平成30年度 秋期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
任意のオペランドに対するブール演算 A の結果とブール演算 B の結果が互いに否定の関係にあるとき,A は B の(又は,B は A の)相補演算であるという。排他的論理和の相補演算はどれか。
正解 ア
解説
排他的論理和は,二つの入力が異なるときに真になる演算。その否定は「二つの入力が同じときに真」となり,これが等価演算(一致演算,XNOR)である。図でも,等価演算は二つの円の重なり部分(両方が真)と円の外側(両方が偽)が塗られていて,排他的論理和が真になる範囲とちょうど裏返しの関係になっている。アが正しい。
イの否定論理和は二つの円の外側だけなので,両方が真の場合が抜けており,相補にはならない。ウの論理積は重なり部分だけ,エの論理和は二つの円の全体で,いずれも排他的論理和の否定とは一致しない。
排他的論理和と等価演算
排他的論理和は,A と B のどちらか一方だけが真のときに真で,ベン図では2つの円の重なっていない部分。その否定は,両方が真(重なり)か両方が偽(円の外)のときに真になる等価演算(一致)で,塗る部分がちょうど裏返しになる。
A
B
排他的論理和
A
B
等価演算(一致)
排他的論理和の相補演算は等価演算。塗る部分が裏返しになる
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは,伝票データをためる待ち行列をもち,M/M/1 の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち時間が T 秒以上となるのは,システムの利用率が少なくとも何%以上となったときか。ここで,伝票データをためる待ち行列の特徴は次のとおりである。
伝票データは,ポアソン分布に従って到着する。 伝票データをためる数に制限はない。 1件の伝票データの処理時間は,平均 T 秒の指数分布に従う。
正解 イ
解説
M/M/1 では平均待ち時間=平均処理時間×ρ/(1−ρ)(ρ は利用率)で表せる。1件の処理時間の平均が T 秒なので,平均待ち時間が T 秒以上になるのは ρ/(1−ρ)≧1 のとき。これを解くと ρ≧1−ρ,すなわち ρ≧0.5 となり,利用率50%以上。イが正しい。
利用率が50%のとき待ち時間はちょうど T と等しくなり,それを超えると待つ時間のほうが処理時間より長くなる。ウの67%では 0.67/0.33 で約2倍,エの80%では0.8/0.2 で4倍まで伸びる。アの33%では約0.5倍で T に届かない。
M/M/1 の待ち時間と利用率
M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。
0.5 → 1倍
0.8 → 4倍
0.9 → 9倍
1
利用率 ρ
ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
受験者1,000人の4教科のテスト結果は表のとおりであり,いずれの教科の得点分布も正規分布に従っていたとする。90点以上の得点者が最も多かったと推定できる教科はどれか。
正解 イ
解説
正規分布では,ある点が平均から標準偏差の何個分離れているか(=(90−平均点)/標準偏差)が小さいほど,その点以上の割合が大きくなる。各教科で計算すると A は (90−45)/18=2.5,B は (90−60)/15=2.0,C は (90−70)/8=2.5,D は (90−75)/5=3.0。最も小さいのは B なので,90点以上の得点者が最も多いと推定できる。イが正しい。
A と C はどちらも2.5で同じ割合になり,D は3.0で最も少ない。平均点が高いほど有利とは限らず,ばらつき(標準偏差)との組合せで決まる点がこの問題の要点である。
90点が平均から標準偏差の何個分か
正規分布では,(90−平均)÷標準偏差 が小さいほど,90点以上の割合が大きい。A は (90−45)÷18=2.5,B は (90−60)÷15=2.0,C は (90−70)÷8=2.5,D は (90−75)÷5=3.0。いちばん小さい B が,90点以上の人がいちばん多い。
平均
B 2.0
A・C 2.5
D 3.0
塗った部分が B の 90点以上(線が右にあるほど少ない)
B = (90−60)÷15 = 2.0 がいちばん小さい
標準偏差何個分かで比べる。平均が高いほど多いとは限らない
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
次に示す記述は,BNF で表現されたあるプログラム言語の構文の一部である。<パラメタ指定> として,適切なものはどれか。
<パラメタ指定> ::= <パラメタ> | (<パラメタ指定>,<パラメタ>)
<パラメタ> ::= <英字> | <パラメタ><英字>
<英字> ::= a | b | c | d | e | f | g | h | i
ア ((abc,def),ghi) 正解
イ ((abc,def))
ウ (abc,(def))
エ (abc)
正解 ア
解説
<パラメタ指定> は,<パラメタ>(英字が1文字以上並んだもの)か,(<パラメタ指定>,<パラメタ>) の形のどちらか。アの ((abc,def),ghi) は,外側が (<パラメタ指定>,<パラメタ>) の形で,ghi が <パラメタ>,(abc,def) が <パラメタ指定> に当たる。内側の (abc,def) も abc が <パラメタ指定>(<パラメタ> の一つ),def が <パラメタ> なので定義に合う。アが正しい。
イの ((abc,def)) は,外側のかっこの中が (abc,def) だけでコンマがなく,(<パラメタ指定>,<パラメタ>) の形にならない。ウの (abc,(def)) は,コンマの後ろの (def) が <パラメタ>(英字だけの並び)ではない。エの (abc) も,かっこの中にコンマがなく,この形にならない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
符号化方式に関する記述のうち,ハフマン方式はどれか。
ア 0と1の数字で構成する符号の中で,0又は1の連なりを一つのブロックとし,このブロックに長さを表す符号を割り当てる。
イ 10進数字の0〜9を4ビット2進数の最初の10個に割り当てる。
ウ 発生確率が分かっている記号群を符号化したとき,1記号当たりの平均符号長が最小になるように割り当てる。 正解
エ 連続した波を標本化と量子化によって0と1の数字で構成する符号に割り当てる。
正解 ウ
解説
ハフマン方式は,発生確率の高い記号に短い符号,低い記号に長い符号を割り当てる可変長の符号化で,1記号当たりの平均符号長が最小になる。ウが正しい。
アは 0 又は 1 の連なりの長さを符号にするランレングス符号化,イは10進数字の 0〜9 を4ビットの2進数で表す BCD(2進化10進数),エは連続した波を標本化・量子化して数字の列にする PCM の説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
葉以外の節点は全て二つの子をもち,根から葉までの深さが全て等しい木を考える。この木に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,木の深さとは根から葉に至るまでの枝の個数を表す。また,節点には根及び葉も含まれる。
ア 枝の個数が n ならば,節点の個数も n である。
イ 木の深さが n ならば,葉の個数は 2n−1 である。
ウ 節点の個数が n ならば,木の深さは log2 n である。
エ 葉の個数が n ならば,葉以外の節点の個数は n−1 である。 正解
正解 エ
解説
題意の木は,葉以外の節点(内部節点)が全て二つの子をもつ二分木で,どの葉も根からの深さが等しい。節点の総数は(内部節点の数+葉の数),枝の数は(節点の総数−1)で,枝は内部節点から2本ずつ出るので,内部節点を k 個,葉を n 個とすると 2k=(k+n)−1 が成り立つ。これを解くと k=n−1 となり,葉の個数が n ならば葉以外の節点の個数は n−1 である。エが正しい。
アは,枝の個数が n ならば節点の個数は n+1 になる。イは,深さが n ならば葉の個数は 2n (深さ1で2個,深さ2で4個)で,2n−1 ではない。ウは,節点の個数が n のとき深さは log2 (n+1)−1 で,log2 n ではない(深さ2の木は節点が7個で,log2 7 は2にならない)。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
2次元配列 A[i,j](i,j はいずれも 0〜99 の値をとる)の i>j である要素 A[i,j] は全部で幾つか。
ア 4,851
イ 4,950 正解
ウ 4,999
エ 5,050
正解 イ
解説
配列の要素は全部で 100×100=10,000 個。このうち i=j である対角線上の要素が100個あり,残る9,900個は i>j と i<j に同じ数ずつ分かれる。したがって i>j である要素は 9,900÷2=4,950 個。イが正しい。
エの5,050は i≧j として対角線上の100個も含めた個数(4,950+100)。アの4,851は添字の範囲を0〜98の99個と取り違えて 99×98/2 を求めた値。ウの4,999はこの数え方からは出てこない。
100×100 の配列で i>j の要素
要素は 100×100=10,000 個。対角線(i=j)の 100 個を除いた 9,900 個が,i>j と i<j に同じ数ずつ分かれるので,i>j は 4,950 個。対角線を含めると 5,050 個になる。
j →
i
全体 100×100 = 10,000
対角線(i=j)= 100
残り 9,900 を半分ずつ
i>j = 4,950
(イ)
図は 10×10 に縮めた見本。塗り:i>j,濃い色:対角線
(10,000 − 100)÷ 2 = 4,950
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
探索表の構成法を例とともに a〜c に示す。最も適した探索手法の組合せはどれか。ここで,探索表のコードの空欄は表の空きを示す。
ア a:2分探索,b:線形探索,c:ハッシュ表探索 正解
イ a:2分探索,b:ハッシュ表探索,c:線形探索
ウ a:線形探索,b:2分探索,c:ハッシュ表探索
エ a:線形探索,b:ハッシュ表探索,c:2分探索
正解 ア
解説
a のようにコード順に並べた表は,中央の要素と比べて探索範囲を半分ずつ絞り込む2分探索が使える。b のように使用頻度順に並べた表は,コードの大小順になっていないので2分探索は使えないが,よく使うコードほど先頭にあるので,先頭から順に調べる線形探索で平均比較回数が少なくなる。
c のようにコードから一意に決まる場所に格納した表は,コードからハッシュ関数で格納位置を計算して直接参照するハッシュ表探索が最も速い。したがって,アが正しい。
探索の方法と探索時間の増え方
線形探索は先頭から順に調べるので,データの個数 n に比例して長くなる(O(n))。2分探索は範囲を半分ずつ絞るので,n が増えても log n でゆっくりしか増えない。ハッシュ表探索は,衝突がなければキーから格納位置を計算して1回で見つかるので,個数によらず一定(O(1))。
データの個数 n
探索時間
線形探索 n
2分探索 log n
ハッシュ表 一定
ハッシュ表は衝突がなければ,計算で1回で見つかる
ハッシュ表は個数によらず一定,2分探索は緩やかに増え,線形探索は比例して増える
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
メモリの誤り制御方式で,2ビットの誤り検出機能と,1ビットの誤り訂正機能をもたせるのに用いられるものはどれか。
ア 奇数パリティ
イ 水平パリティ
ウ チェックサム
エ ハミング符号 正解
正解 エ
解説
ECC メモリで用いられるハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを付加し,検査ビットの組合せから誤りのあるビットの位置を特定できる符号である。1 ビットの誤りを訂正でき,2 ビットの誤りを検出できるので,エが該当する。
アの奇数パリティとイの水平パリティは,1ビットの誤りがあったことは分かるが,どのビットかは分からないので訂正できない。ウのチェックサムはデータの合計値を付けて誤りの有無を調べる方式で,こちらも訂正はできない。
パリティとハミング符号でできること
パリティ(偶数・奇数・垂直・水平)は1ビットの誤りがあることは分かるが,どのビットかは分からないので直せない。ハミング符号は複数の検査ビットの組合せで誤りの位置まで分かるので,1ビットの誤りを訂正できる。ECC メモリで使う方式(SECDED)は,さらに2ビットの誤りがあることも検出できる。
方式
1ビット誤りの検出
1ビット誤りの訂正
2ビット誤りの検出
パリティ
○
×
×
ハミング符号(ECC)
○
○
○
検査ビットの組合せで,誤ったビットの位置を指せる
パリティ・チェックサムは誤りの有無が分かるだけ
ハミング符号は誤りの位置まで分かる → 1ビット訂正,2ビット検出
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
相変化メモリの説明として,適切なものはどれか。
ア 一度だけ書込みが可能な不揮発性メモリ
イ 結晶状態と非結晶状態の違いを利用して情報を記憶する不揮発性メモリ 正解
ウ フリップフロップ回路で構成された揮発性メモリ
エ リフレッシュ動作が必要な揮発性メモリ
正解 イ
解説
相変化メモリ(PCM)は,加熱の仕方によって材料が結晶状態と非結晶状態に変わり,その状態による電気抵抗の違いで情報を記憶する不揮発性メモリ。イが正しい。
アは一度だけ書込みが可能な PROM などの ROM,ウはフリップフロップ回路で構成された SRAM の説明。エはコンデンサの電荷で記憶するためリフレッシュ動作が必要な DRAM の説明で,ウ・エは電源を切ると内容が消える揮発性メモリである。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
ストレージ技術におけるシンプロビジョニングの説明として,適切なものはどれか。
ア 同じデータを複数台のハードディスクに書き込み,冗長化する。
イ 一つのハードディスクを,OS をインストールする領域とデータを保存する領域とに分割する。
ウ ファイバチャネルなどを用いてストレージをネットワーク化する。
エ 利用者の要求に対して仮想ボリュームを提供し,物理ディスクは実際の使用量に応じて割り当てる。 正解
正解 エ
解説
