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応用情報技術者試験

平成23年度 秋期 科目A(午前)

平成23年度 秋期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

x は,0 以上 65,536 未満の整数である。x を16ビットの2進数で表現して上位8ビットと下位8ビットを入れ替える。得られたビット列を2進数とみなしたとき,その値を x を用いた式で表したものはどれか。ここで,a div b は a を b で割った商の整数部分を,a mod b は a を b で割った余りを表す。また,式の中の数値は10進法で表している。

正解 イ

解説

上位8ビットは 256 で割った商(x div 256),下位8ビットは 256 で割った余り(x mod 256)で取り出せる。入れ替えると,元の下位8ビットが上位に,元の上位8ビットが下位になるので,下位8ビットだった値には 256 を掛けて上位の桁に移し,元の上位8ビットの値はそのまま加える。(x div 256)+(x mod 256)×256 となるので,イが正しい。

アは桁を移さずに足しただけで,上位8ビットと下位8ビットの値の和になる。ウは (x div 256)×256+(x mod 256) で元の x そのもの(入れ替わっていない)。エは下位8ビットだった値にも 256 を掛けて足しており,二つの値を同じだけずらすだけで,入れ替えた値にならない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

式 A+B×C の逆ポーランド表記法による表現として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

逆ポーランド表記法(後置記法)では,演算子を被演算子の後ろに書く。A+B×C は乗算を先に行うので,まず B×C を BC× とし,それと A の加算を A(BC×)+ として ABC×+ となる。ウが正しい。

イの ×+ABC は演算子を前に置く前置記法のつもりでも,正しくは +A×BC である。アの +×CBA は正解の並びを逆にしただけで,式として成り立たない。エの CBA+× は C×(B+A) を表し,演算の優先順位が異なる。

A+B×C を式の木にして後置記法にする A+B×C は乗算が先なので,木の根は+で,右の子が B×C。左の子,右の子,自分の順(後行順)にたどると A,B,C,×,+ の順になり,逆ポーランド表記法は ABC×+。 + A × B C 1 2 3 4 5 A B C × +(小さな数字がたどる順番)
左の子 → 右の子 → 自分 の順にたどると後置記法になる

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

符号長7ビット,情報ビット数4ビットのハミング符号による誤り訂正の方法を,次のとおりとする。

受信した7ビットの符号語 x1x2x3x4x5x6x7(xk=0 又は 1)に対して

c0 = x1 +x3 +x5 +x7
c1 = x2+x3 +x6+x7
c2 = x4+x5+x6+x7
(いずれも mod 2 での計算)

を計算し,c0,c1,c2 の中に少なくとも一つは 0 でないものがある場合には,

i = c0+c1×2+c2×4

を求めて,左から i ビット目を反転することによって誤りを訂正する。

受信した符号語が 1000101 であった場合,誤り訂正後の符号語はどれか。

正解 エ

解説

受信語 1000101 は x1=1,x2=0,x3=0,x4=0,x5=1,x6=0,x7=1。

c0=x1+x3+x5+x7=1+0+1+1=3→1,c1=x2+x3+x6+x7=0+0+0+1=1,c2=x4+x5+x6+x7=0+1+0+1=2→0(mod 2)。

i=1+1×2+0×4=3 なので,左から3ビット目を反転する。1000101 の3ビット目 0 を 1 にして 1010101 となる。

ハミング符号 x1〜x7(c0・c1・c2) の誤りの位置 受信した符号 1000101 で各検査式の合計を求めると,c0 は 1,c1 は 1,c2 は 0。合わない式のすべてに含まれ,合う式には含まれないビットは x3 なので,それを反転して 1010101 になる。 x1 1 x2 0 x3 0 x4 0 x5 1 x6 0 x7 1 受信 合計 c0 1 0 1 1 1 ✕ c1 0 0 0 1 1 ✕ c2 0 1 0 1 0 合わない式すべてに入り,合う式に入らない x3 が誤り x3 を反転して 1010101
i = c0 + c1×2 + c2×4 = 1 + 2 + 0 = 3 ビット目を反転する

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

サンプリング周波数 40 kHz,量子化ビット数16ビットで A/D 変換したモノラル音声の1秒間のデータ量は,何 k バイトとなるか。ここで,1k バイトは 1,000 バイトとする。

正解 ウ

解説

サンプリング周波数 40 kHz は,1秒間に 40,000 回標本を取ることを表す。量子化ビット数 16 ビットは1標本が 16 ビット=2バイトなので,モノラル(1チャネル)の1秒間のデータ量は 40,000×2=80,000 バイト=80k バイトになる。ウが正しい。

アの 20 は1標本を 0.5 バイト(4ビット),イの 40 は1標本を 1 バイト(8ビット)としたときの値である。エの 640 は 40×16 で,単位がビット(k ビット)のままバイトに直していない値である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,キー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。

正解 イ

解説

衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。

例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。

x mod n のハッシュ表で衝突する組 n=5 の表に,キーを5で割った余りの箱へ入れる。7 と 2 はどちらも余りが 2 で同じ箱に入り,衝突する。差 7−2=5 が n の倍数なので余りがそろう。1 と 4 は和が5でも余りは1と4で,衝突しない。 h(x) = x mod 5 0 1 1 7 と 2 2 3 4 4 衝突 7 mod 5 = 2,2 mod 5 = 2 → 差 7 − 2 = 5 は 5 の倍数 1 と 4:和は 5 でも余りは 1 と 4(衝突しない) 箱の下の数字が余り(格納位置)
余りが等しい ⇔ 差 a−b が n で割り切れる

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

ヒープソートの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ヒープソートは,未整列の部分をヒープ(親が子より必ず小さい,あるいは必ず大きいという条件を満たす順序木)として構成し,その根から最小値(又は最大値)を取り出して整列済みの部分へ移す,という操作を繰り返す整列法。取り出すたびにヒープを組み直して未整列部分を縮めていく。エが正しい。

アはシェルソート,イはクイックソート,ウはバブルソート(隣接交換法)の説明である。

ヒープとヒープソート ヒープは,親が子より必ず小さい(又は必ず大きい)という条件を満たす2分木。根がいつも最小値になる。ヒープソートは,未整列の部分をヒープにし,根の最小値を取り出して整列済みの部分へ移し,残りをヒープに組み直す,を繰り返す。 1 3 2 7 5 4 8 親 ≦ 子(根が最小) 根の 1 を取り出す 整列済み 1 残りをヒープに 組み直して繰り返す
根から最小値を取り出し,残りを組み直す,を繰り返す

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

n 個の正の整数 x1,x2,…,xn が並んだ線形リストを [x1, x2, …, xn] で表し,空リストは [ ] で表す。次のように再帰的に定義される関数 func(L) を,L=[1, 3, 2] を実引数として呼び出したとき,print 文によって表示される数字はどれか。ここで,プログラム中の=は等号,:=は代入を表す。

〔関数の定義〕

func(L)
begin
    if L = [ ] then return 0;
    A := first(L);
    B := func(butfirst(L));
    C := max(A, B);
    print C;
    return C;
end

正解 エ

解説

func は,リストの先頭 A と,残りのリストに対する func の戻り値 B を比べて大きいほうを C として表示し,C を返す再帰関数である。func([1,3,2]) は func([3,2]) を呼び,func([3,2]) は func([2]) を呼び,func([2]) は func([ ]) を呼ぶ。func([ ]) は 0 を返す。

func([2]) では A=2,B=0 なので C=2 を表示して返す。func([3,2]) では A=3,B=2 なので C=3 を表示して返す。func([1,3,2]) では A=1,B=3 なので C=3 を表示する。表示は 2,3,3 の順で,233 となり,エが正しい。各呼出しが表示する値は,その呼出しが受け取ったリストの要素の最大値で,最も深い呼出しから順に出る。したがって,先頭から 1,2,3 と並ぶ 123(ア)や,1 が表示される 133(イ),最初の2回が同じ 2 の 223(ウ)にはならない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

データが昇順にソートされた配列 X[i](i=0, 1,…, n−1)を2分探索する。流れ図の a に入るものとして,適切なものはどれか。ここで,流れ図の中の割り算は小数点以下を切り捨てるものとする。

2分探索の流れ図。開始,in に探索値を入力,sch←−1,left←0,right←n−1。ループ1は“(sch=−1) and ([ a ])を満たす間,繰り返す”。ループ内で center←(left+right)÷2 とし,X[center] と in を比較する。X[center]<in なら left←center+1,=なら sch←center,>なら right←center−1。ループ1の終わりのあと,sch を表示して終了する。

正解 イ

解説

2分探索では,探索範囲を left〜right として,center が示す要素と探索値 in を比べ,範囲を半分に狭めていく。範囲に要素が1個だけ残った状態は left=right で,この要素もまだ調べていないので,繰返しの条件は left≦right でなければならない。イが正しい。

アの left<right では,範囲が1個になった時点で繰返しが終わり,最後の1個を調べないまま未発見(sch=−1)となる場合が出る。ウの left+1<right と,エの left+1≦right(left<right と同じ)は,さらに早く繰返しを打ち切るので,範囲に2個又は1個の要素が残っていても調べない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

