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応用情報技術者試験

平成29年度 春期 科目A(午前)

平成29年度 春期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

論理和(∨),論理積(∧),排他的論理和(⊕)の結合法則の成立に関する記述として,適切な組合せはどれか。

結合法則の成立を問う表。列は (A∨B)∨C=A∨(B∨C),(A∧B)∧C=A∧(B∧C),(A⊕B)⊕C=A⊕(B⊕C)。ア は順に 必ずしも成立しない,成立する,成立する。イ は 成立する,必ずしも成立しない,成立する。ウ は 成立する,成立する,必ずしも成立しない。エ は 成立する,成立する,成立する。

正解 エ

解説

論理和(∨)と論理積(∧)は,3項の結び方を変えても結果が変わらないので結合法則が成り立つ。排他的論理和(⊕)も,(A⊕B)⊕C と A⊕(B⊕C) はどちらも“1の個数が奇数のとき1”という同じ結果になるので成り立つ。したがって,三つとも“成立する”のエが適切である。

アはどれかを“必ずしも成立しない”としている組合せで,イ,ウも同様。論理和・論理積・排他的論理和は,いずれも常に結合法則が成り立つので,“必ずしも成立しない”と書かれた欄はどれも誤りである。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

(1+α)n の計算を,1+n×α で近似計算ができる条件として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

二項定理により (1+α)n=1+nα+{n(n−1)/2}α2+… と展開できる。|α| が1に比べて非常に小さければ,α2 以降の項は nα に比べて無視できるほど小さくなるので,1+n×α で近似できる。アが適切である。

イのように |α| が大きいと α2 以降の項が大きくなり,近似が成り立たない。ウの |α÷n| が1より大きい場合やエの |n×α| が1より大きい場合も,α が十分に小さいことが保証されず,2次以降の項を無視できない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

ノードとノードの間のエッジの有無を,隣接行列を用いて表す。ある無向グラフの隣接行列が次の場合,グラフで表現したものはどれか。ここで,ノードを隣接行列の行と列に対応させて,ノード間にエッジが存在する場合は 1 で,エッジが存在しない場合は 0 で示す。

6×6 の隣接行列。行・列とも a〜f。a 行は 0 1 0 0 0 0,b 行は 1 0 1 1 0 0,c 行は 0 1 0 1 1 0,d 行は 0 1 1 0 0 0,e 行は 0 0 1 0 0 1,f 行は 0 0 0 0 1 0。

正解 ウ

解説

隣接行列の1は,その行と列のノード間にエッジがあることを表す。上三角の1を拾うと,エッジは a−b,b−c,b−d,c−d,c−e,e−f の6本。これと一致するのはウである。

アは b−c が無く,代わりに d−e がある。イは c−d が無く,d−e がある。エは必要な6本に加えて d−e がある。いずれも行列では d 行 e 列が 0 なので,d−e のエッジは存在しない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

あるプログラム言語において,識別子(identifier)は,先頭が英字で始まり,それ以降に任意個の英数字が続く文字列である。これを BNF で定義したとき,a に入るものはどれか。

BNF の定義。<digit> ::= 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9。<letter> ::= A | B | C | … | X | Y | Z | a | b | c | … | x | y | z。<identifier> ::= [ a ]。

正解 エ

解説

識別子は“英字1文字”から始まり,その後ろに英字又は数字を任意個つなげたものである。<identifier> ::= <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> と定義すると,まず英字1文字が識別子になり,識別子の後ろに数字又は英字を付けたものも識別子になるので,先頭が英字で以降に任意個の英数字が続く文字列を全て表せる。エが正しい。

アとイは <digit> 単独も識別子としているので,数字1文字や数字で始まる文字列を許してしまう。ウは識別子の後ろに数字しか付けられないので,“ab”のように2文字目以降に英字を含む識別子を表せない。

識別子の BNF を構文図にする <identifier> ::= <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> は,まず英字1文字で識別子になり,識別子の後ろに数字か英字を付けたものも識別子になる,という意味。構文図にすると,英字1つから始まり,英数字を何回でも繰り返せる道になる。 <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> 入口 英字 出口 英字 数字 戻って 繰り返す
先頭は英字1つ。その後は英字か数字を何回でも(戻る道が繰返し)

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

次の数式は,ある細菌の第 n 世代の個数 f(n) が1世代後にどのように変化するかを表現したものである。この漸化式の解釈として,1世代後の細菌の個数が,第 n 世代と比較してどのようになるかを適切に説明しているものはどれか。

f(n+1)+0.2×f(n)=2×f(n)

正解 ア

解説

式を変形すると f(n+1)=2×f(n)−0.2×f(n)=1.8×f(n) となる。1世代後の個数は第 n 世代の 1.8 倍に増えるので,アが適切である。

イの 2.2 倍は 2×f(n)+0.2×f(n) の場合。ウは“2倍になり,更に増殖後の 20%が増える”なので 2×1.2=2.4 倍,エは“増殖後の 20%が死ぬ”なので 2×0.8=1.6 倍になり,どちらも 1.8 倍にならない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

次の流れ図の処理で,終了時の x に格納されているものはどれか。ここで,与えられた a,b は正の整数であり,mod(x,y) は x を y で割った余りを返す。