シン・プロビジョニングはストレージの仮想化技術の一つで,利用者(サーバ)には必要と見込まれる容量の仮想ボリュームを見せておき,物理ディスクの領域は実際にデータが書き込まれた分だけ割り当てる。物理容量を最初から全て用意する必要がなく,使用量の増加に合わせて追加できるので,ストレージの利用効率が上がる。エが適切である。
アは同じデータを複数のディスクに書き込むミラーリング(RAID 1),イは 1 台のディスクを複数の領域に分けるパーティション分割の説明である。ウは,ファイバチャネルなどでサーバとストレージをネットワーク接続する SAN(Storage Area Network)の説明である。
シン・プロビジョニング
サーバには必要と見込まれる大きさの仮想ボリュームを見せておき,物理ディスクの領域は実際に書き込まれた分だけを割り当てる。最初から全ての容量を用意しなくてよく,使う量が増えたら物理ディスクを足せばよい。
サーバA
仮想 1T バイト
サーバB
仮想 1T バイト
サーバC
仮想 1T バイト
使った分だけ
物理ディスク(あとから足せる)
塗った部分が実際に書き込まれた量
見せる容量は大きく,実際に割り当てるのは使った分だけ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
仮想サーバの運用サービスで使用するライブマイグレーションの概念を説明したものはどれか。
ア 仮想サーバで稼働している OS やソフトウェアを停止することなく,他の物理サーバに移し替える技術である。 正解
イ データの利用目的や頻度などに応じて,データを格納するのに適したストレージへ自動的に配置することによって,情報活用とストレージ活用を高める技術である。
ウ 複数の利用者でサーバやデータベースを共有しながら,利用者ごとにデータベースの内容を明確に分離する技術である。
エ 利用者の要求に応じてリソースを動的に割り当てたり,不要になったリソースを回収して別の利用者のために移し替えたりする技術である。
正解 ア
解説
ライブマイグレーションは,仮想サーバを稼働させたまま,その OS やソフトウェアを停止せずに別の物理サーバへ移動させる技術である。物理サーバの保守や負荷分散のときに,サービスを止めずに仮想サーバを移せる。アが該当する。
イはデータの利用頻度などに応じて適したストレージに自動配置するストレージ階層化(階層型ストレージ管理),ウは複数の利用者で同じサーバやデータベースを共有しながら利用者ごとにデータを分離するマルチテナント,エは要求に応じてリソースを動的に割り当て・回収するプロビジョニングなどの説明である。
ライブマイグレーション
仮想サーバを動かしたまま,OS やソフトウェアを止めずに,別の物理サーバへ移す。物理サーバの保守や負荷の偏りを直すとき,夜間に少数の物理サーバへ集めて電源を切るときにも,サービスを止めなくてよい。
物理サーバ1
物理サーバ2
仮想サーバ
動いたまま
仮想サーバ
動いたまま
仮想サーバ
移す
保守・負荷分散・夜間の集約(省電力)でも止めずに済む
サービスを止めずに,仮想サーバを別の物理サーバへ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
商品検索と発注入力が可能な Web システムについて,時間帯別のトランザクション数を表1に,TPS(Transaction Per Second)による必要な CPU 数を表2に示す。この Web システムに必要かつ十分な CPU 数は幾つか。ここで,OS のオーバヘッドなどの処理については無視でき,トランザクションはそれぞれの時間帯の中で均等に発生するものとする。
正解 イ
解説
各時間帯のトランザクション数を1時間(3,600秒)で割って TPS を求める。9:00〜10:00 は (10,800+7,200)÷3,600=5 TPS,11:00〜12:00 は (43,200+21,600)÷3,600=18 TPS,13:00〜14:00 は (21,600+14,400)÷3,600=10 TPS。表2では 5 TPS が1,10 TPS 以上 20 TPS 未満が2なので,必要な CPU 数は順に 1,2,2 になる。最も多い時間帯に合わせた2個があれば全時間帯を賄えるので,必要かつ十分な CPU 数は2。イが正しい。
アの1個では 18 TPS と 10 TPS の時間帯に足りない。ウの3個やエの4個は 18 TPS に対して多過ぎで,十分ではあっても必要な数ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
3台の装置 X〜Z を接続したシステム A,B の稼働率に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,3台の装置の稼働率は,いずれも 0 より大きく 1 より小さいものとし,並列に接続されている部分は,どちらか一方が稼働していればよいものとする。
ア 各装置の稼働率の値によって,A と B の稼働率のどちらが高いかは変化する。
イ 常に A と B の稼働率は等しい。
ウ 常に A の稼働率が高い。
エ 常に B の稼働率が高い。 正解
正解 エ
解説
装置 X,Y,Z の稼働率を x,y,z とする。A は X と Y の並列に Z を直列につないだもので,稼働率は {1−(1−x)(1−y)}z=xz+yz−xyz である。B は X と Z の直列に Y を並列につないだもので,稼働率は 1−(1−xz)(1−y)=xz+y−xyz である。
B から A を引くと y−yz=y(1−z) となり,0<y<1,0<z<1 なので常に正である。したがって常に B の稼働率が高く,エが正しい。
2つのシステムの稼働率を比べる
装置 X,Y,Z の稼働率を x,y,z とする。A は X と Y の並列に Z を直列につないだもので,{1−(1−x)(1−y)}z=xz+yz−xyz。B は X と Z の直列に Y を並列につないだもので,1−(1−xz)(1−y)=xz+y−xyz。B−A=y(1−z) は常に正なので,常に B が高い。
A:(X と Y の並列) に Z を直列
X
Y
Z
{1−(1−x)(1−y)}・z
= xz+yz−xyz
B:(X と Z の直列) に Y を並列
X
Z
Y
1−(1−xz)(1−y)
= xz+y−xyz
B − A = y − yz = y(1−z) > 0 → 常に B が高い
並列をまとめて1台とみなし,直列は掛ける。引き算すると y(1−z)>0
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
システムの信頼性指標に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア MTBF と MTTR は,稼働率が 0.5 のときに等しくなる。 正解
イ MTBF は,システムが故障してから復旧するまでの平均時間を示す。
ウ MTTR は,MTBF に稼働率を掛けると求めることができる。
エ MTTR は,システムに発生する故障と故障の間隔の平均時間を示す。
正解 ア
解説
稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR) で求める。MTBF=MTTR なら MTBF÷(2×MTBF)=0.5 となるので,稼働率 0.5 のとき MTBF と MTTR は等しい。アが適切である。
イは誤りで,故障から復旧までの平均時間は MTTR(平均修理時間)。エは誤りで,故障と故障の間隔の平均は MTBF(平均故障間隔)であり,イとエは説明が入れ替わっている。ウは誤りで,MTBF に稼働率を掛けても MTTR にはならない(MTTR=MTBF×(1−稼働率)÷稼働率 の関係になる)。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
処理は全て CPU 処理である三つのジョブ A,B,C がある。それらを単独で実行したときの処理時間は,ジョブ A は5分,ジョブ B は10分,ジョブ C は15分である。この三つのジョブを次のスケジューリング方式に基づいて同時に開始すると,ジョブ B が終了するまでの経過時間はおよそ何分か。
〔スケジューリング方式〕
(1) 一定時間(これをタイムクウォンタムと呼ぶ)内に処理が終了しなければ,処理を中断させて,待ち行列の最後尾へ回す。 (2) 待ち行列に並んだ順に実行する。 (3) タイムクウォンタムは,ジョブの処理時間に比べて十分に小さい値とする。 (4) ジョブの切替え時間は考慮しないものとする。
正解 ウ
解説
タイムクウォンタムが処理時間に比べて十分に小さいので,三つのジョブは CPU をほぼ等しく3分の1ずつ使って進む。ジョブ A(5分)は 5×3=15分で終わり,その時点でジョブ B は 5分ぶん,ジョブ C は 5分ぶんを処理済みで,B は残り5分,C は残り10分。以後は B と C が半分ずつ CPU を使うので,B が残りの5分を終えるのは 5×2=10分後,つまり開始から 15+10=25分で,ウが正しい。
アの15は B が A とだけ CPU を分け合う(C がない)とした値,イの20は B が C とだけ分け合う(A がない)とした値。エの30は三つのジョブが全部終わる(C が終わる)時刻で,B はそれより早く終わる。
ラウンドロビン方式
実行可能なプロセスを待ち行列に並べ,先頭から順に一定の時間(タイムクウォンタム)ずつ CPU を割り当てる。時間内に終わらなければ待ち行列の最後につなぎ直し,次のプロセスに切り替える。
待ち行列(右が先頭)
P4
P3
P2
最後
先頭
CPU
P1 を実行中
次
タイムクウォンタムを使い切っても終わらない
→ 待ち行列の最後へ
終わったプロセスは列から抜ける
決まった時間ずつ順番に。終わらなければ列の最後へ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
プリエンプション方式のタスクスケジューリングにおいて,タスク B の実行中にプリエンプションが発生する契機となるのはどれか。ここで,タスクの優先度は,タスク A が最も高く,タスク A>タスク B=タスク C>タスク D の関係とする。
ア タスク A が実行可能状態になった。 正解
イ タスク B が待ち状態になった。
ウ タスク C が実行可能状態になった。
エ タスク D が実行可能状態になった。
正解 ア
解説
プリエンプション方式では,実行中のタスクよりも優先度の高いタスクが実行可能状態になると,実行中のタスクから CPU を取り上げ,優先度の高いタスクに割り当てる。タスク B の実行中に,B より優先度が高いタスク A が実行可能状態になるアが,プリエンプションの契機になる。
イは B 自身が待ち状態になる場合で,自分から CPU を手放すのでプリエンプションではない。ウの C は B と同じ優先度なので B から CPU を取り上げない。エの D は B より優先度が低いので,実行可能状態になっても B の実行は続く。
タスクの3つの状態
実行可能状態のタスクは,CPU を割り当てられる(ディスパッチ)と実行状態になる。実行状態のタスクは,入出力の完了などを自分で待つと待ち状態に,優先度の高いタスクに CPU を取り上げられる(プリエンプション)と実行可能状態に移る。待ち状態のタスクは,待っていた事象が起きると実行可能状態に移り,直接は実行状態に移らない。
実行
CPU を使っている
実行可能
CPU の割当て待ち
待ち
入出力の完了待ち
ディスパッチ
プリエンプション
入出力など
を待つ
待っていた事象が起きた
待ち → 実行 へ直接は移らない(一度,実行可能に並ぶ)
プリエンプションで移るのは実行可能状態。待ち状態から実行状態へは直接移らない
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
ページング方式の仮想記憶において,あるプログラムを実行したとき,1回のページフォールトの平均処理時間は30ミリ秒であった。ページフォールト発生時の処理時間が次の条件であったとすると,ページアウトを伴わないページインだけの処理の割合は幾らか。
〔ページフォールト発生時の処理時間〕
(1) ページアウトを伴わない場合,ページインの処理時間は20ミリ秒である。 (2) ページアウトを伴う場合,置換えページの選択,ページアウト,ページインの合計処理時間は60ミリ秒である。
ア 0.25
イ 0.33
ウ 0.67
エ 0.75 正解
正解 エ
解説
ページアウトを伴わない処理の割合を p とすると,平均処理時間は 20p+60(1−p)=30 と表せる。展開すると 20p+60−60p=30 なので −40p=−30,p=0.75。エが正しい。
20ミリ秒と60ミリ秒を混ぜた平均が30ミリ秒なので,短いほうに大きく偏っていることが分かる。60と30の差が30,30と20の差が10で,重みは3対1。3/(3+1)=0.75 と考えても同じ答えになる。アの0.25はページアウトを伴う処理のほうの割合である。
平均 30 ミリ秒を 20 と 60 の内分で読む
ページアウトを伴わない処理(20 ミリ秒)の割合を p とすると,20p+60(1−p)=30 で p=0.75。天秤で考えると,平均の 30 から 20 までが 10,60 までが 30 なので,重みは距離の逆の 3 対 1 になり,20 ミリ秒の側が 3/4=0.75。
平均 30
20 ミリ秒
ページインだけ
60 ミリ秒
ページアウトも
10
30
距離 10:30 → 重みは 3:1
20p+60(1−p)=30 → p=0.75(エ)
平均が短いほうに寄っているので,短いほうの割合が大きい(3 対 1)
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
プログラムの性能を改善するに当たって,関数,文などの実行回数や実行時間を計測して統計を取るために用いるツールはどれか。
ア コンパイラ
イ デバッガ
ウ パーサ
エ プロファイラ 正解
正解 エ
解説
プロファイラは,プログラムを実行して,関数や文などの実行回数と実行時間を計測し,統計を取るツール。どの部分に時間がかかっているかが分かるので,性能を改善するときに使う。エが正しい。
アのコンパイラはソースプログラムを機械語に翻訳する,イのデバッガは実行を途中で止めて変数の値などを調べ誤りを見つける,ウのパーサはソースプログラムを構文規則に従って解析する(構文解析を行う)ためのツールである。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
次の方式で画素にメモリを割り当てる 640×480 のグラフィック LCD モジュールがある。座標 (x,y) で始点 (5,4) から終点 (9,8) まで直線を描画するとき,直線上の x=7 の画素に割り当てられたメモリのアドレスの先頭は何番地か。
〔方式〕