CPU のパイプライン処理を有効に機能させるプログラミング方法はどれか。

正解 ウ

解説

パイプライン処理は,命令の取出しや解読,実行などを段階(ステージ)に分け,複数の命令を重ねて処理する方式である。分岐命令があると,次に実行する命令が分岐先に決まるまで,先に取り込んだ命令を捨てて取り込み直す必要があり,パイプラインの流れが乱れて性能が落ちる。したがって分岐命令を少なくするプログラミングが有効で,ウが正しい。

アの CASE 文や,イの関数の個数が多いこと(呼出しと復帰が分岐を伴う)は,いずれも分岐を増やすので逆効果である。エのメモリアクセス命令を少なくすることは,実行時間を短くする面はあるが,パイプラインの流れを乱す主な原因は分岐なので,パイプラインを有効に機能させる方法としてはウのほうが適切である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

メモリインタリーブの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

メモリインタリーブは,主記憶を幾つかの区画(バンク)に分割し,連続したアドレスを異なる区画に割り当てることで,連続したメモリへのアクセス要求を複数の区画で並行して処理し,アクセスを高速化する方式である。エが適切である。

アはキャッシュメモリから追い出す情報を主記憶に書き戻すライトバック方式の動作。イは主記憶と磁気ディスクのアクセス時間の差を補うディスクキャッシュ。ウは主記憶とキャッシュメモリを同時に更新するライトスルー方式の説明である。

メモリインタリーブ 主記憶を4つのバンクに分け,連続したアドレスを 0 番地はバンク0,1 番地はバンク1,… と順に割り当てる。連続したアドレスを読むとき,バンク0 のアクセスが終わるのを待たずにバンク1・2・3 へのアクセスを始められるので,全体として速く読める。 バンク0 0 番地 4 番地 8 番地 12 番地 バンク1 1 番地 5 番地 9 番地 13 番地 バンク2 2 番地 6 番地 10 番地 14 番地 バンク3 3 番地 7 番地 11 番地 15 番地 0〜3 番地を続けて読むと,アクセスが重なる バンク0 0 番地 バンク1 1 番地 バンク2 2 番地 バンク3 3 番地 時間
連続したアドレスが別々のバンクに入るので,並行して読める

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

プロセッサにデータを読み込むときにキャッシュメモリにヒットしなかった場合,キャッシュメモリ制御装置が行う動作はどれか。

正解 ウ

解説

プロセッサがデータを読み込むときにキャッシュメモリにヒットしなかった(ミスヒット)場合,キャッシュメモリ制御装置は,所要のデータを含むブロックを主記憶から読み出してキャッシュメモリに転送(ブロック転送)し,プロセッサにはそのデータを渡す。ウが正しい。

アはキャッシュメモリの内容を書き戻す動作で,磁気ディスクへ直接書き込むものではない。イは磁気ディスクを相手にしているが,キャッシュメモリの下位は主記憶であり,主記憶を介さずにディスクからは読み込まない。エのディスクキャッシュは主記憶とディスクの間に置くもので,キャッシュメモリ制御装置の動作ではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

プロセッサと複数のメモリとを図のように接続した組込みシステムがある。16進数で表記したアドレス 2F0 番地を読み出したとき,データを出力するメモリはどれか。ここで,デコーダは右の表のとおりに信号出力を行うものとし,データバスなどの信号線は省略している。

プロセッサのアドレスバスの A9 がデコーダの入力 P,A8 が入力 Q に接続され,A7−A0 は4つのメモリ(メモリ1〜4)の A7−A0 に共通に接続されている。デコーダの出力 D̅ はメモリ1,C̅ はメモリ2,B̅ はメモリ3,A̅ はメモリ4 のチップセレクト入力 CS̅(○印付き)に接続されている。デコーダの真理値表は,(P, Q)=(0,0) のとき (A̅, B̅, C̅, D̅)=(1,1,1,0),(0,1) のとき (1,1,0,1),(1,0) のとき (1,0,1,1),(1,1) のとき (0,1,1,1)。

正解 ウ

解説

アドレス 2F0(16進)を2進数で書くと 10 1111 0000 で,上位から A9=1,A8=0 である。デコーダの入力は P=A9=1,Q=A8=0 なので,表より出力は A=1,B=0,C=1,D=1 となる。チップセレクト CS は○印付きの負論理で,0 のときにそのメモリが選ばれ,データを出力する。B はメモリ3に接続されているので,ウが正しい。

アはメモリ1(D が 0 になるのは P=0,Q=0 のとき),イはメモリ2(C が 0 になるのは P=0,Q=1 のとき),エはメモリ4(A が 0 になるのは P=1,Q=1 のとき)で,いずれも今回の入力では選ばれない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

DMA の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

DMA(Direct Memory Access)は,専用の制御回路(DMA コントローラ)が CPU を介さずに,入出力装置と主記憶などの間のデータ転送を行う方式である。転送の間も CPU は別の処理を続けられる。ウが適切である。

アは CPU が入出力装置と主記憶の間のデータの受渡しを自ら行うプログラム制御の転送方式で,DMA ではない。イは入出力装置のレジスタをアドレス空間に割り当てて入出力を行う方式(メモリマップド I/O など)の説明。エは複数の命令の実行ステージを重ねて処理するパイプライン処理の説明である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

RPC(Remote Procedure Call)に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

RPC(Remote Procedure Call)は,ネットワーク上の他のコンピュータにある手続(プロシージャ)を,同じコンピュータ内の手続を呼び出すのと同じ形で呼び出せるようにする仕組みである。呼び出す側は通信の細部を意識せずに済む。エが適切である。

アのように同じ OS のコンピュータ間に限られるものではなく,異なる OS 間でも使える。イは手続群をファイルにして転送するのではなく,手続の呼出しと結果の返却をネットワーク越しに行う。ウのように同一のプログラム言語でなくても,インタフェースを定義して言語の違いを吸収できる。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

現用系と予備系の両方をもつシステムに障害が発生したときの運用に関する記述のうち,ホットスタンバイ方式の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ホットスタンバイは,予備系にも現用系と同じ業務システムを最初から起動しておき,現用系に障害が発生したときに,予備系へ自動的に(又は速やかに)切り替える方式である。切替えに起動の手間がかからないので,復旧が最も速い。アが適切である。

イは,現用系と予備系の区別をせずに両方で処理を分担して並列運用する負荷分散型の構成の説明である。ウは,予備系を平常時は他の処理に使っておき,障害時にその処理を止めて切り替える方式で,切替えのときに業務システムの起動が必要になる。エは,OS だけを起動して待機させ,障害時に業務システムを起動するので,ウォームスタンバイに当たる。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

キャパシティプランニングの活動サイクルは,モニタリング,分析,チューニング,実装から成る。このうち,チューニングを説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

キャパシティプランニングの活動サイクルでは,モニタリングで使用状況を測定し,分析で傾向や問題点を調べ,チューニングで既存システムのパフォーマンスを最適化するための変更箇所を検討して変更策を決め,実装でその変更を実施する。チューニングを説明したのはウである。

アは測定周期や報告時期を決めるモニタリングの計画に当たる。エは業務負荷を測定して傾向を調べる分析に当たる。イは将来の必要資源とその時期を見積もる計画(需要予測に基づく容量計画)で,既存システムの最適化を目的とするチューニングとは目的が異なる。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

ジョブの多重度が1で,到着順にジョブが実行されるシステムにおいて,表に示す状態のジョブ A〜C を処理するとき,ジョブ C が到着してから実行が終了するまでのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。

ジョブ A〜C の到着時刻と処理時間(単独実行時)の表。単位は秒。ジョブ A は到着時刻0・処理時間5,ジョブ B は到着時刻2・処理時間6,ジョブ C は到着時刻3・処理時間3。

正解 ア

解説

多重度 1 で到着順に実行するので,ジョブ A が時刻 0 から 5 まで実行され,その間に到着したジョブ B が 5 から 11 まで,ジョブ C が 11 から 14 まで実行される。ジョブ C は時刻 3 に到着して時刻 14 に終了するので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒であり,アになる。

エの 14 は到着時刻を差し引かずに終了時刻をそのまま答えた値である。イの 12 やウの 13 は,実行の順序や待ち時間を取り違えた値である。

到着順に実行するジョブのターンアラウンドタイム 多重度1で到着順に実行するので,ジョブ A が 0〜5 秒,その間に到着した B が 5〜11 秒,C が 11〜14 秒に実行される。C は 3 秒に到着して 14 秒に終わるので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒。 CPU A B C 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 A着 B着 C着 C のターンアラウンドタイム 14−3=11 秒 秒
ターンアラウンドタイムは「到着してから終わるまで」。待っている時間も含む

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

MTBF が x 時間,MTTR が y 時間のシステムがある。使用条件が変わったので,MTBF,MTTR がともに従来の1.5 倍になった。新しい使用条件での稼働率はどうなるか。

正解 イ

解説

稼働率は MTBF/(MTBF+MTTR) で求められる。MTBF と MTTR がともに 1.5 倍になると 1.5x/(1.5x+1.5y)=x/(x+y) となり,1.5 が約分されて元の稼働率と変わらない。