流れ図。開始 → x ← a,y ← b → ループ1(y=0 になるまで繰り返す)の中で t ← mod(x,y),x ← y,y ← t → ループ1 の終わり → 終了。

正解 イ

解説

流れ図は y が0になるまで,x を y で割った余りを t とし,x に y,y に t を入れる操作を繰り返している。これは,二つの数の最大公約数は“小さいほうの数”と“大きいほうを小さいほうで割った余り”の最大公約数に等しいことを使うユークリッドの互除法である。余りが0になった時点の x が最大公約数になるので,イが正しい。

例えば a=12,b=8 のとき,(x,y) は (12,8)→(8,4)→(4,0) と変わり,x=4 は12と8の最大公約数になる。最小公倍数は a×b÷最大公約数で求めるもので,この流れ図の結果ではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

プログラムの特性に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

再帰的プログラムは,手続の中でそれ自体を呼び出すプログラムである。呼び出しの途中で再び自分が呼び出されても正しく動作する必要があるので,再入可能(複数回の呼出しが重なっても互いに干渉しない)でなければならない。アが適切である。

イの再使用可能プログラムは,一度実行した後,ロードし直さずに再度実行できる性質であり,同時に呼び出される場合を想定する再入可能とは別の性質なので,“再入可能である”とは限らない。ウの再入可能プログラムも再配置可能に作ることができ,エの再配置可能プログラムも再使用可能に作ることができる。再入可能・再配置可能・再使用可能は別々の観点の性質で両立するので,“〜ではない”とする記述は誤りである。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

CPU のプログラムレジスタ(プログラムカウンタ)の役割はどれか。

正解 エ

解説

プログラムレジスタ(プログラムカウンタ)は,次に実行する命令が格納されたメモリのアドレスを保持するレジスタで,命令を読み出すたびに次の命令のアドレスに更新される。エが正しい。

アは演算の対象となるデータを保持する汎用レジスタ,イは条件付き分岐の判断に使う演算結果の状態(ゼロ,負,桁あふれなど)を保持するフラグレジスタ(状態レジスタ),ウはデコード中の命令そのものを保持する命令レジスタの役割である。

命令の取出しと解読 プログラムカウンタが次に実行する命令のアドレスを示し,そのアドレスの命令を主記憶から取り出して命令レジスタに入れる。命令デコーダは命令レジスタの命令を解読し,演算装置などに指示を出す。演算の対象や結果はアキュムレータなどのレジスタに置く。 主記憶 プロセッサ プログラム カウンタ 命令レジスタ 命令デコーダ 演算装置 アキュムレータ アドレス 命令
取り出した命令は,まず命令レジスタに入ってから命令デコーダへ

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

プロセッサの省電力技術の一つであるパワーゲーティングの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

パワーゲーティングは,プロセッサ内で動作していない回路ブロックへの電源供給を遮断することで,動作していない回路で生じるリーク電流(漏れ電流)による電力消費も含めて削減する技術である。ウが該当する。

アは,負荷に応じて電源電圧やクロック周波数を変える DVFS(動的電圧周波数制御)である。イは,クロック供給だけを停止するクロックゲーティングで,クロックの切替えによる電力は減らせるが,電源が供給されているのでリーク電流は残る。エは,使用しないコアの消費電力枠を動作中のコアに回して性能を上げる技術であり,省電力技術ではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

キャッシュメモリのライトスルーの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

キャッシュメモリへの書込み方式には,ライトスルーとライトバックがある。ライトスルーは,CPU が書込みを行うとき,キャッシュメモリと主記憶の両方に同時にデータを書き込む方式で,主記憶の内容が常に最新に保たれる。イが適切である。

アは,キャッシュメモリにだけ書き込み,主記憶への書込みを後回しにするライトバックの説明に近い。ウは,ライトバックにおける,キャッシュメモリから追い出すときに主記憶を更新する動作である。エは,書込みのたびに主記憶へアクセスするライトスルーには当てはまらず,主記憶へのアクセスが少なくなるのはライトバックの特徴である。

ライトスルーとライトバック ライトスルー方式は,CPU が書き込むたびにキャッシュメモリと主記憶の両方に書くので,主記憶の内容は常に最新だが,書込みは主記憶の速さに引きずられる。ライトバック方式は,キャッシュメモリにだけ書いて済ませ,そのブロックがキャッシュから追い出されるときにまとめて主記憶に書き戻す。書込みは速いが,追い出されるまで主記憶は古いまま。 ライトスルー CPU キャッシュ 主記憶 書く 同時に書く 主記憶は常に最新,書込みは遅い ライトバック CPU キャッシュ 主記憶 書く 追い出すときに まとめて書き戻す 速いが,主記憶は古いことがある
ライトスルーは主記憶が常に最新,ライトバックは追い出すときに書き戻す

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

15 M バイトのプログラムを圧縮した状態でフラッシュメモリに格納している。プログラムの圧縮率が 40%,フラッシュメモリから主記憶への転送速度が 20 M バイト/秒であり,1 M バイトに圧縮されたデータの展開に主記憶上で 0.03 秒が掛かるとき,このプログラムが主記憶に展開されるまでの時間は何秒か。ここで,フラッシュメモリから主記憶への転送と圧縮データの展開は同時には行われないものとする。