メモリは0番地から昇順に使用する。 1画素は16ビットとする。 座標 (0,0) から座標 (639,479) まで連続して割り当てる。 各画素は,x=0 から x 軸の方向にメモリを割り当てていく。 x=639 の次は x=0 とし,y を1増やす。
ア 3847番地
イ 7680番地
ウ 7694番地 正解
エ 8978番地
正解 ウ
解説
画素は (0,0) から x 方向に,1行 640 画素ずつ連続してメモリに割り当てられる。直線は (5,4),(6,5),(7,6),(8,7),(9,8) を通るので,x=7 の画素は (7,6) である。この画素は,先頭から 6×640+7=3,847 番目(0 始まり)の画素に当たる。1画素は 16 ビット(2 バイト)で,メモリの1番地は 8 ビット(1 バイト)なので,先頭のアドレスは 3,847×2=7,694 番地となる。ウが正しい。
アの 3,847 は,画素の番号をそのままアドレスにしており,1画素が2番地を占めることを考慮していない。イの 7,680 は,6行目の左端 (0,6) のアドレス(6×640×2)である。エの 8,978 は,対象の画素を取り違えた値である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
SoC の説明として,適切なものはどれか。
ア システム LSI に内蔵されたソフトウェア
イ 複数の MCU を搭載したボード
ウ 複数のチップで構成していたコンピュータシステムを,一つのチップで実現した LSI 正解
エ 複数のチップを単一のパッケージに封入してシステム化したデバイス
正解 ウ
解説
SoC(System on a Chip)は,複数のチップで構成していたコンピュータシステム(CPU,メモリ,周辺回路など)を,一つのチップに集積した LSI である。ウが適切である。
アはファームウェア,イは MCU を複数載せた基板で,いずれも SoC の説明ではない。エは複数のチップを一つのパッケージに封入する SiP(System in Package)の説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
マイクロプロセッサの耐タンパ性を向上させる手法として,適切なものはどれか。
ア ESD(Electrostatic Discharge)に対する耐性を強化する。
イ チップ検査終了後に検査用パッドを残しておく。
ウ チップ内部を物理的に解析しようとすると,内部回路が破壊されるようにする。 正解
エ 内部メモリの物理アドレスを整然と配置する。
正解 ウ
解説
耐タンパ性は,内部の情報や回路を不正に読み取ったり改変したりする物理的な攻撃に対する強さである。チップ内部を物理的に解析しようとすると内部回路が破壊されるようにすれば,解析を防げるので,耐タンパ性を高める手法になる。ウが適切である。
アの ESD(静電気放電)への耐性は,静電気による故障への強さで,攻撃への耐性ではない。イの検査用パッドを残すと,そこから内部の信号を読み取られるおそれがあるので,耐タンパ性は下がる。エの内部メモリを整然と配置すると,かえって解析しやすくなる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
1桁の2進数 A,B を加算し,X に桁上がり,Y に桁上げなしの和(和の1桁目)が得られる論理回路はどれか。
正解 ア
解説
1桁どうしの加算では,桁上がり X は A と B が両方1のときだけ1になるので論理積,和の1桁目 Y は A と B が異なるときだけ1になるので排他的論理和で表せる。X に AND 素子,Y に排他的論理和素子を使っているアが正しい。この回路を半加算器という。
イとウは X に OR 素子を使っているので,A=1,B=0 のときに桁上がりが立ってしまう。エは Y に OR 素子を使っているので,A=1,B=1 のときに和の1桁目が1になってしまう(正しくは0で桁上がりが1)。
半加算器の真理値表
1桁の A+B は,0+0=00,0+1=01,1+0=01,1+1=10。桁上がり X は両方1のときだけ1なので論理積,和の1桁目 Y は A と B が違うときだけ1なので排他的論理和。
A
B
A+B
X 桁上がり
Y 和
0
0
00
0
0
0
1
01
0
1
1
0
01
0
1
1
1
10
1
0
X = A・B(AND),Y = A⊕B(XOR)
桁上がりは AND,和の1桁目は XOR
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
利用者が現在閲覧している Web ページに表示する,Web サイトのトップページからそのページまでの経路情報を何と呼ぶか。
ア サイトマップ
イ スクロールバー
ウ ナビゲーションバー
エ パンくずリスト 正解
正解 エ
解説
パンくずリストは,閲覧中のページが Web サイトの階層のどこにあるかを,トップページから現在のページまでの経路として「ホーム > 製品 > …」のように示すナビゲーションである。エが正しい。
アのサイトマップは,Web サイト全体の構成を一覧にしたページ。イのスクロールバーは,画面に収まらない内容を移動して見るための部品。ウのナビゲーションバーは,主要なページへのリンクを並べたメニューで,現在位置までの経路を示すものではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
バーチャルリアリティにおけるモデリングに関する記述のうち,レンダリングの説明はどれか。
ア ウェアラブルカメラ,慣性センサなどを用いて非言語情報を認識する処理
イ 仮想世界の情報をディスプレイに描画可能な形式の画像に変換する処理 正解
ウ 視覚的に現実世界と仮想世界を融合させるために,それぞれの世界の中に定義された3次元座標を一致させる処理
エ 時間経過とともに生じる物の移動などの変化について,モデル化したものを物理法則などに当てはめて変化させる処理
正解 イ
解説
レンダリングは,3次元のモデルとして表現された仮想世界の情報を,光源や視点の位置を踏まえて,ディスプレイに表示できる2次元の画像に変換する処理。イが正しい。
アはウェアラブルカメラや慣性センサで人の動きなどを取り込むモーションキャプチャなどの処理。ウは現実世界と仮想世界の座標系を合わせるレジストレーション(位置合わせ)。エはモデル化した対象を物理法則に従って時間変化させるシミュレーションの説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
社員と年の対応関係を UML のクラス図で記述する。二つのクラス間の関連が次の条件を満たす場合,a,b に入れる多重度の適切な組合せはどれか。ここで,“年”クラスのインスタンスは毎年存在する。
〔条件〕
(1) 全ての社員は入社年を特定できる。 (2) 年によっては社員が入社しないこともある。
ア a:0..*,b:0..1
イ a:0..*,b:1 正解
ウ a:1..*,b:0..1
エ a:1..*,b:1
正解 イ
解説
条件(1)の“全ての社員は入社年を特定できる”から,社員 1 人に対応する年(入社年)はちょうど一つなので,年側の多重度 b は 1 になる。条件(2)の“年によっては社員が入社しないこともある”から,一つの年に対応する社員は 0 人以上なので,社員側の多重度 a は 0..* になる。イが適切である。
ア,ウの b が 0..1 だと,入社年が特定できない社員の存在を許してしまい,条件(1)に反する。ウ,エの a が 1..* だと,どの年にも必ず 1 人以上の社員が入社することになり,条件(2)に反する。
多重度の読み方
多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。
部門
社員
1
*
社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし)
部門から見て社員は 0 人以上
書き方
意味
1
ちょうど1
0..1
0 か 1
*(0..*)
0 以上
1..*
1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
自然数を除数とした剰余を返すハッシュ関数がある。値がそれぞれ 571,1168,1566 である三つのレコードのキー値を入力値としてこのハッシュ関数を施したところ,全てのハッシュ値が衝突した。このとき使用した除数は幾つか。
正解 ウ
解説
三つの値のハッシュ値が全て同じということは,どの二つの差も除数で割り切れるということ。差を求めると 1168−571=597,1566−1168=398,1566−571=995。それぞれ 597=3×199,398=2×199,995=5×199 なので,共通の約数は199。ウが正しい。
実際に確かめると,571÷199=2余り173,1168÷199=5余り173,1566÷199=7余り173 で,いずれも剰余が173になり衝突する。ア・イ・エの193,197,211ではこれらの差を割り切れないので,三つ全てが同じ値になることはない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
第1,第2,第3正規形とそれらの特徴 a〜c の組合せのうち,適切なものはどれか。
a:どの非キー属性も,主キーの真部分集合に対して関数従属しない。 b:どの非キー属性も,主キーに推移的に関数従属しない。 c:繰返し属性が存在しない。
ア 第1正規形:a,第2正規形:b,第3正規形:c
イ 第1正規形:a,第2正規形:c,第3正規形:b
ウ 第1正規形:c,第2正規形:a,第3正規形:b 正解
エ 第1正規形:c,第2正規形:b,第3正規形:a
正解 ウ
解説
第1正規形は,一つの欄に複数の値が入る繰返し属性をなくした形なので c。第2正規形は,第1正規形であって,非キー属性が主キーの一部(真部分集合)だけで決まる部分関数従属をなくした形なので a。第3正規形は,第2正規形であって,非キー属性が別の非キー属性を介して主キーに従属する推移的関数従属をなくした形なので b。よってウの組合せになる。
正規化は,繰返しをなくす(c)→ 複合キーの一部だけで決まる属性を分離する(a)→ 非キー属性どうしの従属を分離する(b)の順に進む。ア・イ・エはこの対応が入れ替わっている。
正規化で表を分けていく
受注明細(受注番号,商品番号,顧客番号,顧客名,商品名,数量)の例。主キーは受注番号と商品番号の組。第2正規形にするには,主キーの一部だけで決まる属性を分ける(受注番号で決まる顧客番号・顧客名,商品番号で決まる商品名)。第3正規形にするには,主キー以外の属性で決まる属性を分ける(顧客番号で決まる顧客名)。
第1正規形(1つの欄に1つの値)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
顧客番号
,
顧客名
,
商品名
,
数量
)
受注番号だけで顧客番号・顧客名が,商品番号だけで商品名が決まる
第2正規形(キーの一部で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
,
顧客名
)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
数量
)
商品(
商品番号
,
商品名
)
受注の中で,顧客番号から顧客名が決まる(推移的関数従属)
第3正規形(キー以外で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
)
顧客(
顧客番号
,
顧客名
)
+受注明細・商品
下線は主キー。第2は「キーの一部で決まるもの」,第3は「キー以外で決まるもの」を別の表へ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
“部品”表のメーカコード列に対し,B+ 木インデックスを作成した。これによって,“部品”表の検索の性能改善が最も期待できる操作はどれか。ここで,部品及びメーカのデータ件数は十分に多く,“部品”表に存在するメーカコード列の値の種類は十分な数があり,かつ,均一に分散しているものとする。また,“部品”表のごく少数の行には,メーカコード列に NULL が設定されている。実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。
ア メーカコードの値が 1001 以外の部品を検索する。
イ メーカコードの値が 1001 でも 4001 でもない部品を検索する。
ウ メーカコードの値が 4001 以上,4003 以下の部品を検索する。 正解
エ メーカコードの値が NULL 以外の部品を検索する。
正解 ウ
解説
B+ 木インデックスは,キー値の順に並んだ構造なので,一致検索だけでなく,範囲を指定した検索でも,範囲の先頭を探して順にたどるだけで済む。メーカコードの値は種類が十分に多く均一に分散しているので,4001以上4003以下の部品は全体のごく一部であり,インデックスによる検索の性能改善が最も期待できる。ウが正しい。
アの“1001 以外”とイの“1001 でも 4001 でもない”は,条件に合う行がほとんど全ての行になるので,インデックスを使っても表全体を読むのとほとんど変わらず,改善が期待できない。エの“NULL 以外”も,NULL の行はごく少数なので,ほぼ全行が対象になり効果が小さい。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
データベースシステムにおいて,二つのプログラムが同一データへのアクセス要求を行うとき,後続プログラムのアクセス要求に対する並行実行の可否の組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,表中の○は二つのプログラムが並行して実行されることを表し,×は先行プログラムの実行終了まで後続プログラムは待たされることを表す。
正解 エ
解説
共用ロック(読取り)は複数のプログラムが同時にかけられるが,排他ロック(更新)は他のどのロックとも同時にかけられない。したがって並行実行できるのは,先行・後続がともに共用の場合だけで,残る三つの組合せでは後続が待たされる。この形になっているエが正しい。
アは後続が排他でも先行が共用なら並行実行できるとしており,読んでいる最中に更新されてしまう。イも後続が排他で先行が共用のとき並行としており同じ問題がある。ウは後続が共用で先行が排他のときも並行としており,更新途中の値を読めてしまう。
共有ロックと専有ロックの両立
共有ロック(読取り)どうしは同時にかけられるが,専有ロック(更新)はほかのどのロックとも同時にかけられない。並行して実行できるのは先行・後続がともに共有の組合せだけ。表全体へのロックは表の中の全ての行に及ぶので,ある行に共有ロックがある間は,表全体への専有ロックはかけられない。
先行\後続
共有
専有
共有
○ 並行
× 待つ