稼働率は MTBF と MTTR の比だけで決まるため,比が変わらない限り値も変わらない。よってア・ウ・エはいずれも誤り。

MTBF と MTTR が同じ倍率で変わっても稼働率は同じ 稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR)。両方が1.5倍になると 1.5x÷(1.5x+1.5y)=x÷(x+y) で変わらない。稼働率は MTBF と MTTR の比だけで決まるので,稼働率が等しければ MTTR÷MTBF も等しい。ただし MTBF や MTTR そのものが等しいとは限らない。 従来 MTBF x y 稼働 80% 1.5倍 MTBF 1.5x 1.5y 稼働 80% 1.5x ÷ (1.5x + 1.5y) = x ÷ (x + y)
稼働率は比で決まる。帯の長さが変わっても,稼働の割合は同じ

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

タスクのディスパッチの説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ディスパッチは,OS がスケジューリングによって選んだ実行可能状態のタスクに CPU を割り当て,実行権を渡して実行状態にすることである。実行中のタスクから別のタスクに切り替えて実行権を渡すアが適切である。

イの各タスクの実行順序を決定するのはスケジューリング。ウのタスクの実行に必要な内部状態などの情報はコンテキスト(タスク制御ブロックに保持される情報)。エの複数のタスクを同時に実行しているように見せかけることはマルチタスク(時分割処理)の説明である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

三つの資源 X〜Z を占有して処理を行う四つのプロセス A〜D がある。各プロセスは処理の進行に伴い,表中の数値の順に資源を占有し,実行終了時に三つの資源を一括して解放する。プロセス A とデッドロックを起こす可能性のあるプロセスはどれか。

プロセスごとの資源の占有順序の表。プロセス A は資源 X が1,資源 Y が2,資源 Z が3。B は X が1,Y が2,Z が3。C は X が2,Y が3,Z が1。D は X が3,Y が2,Z が1。

正解 イ

解説

デッドロックは,複数のプロセスが資源を異なる順序で確保しようとして,互いに相手が持つ資源の解放を待ち合うことで起こる。逆に,すべてのプロセスが同じ順序で資源を確保すれば待ち合いの輪はできない。

A の占有順序は X→Y→Z。B も X→Y→Z で A と同じ順序なのでデッドロックしない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で,どちらも A と順序が異なるため,A が X を確保して Z を待つ一方で相手が Z を確保して X を待つ,という状況が起こり得る。よって C と D。

資源を占有する順番とデッドロック A は X→Y→Z の順に資源を占有する。B も X→Y→Z で同じ順番なので,待ち合いの輪はできない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で順番が違うので,A が X を持って Z を待ち,相手が Z を持って X を待つ,という状態が起こり得る。 A X → Y → Z B X → Y → Z A と同じ順番 → 大丈夫 C Z → X → Y A と順番が違う → 危ない D Z → Y → X A と順番が違う → 危ない 例:A が X を持って Z を待ち,C が Z を持って X を待つ 答え:C と D
同じ順番なら輪はできない。順番が違う C と D は A とデッドロックし得る

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

デマンドページング方式による仮想記憶の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

デマンドページング方式は,プログラムの実行中に,主記憶に存在しないページへアクセスしてページフォールトが発生したときに,そのページを補助記憶から主記憶に読み込む方式である。必要になったときに初めて読み込むので,主記憶を有効に使える。エが適切である。

アのように,アクセスしたページに連続する後続のページも先に読み込むのは,先読み(プリフェッチ)である。イのように,プログラムで次に必要な手続を指定して読み込むのは,プログラマが指定するオーバレイ方式に近い。ウのように,プログラムと同時にデータ部分も読み込むのでは,必要になるまで読み込まないデマンドページングにならない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

メインプログラムを実行した結果はどれか。ここで,static は静的割当てを,auto は動的割当てを表す。

メインプログラム

auto int x, y;
x = f(2) + f(2);
y = g(2) + g(2);

関数 f(u)

auto int u;
auto int v = 1;
v = v + u;
return v;

関数 g(u)

auto int u;
static int v = 1;
v = v + u;
return v;

正解 イ

解説

関数 f では v が auto(動的割当て)で,呼び出すたびに v=1 に初期化される。f(2) は 1+2=3 を返すので,x=f(2)+f(2)=3+3=6 である。

関数 g では v が static(静的割当て)で,初期化は最初の呼出し時の1回だけで,値は呼出しをまたいで保持される。1回目の g(2) は v=1+2=3 を返し,2回目の g(2) は v=3+2=5 を返すので,y=3+5=8 となる。x=6,y=8 で,イが正しい。y を 6 としたもの(ア,ウ)は g の v が毎回初期化されると誤解した場合,x を 8 としたもの(ウ,エ)は f の v が保持されると誤解した場合の値である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

LSI の故障メカニズムの一つである ESD(Electrostatic Discharge)破壊の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ESD(Electrostatic Discharge)は静電気放電のことで,帯電した人や物から LSI に静電気が放電され,高電圧や過大な電流で半導体素子(ゲート酸化膜など)が破壊される現象を ESD 破壊という。ウが適切である。

アは機械的ストレスによる配線の断線で,ストレスマイグレーションなどに近い。イは寄生サイリスタが導通して大電流が流れ続けるラッチアップである。エは過大な電流が流れ続けることによる配線の断線で,エレクトロマイグレーションなどによる故障である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S を一旦 0 にした後,再び1に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。

上段は入力 S と,下段の AND 素子の出力を取り込む側の入力を持つ AND 素子と NOT 素子(○印)が直列につながり,その出力が X。下段は入力 R と,上段の NOT 素子の出力 X を取り込む AND 素子と NOT 素子が直列につながり,その出力が Y。X は下段の AND 素子の入力へ,Y は上段の AND 素子の入力へ,たすき掛けにフィードバックされている。

正解 ウ

解説

X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。

S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。

ラッチ回路の値の移り変わり X=¬(S・Y),Y=¬(R・X) の回路。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で安定している。S を0にすると X=¬(0・Y)=1 になり,続いて Y=¬(1・1)=0 になる。S を1に戻しても Y=0 なので X=¬(1・0)=1 のままで,X=1,Y=0 が保たれる。 S R X Y S R X Y 1 1 0 1 0 1 1 0 1 1 1 0 初め: S を0に: S を1に戻す: X=¬(1・1)=0,Y=¬(1・0)=1 で安定 X=¬(0・1)=1 → Y=¬(1・1)=0 X=¬(1・0)=1 のまま(保持)
S を一度0にすると状態が入れ替わり,1に戻してもそのまま保たれる

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

マイクロプロセッサの省電力対策に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

CMOS で作ったプロセッサは,論理が反転するときに充放電のための電流が流れて電力を消費するので,消費電力はおおむね動作周波数に比例する。動作周波数を低くすれば論理反転の回数が減り,消費電力を少なくできる。イが適切である。

アはバイポーラ素子のほうが,常に電流が流れるので消費電力が大きく,CMOS が省電力である。ウのクロックゲーティングは,使わない回路へのクロック供給を止めて消費電力を減らす方式で,電圧供給を止めるのは電源遮断(パワーゲーティング)である。エのように動作電圧を高くすると,消費電力は電圧の2乗に比例して増える。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

フールプルーフに該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

フールプルーフは,利用者が誤った操作をしても,システムが不適切な動作をしないように,あらかじめ誤りを起こせない仕組みにしておく考え方である。使用権限のない機能をメニュー画面から実行できないようにしておけば,誤って実行することを防げるので,ウが該当する。

アの更新対象データのコピーの保存とイの入力の取消し操作は,誤りが起きた後に元に戻すための対策。エの操作内容のログの保存は,誤りや不正を後から追跡するための対策で,いずれも誤りそのものを起こさせない仕組みではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

自然言語の解析などのために,文学作品,会話,新聞記事などの大量の文章を蓄積したテキストデータベースはどれか。なお,生の文章そのものを収集したもの,文法的情報を付加したもの,意味的情報を付加したものなど様々な形態がある。

正解 イ

解説

自然言語の解析などのために,文学作品,会話,新聞記事などの大量の文章を蓄積したテキストデータベースを,コーパスという。生の文章だけのもの,文法的情報や意味的情報を付加したものなどがある。イが正しい。

アのアーカイブズは,記録や文書を保存する施設,又は保存された資料である。ウのシソーラスは,類義語や上位・下位の関係などを整理した用語の辞書である。エのハイパテキストは,文書中の語句にリンクを付けて,他の文書と相互に参照できるようにしたものである。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

表の所有者が,SQL 文の GRANT を用いて設定するアクセス権限の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

SQL の GRANT 文は,表の所有者が他の利用者に対して,その表に対する問合せ(SELECT),更新(UPDATE),追加(INSERT),削除(DELETE)などの操作を許可するために使う。エが適切である。