正解 ア

解説

圧縮率 40%なので,フラッシュメモリに格納されている圧縮後のプログラムは 15×0.4=6 M バイトである。これを 20 M バイト/秒で主記憶に転送するのに 6÷20=0.3 秒掛かる。

1 M バイトの圧縮データの展開に 0.03 秒掛かるので,6 M バイトの展開には 6×0.03=0.18 秒掛かる。転送と展開は同時に行われないので,合計は 0.3+0.18=0.48 秒となり,アが正しい。圧縮前の 15 M バイトで計算すると 0.75+0.45=1.20 秒(エ)となる。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

Web システムにおける CDN(Contents Delivery Network)に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

CDN(Contents Delivery Network)は,コンテンツのコピーを持つサーバをインターネット上に分散して配置し,利用者に近いサーバから配信する仕組みである。動画や音声のような大容量のデータを配信するときの回線やサーバの負荷を減らし,応答も速くできる。エが適切である。

アは Web サーバ,アプリケーションサーバ,データベースサーバに分ける3層構成の説明。イはコミュニティ型の Web サイトである SNS の説明。ウは動画や音楽の再生に必要な部品をブラウザに組み込むプラグインの説明である。

CDN(コンテンツ配信網) 元のサーバ(オリジン)のコンテンツを,各地のキャッシュサーバにためておき,利用者は近くのキャッシュサーバから受け取る。アクセスが多数のキャッシュサーバに分散され,オリジンに届く通信が減るので,副次的に DDoS 攻撃の影響も軽くなる。 オリジン キャッシュ キャッシュ キャッシュ 利用者は近くのキャッシュから → オリジンの負荷が減る
アクセスを各地のキャッシュサーバに分散する

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

CPU と磁気ディスク装置で構成されるシステムで,表に示すジョブ A,B を実行する。この二つのジョブが実行を終了するまでの CPU の使用率と磁気ディスク装置の使用率との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,ジョブ A,B はシステムの動作開始時点ではいずれも実行可能状態にあり,A,B の順で実行される。CPU 及び磁気ディスク装置は,ともに一つの要求だけを発生順に処理する。ジョブ A,B とも,CPU の処理を終了した後,磁気ディスク装置の処理を実行する。

ジョブごとの処理時間の表(単位 秒)。ジョブ A は CPU の処理時間 3,磁気ディスク装置の処理時間 7。ジョブ B は CPU の処理時間 12,磁気ディスク装置の処理時間 10。

正解 イ

解説

A,B の順に実行する。CPU は A に 0〜3 秒,B に 3〜15 秒使う。磁気ディスク装置は,A が CPU を終えた 3 秒後から 7 秒間(3〜10 秒)使い,B は CPU の処理が終わる 15 秒後から 10 秒間(15〜25 秒)使う。二つのジョブが終わるまで 25 秒かかるので,CPU の使用率は (3+12)/25=0.60,磁気ディスク装置の使用率は (7+10)/25=0.68 で,イが正しい。

アの 0.47 と 0.53 は 15/32 と 17/32 で,全体の時間を CPU の時間 15 秒とディスクの時間 17 秒の合計 32 秒とした値である。両装置が同時に動く時間を考えていない。エの 0.88 と 1.00 は 15/17 と 17/17 で,全体を 17 秒とした値だが,B のディスクの処理は B の CPU の処理が終わる 15 秒後から始まるので,17 秒では終わらない。ウも,二つのジョブが終わるまでの 25 秒と合わない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

コンピュータシステムの性能評価法の一つであるモニタリングの説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

モニタリング(モニタ法)は,稼働中のコンピュータシステムの各プログラムの実行状態や資源の利用状況を実際に測定し,システムの構成や応答性能を改善するためのデータを得る性能評価法である。アが適切である。

イは仕様書やカタログに載った各構成要素の性能から,システム全体の性能を机上で算出する方法。ウは典型的なプログラムを実行して総合的な処理性能を測定するベンチマークテスト。エは命令の使用頻度を重みとして平均実行速度を求める命令ミックスの説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

図に示す二つの装置から構成される並列システムの稼働率は幾らか。ここで,どちらか一つの装置が稼働していればシステムとして稼働しているとみなし,装置 A,B とも,MTBF は 450 時間,MTTR は 50 時間とする。

装置 A と装置 B が並列に接続された図。

正解 エ

解説

装置1台の稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR)=450÷(450+50)=0.9 である。

並列システムはどちらか一方が稼働していればよいので,稼働率は 1−(両方とも停止している確率)=1−(1−0.9)×(1−0.9)=1−0.01=0.99 となる。エが正しい。アの 0.81 は 0.9×0.9 で,両方が稼働していなければならない直列システムの稼働率である。