専有
× 待つ
× 待つ
○ 並行
表と行のロック(SA の問題)
A 表
行 a
X が共有
行 b
Y が行 b に専有 → ○(重ならない)
Y が A 表に専有 → ×(行 a も含む)
並行できるのは共有と共有だけ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
2台の端末と2台のレイヤ3スイッチが図のように LAN で接続されているとき,端末 A がフレームを送信し始めてから,端末 B がそのフレームを受信し終わるまでの時間は,およそ何ミリ秒か。
〔条件〕
フレーム長:1,000バイト LAN の伝送速度:100M ビット/秒 レイヤ3スイッチにおける1フレームの処理時間:0.2ミリ秒 レイヤ3スイッチは,1フレームの受信を完了してから送信を開始する。
ア 0.24
イ 0.43
ウ 0.48
エ 0.64 正解
正解 エ
解説
100M ビット/秒の LAN で 1,000 バイト(8,000 ビット)のフレームを送る時間は 8,000÷100,000,000=0.08ミリ秒。端末 A からスイッチ,スイッチからスイッチ,スイッチから端末 B の3区間を通り,レイヤ3スイッチは1フレームの受信を完了してから送信を始めるので,3区間の伝送時間は重ならず合計 0.08×3=0.24ミリ秒。ここに2台のスイッチの処理時間 0.2×2=0.4ミリ秒が加わり,0.24+0.4=0.64ミリ秒。エが正しい。
アの0.24は伝送時間だけの合計で,スイッチの処理時間を含めていない。ウの0.48は 0.2×2+0.08 に当たり,伝送時間を1区間ぶんしか数えていない値である。イの0.43はこの条件からは出てこない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
CSMA/CD 方式の LAN で使用されるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)は,フレームの蓄積機能,速度変換機能や交換機能をもっている。このようなスイッチングハブと同等の機能をもち,同じプロトコル階層で動作する装置はどれか。
ア ゲートウェイ
イ ブリッジ 正解
ウ リピータ
エ ルータ
正解 イ
解説
スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で MAC アドレスを見てフレームを転送する装置。同じ第2層で動作し,フレームをいったん蓄積してから転送するのがブリッジで,スイッチングハブは多ポートのブリッジといえる。イが正しい。
アのゲートウェイはトランスポート層より上位でプロトコルの変換を行う装置。ウのリピータは物理層(第1層)で信号を増幅・整形するだけで,宛先は見ない。エのルータはネットワーク層(第3層)で IP アドレスを見て経路を選ぶ装置である。
コリジョンドメインとブロードキャストドメイン
リピータハブは信号をそのまま全ポートに流すので,つながった機器は1つのコリジョンドメインになる。スイッチ(ブリッジ)はポートごとにコリジョンドメインを分けるが,ブロードキャストは全ポートに中継する。ルータはブロードキャストも中継しないので,ブロードキャストドメインはルータで分かれる。
PC1
PC2
ハブ
スイッチ
PC3
ルータ
PC4
コリジョンドメイン
PC1・PC2・ハブ
PC3
PC4
ブロードキャストドメイン
ルータの手前はすべて同じ
別
コリジョンドメインは4つ(スイッチとルータの間も1つ),ブロードキャストドメインは2つ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
イーサネットで用いられるブロードキャストフレームによるデータ伝送の説明として,適切なものはどれか。
ア 同一セグメント内の全てのノードに対して,送信元が一度の送信でデータを伝送する。 正解
イ 同一セグメント内の全てのノードに対して,送信元が順番にデータを伝送する。
ウ 同一セグメント内の選択された複数のノードに対して,送信元が一度の送信でデータを伝送する。
エ 同一セグメント内の選択された複数のノードに対して,送信元が順番にデータを伝送する。
正解 ア
解説
ブロードキャストフレームは,宛先 MAC アドレスを全ビット 1(FF:FF:FF:FF:FF:FF)にして送るフレームで,同一セグメント内の全てのノードが受信する。送信元は一度の送信で全てのノードにデータを伝送できる。アが正しい。
イは全てのノードに順番に送るので,ユニキャストを繰り返す方法である。ウは選択された複数のノードに一度の送信で届けるマルチキャスト,エは選択されたノードに順番に送るので,ユニキャストを必要な数だけ繰り返す方法である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
あるサブネットでは,ルータやスイッチなどのネットワーク機器に IP アドレスを割り当てる際,割当て可能なアドレスの末尾から降順に使用するルールを採用している。このサブネットのネットワークアドレスを 10.16.32.64/26 とするとき,10番目に割り当てられるネットワーク機器のアドレスはどれか。ここで,ネットワーク機器1台に対して,このサブネット内のアドレス1個を割り当てるものとする。
ア 10.16.32.54
イ 10.16.32.55
ウ 10.16.32.117 正解
エ 10.16.32.118
正解 ウ
解説
ネットワークアドレス 10.16.32.64/26 のサブネットは,ホスト部が 6 ビットなので 64 個のアドレスをもち,10.16.32.64(ネットワークアドレス)から 10.16.32.127(ブロードキャストアドレス)までである。割り当てられるのは 10.16.32.65~10.16.32.126 の 62 個である。末尾から降順に使うので,1 番目は .126,2 番目は .125 となり,10 番目は 126-9=117 の 10.16.32.117 である。ウが正しい。
アとイは 54,55 と,このサブネットの範囲(64~127)の外のアドレスである。エは .118 で,9 番目に当たる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
OpenFlow を使った SDN(Software-Defined Networking)の説明として,適切なものはどれか。
ア 単一の物理サーバ内の仮想サーバ同士が,外部のネットワーク機器を経由せずに,物理サーバ内部のソフトウェアで実現された仮想スイッチを経由して,通信する方式
イ データを転送するネットワーク機器とは分離したソフトウェアによって,ネットワーク機器を集中的に制御,管理するアーキテクチャ 正解
ウ プロトコルの文法を形式言語を使って厳密に定義する,ISO で標準化された通信プロトコルの規格
エ ルータやスイッチの機器内部で動作するソフトウェアを,オープンソースソフトウェア(OSS)で実現する方式
正解 イ
解説
SDN(Software-Defined Networking)は,ネットワーク機器のデータを転送する機能(データプレーン)と経路などを制御する機能(コントロールプレーン)を分離し,コントローラと呼ばれるソフトウェアによってネットワーク全体を集中的に制御・管理するアーキテクチャである。OpenFlow はコントローラとスイッチの間で制御情報をやり取りする代表的なプロトコル。イが適切である。
アは物理サーバ内の仮想スイッチによる仮想サーバ同士の通信で,SDN の説明ではない。ウは通信プロトコルの形式的な記述方法に関する規格の説明。エは機器内部のソフトウェアをオープンソースで実装する方式で,制御機能を機器から分離して集中管理する SDN の考え方とは異なる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
サイバーセキュリティ基本法に基づき,内閣官房に設置された機関はどれか。
ア IPA
イ JIPDEC
ウ JPCERT/CC
エ NISC 正解
正解 エ
解説
サイバーセキュリティ基本法に基づいて内閣にサイバーセキュリティ戦略本部が置かれ,その事務を処理する組織として内閣官房に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が設置された。政府機関の情報セキュリティ対策の総合調整を担う。
アの IPA は経済産業省所管の独立行政法人,イの JIPDEC はプライバシーマーク制度などを運営する一般財団法人,ウの JPCERT/CC はインシデント対応の調整を行う一般社団法人であり,いずれも内閣官房に置かれた組織ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
楕円曲線暗号に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア AES に代わる共通鍵暗号方式として NIST が標準化している。
イ 共通鍵暗号方式であり,ディジタル署名にも利用されている。
ウ 公開鍵暗号方式であり,TLS にも利用されている。 正解
エ 素因数分解問題の困難性を利用している。
正解 ウ
解説
楕円曲線暗号は,楕円曲線上の離散対数問題の困難性を安全性の根拠とする公開鍵暗号方式で,RSA 暗号より短い鍵長で同程度の安全性を得られる。TLS の鍵交換(ECDHE)やディジタル署名(ECDSA)にも利用されている。ウが適切である。
アの AES は共通鍵暗号方式であって,楕円曲線暗号が AES に代わるものではない。イは,ディジタル署名に利用される点は正しいが,共通鍵暗号方式とする点が誤り。エの素因数分解問題の困難性を利用するのは RSA 暗号である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
JIS X 9401:2016(情報技術−クラウドコンピューティング−概要及び用語)の定義によるクラウドサービス区分において,パブリッククラウドのクラウドサービスカスタマのシステム管理者が,仮想サーバのゲスト OS に対するセキュリティパッチの管理と適用を実施可か実施不可かの組合せのうち,適切なものはどれか。
ア IaaS:実施可,PaaS:実施可,SaaS:実施不可
イ IaaS:実施可,PaaS:実施不可,SaaS:実施不可 正解
ウ IaaS:実施不可,PaaS:実施可,SaaS:実施不可
エ IaaS:実施不可,PaaS:実施不可,SaaS:実施可
正解 イ
解説
クラウドサービス区分(IaaS・PaaS・SaaS)では,区分が上位になるほどクラウドサービスプロバイダが管理する範囲が広がり,クラウドサービスカスタマが管理する範囲は狭くなる。IaaS では仮想サーバ上のゲスト OS からカスタマが管理するので,ゲスト OS のセキュリティパッチの管理と適用はカスタマのシステム管理者が実施できる。PaaS ではゲスト OS までプロバイダが管理し,カスタマが扱うのは自分のアプリケーションだけ,SaaS ではアプリケーションまでプロバイダが管理するので,どちらもカスタマは実施できない。したがって IaaS だけが実施可のイが適切である。
アは PaaS を実施可としており,PaaS ではゲスト OS をプロバイダが管理するので誤り。ウは IaaS を実施不可,PaaS を実施可,エは SaaS だけを実施可としており,いずれもカスタマの管理範囲の広さが逆になっている。
IaaS・PaaS・SaaS の管理の分担
下からハードウェア・ネットワーク,仮想化,OS,ミドルウェア・実行環境,アプリケーションの層がある。IaaS では利用者が OS から上を,PaaS では自分のアプリケーションだけを管理する。SaaS では全て提供者が管理し,利用者が扱うのは利用者 ID や設定だけ。
IaaS
利用者
利用者
利用者
提供者
提供者
PaaS
利用者
提供者
提供者
提供者
提供者
SaaS
提供者
提供者
提供者
提供者
提供者
アプリケーション
ミドルウェア・実行環境
OS
仮想化
ハードウェア・NW
SaaS で利用者が扱うのは,アプリケーションの利用者 ID や設定だけ
FaaS(サーバレス)は PaaS をさらに進め,関数を置くだけ
上の層に行くほど利用者の自由と責任が大きい。ゲスト OS に手を入れられるのは IaaS だけ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
DNS キャッシュサーバに対して外部から行われるキャッシュポイズニング攻撃への対策のうち,適切なものはどれか。
ア 外部ネットワークからの再帰的な問合せにも応答できるように,コンテンツサーバにキャッシュサーバを兼ねさせる。
イ 再帰的な問合せに対しては,内部ネットワークからのものだけを許可するように設定する。 正解
ウ 再帰的な問合せを行う際の送信元のポート番号を固定する。
エ 再帰的な問合せを行う際のトランザクション ID を固定する。
正解 イ
解説
キャッシュポイズニング攻撃は,DNS キャッシュサーバが再帰的な問合せを行ったときに,攻撃者が偽の応答を送り込み,偽の情報をキャッシュさせる攻撃である。外部からの再帰的な問合せを受け付けないように,内部ネットワークからの問合せだけに応答するよう設定すれば,外部の攻撃者がキャッシュサーバに問合せを行わせることができなくなり,攻撃を受けにくくなる。イが適切である。
アのコンテンツサーバにキャッシュサーバを兼ねさせて外部からの再帰的な問合せに応答するのは,攻撃を受けやすくする設定である。ウの送信元ポート番号やエのトランザクション ID を固定すると,攻撃者が偽の応答を一致させやすくなるので,逆にランダム化するのが対策になる。
DNS キャッシュポイズニングの流れ
キャッシュ DNS サーバが権威 DNS サーバに問い合わせている間に,攻撃者が問合せの ID やポート番号を推測した偽の応答を大量に送り込む。本物の応答より先に偽の応答が受け入れられると,キャッシュに偽の IP アドレスが残り,利用者は偽のサーバへ誘導される。対策は,ID と送信元ポート番号をランダムにする,外部からの再帰的な問合せに答えない,DNSSEC で応答を検証する。
利用者
キャッシュ DNS
権威 DNS
① 名前を問合せ
② 問合せ(ID・ポート)
攻撃者
③ 推測した偽の応答を大量に
本物の応答(遅れる)
④ 偽の IP アドレス
対策:ID とポートをランダムに,外部の再帰問合せは受けない,DNSSEC
本物の応答より先に,ID とポートが合った偽の応答が入ると成り立つ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
インターネットに接続された利用者の PC から,DMZ 上の公開 Web サイトにアクセスし,利用者の個人情報を入力すると,その個人情報が内部ネットワークのデータベース(DB)サーバに蓄積されるシステムがある。このシステムにおいて,利用者個人のディジタル証明書を用いた TLS 通信を行うことによって期待できるセキュリティ上の効果はどれか。