アのパスワードを設定してデータベースへの接続を制限するのは,利用者の登録と認証の機能である。イのビューによって表への直接のアクセスをできないようにするのは,CREATE VIEW 文で作るビューの役割で,GRANT 文はそのビューや表への権限を与えるために使う。ウの表のデータの暗号化は,DBMS やストレージの暗号化機能で行うもので,GRANT 文の機能ではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

価格設定年月日に NULL を含む“商品”表に対して,次の問合せを行った。この検索結果の行数は幾つか。

SELECT 商品コード FROM 商品 WHERE 価格設定年月日<'2011-12-01'
“商品”表。列は商品コード,商品名,価格,価格設定年月日。S001 ボールペン 150 2009-12-31,S002 消しゴム 80 2008-03-31,S003 蛍光ペン 0 NULL,S004 定規 300 2011-12-01。
商品

正解 イ

解説

WHERE 句の条件“価格設定年月日<'2011-12-01'”を満たす行を数える。S001 の 2009-12-31 と S002 の 2008-03-31 は条件を満たす。S004 の 2011-12-01 は等しいので“より小さい”を満たさない。

S003 の価格設定年月日は NULL で,NULL との比較の結果は真でも偽でもない“不明”になり,WHERE 句では真のときだけ行が選ばれるので,検索結果に含まれない。したがって行数は2で,イが正しい。NULL を小さい値とみなすと3(ウ)と誤る。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

更新可能なビューを作成する SQL 文はどれか。ここで,SQL 文中に現れる表は全て更新可能とする。

正解 ア

解説

更新可能なビューは,ビューの 1 行が表の 1 行に対応していて,ビューへの更新を表に反映できるものである。アは表の列を選択し,WHERE 句で行を絞っただけなので,各行が表の行と 1 対 1 に対応し,更新可能である。

イは DISTINCT で重複を除いており,ビューの 1 行が複数の行をまとめたものになる。ウは GROUP BY と SUM で集計しており,エは AVG で集計している。集計や重複の除去を行うビューは,更新したい行を表の中で特定できないので,更新できない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

導出表を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

導出表は,SQL の問合せ(SELECT 文)によって得られる表である。実際にデータが格納されている表(実表,基底表)から,選択・射影・結合などの操作で導き出されるもので,ビューも導出表の一種である。ウが正しい。

アは,他の表に依存せずにデータを格納する実表(基底表)の説明である。イのように実表の一部を複写して別に保存した表は,導出表ではなく複製である。エの二つ以上の実表の関連は,表と表の間の関係(リレーションシップ)の説明である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

“部品”表のメーカコード列に対し,B+木インデックスを作成した。これによって,検索の性能改善が最も期待できる操作はどれか。ここで,部品及びメーカのデータ件数は十分に多く,メーカコードの値は均一に分散されているものとする。また,ごく少数の行には,メーカコード列に NULL が設定されている。

正解 ウ

解説

B+木インデックスは,キー値の順に並んだ構造なので,一致検索だけでなく,範囲を指定した検索でも,範囲の先頭を探して順にたどるだけで済む。メーカコードの値は種類が十分に多く均一に分散しているので,4001以上4003以下の部品は全体のごく一部であり,インデックスによる検索の性能改善が最も期待できる。ウが正しい。

アの“1001 以外”とイの“1001 でも 4001 でもない”は,条件に合う行がほとんど全ての行になるので,インデックスを使っても表全体を読むのとほとんど変わらず,改善が期待できない。エの“NULL 以外”も,NULL の行はごく少数なので,ほぼ全行が対象になり効果が小さい。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

元のデータベースと同じ内容の複製データベースをあらかじめ用意しておき,元のデータベースの更新に対し,非同期にその内容を複製データベースに反映する手法はどれか。

正解 エ

解説

レプリケーションは,元のデータベースと同じ内容の複製データベースを用意し,元のデータベースの更新内容を非同期に(又は同期して)複製データベースに反映する手法である。エが正しい。

アの2相コミットメントは,分散データベースで複数のサイトの更新を全て確定するか全て取り消すかにそろえる手法で,複製を作るものではない。イのクラスタリングは,複数のコンピュータを連携させて一つのシステムとして動かし,可用性や性能を高める手法。ウのミラーリングは,同じデータを複数のディスクに同時に書き込む手法で,更新を同期して反映する。

レプリケーションとミラーリング レプリケーションは,元のデータベースと同じ内容の複製を用意し,元の更新を非同期に(又は同期して)複製に反映する。ミラーリングは同じデータを複数のディスクに同時に書き込む(同期)。2相コミットは複数のサイトの更新を全て確定するか全て取り消すかにそろえる手法で,複製を作るものではない。 元の DB 更新を受け付ける 非同期に反映 複製の DB 同じ内容 レプリケーション:更新を複製へあとから反映(エ) ミラーリング:複数のディスクに同時に書く(同期) 2相コミット:複数サイトの更新を全部確定か全部取消しに
元の更新を,あとから複製に反映する(非同期)

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

10M ビット/秒の LAN で接続された4台のノード(A,B,C,D)のうち,2組(A と B,C と D)のノード間でそれぞれ次のファイル転送を行った場合,LAN の利用率はおよそ何%か。ここで,転送時にはファイルの大きさの 30%に当たる各種制御情報が付加されるものとする。また,LAN ではリピータハブが使用されており,更に衝突は考えないものとする。

正解 エ

解説

1 回の転送で流れるデータは,ファイル 1,000 バイトに 30%の制御情報を加えた 1,300 バイト,すなわち 1,300 × 8 = 10,400 ビットである。1 組が毎秒 60 回転送するので 10,400 × 60 = 624,000 ビット/秒となり,2 組ではその 2 倍の 1,248,000 ビット/秒,約 1.25M ビット/秒になる。

LAN の伝送速度は 10M ビット/秒なので,利用率は 1.25 ÷ 10 = 0.125,およそ 12%でエが正しい。リピータハブは受け取った信号を全てのポートに流すので,A と B,C と D の通信は同じ伝送路を分け合うことになり,2 組分を足して計算する。スイッチングハブなら組ごとに経路が分かれるので,1 組分の約 6%(イ)になる。

リピータハブの LAN の利用率(2組の転送) 1回の転送は 1,000 バイトに 30%の制御情報を足して 1,300 バイト=10,400 ビット。1組が毎秒 60 回なので 624,000 ビット/秒。リピータハブは受けた信号を全てのポートに流すので,2組は同じ伝送路を分け合い,合わせて約 1.25M ビット/秒。10M ビット/秒に対して約 12%。スイッチングハブなら組ごとに経路が分かれ,1組分の約 6%になる。 リピータハブ(全てのポートに流れる) A B C D 1 回:1,000 × 1.3 = 1,300 バイト = 10,400 ビット 1 組:10,400 × 60 回 = 624,000 ビット/秒 2 組(A と B,C と D):× 2 ≒ 1.25M ビット/秒 利用率 = 1.25 ÷ 10 ≒ 12%(エ) スイッチングハブなら経路が分かれて約 6%(イ)
リピータハブでは2組分を足す:1.25M ÷ 10M ≒ 12%

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

ルータの機能に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ルータは,OSI 基本参照モデルのネットワーク層で動作し,パケットの宛先 IP アドレスを見て経路表からデータの転送経路を決定する。データリンク層より下の伝送媒体やアクセス制御方式が異なるネットワーク同士も接続できる。エが適切である。

アの MAC アドレステーブルによってポートへの中継を判断するのはスイッチングハブ(ブリッジ)。イのデータリンク層でネットワーク同士を接続するのはブリッジ。ウのトランスポート層からアプリケーション層までの階層でプロトコル変換を行うのはゲートウェイの説明である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

電子メールの内容の機密性を高めるために用いられるプロトコルはどれか。

正解 エ

解説

S/MIME は,電子メールの本文や添付ファイルを暗号化したり,ディジタル署名を付けたりするための標準で,電子メールの内容の機密性を高めるのに用いられる。エが正しい。

アの IMAP4 とイの POP3 は,メールサーバから電子メールを受信するためのプロトコル。ウの SMTP は,電子メールを送信・転送するためのプロトコルで,いずれも内容を暗号化する機能はもたない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

IP の上位プロトコルとして,コネクションレスのデータグラム通信を実現し,信頼性のための確認応答や順序制御などの機能をもたないプロトコルはどれか。

正解 エ

解説

UDP は,トランスポート層で IP の上に位置し,コネクションを確立せずにデータグラムを送るプロトコルである。確認応答,再送,順序制御などの機能をもたない代わりに処理が軽く,リアルタイム性が求められる音声や動画,DNS の問合せなどに使われる。エが正しい。

ウの TCP はコネクション型で,確認応答や順序制御,再送制御によって信頼性を確保する。アの ICMP は IP の通信のエラー通知や診断(ping など)に使うネットワーク層のプロトコルで,データグラム通信を提供するものではない。イの PPP は2点間を接続するデータリンク層のプロトコルで,IP より下位にある。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

ディジタル署名を生成するときに,発信者がメッセージのハッシュ値をディジタル署名に変換するのに使う鍵はどれか。

正解 エ

解説

ディジタル署名では,発信者が自分だけがもつ秘密鍵でメッセージのハッシュ値を暗号化して署名を生成し,受信者は発信者の公開鍵で署名を検証する。秘密鍵を持っているのは発信者本人だけなので,署名が本人によって作られたことを確かめられる。エが正しい。