回線の二重化と稼働率 回線を2本並列にすると,止まるのは両方が同時に止まったときだけなので,全体の稼働率は 1−(1−既存)×(1−新設)。既存 0.9,全体 0.999 なら 0.1×(1−x)=0.001 から x=0.990。MTBF 450時間・MTTR 50時間の装置(稼働率 0.9)2台の並列なら 1−0.1×0.1=0.99。 0.9 x 全体 0.999 両方止まる確率 0.1 × (1−x) = 1 − 0.999 = 0.001 → 1−x = 0.01,x = 0.990
並列は「両方止まる確率」を1から引く

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

4ブロックのキャッシュメモリ C0〜C3 が表に示す状態である。ここで,新たに別のブロックの内容をキャッシュメモリにロードする必要が生じたとき,C2 のブロックを置換の対象とするアルゴリズムはどれか。

キャッシュメモリの状態の表。列はキャッシュメモリ,ロード時刻(分:秒),最終参照時刻(分:秒),参照回数。C0 はロード時刻 0:00,最終参照時刻 0:08,参照回数 10。C1 は 0:03,0:06,1。C2 は 0:04,0:05,3。C3 は 0:05,0:10,5。

正解 エ

解説

C2 のブロックに当てはまる特徴を表から探す。最終参照時刻が 0:05 で4ブロックの中で最も古いので,最も長い間参照されていないブロックを置き換える LRU(Least Recently Used)なら C2 が対象になる。エが正しい。

アの FIFO は最も早くロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:00 の C0 が対象。イの LFU は参照回数が最も少ないブロックを置き換えるので,参照回数1の C1 が対象。ウの LIFO は最も新しくロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:05 の C3 が対象となる。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

サーバアプリケーションの開発のための,オブジェクト指向技術に基づいたコンポーネントソフトウェアの仕様はどれか。

正解 イ

解説

EJB(Enterprise JavaBeans)は,Java を使ったサーバサイドのアプリケーションを,オブジェクト指向に基づくコンポーネント(ビーンズ)として開発するための仕様である。イが該当する。

アの EAI は,企業内の複数のアプリケーションを連携・統合する手法。ウの ERP は,企業の経営資源(人,物,金,情報)を統合的に管理して有効活用する考え方,又はそのためのシステム。エの UML は,オブジェクト指向の分析・設計で使うモデリング言語(表記法)で,コンポーネントソフトウェアの仕様ではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

ホワイトボックステストにおいて,プログラムの実行された部分の割合を測定するのに使うものはどれか。

正解 エ

解説

テストカバレージ分析ツールは,テストで実行されたプログラムの部分(命令や分岐など)を記録し,全体に対する実行された部分の割合(網羅率)を測定する。ホワイトボックステストの網羅度の確認に使うので,エが適切である。

アのアサーションチェッカは,プログラムに埋め込んだ条件(表明)が成り立っているかを実行時に確認する。イのシミュレータは,実機の代わりに動作を模擬する。ウの静的コード解析ツールは,プログラムを実行せずにソースコードを調べて誤りや規約違反を見つける。いずれも実行された部分の割合は測らない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

オープンソースライセンスの GNU GPL(GNU General Public License)の説明のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

GNU GPL は,コピーレフトの考え方に基づくライセンスで,GPL のソースコードを使って作った派生物にも GPL を適用し,同じ条件でソースコードを公開することを求める。派生物のライセンスは,作成者が選べず,GPL となる。ウが適切である。

アは,機能を利用するだけで派生物ではない別のプログラムのソースコードまで GPL が及ぶとしており,誤り。イは,ソースコードの全てを使った場合に限るとしているが,一部を使って作った派生物にも及ぶ。エは,GPL にするか否かを派生物の開発者が決められるとしているが,GPL のソースコードを組み込んだ派生物は GPL に従わなければならない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

エネルギーハーベスティングの適用例として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

エネルギーハーベスティング(環境発電)は,身の回りにある光・熱・振動・電波などのわずかなエネルギーを電力に変換して利用する技術。スイッチを押す力を電力に変えて動く RF リモコンは,電池も外部電源も要らなくなる典型的な適用例である。ウが正しい。

アの AC 電源で充電したバッテリや,エの無停電電源装置は,外部から供給された電力を蓄えて使うもの。イのインバータ制御は電力の使い方を効率化する技術で,いずれも周囲に散在するエネルギーを収穫しているわけではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

16進数 ABCD1234 をリトルエンディアンで4バイトのメモリに配置したものはどれか。ここで,0〜+3 はバイトアドレスのオフセット値である。

正解 イ

解説

リトルエンディアンは,数値の下位のバイトを小さいアドレス(オフセット 0)から順に並べる方式である。16進数 ABCD1234 を1バイトずつに分けると AB,CD,12,34 で,下位の 34 から順に並べると 34,12,CD,AB となる。イが正しい。

エの AB,CD,12,34 は上位のバイトから並べるビッグエンディアン。アは2バイトの組(ABCD と 1234)を入れ替えただけで,組の中は上位から並べている。ウは各バイトの中の桁(4ビット)まで逆にしているが,エンディアンはバイト単位の並べ方で,バイトの中の桁は逆にならない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

16ビットのダウンカウンタを用い,カウンタの値が 0 になると割込みを発生するハードウェアタイマがある。カウンタに初期値として10進数の 150 をセットしてタイマをスタートすると,最初の割込みが発生するまでの時間は何マイクロ秒か。ここで,タイマの入力クロックは 16MHz を32分周したものとする。