ア PC と DB サーバ間の通信データを暗号化するとともに,正当な DB サーバであるかを検証することができるようになる。
イ PC と DB サーバ間の通信データを暗号化するとともに,利用者を認証することができるようになる。
ウ PC と Web サーバ間の通信データを暗号化するとともに,正当な DB サーバであるかを検証することができるようになる。
エ PC と Web サーバ間の通信データを暗号化するとともに,利用者を認証することができるようになる。 正解
正解 エ
解説
TLS は PC と接続先の Web サーバとの間の通信を暗号化する。さらに利用者個人のディジタル証明書を使うと,サーバ側は接続してきた相手が誰であるかを証明書で確かめられるので,暗号化に加えて利用者の認証ができるようになる。エが正しい。
このシステムで TLS を張るのは PC と DMZ 上の Web サーバの間であって,PC と内部の DB サーバの間ではないので,アとイは対象とする区間が違う。ウは区間は正しいが,利用者個人の証明書で確かめられるのは利用者であって,DB サーバが正当かどうかではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
クロスサイトスクリプティング対策に該当するものはどれか。
ア Web サーバで SNMP エージェントを常時稼働させることによって,攻撃を検知する。
イ Web サーバの OS にセキュリティパッチを適用する。
ウ Web ページに入力されたデータの出力データが,HTML タグとして解釈されないように処理する。 正解
エ 許容量を超えた大きさのデータを Web ページに入力することを禁止する。
正解 ウ
解説
クロスサイトスクリプティングは,利用者が入力した文字列がそのまま Web ページに埋め込まれ,スクリプトとして実行されてしまう脆弱性。出力するときに不等号などの記号を実体参照に置き換え,HTML タグとして解釈されないようにするエスケープ処理が基本の対策になる。ウが正しい。
アの SNMP はネットワーク機器の監視に使うプロトコルで,攻撃の検知には使わない。イの OS へのパッチ適用は OS の脆弱性への対策であって,Web アプリケーションの実装に起因する XSS は防げない。エの入力サイズの制限はバッファオーバフロー対策に近く,短いスクリプトなら通ってしまう。
XSS・CSRF・クリックジャッキング
XSS(反射型)は,スクリプトを含む罠のリンクを利用者に開かせ,脆弱なサイトがそのスクリプトをそのままページに埋めて返すので,利用者のブラウザで実行される。CSRF は,ログイン中の利用者に罠のページを開かせ,その利用者の Cookie 付きで意図しない要求(書込み・送金など)を正規のサイトに送らせる。クリックジャッキングは,透明にした正規サイトを罠のページに重ね,別のボタンだと思わせて押させる。
XSS(反射型)
攻撃者
利用者のブラウザ
脆弱なサイト
① 罠のリンク
② 開く ③ そのまま返す
埋め込まれたスクリプトが利用者のブラウザで動く(Cookie を盗むなど)
対策:出力時のエスケープ,Cookie の HttpOnly 属性
CSRF
罠のページ
利用者のブラウザ
正規のサイト
ログイン中
① 開く
② 送信させる
③ Cookie 付き
本人が操作したものとして,書込みや送金が行われる
対策:推測できないトークンを埋めて確かめる,SameSite 属性
クリックジャッキング
プレゼント
上に透明な正規サイト(「退会する」など)を
重ねて,下のボタンだと思わせて押させる
対策:X-Frame-Options,CSP の frame-ancestors
XSS はサイトの出力が汚される,CSRF は要求が偽造される,クリックジャッキングは画面が重ねられる
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
ブルートフォース攻撃に該当するものはどれか。
ア Web ブラウザと Web サーバの間の通信で,認証が成功してセッションが開始されているときに,Cookie などのセッション情報を盗む。
イ コンピュータへのキー入力を全て記録して外部に送信する。
ウ 使用可能な文字のあらゆる組合せをそれぞれパスワードとして,繰り返しログインを試みる。 正解
エ 正当な利用者のログインシーケンスを盗聴者が記録してサーバに送信する。
正解 ウ
解説
ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)は,使える文字のあらゆる組合せを片端からパスワードとして試し,ログインできるまで繰り返す攻撃。ウが正しい。パスワードを長く複雑にする,一定回数の失敗でアカウントをロックするといった対策がとられる。
アは通信中のセッション情報を盗んで成りすますセッションハイジャック。イはキー入力を記録して外部へ送るキーロガー。エは盗聴したログインのやり取りをそのまま送り直すリプレイ攻撃である。
ブルートフォース・リバースブルートフォース・パスワードスプレー
ブルートフォース攻撃は,1つの ID に対してパスワードを総当たりする。リバースブルートフォース攻撃は,よく使われる1つのパスワードを固定して ID を総当たりする。パスワードスプレー攻撃は,よく使われる少数のパスワードを多数の ID に順に試し,1つの ID への失敗回数を少なく抑えてアカウントロックを避ける。
ブルートフォース
ID は1つ,パスワードを全部
1つの ID に失敗が集中
リバース
パスワードは1つ,ID を全部
ID ごとの失敗は1回
パスワードスプレー
よく使う数個の,パスワードを多数の ID に
時間をあけ,ロックを避ける
何を固定し,何を変えるか。スプレーは1つの ID への失敗を少なくする
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
脆弱性検査手法の一つであるファジングはどれか。
ア 既知の脆弱性に対するシステムの対応状況に注目し,システムに導入されているソフトウェアのバージョン及びパッチの適用状況の検査を行う。
イ ソフトウェアのデータの入出力に注目し,問題を引き起こしそうなデータを大量に多様なパターンで入力して挙動を観察し,脆弱性を見つける。 正解
ウ ベンダや情報セキュリティ関連機関が提供するセキュリティアドバイザリなどの最新のセキュリティ情報に注目し,ソフトウェアの脆弱性の検査を行う。
エ ホワイトボックス検査の一つであり,ソフトウェアの内部構造に注目し,ソースコードの構文をチェックすることによって脆弱性を見つける。
正解 イ
解説
ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に多様なパターンで入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを観察して脆弱性を見つける手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。イが正しい。
アは導入済みソフトウェアのバージョンやパッチ適用状況を調べる既知脆弱性の検査。ウはセキュリティアドバイザリなどの情報を基に該当する脆弱性を調べるもの。エはソースコードを解析する静的検査で,いずれも入力を与えて挙動を見るファジングとは異なる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
取引履歴などのデータとハッシュ値の組みを順次つなげて記録した分散型台帳を,ネットワーク上の多数のコンピュータで同期して保有し,管理することによって,一部の台帳で取引データが改ざんされても,取引データの完全性と可用性が確保されることを特徴とする技術はどれか。
ア MAC(Message Authentication Code)
イ XML 署名
ウ ニューラルネットワーク
エ ブロックチェーン 正解
正解 エ
解説
ブロックチェーンは,取引履歴などのデータと,一つ前のブロックのハッシュ値とを組にしたブロックを順次つなげて記録する分散型台帳で,ネットワーク上の多数のコンピュータが同期して同じ台帳を保有する。途中のブロックを書き換えるとそのハッシュ値が変わり,次のブロックが持つ“前のハッシュ値”と合わなくなるので改ざんがすぐ分かり,一部の台帳が改ざんされても,ほかの台帳によって取引データの完全性と可用性が確保される。エが正しい。
アの MAC は,共通鍵を使ってメッセージの改ざんを検知する認証コード。イの XML 署名は,XML 文書にディジタル署名を付ける仕組み。ウのニューラルネットワークは,脳の神経回路を模した機械学習のモデルである。
ブロックチェーンが改ざんに強い理由
各ブロックは,一つ前のブロックのハッシュ値と取引のデータを持ち,それらから自分のハッシュ値が決まる。途中のブロック2の取引を書き換えるとブロック2のハッシュ値が変わり,ブロック3が持っている「前のハッシュ値」と合わなくなるので,改ざんがすぐ分かる。
ブロック 1
前:8f2a
取引
自分:c71e
ブロック 2
前:c71e
取引
自分:a903
ブロック 3
前:a903
取引
自分:5d40
正しい鎖:自分のハッシュ値が次のブロックの「前」になる
ブロック2の取引を書き換えると
ブロック 2
前:c71e
取引(改ざん)
自分:e1b7
ブロック 3
前:a903
取引
自分:5d40
ハッシュ値が変わる
a903 ≠ e1b7 なので,つながりが崩れて改ざんが分かる
途中を書き換えると,後ろのブロックとのつながりが崩れる
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
無線 LAN のセキュリティプロトコル,暗号アルゴリズム,暗号鍵の鍵長の組合せのうち,適切なものはどれか。
ア セキュリティプロトコル:WPA(TKIP),暗号アルゴリズム:AES,暗号鍵の鍵長:128,192又は256ビット
イ セキュリティプロトコル:WPA(TKIP),暗号アルゴリズム:RC4,暗号鍵の鍵長:64ビット
ウ セキュリティプロトコル:WPA2(CCMP),暗号アルゴリズム:AES,暗号鍵の鍵長:128ビット 正解
エ セキュリティプロトコル:WPA2(CCMP),暗号アルゴリズム:RC4,暗号鍵の鍵長:64ビット
正解 ウ
解説
WPA2 は IEEE 802.11i に準拠し,暗号化に CCMP を使う。CCMP は暗号アルゴリズムに AES を用い,暗号鍵の鍵長は128ビットである。ウの“WPA2(CCMP),AES,128ビット”が適切である。
アは WPA(TKIP)と AES の組合せが誤りで,TKIP は RC4 を基にした方式である。イは WPA(TKIP)と RC4 の組合せ自体は正しいが,TKIP の暗号鍵は128ビットなので,64ビットとは合わない。エは WPA2(CCMP)が使うのは AES で,RC4 ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
SysML の説明として,適切なものはどれか。
ア Web ページに,画像を使用せずに数式を表示するために用いられる,XML で定義されたマークアップ言語
イ システムの設計及び検証を行うために用いられる,UML 仕様の一部を流用して機能拡張したグラフィカルなモデリング言語 正解
ウ ハードウェアとソフトウェアとの協調設計(コデザイン)に用いられる,C 言語又は C++言語を基としたシステムレベル記述言語
エ 論理合成して FPGA で動作させるハードウェア論理の記述に用いられる,ハードウェア記述言語
正解 イ
解説
SysML(Systems Modeling Language)は,OMG が策定したシステムズエンジニアリング向けのモデリング言語で,UML の一部を流用し,要求図やパラメトリック図などを追加して拡張したものである。ハードウェアやソフトウェアを含むシステム全体の設計や検証に用いられる。イが適切である。
アは Web ページで数式を表現する MathML,ウは C++ を基にしたシステムレベル記述言語である SystemC,エは VHDL や Verilog HDL などのハードウェア記述言語の説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
ソフトウェアアーキテクチャパターンのうち,仕様の追加や変更による影響が及ぶ範囲を限定できるようにするために,機能を業務ロジック,画面出力,それらの制御という,三つのコンポーネントに分けるものはどれか。
ア Broker
イ Layers
ウ MVC 正解
エ Pipes and Filters
正解 ウ
解説
MVC(Model-View-Controller)は,機能をモデル(業務ロジック),ビュー(画面出力),コントローラ(それらの制御。利用者の入力を受けてモデルやビューに伝える)の三つのコンポーネントに分けるアーキテクチャパターン。役割が分かれているので,仕様の追加や変更の影響が及ぶ範囲を限定しやすい。ウが正しい。
アの Broker は,クライアントとサーバの間にブローカを置いて,分散した要素どうしの呼出しを仲介するパターン。イの Layers は,機能を層に分け,上位の層が下位の層を利用する階層構造のパターン。エの Pipes and Filters は,データを処理するフィルタをパイプでつなぎ,順にデータを流して処理するパターンである。
MVC(モデル・ビュー・コントローラ)
モデルはデータと業務の処理,ビューは画面の表示,コントローラは利用者の入力を受けてモデルやビューに伝える。役割を分けるので,画面を変えても業務の処理に影響しにくく,同じモデルを複数のビューで表示できる。
コントローラ
入力を受ける
モデル
データと処理
ビュー
表示する
操作を伝える
変更を知らせる
表示を切り替え
画面を変えても業務の処理に影響しにくい
入力はコントローラ,データと処理はモデル,表示はビュー
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。
〔方針〕
不特定多数の人が使用するプログラムには,自分だけが使用するプログラムに比べて,より多く,データチェックの機能を組み込む。プログラムが処理できるデータの前提条件を文書に書いておくだけでなく,プログラムについても前提条件を満たしていないデータが入力されたときは,エラーメッセージを表示して再入力を促すようなものとする。
ア フールプルーフ 正解
イ フェールセーフ
ウ フェールソフト
エ フォールトトレランス
正解 ア
解説
フールプルーフは,利用者が誤った操作をしたり想定外のデータを入力したりしても,システムが異常な動作をしないようにあらかじめ防いでおく考え方である。前提条件を満たさないデータが入力されたらエラーメッセージを出して再入力を促す,という方針はこれに当たる。アが正しい。