ウの発信者の公開鍵は署名の検証に使う鍵である。アとイの受信者の鍵は,受信者あてにメッセージを暗号化して秘密にする場合に使うもので,ディジタル署名の生成には使わない。

ディジタル署名の作り方と確かめ方 送信者は文書のハッシュ値を求め,自分の秘密鍵で変換して署名を作り,文書に付けて送る。受信者は署名を送信者の公開鍵で戻し,受け取った文書から自分で求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書は書き換えられておらず,送信者の秘密鍵で作られたと分かる。暗号化とは鍵の使い方が逆になる。 送信者 受信者 文書 ハッシュ関数 ハッシュ値 送信者の秘密鍵 署名 文書 ハッシュ ハッシュ値 =? ハッシュ値 署名 送信者の公開鍵 一致 → 書き換えられていない・送信者が作った(否認防止) 署名:送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる 暗号化:受信者の公開鍵で暗号化し,受信者の秘密鍵で戻す
署名は送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる(暗号化と逆)

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

フィッシング(phishing)による被害はどれか。

正解 エ

解説

フィッシング(phishing)は,金融機関や有名企業などを装った電子メールや偽の Web サイトで利用者を誘導し,ID,パスワード,クレジットカード番号などの個人情報を入力させて詐取する行為である。“本人情報の再確認が必要”という電子メールの URL にアクセスして個人情報を入力して詐取された例は,エが該当する。

アは,広告を表示するアドウェアの被害である。イは,多数のコンピュータから一斉にパケットを送りつけるDDoS 攻撃(分散型サービス不能攻撃)である。ウは,添付ファイルに仕込まれたコンピュータウイルスやワームなどのマルウェアによる被害である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

クライアントと Web サーバの間において,クライアントが Web サーバに送信するデータを検査して,SQL インジェクションなどの攻撃を遮断するためのものはどれか。

正解 イ

解説

WAF(Web Application Firewall)は,クライアントと Web サーバの間に置き,クライアントから Web サーバへ送られる HTTP の通信内容を検査して,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの Web アプリケーションへの攻撃を検知・遮断する。イが正しい。

アの SSL-VPN 機能は,SSL/TLS を使って遠隔から安全に社内ネットワークへ接続する機能である。ウのクラスタ構成は,複数のサーバを連携させて可用性や処理能力を高める構成である。エのロードバランシング機能は,複数のサーバに処理を分散する機能で,どれも通信の内容を検査して攻撃を遮断するものではない。

IDS・IPS・WAF の置き場所と,誤検知・見逃し IPS は通信の通り道(インライン)に置き,不正な通信を見つけたら止める。IDS はスイッチのミラーポートから通信のコピーを受け取って監視し,見つけたら知らせる。WAF は Web サーバの手前に置き,HTTP の中身を見て Web アプリケーションへの攻撃を防ぐ。正常な通信を攻撃と判定するのが誤検知(フォールスポジティブ),攻撃を見逃すのがフォールスネガティブ。 インターネット FW IPS スイッチ IDS コピー 通り道に置く 止められる コピーを見る 知らせるだけ WAF Web HTTP の中身を見る 検知した 検知しない 実際は攻撃 正しく検知 見逃し フォールスネガティブ 実際は正常 誤検知 フォールスポジティブ 正しく通す
IPS は止められるが,誤検知すると正常な通信まで止まる

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

パケットフィルタリング型ファイアウォールのフィルタリングルールを用いて,本来必要なサービスに影響を及ぼすことなく防げるものはどれか。

正解 ア

解説

パケットフィルタリング型ファイアウォールは,パケットのヘッダにある IP アドレスやポート番号などを見て通過の可否を判断する。外部に公開しないサービスのポート番号宛てのパケットを遮断すれば,公開している必要なサービスに影響を与えずに,そのサービスへのアクセスを防げる。アが適切である。

イの脆弱性を突く攻撃は,公開しているサービスの正規のポートへの通信に紛れて届くので,ヘッダの情報だけでは区別できない。ウのマクロウイルスは電子メールの添付ファイルの中身にあり,パケットのヘッダでは判断できない。エの電子メール爆弾も正規のメールの通信として届くので,メールサービスを止めずに遮断することはできない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

ブルートフォース攻撃に該当するものはどれか。

正解 ア

解説

ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)は,パスワードとして考えられる文字のあらゆる組合せを順に試して,ログインを試みる攻撃である。アが該当する。

イのキー入力を記録して外部に送信するのはキーロガー。ウの正当な利用者のログインシーケンスを記録してそのまま送信するのはリプレイ攻撃。エの認証後のセッション情報を盗むのはセッションハイジャックである。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

UML のユースケース図で,システムと相互作用する外部システムはどれか。

正解 ア

解説

UML のユースケース図で,システムと相互作用する外部の人や外部システムなどを,アクタという。ユースケース(システムが提供する機能)を利用する側の役割を表す。アが正しい。

イのインスタンスは,クラスから生成された実体(オブジェクト)である。ウのトリガは,状態遷移などで動作や処理を引き起こすきっかけ(イベント)である。エのリンクは,オブジェクト(インスタンス)同士の関連の実体を表す。いずれもシステムと相互作用する外部システムを表すものではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

内部設計書のデザインレビューを実施する目的として,最も適切なものはどれか。

正解 ア

解説

内部設計は,外部設計で決めた仕様を,システムの内部でどのように実現するかを設計する工程である。そのデザインレビューでは,内部設計書が外部設計書と矛盾なく一貫しているか,さらにその上流の要件定義の内容を満たしているかを検証する。前工程の成果物との整合性を確かめ,欠陥を次工程に持ち込まないことが目的である。アが最も適切である。

イの設計記述規約の遵守や標準化の見直しは,記述の形式面の点検や組織の標準の改善であり,内部設計の内容の検証が主目的ではない。ウの要件定義の妥当性評価と外部設計指針の見直しは,要件定義や外部設計の段階のレビューで行うことである。エのデータ項目の確認と物理データ構造の決定は,内部設計の作業そのものであり,レビューの目的ではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

オブジェクト指向プログラムにおいて,実行時にメッセージとメソッドを関連付けることを何と呼ぶか。

正解 エ

解説

オブジェクト指向プログラムにおいて,実行時にメッセージ(呼出し)とそれを処理するメソッドを関連付けることを,動的結合(動的束縛)という。メッセージの送り先のオブジェクトの種類に応じて,実行時に呼び出すメソッドが決まる。エが正しい。

アのカプセル化は,データとそれを扱う手続(メソッド)をまとめ,内部を隠蔽することである。イの静的結合は,メソッドの関連付けをコンパイル時などの実行前に行うことである。ウの多重継承は,一つのクラスが複数のクラスの性質を継承することである。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

表は,あるソフトウェアにおける品質特性の測定方法と受入れ可能な基準値を示している。a〜c に入る品質特性の組合せはどれか。

品質特性ごとの測定方法と受入れ可能な基準値の表。機能性:必須な要求仕様のうち,ソフトウェアで実現できた仕様の割合,100%。a:特定の機能の使い方を学ぶのに必要となる時間,10分未満。b:識別された類似の変更に対して変更が必要となるモジュール数,1モジュール。c:システムに処理を要求してから,応答が返ってくるまでの時間,5秒未満。信頼性:特定の運用期間中の停止時間,年間8時間以内。移植性:他の OS 上で動作させるために再コンパイルが必要なモジュール数,6モジュール未満。

正解 エ

解説

品質特性の測定方法を表と照らす。a は特定の機能の使い方を学ぶのに必要な時間なので,使用性(学習のしやすさ)。b は類似の変更に対して変更が必要なモジュール数なので,保守性(変更のしやすさ)。c はシステムに処理を要求してから応答が返るまでの時間なので,効率性(時間効率性)である。a:使用性,b:保守性,c:効率性で,エが正しい。

アは a を効率性,b を使用性,c を保守性とし,イは a と c が入れ替わり b が保守性,ウは b を効率性,c を保守性とした組合せで,いずれも測定方法と品質特性が合わない。品質特性の分類は ISO/IEC 9126(JIS X 0129-1)に基づく。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

ブラックボックステストにおけるテストケースの設計に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ブラックボックステストは,プログラムの内部構造を考慮せず,仕様書に記述された機能に基づいて,入力と出力の関係が正しいかを確認するテストである。プログラムが果たすべき機能を仕様書で調べてテストケースを設計するウが適切である。

エのプログラムの全命令が少なくとも1回は実行されるように設計するのは,内部構造に着目するホワイトボックステストの命令網羅である。アの無作為な抽出やイの使用頻度が高い実データの抽出だけでは,仕様の境界値や異常な入力を網羅的に確かめることができない。