正解 エ

解説

ハードウェアタイマの入力クロックは 16MHz を 32 分周したものなので,16÷32=0.5MHz。1カウントの時間は 1÷0.5MHz=2μ秒である。ダウンカウンタに初期値 150 をセットすると,150 カウントしたところで値が 0 になり割込みが発生するので,最初の割込みまでの時間は 150×2=300μ秒。エが正しい。

アの 0.3 は 300μ秒をミリ秒に直した値で,単位が違う。イの 2 は1カウントの時間,ウの 150 は,1カウントを 1μ秒と考えて,カウント数をそのまま時間にした値である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

図の回路が実現する論理式はどれか。ここで,論理式中の“・”は論理積,“+”は論理和を表す。

論理回路。A を否定したものと B を論理積素子に入れ,A と B を別の論理積素子に入れ,二つの論理積素子の出力を論理和素子に入れて F とする。

正解 イ

解説

上の論理積素子には A の否定と B が入るので出力は Ā・B,下の論理積素子には A と B が入るので出力は A・B になる。これらの論理和をとると F=Ā・B+A・B=(Ā+A)・B=B となり,イが正しい。

A の値に関係なく,B が1なら上下どちらかの論理積素子が1を出力し,B が0ならどちらも0を出力する。アの F=A,ウの F=A・B,エの F=A+B は,いずれも A=1,B=0 のときに1になる場合や A=0,B=1 のときに0になる場合があり,回路の出力と一致しない。

Ā・B+A・B を簡単にする 上の論理積素子には A の否定と B が入るので Ā・B,下の論理積素子には A と B が入るので A・B。論理和をとると F=Ā・B+A・B=(Ā+A)・B=B。A の値に関係なく,B と同じ値になる。 A B F A・B A・B F = A・B + A・B = (A + A)・B = B
B でくくると Ā+A=1 が残る。答えは F=B

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

コードの値からデータの対象物が連想できるものはどれか。

正解 ウ

解説

ニモニックコードは,対象物の名称の一部や略号をそのままコードに使う方式。例えば東京を TKY,鉛筆を PEN とするように,コードの値を見れば何を指しているかが連想できる。ウが正しい。

アのシーケンスコードは発生順に番号を振るだけ,イのデシマルコードは10進の桁ごとに分類を割り当てるもの,エのブロックコードは分類ごとに番号の範囲を区切って割り当てるもので,いずれも値そのものから対象物を思い浮かべることはできない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

表示装置には色彩や濃淡などの表示能力に限界がある。一つ一つの画素では表現可能な色数が少ない環境でも,幾つかの画素を使って見掛け上表示できる色数を増やし,滑らかで豊かな階調を表現する手法はどれか。

正解 エ

解説

ディザリングは,少ない色数しか表現できない環境で,異なる色の画素を細かく混ぜて並べることで,見掛け上の色数を増やして滑らかな階調を表現する手法である。エが適切である。

アのインデックスカラーは,色の表(パレット)を用意し,画素には表の番号だけを持たせて色数を限定する方式。イのオーバレイは,画像や文字を重ねて表示すること。ウのカーニングは,文字の組版で,隣り合う文字の間隔を文字の組合せに応じて調整することである。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

データモデルを解釈してオブジェクト図を作成した。解釈の誤りを適切に指摘した記述はどれか。ここで,モデルの表記には UML を用い,オブジェクト図の一部の属性の表示は省略した。

データモデル。クラス“顧客”(顧客番号,顧客名,住所),“注文”(注文番号,注文日,注文数),“商品”(商品番号,商品名,価格)。顧客の 1 と注文の * が関連で結ばれ,注文の * と商品の 1 が関連で結ばれる。
データモデル
オブジェクト図。“A商店:顧客”は“123456:注文”(注文日=2017-03-18,注文数=2)と“123457:注文”(注文日=2017-03-18,注文数=1)にリンクする。“B産業:顧客”は“123459:注文”(注文日=2017-03-20,注文数=3)にリンクする。“123456:注文”は“47型テレビ:商品”と“2ドア冷蔵庫:商品”の二つにリンクする。“123457:注文”は“2ドア冷蔵庫:商品”に,“123459:注文”も“2ドア冷蔵庫:商品”にリンクする。“ドラム式洗濯機:商品”はどの注文にもリンクしていない。
オブジェクト図

正解 ア

解説

データモデルでは,注文と商品の関連は,商品側が 1,注文側が * なので,1件の注文がリンクする商品は1つだけである。“123456:注文”が“47型テレビ”と“2ドア冷蔵庫”の二つの商品にリンクしているのは,モデルに合わない。アが適切である。

イの“2ドア冷蔵庫:商品”は,1つの商品が複数の注文にリンクしてよい(注文側が *)ので誤りではない。ウも,1つの顧客が複数の注文にリンクしてよい(注文側が *)ので誤りではない。エの“ドラム式洗濯機:商品”がどの注文にもリンクしていないのも,注文側の多重度 * が 0 以上を表すので,誤りとは言えない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