イのフェールセーフは故障したときに安全な側に倒す設計,ウのフェールソフトは故障時に機能を落としてでも運転を続ける設計,エのフォールトトレランスは構成要素を多重化して故障が起きても正常な動作を続けられるようにすること。いずれも故障が起きた後の備えであり,誤操作を未然に防ぐフールプルーフとは着眼点が違う。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
プログラムの誤りの一つに,繰返し処理の終了条件として A≧a とすべきところを A>a とコーディングしたことに起因するものがある。このような誤りを見つけ出すために有効なテストケース設計技法はどれか。ここで,A は変数,a は定数とする。
ア 限界値分析 正解
イ 条件網羅
ウ 同値分割
エ 分岐網羅
正解 ア
解説
限界値分析は,入力が取りうる範囲の境目(境界値)とその前後の値をテストデータに選ぶテスト技法。A≧a と A>a の違いは境界の値 A=a のときだけ結果が変わるので,A=a とその前後の値で確かめる限界値分析が,このような誤りを見つけるのに有効である。アが正しい。
イの条件網羅は,判定に含まれる各条件が真と偽の両方になるようにテストするもので,A=a の値が選ばれるとは限らない。ウの同値分割は,同じ扱いになる入力の範囲(同値クラス)から代表値を一つずつ選ぶもので,境界の値が選ばれるとは限らない。エの分岐網羅は,判定が真になる場合と偽になる場合の両方の経路を通るテストで,A>a の真偽だけでは A=a の場合の誤りは見つからない。
同値分割と限界値分析
1ページに30件ずつ印字するプログラムの例。印字件数を,0件,1〜30件(1ページ),31件以上(2ページ以上)の同値クラスに分ける。同値分割では各クラスから代表の値(例えば15件,45件)を1つずつ選ぶ。限界値分析では誤りの多い境目の値,0件・1件・30件・31件を選ぶ。
1〜30件(1ページ)
31件〜(2ページ以上)
0件
0
1
30
31
15
45
限界値分析:境目の両側 0・1・30・31
同値分割:各グループの代表(15,45 など)
印字する件数
同値分割は各グループの代表,限界値分析は境目の両側を選ぶ
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
アジャイル開発で“イテレーション”を行う目的のうち,適切なものはどれか。
ア ソフトウェアに存在する顧客の要求との不一致を短いサイクルで解消したり,要求の変化に柔軟に対応したりする。 正解
イ タスクの実施状況を可視化して,いつでも確認できるようにする。
ウ ペアプログラミングのドライバとナビゲータを固定化させない。
エ 毎日決めた時刻にチームメンバが集まって開発の状況を共有し,問題が拡大したり,状況が悪化したりするのを避ける。
正解 ア
解説
アジャイル開発のイテレーションは,設計から実装・テストまでを短い期間で1周させ,動くソフトウェアを繰り返し顧客に見せる進め方。早い段階で顧客の要求との食い違いに気付いて直せるうえ,途中で要求が変わっても次の周回で取り込める。アが正しい。
イのタスクの実施状況の可視化はタスクボード(かんばん),ウのドライバとナビゲータを交代させるのはペアプログラミング,エの毎日決まった時刻の状況共有はデイリースクラム(朝会)の目的である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
プロジェクトの期間を短縮する方法のうち,クラッシングに該当するものはどれか。
ア 作業の前後関係を組み直し,実施する順番を変える。
イ 作業を分析し,同時に実施できる部分を複数の作業に分割し,並行して実施する。
ウ 先行作業の一部の成果物が完成した時点で,後続作業を開始する。
エ プロジェクトの外部から要員を調達し,クリティカルパス上の作業に投入する。 正解
正解 エ
解説
クラッシングは,要員や設備などの資源を追加投入してクリティカルパス上の作業期間を短縮する技法。コストは増えるが期間を縮められる。
イは同時に実施できる作業を並行させるファストトラッキング。アの作業順序の組替えやウの部分完成による後続作業の前倒しも,資源の追加投入ではないためクラッシングには当たらない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
システム開発の進捗管理などに用いられるトレンドチャートの説明はどれか。
ア 作業に関与する人と責任をマトリックスで示したもの
イ 作業日程の計画と実績を対比できるように帯状に示したもの
ウ 作業の進捗状況と予算の消費状況を関連付けて折れ線で示したもの 正解
エ 作業の順序や相互関係をネットワーク図で示したもの
正解 ウ
解説
トレンドチャートは,作業の進捗率と予算(コスト)の消費率を同じ図に折れ線で描き,両者の関係から進捗の良否を読み取る図。進捗に対してコストを使い過ぎていないかが一目で分かる。ウが正しい。
アは責任分担マトリックス(RACI チャートなど),イはガントチャート,エはアローダイアグラム(PERT 図)の説明である。
トレンドチャート
横軸に開発期間,縦軸に予算消化率をとり,マイルストーンごとに予定と実績を描く。予定の位置から実績の位置への矢印が横にずれれば進捗のずれ,縦にずれれば費用のずれを表す。矢印が真下を向いていれば,予定どおりの時期に達成し,費用は予算より少ない。
開発期間
予算消化率
真下:時期どおり,
費用は少ない
予定(破線)
実績
進捗と費用を同時に管理する図
横のずれは進捗,縦のずれは費用。真下なら進捗どおりで費用は少ない
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
あるシステムの開発工数を見積もると 120人月であった。このシステムの開発を 12か月で終えるように表に示す計画を立てる。プログラム作成工程には,何名の要員を確保しておく必要があるか。ここで,工程内での要員の増減はないものとする。
正解 エ
解説
プログラム作成工程の工数は 120人月×45%=54人月,期間は 12か月×25%=3か月。工程内で要員の増減がないので,必要な要員数は 54÷3=18名。エが正しい。
他の工程の値と取り違えると誤る。アの7は仕様設計(42人月÷6か月),イの8はテスト(24人月÷3か月),ウの10は全体の平均(120人月÷12か月)で求めた値である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
ソフトウェアの機能量に着目して開発規模を見積もるファンクションポイント法で,調整前 FP を求めるために必要となる情報はどれか。
ア 開発者数
イ 画面数 正解
ウ プログラムステップ数
エ 利用者数
正解 イ
解説
ファンクションポイント法は,外部入力,外部出力,外部照会,内部論理ファイル,外部インタフェースファイルという5種類の機能の数を数え,複雑度で重み付けして調整前 FP を求める。画面数は外部入力・外部出力・外部照会の数を把握する手掛かりになるので,この算出に必要な情報になる。イが正しい。
アの開発者数とエの利用者数は,ソフトウェアがもつ機能の量とは関係がない。ウのプログラムステップ数は言語や書き方といった実装の手段に左右される情報で,機能量に着目するファンクションポイント法では使わない(ステップ数を使うのは LOC 法)。
ファンクションポイント法の5つの機能
アプリケーションの境界の内側で管理するデータが内部論理ファイル(ILF),外部のアプリケーションが管理し参照だけするデータが外部インタフェースファイル(EIF)。境界を越えるやり取りは,データを入れて更新する外部入力(EI),計算や加工をして出す外部出力(EO),そのまま取り出して見せる外部照会(EQ)。
アプリケーションの境界
ILF
内部論理ファイル
EIF
外部のファイル
利用者
EI 入力
利用者
EO 出力
EQ 照会
参照
データ2種(ILF・EIF)と,境界を越える処理3種(EI・EO・EQ)
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
図は,ITIL 2011 edition のサービスライフサイクルの各段階の説明と流れである。a〜d の段階名の適切な組合せはどれか。
ア a:サービスストラテジ,b:サービスオペレーション,c:サービストランジション,d:サービスデザイン
イ a:サービスストラテジ,b:サービスデザイン,c:サービストランジション,d:サービスオペレーション 正解
ウ a:サービスデザイン,b:サービスストラテジ,c:サービストランジション,d:サービスオペレーション
エ a:サービスデザイン,b:サービストランジション,c:サービスストラテジ,d:サービスオペレーション
正解 イ
解説
ITIL のサービスライフサイクルは,サービスストラテジ,サービスデザイン,サービストランジション,サービスオペレーション,継続的サービス改善の順に並ぶ。a の“全体的な戦略を確立する”がサービスストラテジ,b の“事業要件に応えるサービスを作り出す”がサービスデザイン,c の“テストして本番環境に展開する”がサービストランジション,d の“効果的かつ効率的に提供しサポートする”がサービスオペレーションに当たる。
戦略を決めてから設計し,移行させてから運用する,という流れを押さえておけば,設計と運用が入れ替わっているアや,戦略が後ろにあるウ・エは選ばない。
ITIL のサービスライフサイクル(v3・2011 edition)
サービスストラテジでどんなサービスを提供するかの戦略を決め,サービスデザインで設計し,サービストランジションで運用に移し,サービスオペレーションで日々運用する。継続的サービス改善は,ほかの4段階を通してサービスを測り,改善し続ける。
ストラテジ
戦略を決める
デザイン
設計する
トランジション
運用に移す
オペレーション
日々の運用
継続的サービス改善
全ての段階を測り,改善し続ける(7ステップの改善プロセス)
ITIL 4 ではプロセスを「プラクティス」と呼ぶ
段階の順番(ストラテジ→デザイン→トランジション→オペレーション)を問う問題が出ている
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
IT サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理プロセスの活動はどれか。
ア IT サービスの提供に必要な予算に対して,適切な資金を確保する。
イ 現在の資源の調整と最適化,及び将来の資源要件に関する予測を記載した計画を作成する。
ウ 災害や障害などで事業が中断しても,要求されたサービス機能を合意された期間内に確実に復旧できるように,事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする。
エ 提供する IT サービス及びサービス目標を特定し,サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。 正解
正解 エ
解説
サービスレベル管理プロセスは,提供する IT サービスとそのサービス目標を特定し,サービス提供者と顧客の間でサービスレベル合意書(SLA)として合意し,その達成状況を監視・報告して改善していくプロセスである。エが該当する。
アは IT サービスの予算と資金を管理する財務管理,イは現在の資源の最適化と将来の資源要件の予測を行うキャパシティ管理,ウは事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする IT サービス継続性管理の活動である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
ITIL 2011 edition に示されるサービスデスク組織の構造とその特徴のうち,“フォロー・ザ・サン”の説明として,最も適切なものはどれか。
ア サービスデスクを1拠点又は少数の場所に集中することによって,サービス要員を効率的に配置したり,大量のコールに対応したりすることができる。
イ サービスデスクを利用者の近くに配置することによって,言語や文化の異なる利用者への対応,専門要員による VIP 対応などができる。
ウ サービス要員が複数の地域や部門に分散していても,通信技術を利用することによって,単一のサービスデスクがあるようにサービスを提供することができる。
エ 時差がある分散拠点にサービスデスクを配置し,各サービスデスクが連携してサービスを提供することによって,24時間対応のサービスが提供できる。 正解
正解 エ
解説
ITIL 2011 edition では,サービスデスクの組織構造として,ローカル,集中,バーチャル,フォロー・ザ・サンが示されている。フォロー・ザ・サンは,時差のある分散拠点にサービスデスクを置き,時間帯に応じて各拠点が連携して順に対応を引き継ぐことで,24時間対応のサービスを提供する構造。エが適切である。
アは集中したサービスデスク,イは利用者の近くに置くローカルサービスデスク,ウは通信技術によって単一のサービスデスクがあるように見せるバーチャルサービスデスクの説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
システム監査における,サンプリング(試査)に関する用語の説明のうち,適切なものはどれか。
ア 許容逸脱率とは,受け入れることができる所定の内部統制からの逸脱率であり,監査人がサンプルの件数を決めるときに用いられる指標である。 正解
イ サンプリングリスクとは,固有リスクと統制リスクを掛け合わせた結果である。
ウ 統計的サンプリングとは,特定の種類の例外取引を全て抽出する方法である。
エ 母集団とは,評価対象から結論を導き出すのに必要なデータ全体のうち,リスクが高いデータの集合である。
正解 ア
解説
許容逸脱率は,所定の内部統制から外れている割合として受け入れられる上限のこと。この値を小さく設定するほど多くのサンプルを調べる必要があるので,監査人がサンプル件数を決めるときの指標として使われる。アが正しい。
イのサンプリングリスクは,抽出した標本が母集団を代表していないために誤った結論を導いてしまうリスクで,固有リスクと統制リスクを掛け合わせたものではない。ウの統計的サンプリングは無作為抽出と確率論に基づく方法で,特定の例外取引を全て抜き出すのは特定項目抽出という別の方法。エの母集団は評価対象となるデータ全体であって,リスクが高いものに限った集合ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
システム監査において,ペネトレーションテストが最も適合するチェックポイントはどれか。
ア オフィスへの入退室に,不正防止及び機密保護の物理的な対策が講じられているか。
イ データ入力が漏れなく,重複なく正確に行われているか。
ウ ネットワークの負荷状況の推移が記録,分析されているか。