同値分割と限界値分析 1ページに30件ずつ印字するプログラムの例。印字件数を,0件,1〜30件(1ページ),31件以上(2ページ以上)の同値クラスに分ける。同値分割では各クラスから代表の値(例えば15件,45件)を1つずつ選ぶ。限界値分析では誤りの多い境目の値,0件・1件・30件・31件を選ぶ。 1〜30件(1ページ) 31件〜(2ページ以上) 0件 0 1 30 31 15 45 限界値分析:境目の両側 0・1・30・31 同値分割:各グループの代表(15,45 など) 印字する件数
同値分割は各グループの代表,限界値分析は境目の両側を選ぶ

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

共通フレーム 2007 の妥当性確認プロセスで実施する,負荷テストはどれか。

正解 イ

解説

負荷テストは,想定している最大の件数や頻度のデータを入力しても,システムが意図したとおりに(性能要件を満たして)処理できるかを確認するテストである。単位時間当たりの最大件数のデータを入力して処理を確かめるイが該当する。

アは,既存システムを新システムに置き換える際に,以前と同様に処理できるかを確かめる移行(並行稼働)に関するテスト。ウは,複数の異なる構成で正常に動作するかを確かめる互換性(環境)のテスト。エは,利用者がスムーズに操作できるかを確かめる操作性(ユーザビリティ)のテストで,いずれも負荷を掛けるテストではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

知的財産権戦略として,特許化されていない技術を特許出願せずにノウハウとして秘匿することが適切な例はどれか。

正解 イ

解説

特許を出願すると,その内容は公開される。セキュリティ分野のソフトウェアでアルゴリズムを公開すると,その仕組みを知った攻撃者に破られる手掛かりを与えるおそれがあるので,特許出願せずにノウハウとして秘匿するのが適切である。イが該当する。

アの社内の秘密保持体制を構築できない場合は,秘密が漏れて他社に先に権利化されるおそれがあるので,特許出願して権利を確保するほうがよい。ウのライセンス収入を得たい場合は,特許権を取得して使用許諾するのが適している。エのリバースエンジニアリングで技術が容易に明らかになる場合は,秘匿しても守れないので特許で保護するほうがよい。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

プロジェクトの工程管理や進捗管理に使用されるガントチャートの特徴はどれか。

正解 ア

解説

ガントチャートは,縦に作業を並べ,横軸の時間に沿って各作業の予定期間を横棒で表す図である。各作業をいつ始めていつ終えるかが一目で分かり,実績の棒を重ねれば進捗も把握できる。アが正しい。

一方で,ガントチャートでは作業間の前後関係が表しにくいので,イのクリティカルパスの把握や,ウの各作業の余裕日数の把握には,アローダイアグラム(PERT 図)が適している。エの作業を要素に分解して管理しやすくするのは WBS の特徴である。

ガントチャートとアローダイアグラム ガントチャートは作業ごとの予定と実績の期間を横棒で示し,進み具合は一目で分かるが,作業どうしの前後関係(どの作業が終わったら次を始められるか)は表しにくい。アローダイアグラムは作業の前後関係を矢印でつなぐので,クリティカルパスや余裕が分かる。 ガントチャート A B C 前後関係は分からない アローダイアグラム A B C 前後関係とクリティカルパス 進捗の見やすさはガントチャートが上
期間はガントチャート,前後関係はアローダイアグラム

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

表は,あるプロジェクトの日程管理表であり,図は,各作業の工程と標準日数を表している。このプロジェクトの完了日程を3日間短縮するためには,追加費用は最低何万円必要か。

左は日程管理表。作業 A は標準日数5日・短縮可能日数2日・1日短縮する追加費用2万円,B は10日・4日・3万円,C は6日・2日・4万円,D は3日・1日・5万円,E は5日・2日・6万円。右はアローダイアグラム。開始のノードから A(5日)で上のノード,B(10日)で下のノードへ進む。上のノードから C(6日)で終了のノード,D(3日)で下のノードへ進む。下のノードから E(5日)で終了のノードへ進む。

正解 イ

解説

経路は A→C(11日),A→D→E(13日),B→E(15日)の三つで,クリティカルパスは B→E の15日である。これを12日にする。まず1日当たりの費用が最も安い B を1日縮めると(3万円),B→E が14日。もう1日 B を縮めると(3万円),B→E と A→D→E がともに13日になる。最後の1日は両方の経路を縮める必要があり,E を縮める(6万円)か,B と A を1日ずつ縮める(3+2=5万円)かのうち安い後者を選ぶ。合計は 3+3+5 = 11万円で,イが正しい。

アの9は,B を3日縮めるだけで済むと考えた値で,このとき A→D→E が13日のまま残り,12日にならない。ウの12は,最後の1日に E を縮めた(3+3+6)値,エの14は,E を縮めることから始めた場合などの値で,いずれも最低ではない。

所要期間を3日縮める最も安い方法 経路は A→C(11日),A→D→E(13日),B→E(15日)。15 日を 12 日にする。1日目と2日目は,B→E 上で最も安い B(3万円)を縮めて 13 日に。このとき A→D→E も 13 日なので,3日目は両方を縮める必要があり,E(6万円)より B と A を1日ずつ(3+2=5万円)が安い。合計 11 万円。 A 5 B 10 D 3 C 6 E 5 0 / 0 5 / 7 10 / 10 15 / 15 3+3+5 = 11 万円 B,B,A と B の順に縮める
2本の経路が同じ長さになったら,両方を縮める組合せで比べる

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

アプリケーションにおける外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会の五つの要素の個数を求め,それぞれを重み付けして集計する。集計した値がソフトウェア開発の規模に相関するという考え方に基づいて,開発規模の見積りに利用されるものはどれか。

正解 エ

解説

ファンクションポイント法は,アプリケーションの外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会の五つの要素の個数を数え,複雑さに応じて重み付けして集計した値(ファンクションポイント)がソフトウェアの規模に相関するという考え方で,開発規模を見積もる手法である。エが正しい。

アの COCOMO は,プログラムの規模(ステップ数)から開発工数を見積もるモデル。イの Doty モデルもプログラムの規模(ステップ数)から工数を算出するモデル。ウの Putnam モデルは,開発規模と期間,工数の関係をソフトウェアの生産性を表す方程式でとらえるモデルで,いずれも五つの要素の個数を数える方法ではない。

ファンクションポイント法の5つの機能 アプリケーションの境界の内側で管理するデータが内部論理ファイル(ILF),外部のアプリケーションが管理し参照だけするデータが外部インタフェースファイル(EIF)。境界を越えるやり取りは,データを入れて更新する外部入力(EI),計算や加工をして出す外部出力(EO),そのまま取り出して見せる外部照会(EQ)。 アプリケーションの境界 ILF 内部論理ファイル EIF 外部のファイル 利用者 EI 入力 利用者 EO 出力 EQ 照会 参照
データ2種(ILF・EIF)と,境界を越える処理3種(EI・EO・EQ)

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

必要とされる技術力をもっていない要員が複数いて,プロジェクトの遂行に支障を来すおそれがあるときの教育方針として,最も適切なものはどれか。

正解 イ

解説

技術力が足りない要員が複数いてプロジェクトの遂行に支障を来すおそれがあるときは,要員ごとに技術力の不足している点が違うので,個々の技術力に応じて,受講させる集合研修や OJT の内容を変えて教育するのが最も適切である。イが該当する。

アは,技術力の低い要員に合わせた研修を全員に受けさせるので,技術力の高い要員には無駄になる。ウは,開催日時と時間的余裕で受講者を決めるので,必要な教育が行われない。エは,プロジェクトの完了後に教育するので,プロジェクト遂行中の支障を防げない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

SLA を策定する際の方針のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

SLA(サービスレベル合意書)では,顧客が求めるサービスの水準と,それを実現するために必要なコストとの兼ね合いを考え,双方が合意できる現実的なサービスレベルを設定する。イが適切である。

アの考えられる全ての項目に対して設定すると,管理の負担やコストが過大になるので,重要な項目に絞って設定する。ウの全ての項目にペナルティとしての補償を設定する必要はない。エは誤りで,サービスレベルは業務の変化などに応じて定期的に見直す必要がある。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

IT サービスマネジメントの変更管理プロセスにおける変更要求の扱いのうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

変更管理プロセスでは,変更要求を受け付けたら,承認されたかどうかにかかわらず記録し,その後の評価,承認,実装,レビューの状況を追跡できるようにする。承認されなかった変更要求も記録しておくことで,変更要求を漏れなく管理できる。ウが適切である。

アの緊急の変更要求であっても,影響範囲などのアセスメントは必要で,緊急変更の手順に従って速やかに評価する。イの顧客からの変更要求でも,無条件に優先するのではなく,影響や緊急度を評価して優先度を決める。エの法改正への対応であっても,変更に要するコストは見積もって評価する必要がある。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

TCO の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

TCO(Total Cost of Ownership)は,情報システムの導入から運用管理までを含んだ総コストのことである。ハードウェアやソフトウェアの購入費だけでなく,運用,保守,教育,管理などにかかる費用も含めて,所有・使用にかかる総額で評価する。イが適切である。

アの開発コストとハードウェアのコストだけ,ウの導入・稼働させるまでのコスト(初期費用)だけでは,運用管理の費用が含まれない。エのハードウェアのコストとテクニカルサポートに要するコストだけでも,ソフトウェアなど他の費用が含まれず,総コストにならない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