“受注明細”表は,どのレベルまでの正規形の条件を満足しているか。ここで,実線の下線は主キーを表す。

表“受注明細”。主キーは受注番号と明細番号。列は受注番号,明細番号,商品コード,商品名,数量。行は (015867,1,TV20006,20型テレビ,20),(015867,2,TV24005,24型テレビ,10),(015867,3,TV28007,28型テレビ,5),(015868,1,TV24005,24型テレビ,8)。

正解 イ

解説

“受注明細”表の主キーは(受注番号,明細番号)で,各列は1つの値しか持たず(第1正規形),商品コードと数量は主キー全体で決まる。商品名は商品コードだけで決まり,主キーにとっては商品コードを介して決まる関係(推移的関数従属)にあるので,第3正規形の条件は満たさない。主キーの一部だけで決まる列(部分関数従属)が無いので第2正規形までは満たし,イが適切である。

アは第1正規形までしか満たさない場合,ウは推移的関数従属が無い場合である。エの第4正規形は,第3正規形を満たしたうえで多値従属も取り除いた形で,この表は第3正規形も満たしていない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

“部品”表のメーカコード列に対し,B+木インデックスを作成した。これによって,“部品”表の検索の性能改善が最も期待できる操作はどれか。ここで,部品及びメーカのデータ件数は十分に多く,“部品”表に存在するメーカコード列の値の種類は十分な数があり,かつ,均一に分散しているものとする。また,“部品”表のごく少数の行には,メーカコード列に NULL が設定されている。実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。

表のスキーマ。部品(部品コード,部品名,メーカコード):部品コードは主キー(実線の下線),メーカコードは外部キー(破線の下線)。メーカ(メーカコード,メーカ名,住所):メーカコードは主キー(実線の下線)。

正解 ウ

解説

B+木インデックスは,キー値の順に並んだ構造なので,一致検索だけでなく,範囲を指定した検索でも,範囲の先頭を探して順にたどるだけで済む。メーカコードの値は種類が十分に多く均一に分散しているので,4001以上4003以下の部品は全体のごく一部であり,インデックスによる検索の性能改善が最も期待できる。ウが正しい。

アの“1001 以外”とイの“1001 でも 4001 でもない”は,条件に合う行がほとんど全ての行になるので,インデックスを使っても表全体を読むのとほとんど変わらず,改善が期待できない。エの“NULL 以外”も,NULL の行はごく少数なので,ほぼ全行が対象になり効果が小さい。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

トランザクション A と B が,共通の資源であるテーブル a と b を表に示すように更新するとき,デッドロックとなるのはどの時点か。ここで,表中の①〜⑧は処理の実行順序を示す。また,ロックはテーブルの更新直前にテーブル単位で行い,アンロックはトランザクション終了時に行うものとする。

処理の実行順序の表(時間は上から下)。トランザクション A:①トランザクション開始,③テーブル a 更新,⑤テーブル b 更新,⑦トランザクション終了。トランザクション B:②トランザクション開始,④テーブル b 更新,⑥テーブル a 更新,⑧トランザクション終了。

正解 エ

解説

ロックは更新直前に取得し,トランザクション終了まで解放しない。③でトランザクション A がテーブル a をロックし,④でトランザクション B がテーブル b をロックする。⑤で A はテーブル b を更新しようとするが,B がロックしているので解放を待つ。

⑥で B はテーブル a を更新しようとするが,A がロックしているので解放を待つ。この時点で A は B を,B は A を待ち合う状態になり,どちらも終了できないのでデッドロックとなる。エが正しい。⑤の時点では A が待たされているだけで,B は処理を続けられるのでまだデッドロックではない。

テーブルのロックとデッドロックの時点 ③で A がテーブル a をロックし,④で B がテーブル b をロックする。⑤で A は b を更新しようとして,B のロックの解放を待つ。⑥で B は a を更新しようとして,A のロックの解放を待つ。ここで A と B が互いに待ち合い,デッドロックになる。⑤の時点では A が待っているだけ。 トランザクション A トランザクション B ① 開始 ② 開始 ③ a を更新(a をロック) ④ b を更新(b をロック) ⑤ b を更新 → 待つ ⑥ a を更新 → 待つ ⑥:A は B を,B は A を待つ → デッドロック (⑤では B はまだ進めるので,デッドロックではない)
⑤は片方が待つだけ。⑥で待ち合いの輪ができてデッドロック

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

ビッグデータの利用におけるデータマイニングを説明したものはどれか。

正解 ア

解説

データマイニングは,蓄積された大量のデータを統計や機械学習の手法で分析し,条件を指定した検索では見つからない規則性や相関関係を掘り出す(mining)ことをいう。アがこれに当たる。

イはデータウェアハウスから特定の用途向けに切り出したデータマートの説明。ウはデータの構造や意味を規定したデータモデルの説明。エは複数サーバにデータの複製を置くレプリケーションの説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

イーサネットで使用されるメディアアクセス制御方式である CSMA/CD に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

CSMA/CD は,送信前に伝送路が使われていないかを調べ(Carrier Sense),空いていれば送信する。同時に送信されて衝突が起きたことを検出したら(Collision Detection)送信を中断し,ランダムな時間だけ待ってから再送する。アが正しい。