エ ネットワークへのアクセスコントロールが有効に機能しているか。 正解
正解 エ
解説
ペネトレーションテスト(侵入テスト)は,実際の攻撃手法を用いて,外部や内部から対象のシステムへの侵入を試み,脆弱性があるかどうかを確かめる手法。ネットワークへのアクセスコントロールが有効に機能しているかを確かめるエが最も適合する。
アの入退室の物理的な対策は,現地での視察や観察で確かめる。イのデータ入力が漏れなく重複なく行われているかは,入力データの突合せやテストデータ法などで確かめる。ウのネットワークの負荷状況の記録と分析は,ログや性能の記録を調べて確かめるもので,侵入を試みるペネトレーションテストの対象ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
情報システムの可監査性を説明したものはどれか。
ア コントロールの有効性を監査できるように,情報システムが設計・運用されていること 正解
イ システム監査人が,監査の目的に合致した有効な手続を行える能力をもっていること
ウ 情報システムから入手した監査証拠の十分性と監査報告書の完成度が保たれていること
エ 情報システム部門の積極的な協力が得られること
正解 ア
解説
可監査性は,情報システムに組み込まれたコントロールが有効に働いているかどうかを,監査人が確かめられるようにシステムが設計・運用されている度合いをいう。処理の記録が残る,取引をさかのぼって追跡できるといった作りがこれに当たる。アが正しい。
イはシステム監査人の側の能力の話,ウは入手した監査証拠や監査報告書という監査の成果物の品質の話,エは被監査部門の協力体制の話で,いずれも情報システムそのものがもつ性質ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
IT 投資ポートフォリオにおいて,情報化投資の対象を,戦略,情報,トランザクション,インフラの四つのカテゴリに分類した場合,トランザクションカテゴリに対する投資の直接の目的はどれか。
ア 管理品質向上のために,マネジメント,レポーティング,分析などを支援する。
イ 市場における競争優位やポジショニングを獲得する。
ウ 複数のアプリケーションによって共有される基盤部分を提供する。
エ ルーチン化された業務のコスト削減や処理効率向上を図る。 正解
正解 エ
解説
IT 投資ポートフォリオは,情報化投資を目的の違いによって幾つかのカテゴリに分け,カテゴリ間の配分の偏りを見ながら投資を判断する考え方である。戦略は競争優位の獲得,情報は経営の意思決定や管理の支援,トランザクションは受注処理や会計処理のようにルーチン化された定型業務の処理,インフラは複数の業務システムが共通に使う基盤を担う。トランザクションカテゴリへの投資の直接の目的は,その定型業務のコスト削減や処理効率の向上なので,エが該当する。
アはマネジメントやレポーティング,分析を支援する情報カテゴリ,イは市場での競争優位やポジショニングの獲得を狙う戦略カテゴリ,ウは複数のアプリケーションに共有される基盤部分を提供するインフラカテゴリに対する投資の目的である。
IT 投資ポートフォリオの4つのカテゴリ
情報化投資を目的で分けると,戦略は市場での競争優位の獲得,情報は経営の意思決定や管理(マネジメント・レポーティング・分析)の支援,トランザクションは受注や会計などルーチン化された業務のコスト削減と処理効率の向上,インフラは複数の業務システムが共有する基盤の提供。
戦略
競争優位・ポジショニング
情報
管理・レポーティング・分析
トランザクション
定型業務のコスト削減・効率化
インフラ
共有される基盤
カテゴリ間の配分の偏りを見ながら投資を判断する
トランザクション=定型業務のコスト削減・効率向上(エ)
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。
ア 対象をエンティティとその属性及びエンティティ間の関連で捉え,データ中心アプローチの表現によって図に示す。
イ データの流れによってプロセスを表現するために,データ送出し,データ受取り,データ格納域,データに施す処理を,データの流れを示す矢印でつないで表現する。
ウ 複数の観点でプロセスを表現するために,目的に応じたモデル図法を使用し,オブジェクトモデリングのために標準化された記述ルールで表現する。 正解
エ プロセスの機能を網羅的に表現するために,一つの要件に対して発生する事象を条件分岐の形式で記述する。
正解 ウ
解説
UML はオブジェクト指向のモデリングのために標準化された記法で,クラス図,アクティビティ図,シーケンス図など目的の異なる複数の図を使い分け,同じ対象を複数の観点から表現する。ウが正しい。
アはエンティティと関連で捉える E-R 図によるデータ中心アプローチ,イはデータの流れで表す DFD(データフロー図),エは条件分岐の形で網羅的に記述するデシジョンツリーや決定表の説明で,いずれも UML の図法ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
企業の業務システムを,自社のコンピュータでの運用からクラウドサービスの利用に切り替えるときの留意点はどれか。
ア 企業が管理する顧客情報や従業員の個人情報を取り扱うシステム機能は,リスクを検討するまでもなく,クラウドサービスの対象外とする。
イ 企業の情報セキュリティポリシやセキュリティ関連の社内規則と,クラウドサービスで提供される管理レベルとの不一致の存在を確認する。 正解
ウ クラウドサービスの利用開始に備え,自社で保有しているサーバの機能強化や記憶域の増加を実施する。
エ 事業継続計画は自社の資産の範囲で実施することを優先し,クラウドサービスを利用する範囲から除外する。
正解 イ
解説
クラウドサービスへ切り替えると,情報の管理はクラウドサービスの提供者の管理レベルに依存する。自社の情報セキュリティポリシや社内規則が求める管理水準と,クラウドサービスで提供される管理レベルとの間に不一致がないかを確認し,あれば追加の対策や契約の見直しを検討する。イが適切である。
アは,個人情報を扱うシステム機能でも,リスクを検討して必要な対策を講じるかどうかを判断するもので,検討せずに一律で対象外とするのは適切でない。ウのサーバの機能強化や記憶域の増加は,自社のコンピュータでの運用を続ける場合の備えで,クラウドへ切り替えるための留意点ではない。エは,事業継続計画をクラウドサービスの範囲から除外すると,クラウドサービスが使えなくなったときの事業継続を考えられなくなる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
IT 投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いて KPI を設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立った KPI の例はどれか。
ア 売上高営業利益率を前年比5%アップとする。
イ 顧客クレーム件数を1か月当たり20件以内とする。
ウ 新システムの利用者研修会の受講率を100%とする。
エ 注文受付から製品出荷までの日数を3日短縮とする。 正解
正解 エ
解説
バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から戦略目標と KPI を設定する手法である。内部ビジネスプロセスの視点は,業務プロセスの効率や品質を高めるための指標を扱うので,注文受付から製品出荷までの日数の短縮というエが該当する。
アの売上高営業利益率は財務の視点,イの顧客クレーム件数は顧客の視点,ウの利用者研修会の受講率は人材育成に関わる学習と成長の視点の指標である。
バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ
下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。
財務
売上高を伸ばす
売上高・利益率
顧客
顧客満足度を上げる
顧客満足度・シェア
内部ビジネスプロセス
出荷を速くする
出荷までの日数
学習と成長
専門人材を育てる
育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
ある企業が,AI などの情報技術を利用した自動応答システムを導入して,コールセンタにおける顧客対応を無人化しようとしている。この企業が,システム化構想の立案プロセスで行うべきことはどれか。
ア AI などの情報技術の動向を調査し,顧客対応における省力化と品質向上など,競争優位を生み出すための情報技術の利用方法について分析する。 正解
イ AI などを利用した自動応答システムを構築する上でのソフトウェア製品又はシステムの信頼性,効率性など品質に関する要件を定義する。
ウ 自動応答に必要なシステム機能及び能力などのシステム要件を定義し,システム要件を,AI などを利用した製品又はサービスなどのシステム要素に割り当てる。
エ 自動応答を実現するソフトウェア製品又はシステムの要件定義を行い,AI などを利用した実現方式やインタフェース設計を行う。
正解 ア
解説
システム化構想の立案は,経営上の課題やニーズを整理し,情報技術の動向を踏まえて,どのような形でシステム化するかという全体の構想をまとめる段階。個別の要件やシステム機能を決める前に,競争優位につながる情報技術の使い方を分析するアがこれに当たる。
イの品質に関する要件の定義とエのソフトウェア要件定義・実現方式やインタフェースの設計は,構想が固まった後の要件定義やシステム設計の作業。ウのシステム要件の定義とシステム要素への割当ても,システム要件定義プロセスで行うことである。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
ベンダ X 社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X 社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書<第一版>”に照らし,各フェーズの契約形態を整理した。a〜d の契約形態のうち,準委任型が適切であるとされるものはどれか。
正解 イ
解説
経済産業省の“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって決める工程は,ベンダが専門的な支援を行う準委任型,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程は請負型を適切としている。要件定義はユーザの業務要件を固める工程なので準委任型(a),運用テストはユーザが自らの業務で使えるかを確かめる工程なので準委任型(d)が適切である。イが正しい。
システム内部設計(b)とシステム結合(c)は,外部設計で要件が固まったあとにベンダが自らの責任で進められる工程なので,請負型が適切とされる。外部設計とシステムテストは,状況に応じて準委任型と請負型のどちらもあり得る。
モデル取引・契約書:工程ごとの契約の型
ユーザが主体となって進めるシステム化計画・要件定義・導入・受入支援は準委任型。ベンダが成果物の完成に責任を負えるシステム内部設計からシステム結合までは請負型。システム外部設計とシステムテストは,準委任型か請負型のどちらか。
システム
化計画
準委任
要件定義
準委任
外部設計
どちらか
内部設計
請負
設計・製
造・テス
ト
請負
システム
結合
請負
システム
テスト
どちらか
導入・受
入支援
準委任
請負:内部設計〜システム結合
要件定義と導入・受入支援はユーザが主体(準委任)
成果物を完成させる約束ができる工程(内部設計〜結合)が請負
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
SCM の目的はどれか。
ア 顧客情報や購買履歴,クレームなどを一元管理し,きめ細かな顧客対応を行うことによって,良好な顧客関係の構築を目的とする。
イ 顧客情報や商談スケジュール,進捗状況などの商談状況を一元管理することによって,営業活動の効率向上を目的とする。
ウ 生産,販売,在庫管理,財務会計,人事管理など基幹業務のあらゆる情報を統合管理することによって,経営効率の向上を目的とする。
エ 複数の企業や組織にまたがる調達から販売までの業務プロセス全ての情報を統合的に管理することによって,コスト低減や納期短縮などを目的とする。 正解
正解 エ
解説
SCM(サプライチェーンマネジメント)は,複数の企業や組織にまたがる,調達から生産,物流,販売までの業務プロセス全体の情報を統合的に管理し,コストの低減や納期の短縮などを目指す手法である。エが目的である。
アは顧客情報や購買履歴を一元管理して良好な顧客関係を築く CRM,イは顧客情報や商談状況を管理して営業活動を効率化する SFA(営業支援システム),ウは基幹業務の情報を統合して経営資源を有効活用する ERP の説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
バリューチェーンによる分類はどれか。
ア 競争要因を,新規参入の脅威,サプライヤの交渉力,買い手の交渉力,代替商品の脅威,競合企業という五つのカテゴリに分類する。
イ 業務を,購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスという五つの主活動と,人事・労務管理などの四つの支援活動に分類する。 正解
ウ 事業の成長戦略を,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の2軸を用いて,市場浸透,市場開発,製品開発,多角化という4象限のマトリックスに分類する。
エ 製品を,市場の魅力度と自社の強みの2軸を用いて,花形,金のなる木,問題児,負け犬という4象限のマトリックスに分類する。
正解 イ
解説
バリューチェーン(価値連鎖)は,M.E.ポーターが提唱した考え方で,企業の活動を購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスの五つの主活動と,全般管理,人事・労務管理,技術開発,調達の四つの支援活動に分類し,どの活動で価値が生み出されているかを分析する。イが正しい。
アは業界の競争要因を五つに分けるファイブフォース分析,ウは製品と市場の2軸で成長戦略を分類するアンゾフの成長マトリクス,エは製品や事業を4象限に分類する PPM の考え方(軸を市場の魅力度と自社の強みとするのは GE のビジネススクリーンの軸)である。
バリューチェーン
企業の活動を,製品やサービスが顧客に届くまでの主活動(購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービス)と,それを支える支援活動(全般管理・人事労務管理・技術開発・調達)に分け,どの活動で価値(利益,マージン)が生まれているかを分析する。
