁止されない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
特定電子メール法における規制の対象に関する説明のうち,適切なものはどれか。
ア 海外の電気通信設備から国内の電気通信設備に送信される電子メールは,広告又は宣伝が含まれていても,規制の対象外である。
イ 携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)は,広告又は宣伝が含まれていれば,規制の対象である。 正解
ウ 政治団体が,自らの政策の普及や啓発を行うために送信する電子メールは,規制の対象である。
エ 取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせなど取引関係に係る通知を含む電子メールは,広告又は宣伝が含まれていなくても規制の対象である。
正解 イ
解説
特定電子メール法は,広告又は宣伝を行うための手段として送信される電子メールを特定電子メールとして規制する。規制の対象となる電子メールには,電子メールアドレスを宛先とするものに加えて,携帯電話の電話番号を宛先とするショートメッセージサービス(SMS)も含まれるので,SMS で広告又は宣伝を送る場合は規制の対象である。イが適切である。
アの海外の電気通信設備から国内に送信される電子メールも,広告又は宣伝が含まれていれば規制の対象である。ウの政治団体が政策の普及や啓発のために送信するメールは,営業の広告又は宣伝ではないので,対象にならない。エの取引関係に係る通知は,広告又は宣伝が含まれていない限り,特定電子メールに当たらない。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
電子署名法に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 電子署名には,電磁的記録ではなく,かつ,コンピュータで処理できないものも含まれる。
イ 電子署名には,民事訴訟法における押印と同様の効力が認められる。 正解
ウ 電子署名の認証業務を行うことができるのは,政府が運営する認証局に限られる。
エ 電子署名は共通鍵暗号技術によるものに限られる。
正解 イ
解説
電子署名法第3条は,本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより,本人だけが行うことができるものに限る)が行われた電磁的記録は,真正に成立したものと推定すると定めている。これは民事訴訟法第228条第4項が,本人の署名又は押印のある私文書について定める推定と同じ働きをするので,イが正しい。
アは,同法第2条が電子署名を電磁的記録に記録できる情報について行う措置と定めているので誤り。ウは,認証業務を政府の認証局に限る規定はなく,民間の事業者も行える(一定の基準を満たすものを国が認定する特定認証業務の制度がある)。エは,法律は特定の暗号技術を要求しておらず,実際に広く使われているのは公開鍵暗号によるものである。
出典:令和3年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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