イはタイムスロットで分割する TDMA(時分割多元接続)。ウは無線 LAN の CSMA/CA で,無線では衝突を検出できないため RTS/CTS で事前に調整し,ACK で受信を確認する。エはトークンパッシング方式の説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

ネットワーク機器の接続状態を調べるためのコマンド ping が用いるプロトコルはどれか。

正解 イ

解説

ping は,相手の機器に ICMP(Internet Control Message Protocol)のエコー要求を送り,エコー応答が返ってくるかどうかで接続状態を調べるコマンドである。イの ICMP が用いられる。

アの DHCP は,端末に IP アドレスなどを自動的に割り当てるプロトコル。ウの SMTP は電子メールを送信するプロトコル。エの SNMP は,ネットワーク機器を監視・管理するためのプロトコルである。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

WAN を介して二つのノードをダイヤルアップ接続するときに使用されるプロトコルであり,リンク制御やエラー処理機能をもつものはどれか。

正解 イ

解説

PPP(Point-to-Point Protocol)は,電話回線などを使って二つのノードを1対1で接続するときのプロトコルで,リンクの確立・制御(LCP)や認証,エラー検出などの機能をもつ。イが適切である。

アの FTP はファイル転送のプロトコル。ウの SLIP は,シリアル回線で IP パケットを送るための簡易なプロトコルで,PPP のようなリンク制御やエラー処理の機能をもたない。エの UDP は,コネクションを張らないトランスポート層のプロトコルである。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

OpenFlow を使った SDN(Software-Defined Networking)の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

SDN(Software-Defined Networking)は,ネットワーク機器のデータを転送する機能(データプレーン)と経路などを制御する機能(コントロールプレーン)を分離し,コントローラと呼ばれるソフトウェアによってネットワーク全体を集中的に制御・管理するアーキテクチャである。OpenFlow はコントローラとスイッチの間で制御情報をやり取りする代表的なプロトコル。イが適切である。

アは物理サーバ内の仮想スイッチによる仮想サーバ同士の通信で,SDN の説明ではない。ウは通信プロトコルの形式的な記述方法に関する規格の説明。エは機器内部のソフトウェアをオープンソースで実装する方式で,制御機能を機器から分離して集中管理する SDN の考え方とは異なる。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

ブロードキャストストームの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ブロードキャストストームは,スイッチ間にループとなる経路ができると,ブロードキャストフレームがループ内を回り続けながら増えていき,ネットワークの帯域や機器の処理能力を使い尽くして,通信が極端に遅くなったり通信できなくなったりする障害である。エが適切である。

アは,接続する PC が多すぎてインターネットへのアクセスが遅くなる状況で,ループが原因ではない。イは IP アドレスの重複による通信の不具合。ウは,宛先 MAC アドレスが FF-FF-FF-FF-FF-FF のブロードキャストフレームの説明で,これは通常の通信であり,それだけでは障害(ストーム)にならない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

インターネットへの接続において,ファイアウォールで NAPT 機能を利用することによるセキュリティ上の効果はどれか。

正解 エ

解説

NAPT は,内部の複数の PC のプライベート IP アドレスとポート番号を,グローバル IP アドレスと別のポート番号の組に対応付けて変換する。この対応表は内部から外へ通信を始めたときに作られるので,インターネット側から内部の PC を名指しで指定して接続を仕掛けることが難しくなる。エが正しい。

アの公開 Web サーバの脆弱性を突く攻撃への防御は WAF の役割。イの侵入検知と遮断は IPS,ウの特定の Web アプリケーションを使う HTTP 通信の検知・遮断はプロキシや URL フィルタリングの役割で,いずれも NAPT の機能ではない。

NAPT のアドレス変換 PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。 PC 192.168.1.10 ルータ NAPT Web 198.51.100.5 送信元 .10:5000 送信元 .1:60001 宛先 203.0.113.1:60001 宛先 .10:5000 対応表 内側(プライベート) 外側(グローバル) 192.168.1.10 : 5000 203.0.113.1 : 60001 応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」 外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

A 社の Web サーバは,サーバ証明書を使って TLS 通信を行っている。PC から A 社の Web サーバへの TLS を用いたアクセスにおいて,当該 PC がサーバ証明書を入手した後に,認証局の公開鍵を利用して行う動作はどれか。

正解 ウ

解説

サーバ証明書には,認証局がサーバの公開鍵などの情報に対して自身の秘密鍵で付けたデジタル署名が含まれている。PC はあらかじめ持っている認証局の公開鍵でこの署名を検証し,サーバ証明書が正当な認証局から発行され改ざんされていないことを確かめる。ウが正しい。

アとエは誤り。共通鍵の元になる情報や秘匿データを暗号化するときに使うのは,サーバ証明書に含まれるサーバの公開鍵であり,認証局の公開鍵ではない。イは誤り。公開鍵で暗号化されたデータを復号できるのは対になる秘密鍵を持つ側で,PC が認証局の公開鍵で共通鍵を復号することはない。