全般管理(インフラストラクチャ)
人事・労務管理
技術開発
調達活動
購買物流
製造
出荷物流
販売・マーケ
サービス
マージン
上:支援活動 下:主活動
主活動5つと支援活動4つ。右端のマージンが生み出した価値
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
観測データを類似性によって集団や群に分類し,その特徴となる要因を分析する手法はどれか。
ア クラスタ分析法 正解
イ 指数平滑法
ウ デルファイ法
エ モンテカルロ法
正解 ア
解説
クラスタ分析法は,観測データを互いの類似性に基づいて集団(クラスタ)に分け,各集団に共通する特徴から要因を読み取る手法。アが正しい。
イの指数平滑法は過去の実績に指数的な重みを付けて将来を予測する手法,ウのデルファイ法は専門家の意見を匿名で繰り返し集約して見通しを立てる手法,エのモンテカルロ法は乱数を使って数値的に解を求める手法である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
MPEG4 などに存在するパテントプールの説明として,適切なものはどれか。
ア 国際機関及び標準化団体による公的な標準ではなく,市場の実勢によって事実上の標準とみなされるようになった規格及び製品
イ 著作権表示を保持することによって,ソフトウェアの使用,複製,改変,及び再頒布が認められる仕組み
ウ 特許料が無償でライセンスされている技術
エ 複数の企業が自社の特許権をもち寄り,特許権を一括して管理する仕組み 正解
正解 エ
解説
パテントプールは,複数の企業が自社の特許権を持ち寄り,それらを一括して管理し,第三者にまとめてライセンスする仕組みである。MPEG4 のように多数の企業の特許が絡む規格で,利用者が個々の企業と交渉しなくて済むようにする。エが適切である。
アは国際機関や標準化団体の公的な標準ではなく,市場の実勢で事実上の標準になったデファクトスタンダードの説明である。イは著作権表示を保持することを条件に使用,複製,改変,再頒布を認める,オープンソースソフトウェアのライセンスの考え方である。ウは特許料が無償でライセンスされるロイヤリティフリーの技術の説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
IoT がもたらす効果を“監視”,“制御”,“最適化”,“自律化”の4段階に分類すると,IoT によって工場の機械の監視や制御などを行っているシステムにおいて,“自律化”の段階に達している例はどれか。
ア 機械に対して,保守員が遠隔地の保守センタからインターネットを経由して,機器の電源のオン・オフなどの操作命令を送信する。
イ 機械の温度や振動データをセンサで集めて,インターネットを経由してクラウドシステム上のサーバに蓄積する。
ウ クラウドサービスを介して,機械同士が互いの状態を常時監視・分析し,人手を介すことなく目標に合わせた協調動作を自動で行う。 正解
エ クラウドシステム上に常時収集されている機械の稼働情報を基に,機械の故障検知時に,保守員が故障部位を分析して特定する。
正解 ウ
解説
4段階のうち“自律化”は,機器が集めた情報を自ら分析し,人手を介さずに判断して動く段階。クラウドサービスを介して機械同士が互いの状態を常時監視・分析し,目標に合わせた協調動作を自動で行うウがこれに当たる。
イはセンサでデータを集めて蓄積するだけの“監視”の段階。アは人が遠隔から操作命令を送る“制御”の段階。エは収集した稼働情報を基に保守員が故障部位を分析するもので,判断の主体が人である点で“自律化”には達していない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
顧客との接点として注目される,チャットボットの説明はどれか。
ア インターネットオークションなどで,売り手と買い手の取引を安全に行うために,第三者の仲介業者が決済や商品の受渡しを行うサービスである。
イ 需要を予測してネットワーク設備やシステムリソースなどを計画的に調達し,需要の変動に応じて迅速にサービスを提供する考え方である。
ウ 商品提案から販売,アフターサービスまでの,企業と顧客との双方向の対話を,AI を活用した自動応答機能などによって実現するシステムである。 正解
エ スマートフォンのカメラなどを通して,利用者の視界に有用な情報を重ね合わせ,現実世界での行動や認知を支援する技術である。
正解 ウ
解説
チャットボットは,利用者の問合せなどに,AI を活用した自動応答機能によって対話形式で答えるシステム。商品提案から販売,アフターサービスまでの企業と顧客との双方向の対話を実現する,顧客との接点として注目されている。ウが正しい。
アはインターネットオークションなどで第三者が決済や商品の受渡しを仲介するエスクローサービス。イは需要に合わせてネットワーク設備やシステムリソースを調達する考え方で,顧客との対話の仕組みではない。エはスマートフォンのカメラなどで現実の視界に情報を重ね合わせる拡張現実(AR)の説明である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
ある期間の生産計画において,表の部品表で表される製品 A の需要量が10個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が5個,部品 D の在庫残が25個あり,他の在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。
正解 イ
解説
製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。
上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。
部品表から部品 D の正味所要量を求める
製品 A が10個なので,ユニット B は 4×10=40個,在庫5個を引いて正味35個。ユニット C は10個。部品 D は B から 35×3=105個,C から 10×1=10個で合計115個,在庫25個を引いて正味90個。
A
10個
B
40−在庫5=35
C
10
D
35×3
E
D
10×1
F
D:105 + 10 = 115,在庫25を引いて 90 個
在庫は上の階層から順に引いていく
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
CIO が経営から求められる役割はどれか。
ア 企業経営のための財務戦略の立案と遂行
イ 企業の研究開発方針の立案と実施
ウ 企業の法令遵守の体制の構築と運用
エ ビジネス価値を最大化させる IT サービス活用の促進 正解
正解 エ
解説
CIO(最高情報責任者)は,企業の経営戦略に沿って情報システムや情報技術の活用の方針を定め,ビジネス価値を最大化させるように IT サービスの活用を促進する役割を経営から求められる。エが正しい。
アの財務戦略の立案と遂行は CFO(最高財務責任者),イの研究開発方針の立案と実施は CTO(最高技術責任者)など,ウの法令遵守の体制の構築と運用はコンプライアンス担当の役員の役割で,CIO に求められる役割ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
横軸にロットの不良率,縦軸にロットの合格率をとり,抜取検査でのロットの品質とその合格率との関係を表したものはどれか。
ア OC 曲線 正解
イ バスタブ曲線
ウ ポアソン分布
エ ワイブル分布
正解 ア
解説
OC 曲線(検査特性曲線)は,横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとり,ロットの品質と合格率の関係を表した曲線である。抜取検査の方式(サンプル数や合格判定個数)がどの程度の品質のロットを合格させるかを評価するのに使う。アが正しい。
イのバスタブ曲線は,時間の経過に対する故障率の変化(初期故障期,偶発故障期,摩耗故障期)を表す曲線。ウのポアソン分布は,一定時間内などに稀な事象が起きる回数の確率分布。エのワイブル分布は,寿命や故障までの時間の分布を表すのに使われる確率分布である。
OC 曲線(検査特性曲線)
横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線。不良率が低い良いロット(p0)でも合格率は1にならず,不合格になる確率 α が生産者危険。不良率が高い悪いロット(p1)でも合格する確率 β が消費者危険。
ロットの不良率
合格率
1
p0
p1
α 生産者危険
良いロットが落ちる
β 消費者危険
悪いロットが通る
良いロットを落とすのが生産者危険 α,悪いロットを通すのが消費者危険 β
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
工場で,ある原料から生産している3種類の製品 A,B 及び C の単位量当たりの製造時間,原料所要量及び利益額を表に示す。この工場の月間合計製造時間は最大240時間であり,投入可能な原料は月間 150kg である。このとき,各製品をそれぞれどれだけ作ると最も高い利益が得られるかを求めるのに用いられる手法はどれか。
ア 移動平均法
イ 最小二乗法
ウ 線形計画法 正解
エ 定量発注法
正解 ウ
解説
製造時間と原料の使用量に上限があるという条件のもとで,利益額が最大になる各製品の生産量を求める問題は,線形計画法で解く。製品 A,B,C の生産量を a,b,c とすると,制約は 2a+3b+c≦240(製造時間),2a+b+2c≦150(原料),目的は 8a+5b+5c を最大にすること。ウが正しい。
アの移動平均法は時系列データの変動をならして傾向をつかむ予測手法,イの最小二乗法はデータに直線などの関数をあてはめる手法,エの定量発注法は在庫が発注点を下回ったら一定量を発注する在庫管理の方法で,最大利益を求める手法ではない。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
売上高が 7,000 万円のとき,200 万円の損失,売上高が 9,000 万円のとき,600 万円の利益と予想された。売上高が 8,000 万円のときの変動費は何万円か。ここで,売上高が変わっても変動費率は変わらないものとする。
ア 3,200
イ 4,000
ウ 4,800 正解
エ 5,600
正解 ウ
解説
変動費率が一定なので,売上高の増加分に対する利益の増加分から限界利益率が求められる。売上高が 7,000万円→9,000万円 と 2,000万円増えたとき,利益は −200万円→600万円 と 800万円増えている。
限界利益率=800÷2,000=0.4 なので,変動費率=1−0.4=0.6。売上高が 8,000万円のときの変動費は 8,000×0.6=4,800万円。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
クリエイティブコモンズの説明はどれか。
ア 公共の図書館などにおいては,営利を目的としない場合に限り,一定の条件の下で著作物を複製し,利用者に提供することが許されるという規定
イ 著作物とは,思想や感情を創作的に表現したものであり,文芸,学術,美術又は音楽の領域に属するものであるという定義
ウ 著作物の共有をより円滑に行うために,再利用の許諾条件を著作者があらかじめ明示する枠組みを策定して普及させようとする活動及びその運営主体である団体名 正解
エ 著作物の保護期間は,著作者の生存期間,及び著作者の死後少なくとも50年間とし,それ以降,著作権は消滅するという考え方
正解 ウ
解説
クリエイティブコモンズは,著作物を円滑に共有できるように,著作者が再利用の許諾条件(表示,非営利,改変禁止,継承など)をあらかじめ明示するための枠組み(CC ライセンス)を策定して普及させようとする活動と,その運営主体である団体名である。ウが正しい。
アは,著作権法第31条の,図書館等における複製の規定。イは,著作権法第2条第1項第1号の著作物の定義。エは,著作権の保護期間に関する考え方である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
広告や宣伝目的の電子メールを一方的に送信することを規制する法律はどれか。
ア 電子消費者契約法
イ 特定電子メール法 正解
ウ 不正競争防止法
エ プロバイダ責任制限法
正解 イ
解説
特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)は,広告や宣伝を目的とする電子メールを一方的に送信することを規制する法律で,原則として,あらかじめ送信に同意した者などにしか送信できないとするオプトイン方式を採っている(第3条)。イが正しい。
アの電子消費者契約法は,電子商取引での消費者の操作ミスなどについての民法の特例を定めた法律。ウの不正競争防止法は,営業秘密の保護など,不正な競争行為を規制する法律。エのプロバイダ責任制限法は,インターネット上の権利侵害について,プロバイダの損害賠償責任の範囲と発信者情報の開示を定めた法律である。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
ユーザから請け負うソフトウェア開発を下請業者に委託する場合,下請代金支払遅延等防止法で禁止されている行為はどれか。
ア 交通費などの経費については金額を明記せず,実費負担とする旨を発注書面に記載する。
イ 下請業者に委託する業務内容は決まっているが,ユーザとの契約代金が未定なので,下請代金の取決めはユーザとの契約決定後とする。 正解
ウ 発注書面を交付する代わりに,下請業者の承諾を得て,必要な事項を記載した電子メールで発注を行う。
エ ユーザの事情で下請予定の業務内容の一部が未定なので,その部分及び下請代金は別途取り決める。
正解 イ
解説
下請代金支払遅延等防止法は,親事業者に対し,発注に当たって下請代金の額を含む必要事項を記載した書面(3条書面)を直ちに交付することを義務付けている。委託する業務内容が決まっているのに,自社とユーザとの契約が決まるまで下請代金を定めないという進め方は,代金を定められない正当な理由があるとはいえず,この義務に反する。イが禁止されている行為である。
アは,具体的な金額を書くことが難しいやむを得ない事情がある場合,金額を定めることとなる算定方法を記載すれば足りるとされているので問題ない。ウは,下請事業者の承諾を得れば電磁的方法(電子メールなど)による提供が認められている。エは,正当な理由で内容を定められない事項について,その理由と内容を定めることとなる予定期日を書いたうえで,定まり次第あらためて書面を交付することが認められている。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
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