ソフトウェアの資産管理に対する監査のチェックポイントとして,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ソフトウェアの資産管理は,保有するソフトウェアのライセンスを適正に管理し,ライセンス違反を防ぐことが主な目的である。ライセンス証書などの権利を証明するエビデンスが保管されているかは,監査の重要なチェックポイントになる。イが適切である。

アは調達や契約の段階での保守サポート体制の確認,ウはデータベースの分割による障害の局所化で,システムの設計や可用性の観点である。エの導入時に既存システムとの整合性を評価するのは,導入時の評価であって,ソフトウェアの資産管理(保有状況やライセンスの管理)に対する監査のチェックポイントではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

ドキュメント管理において,稼働しているシステムの仕様とドキュメントの内容が一致しないリスクを低減するコントロールのチェックポイントはどれか。

正解 エ

解説

稼働しているシステムの仕様とドキュメントの内容が一致しなくなるのは,プログラムを変更したのにドキュメントを更新しないことが主な原因である。プログラムを変更したら遅滞なくドキュメントを更新していることは,このリスクを低減するコントロールのチェックポイントになる。エが該当する。

アのドキュメント一覧をあらかじめ決めておくことと,イのドキュメント作成計画に基づく進捗管理は,開発時にドキュメントを漏れなく作成するためのもので,稼働後の変更への追従を確かめるものではない。ウのドキュメントの機密性の確保は,情報漏えいのリスクへの対策である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

販売管理システムにおいて,起票された受注伝票が漏れなく,重複することなく入力されていることを確かめる監査手続のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。

アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

情報化投資計画において,投資価値の評価指標である ROI を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割った比率。投じた資金がどれだけの利益を生んだかを表す。

イはベンチマーキング,ウは NPV(正味現在価値)の説明。エは投資評価の指標ではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

エンタープライズアーキテクチャに関する図中の a に当てはまるものはどれか。ここで,網掛けの部分は表示していない。

エンタープライズアーキテクチャの4層の図。上から,網掛けの部分(表示していない)の“アーキテクチャ”=業務機能の構成,網掛けの“アーキテクチャ”=業務機能に使われる情報の構成,[ a ]“アーキテクチャ”=業務機能と情報の流れをまとめたサービスの固まりの構成,網掛けの“アーキテクチャ”=各サービスを実現するためのハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなどの構成。

正解 ア

解説

エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネスアーキテクチャ(業務機能の構成),データアーキテクチャ(業務に使われる情報の構成),アプリケーションアーキテクチャ(業務機能と情報の流れをまとめたサービスの固まりの構成),テクノロジアーキテクチャ(各サービスを実現するハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなどの構成)の四つの体系で整理する。a は3番目で,アのアプリケーションが当てはまる。

イのデータは2番目,ウのテクノロジは4番目,エのビジネスは1番目の,網掛けで表示していない部分に入る。

エンタープライズアーキテクチャ(EA)の4つの体系 EA は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の4つの体系で整理する。それぞれの現状(As-Is)と理想(To-Be)を描き,その差を埋める移行計画で全体最適を図る。 現状(As-Is) 理想(To-Be) ビジネス 政策・業務体系 データ データ体系 アプリケーション 適用処理体系 テクノロジ 技術体系 差を埋める移行計画
4つの体系ごとに現状と理想を描き,移行計画を立てる

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

情報戦略における全体最適化計画策定の段階で,業務モデルを定義する目的はどれか。

正解 ア

解説

全体最適化計画の策定では,企業の全体業務とそこで使われる情報の関連を業務モデルとして整理し,組織全体として情報システムがどうあるべきかを明確にする。業務モデルを定義する目的はアである。

イのシステム化の範囲や開発規模を把握して期間,工数,費用を見積もるのは,個別の開発計画(システム化計画)の段階で行う。ウのハードウェアやソフトウェアなどの構成要素の洗い出しは,システムの設計の段階で行う。エのユーザマニュアルや運用マニュアルの作成に向けた業務手順の確認は,導入や運用の準備の段階で行う。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

ビジネスプロセスを根本的に考え直し,抜本的にデザインし直すことによって,企業のコスト,品質,サービス,スピードなどのパフォーマンスを劇的に改善するものはどれか。

正解 エ

解説

ビジネスプロセスを根本的に考え直し,抜本的にデザインし直すことによって,コスト,品質,サービス,スピードなどのパフォーマンスを劇的に改善するのは,リエンジニアリング(BPR:Business Process Re-engineering)である。エが正しい。

アのアライアンスは,他の企業と提携して互いの経営資源を補い合うこと。イのコアコンピタンスは,他社に真似のできない企業の中核となる強み。ウのゴーイングコンサーンは,企業が将来にわたって事業を継続するという前提(継続企業の前提)のことである。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

非機能要件項目はどれか。

正解 エ

解説

非機能要件は,システムが何をするか(機能)ではなく,どのように働くかを定める要件である。可用性・性能・拡張性・運用性・保守性・移行性・セキュリティなど,主にシステム基盤に関わる品質と制約が該当する。エがこれに当たる。

アは業務手順や組織・責任・権限を定める業務要件,イはシステムが備える機能とその実現範囲を定める機能要件である。ウはシステム化の目的や達成目標を示す経営上の要求で,要件を導く前提に当たる。いずれも非機能要件ではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

“提案評価方法の決定”に始まる調達プロセスを,調達先との契約締結,調達先の選定,提案依頼書(RFP)の発行,提案評価に分類して順番に並べたとき,c に入るものはどれか。

調達プロセスの流れ図。“提案評価方法の決定”→ a → b → c → d の順に矢印でつながる。

正解 イ

解説

調達プロセスは,提案評価方法を決めた後,提案依頼書(RFP)を発行してベンダに提案を求め(a),提出された提案を評価し(b),評価の結果に基づいて調達先を選定し(c),最後に調達先と契約を締結する(d)という順に進む。c に入るのは調達先の選定で,イが正しい。

アの調達先との契約締結は d,ウの提案依頼書(RFP)の発行は a,エの提案評価は b に入る。

調達の手順 まず提案を評価する方法(評価項目と基準)を決め,RFP を出し,届いた提案を決めておいた方法で評価してベンダを選び,契約する。評価の方法を提案を見た後に決めると,公平な比較ができない。 評価方法 を決める RFP を出す 提案を 評価 選定 契約 評価の方法を先に決めて,公平に比べる
評価の方法は RFP を出す前に決めておく

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

M&A を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

M&A(Mergers and Acquisitions:合併・買収)は,新規分野への進出や事業の拡大・再編などのために,他の企業を合併・買収して,その経営資源(技術,人材,販路,設備など)を獲得し活用する経営手法である。ウが適切である。

アは,自社の強みに資金と人材を集中的に投入するコアコンピタンス経営(選択と集中)。イは,他社のベストプラクティスと比較分析して自社の業務を改革するベンチマーキング。エは,市場成長率と市場占有率のマトリックスで事業を分析して経営資源を配分する PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)の説明である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。

正解 エ

解説

デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。

アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

コストプラス価格決定法を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

コストプラス価格決定法(コストプラス法)は,製品の製造原価又は仕入原価に,一定のマージン(利益)を上乗せして価格を決める方法である。ウが正しい。

アは,買い手が認める品質や価格を調べて価格を決める顧客(需要)志向の価格設定。イは,業界の平均水準や競合企業の価格を参考にして決める競争志向の価格設定。エは,目標販売量と目標利益率から,総費用を回収した上で一定の利益率を確保できる価格を決める方法(ターゲットリターン価格設定)である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

情報システム投資の効果をモニタリングする指標のうち,バランススコアカードの内部ビジネスプロセスの視点に該当する指標はどれか。

正解 エ

解説

バランススコアカードは,組織の業績を財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点で評価する手法である。内部ビジネスプロセスの視点は,業務プロセスの効率や品質を評価するもので,不良率や納期遵守率など,業務処理の信頼性やサービス品質に関する指標がこれに当たる。エが該当する。

アは財務の視点(売上高,営業利益率など),イは顧客の視点(顧客満足度,顧客定着率など),ウは学習と成長の視点(人材のスキル,組織の能力など)の指標である。

バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ 下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。 財務 売上高を伸ばす 売上高・利益率 顧客 顧客満足度を上げる 顧客満足度・シェア 内部ビジネスプロセス 出荷を速くする 出荷までの日数 学習と成長 専門人材を育てる 育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

“技術の S カーブ”の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,初めは研究開発に努力を注いでも性能の向上は緩やかだが,ある時点から急速に進歩し,成熟期に入ると限界に近づいて進歩が停滞する。進歩を時間に対して描くと S 字形になることからこう呼ばれる。イが適切である。

アは技術に対する期待の変化を表すハイプサイクル,ウは累積生産量が増えるほど単位当たりのコストが下がり生産性が向上する経験曲線(学習曲線),エは故障率の時間的変化を表すバスタブ曲線の説明である。

技術の S カーブ 技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。 研究開発の努力(時間) 性能 導入期 成長期 成熟期 新しい技術 乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

インターネットを利用した企業間取引において,取引データをそのまま起票したり,社内文書に変換したりすることが容易にできるマーク付け言語はどれか。

正解 エ

解説

XML(Extensible Markup Language)は,利用者が目的に応じてタグを定義でき,データの意味や構造を記述できるマーク付け言語である。データの意味を表せるので,インターネットを利用した企業間取引(EDI)において,取引データをそのまま起票したり,社内文書に変換したりすることが容易になる。エが適切である。

アの HTML は Web ページの表示の構造を記述する言語で,タグの種類が決まっている。イの SGML は XML や HTML の元になった汎用のマーク付け言語だが,複雑で扱いにくい。ウの UML はシステムの分析や設計を表記する統一モデリング言語で,マーク付け言語ではない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

RFID を説明したものはどれか。

正解 イ

解説

RFID(Radio Frequency IDentification)は,極小の IC チップにアンテナを組み合わせた IC タグ(電子荷札)を,電波によって無線で読み書きし,対象の識別や位置確認などを行う無線自動認識技術である。イが正しい。

アは,IC カードや携帯電話に保存される電子マネーの説明。ウは,白黒の格子状のパターンで情報を表す二次元コード(QR コードなど)の説明。エは,指紋や静脈などの身体的特徴を使って個人を認証するバイオメトリクス認証の説明である。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

電機メーカの A 社は,GPL が適用されたオープンソースソフトウェアの一部を改変した二次的著作物を搭載してテレビの新製品を開発した。この製品を販売するに当たり,A 社が求められる GPL のルールに則した適切な対応はどれか。

正解 ア

解説

GPL(GNU General Public License)では,GPL が適用されたソフトウェアを改変した二次的著作物を配布する場合,その二次的著作物にも GPL を適用し,入手した者の求めに応じて,改変した部分を含むソースコードを提供しなければならない。アが適切である。

イは誤りで,GPL のソフトウェアに静的にリンクして一体となったプログラムは二次的著作物とみなされ,そのソースコードも公開の対象になる。ウは誤りで,GPL は配布や複製に掛かる実費などの対価を請求することを認めている。エは誤りで,GPL は受け取った者が複製して再配布する自由を保障しており,それを禁止することはできない。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

抜取り検査において,ある不良率のロットがどれだけの確率で合格するかを知ることができるものはどれか。

正解 ア

解説

OC 曲線(検査特性曲線)は,横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線である。ある不良率のロットがどれだけの確率で合格するかを読み取ることができる。アが正しい。

イのゴンペルツ曲線とエのロジスティック曲線は,ソフトウェアの信頼度成長などを表す S 字形の曲線である。ウのバスタブ曲線は,製品の故障率が時間とともに変化する様子を表す曲線である。

OC 曲線(検査特性曲線) 横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線。不良率が低い良いロット(p0)でも合格率は1にならず,不合格になる確率 α が生産者危険。不良率が高い悪いロット(p1)でも合格する確率 β が消費者危険。 ロットの不良率 合格率 1 p0 p1 α 生産者危険 良いロットが落ちる β 消費者危険 悪いロットが通る
良いロットを落とすのが生産者危険 α,悪いロットを通すのが消費者危険 β

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

経営会議で来期の景気動向を議論したところ,景気は悪化する,横ばいである,好転するという三つの意見に完全に分かれてしまった。来期の投資計画について,積極的投資,継続的投資,消極的投資のいずれかに決定しなければならない。表の予想利益については意見が一致した。意思決定に関する記述のうち,適切なものはどれか。

予想利益(万円)の表。景気動向が悪化・横ばい・好転のとき,積極的投資は50,150,500。継続的投資は100,200,300。消極的投資は400,250,200。

正解 エ

解説

マクシミン原理は,各案について最悪の場合の利益を求め,その中で最も大きいものを選ぶ考え方。景気が悪化したときの利益は積極的投資50万円,継続的投資100万円,消極的投資400万円で,最も大きいのは消極的投資の400万円。したがってマクシミン原理での最適意思決定は消極的投資になり,エが正しい。

ウのマクシマックス原理は各案の最良の場合を比べる考え方で,最大値は積極的投資の500万円なので,継続的投資とするのは誤り。ア・イの混合戦略や純粋戦略は,相手の出方によって利得が決まるゲーム理論の用語で,景気動向のように意思をもたない自然を相手にする不確実性下の意思決定には当てはまらない。

マクシミン原理(投資計画) マクシミン原理では,各案の最悪の場合(ここではどれも景気悪化のとき)の利益を比べ,その中で最も大きい案を選ぶ。積極的投資 50,継続的投資 100,消極的投資 400 なので,消極的投資。最良の場合を比べるマクシマックス原理なら,500 の積極的投資になる。 悪化 横ばい 好転 最悪 積極的投資 50 150 500 50 継続的投資 100 200 300 100 消極的投資 400 250 200 400 最悪のうち最大は 400 → 消極的投資 単位 万円。最良の最大(マクシマックス)なら積極的投資
各案の最悪の値を比べ,いちばん大きい案を選ぶ

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

運転資金に影響を及ぼす記述のうち,資金繰りに良い効果を与えるものはどれか。

正解 イ

解説

運転資金は,日常の営業活動に必要な資金で,売上代金の回収が早く,支払が遅く,在庫が少ないほど,資金繰りは楽になる。売掛金の残高が5百万円から3百万円に減少したのは,売上代金の回収が進んだことを表し,現金が増えるので,資金繰りに良い効果を与える。イが該当する。

アの受取手形の増加は,代金の受取りが先送りになったことを表し,資金繰りには悪い。ウの買掛金の減少は,仕入代金の支払が進んで現金が減ることを表す。エの棚卸資産の増加は,資金が在庫に固定されることを表し,いずれも資金繰りには悪い効果を与える。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

表の条件で喫茶店を開業したい。月10万円の利益を出すためには,1客席当たり1日何人の客が必要か。

喫茶店の開業条件の表。客1人当たりの売上高は500円,客1人当たりの変動費は100円,固定費は300,000円/月,1か月の営業日数は20日,客席数は10席。

正解 エ

解説

客1人当たりの利益への貢献(限界利益)は,売上高 500円から変動費 100円を引いた 400円である。月10万円の利益を出すには,固定費 300,000円と目標利益 100,000円の合計 400,000円を限界利益で賄う必要があるので,1か月に 400,000÷400=1,000人の客が必要になる。

1か月の営業日数は20日,客席数は10席なので,1客席当たり1日 1,000÷(20×10)=5人となり,エが正しい。目標利益を含めずに固定費だけで計算すると 3.75人(ア)になる。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

不正競争防止法において,営業秘密となる要件は,“秘密として管理されていること”,“事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること”ともう一つはどれか。

正解 ウ

解説

不正競争防止法第2条第6項は,営業秘密を“秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないもの”と定義している。秘密管理性,有用性,非公知性の三つが要件で,ウが正しい。

アの営業譲渡が可能なこと,イの期間が10年を超えないこと,エの特許出願をしていることは,いずれも要件ではない。特許出願をすると出願内容が公開されるので,むしろ非公知性を失うことになる。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

下請代金支払遅延等防止法において,下請業者から受領したプログラムの返品を禁止しているのは,どの場合か。

正解 イ

解説

下請代金支払遅延等防止法は,親事業者の下請業者に対する不当な取扱いを禁止している。第4条第1項第4号は,下請業者の責めに帰すべき理由がないのに,受領後に給付を返品する(引き取らせる)ことを禁止している。親事業者と顧客との間の委託内容が変更になり,既に受領していたプログラムが不要になったのは,下請業者の責めに帰すべき理由ではないので,返品は禁止される。イが該当する。

アは下請業者の要員不足が原因の開発遅れ,ウは合意した仕様変更がプログラムに反映されていないという不備で,どちらも下請業者の責めに帰すべき理由がある。エは通常のテストでは発見できない重大なバグで,受領後6か月以内に見つかった場合は,下請業者の責めに帰すべき理由として返品できるとされている。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

特段の措置をとらずになされた個人情報取扱事業者の行為のうち,個人情報保護法に照らして適法な行為はどれか。

正解 イ

解説

個人情報保護法は,個人情報を取得するときに利用目的を特定して本人に通知又は公表し,その範囲を超えて利用することや,本人の同意なく第三者に提供することを制限している。Web サイトの問合せページでダイレクトメールの送付を“可”と記入した依頼者の氏名と住所を,そのダイレクトメールの発送先住所録に登録することは,本人が同意した目的の範囲内での利用なので適法である。イが該当する。

アは商品企画立案という利用目的で取得した情報を,販売促進のダイレクトメールという別の目的に使っており,目的外利用に当たる。ウは自社の勉強会の参加者の情報を子会社に渡しており,子会社は別の法人なので本人の同意のない第三者提供に当たる。エは従業員が私的に入手した同窓生名簿を,本人に利用目的を通知せずに販売促進に使っており,適正な取得や利用目的の通知の定めに反する。

出典:平成23年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)