証明書の連鎖 サーバ証明書は中間 CA が署名し,中間 CA の証明書はルート CA が署名している。受け取った側は,サーバ証明書から中間 CA,ルート CA へと署名をたどって検証し,ブラウザや OS に組み込まれているルート CA に行き着けば信頼できると判断する。署名の検証には,署名した CA の公開鍵を使う。 ルート CA の証明書 ブラウザ・OS に組み込み済み 中間 CA の証明書 ルート CA が署名 サーバ証明書 中間 CA が署名 署名 たどって 検証 署名は,署名した CA の公開鍵で確かめる
上の CA が下の証明書に署名し,受け取った側は下から上へたどって検証する

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

暗号方式に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

共通鍵暗号方式で相手ごとに秘密の通信をするには,通信相手ごとに別々の鍵を用意して安全に共有・保管しなければならない。n 人が互いに秘密の通信をするには n(n−1)/2 個の鍵が必要になり,相手が増えるほど鍵管理の手間が増える。アが適切である。

イは誤り。共通鍵暗号方式は送信者と受信者が同じ鍵を使うので,相手にその鍵を安全に渡す必要がある。ウは誤り。内容を秘密にする通信では,暗号化鍵(公開鍵)を公開し,復号鍵(秘密鍵)は受信者だけが秘密に保管する。エは誤り。署名に用いる鍵は署名者の秘密鍵で,公開するのは署名を検証するための公開鍵である。

鍵の数とハイブリッド暗号 共通鍵暗号では,n 人が互いに秘密に通信するには2人の組ごとに鍵が要り,n(n−1)÷2 本になる。4人なら6本,100人なら4,950本。公開鍵暗号では1人が公開鍵と秘密鍵の1組を持てばよく,2n 本(100人なら200本)。ハイブリッド暗号では,データは速い共通鍵暗号で暗号化し,その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る。 共通鍵:4人で6本 n(n−1)÷2 本 公開鍵:1人1組 2n 本(公開鍵と秘密鍵) 100人なら 共通鍵 4,950本 / 公開鍵 200本 ハイブリッド暗号 データ 共通鍵で暗号化(速い) 暗号文 共通鍵 受信者の公開鍵で暗号化 暗号化した共通鍵 受信者は秘密鍵で共通鍵を取り出し,データを復号する
鍵の配り方は公開鍵暗号で,データの暗号化は速い共通鍵暗号で

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

経済産業省と IPA が策定した“サイバーセキュリティ経営ガイドライン(Ver 1.1)”の説明はどれか。

正解 ア

解説

サイバーセキュリティ経営ガイドラインは,経済産業省と IPA が策定した経営者向けの手引で,サイバー攻撃から企業を守る観点で経営者が認識すべき3原則と,情報セキュリティ対策を実施する上での責任者となる担当幹部(CISO など)に経営者が指示すべき重要10項目をまとめている。アが正しい。

イは情報セキュリティマネジメントシステムの要求事項を定めた JIS Q 27001(ISMS)の説明。ウは IT ガバナンスと IT マネジメントに分けてプロセスを定義した COBIT の説明。エはサイバーセキュリティに関する施策を推進するための国の責務などを定めたサイバーセキュリティ基本法の説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

水飲み場型攻撃(Watering Hole Attack)の手口はどれか。

正解 ウ

解説

水飲み場型攻撃は,標的とする組織の従業員が頻繁にアクセスする Web サイトを改ざんして攻撃コードを埋め込み,標的組織からのアクセス(IP アドレスなど)であるときだけ攻撃が行われるようにして,マルウェアに感染させる攻撃である。肉食動物が水飲み場で獲物を待ち伏せる様子にたとえている。ウが正しい。

アの偽装したショートカットファイルを添付して送るのと,イのやり取りで信用させてから攻撃コードを含むファイルを送るのは標的型攻撃メール(イはやり取り型攻撃)。エの短縮 URL で攻撃サイトに誘導するのは,ソーシャルメディアを悪用した誘導の手口である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

DNS キャッシュサーバに対して外部から行われるキャッシュポイズニング攻撃への対策のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

キャッシュポイズニング攻撃は,DNS キャッシュサーバが再帰的な問合せを行ったときに,攻撃者が偽の応答を送り込み,偽の情報をキャッシュさせる攻撃である。外部からの再帰的な問合せを受け付けないように,内部ネットワークからの問合せだけに応答するよう設定すれば,外部の攻撃者がキャッシュサーバに問合せを行わせることができなくなり,攻撃を受けにくくなる。イが適切である。

アのコンテンツサーバにキャッシュサーバを兼ねさせて外部からの再帰的な問合せに応答するのは,攻撃を受けやすくする設定である。ウの送信元ポート番号やエのトランザクション ID を固定すると,攻撃者が偽の応答を一致させやすくなるので,逆にランダム化するのが対策になる。

DNS キャッシュポイズニングの流れ キャッシュ DNS サーバが権威 DNS サーバに問い合わせている間に,攻撃者が問合せの ID やポート番号を推測した偽の応答を大量に送り込む。本物の応答より先に偽の応答が受け入れられると,キャッシュに偽の IP アドレスが残り,利用者は偽のサーバへ誘導される。対策は,ID と送信元ポート番号をランダムにする,外部からの再帰的な問合せに答えない,DNSSEC で応答を検証する。 利用者 キャッシュ DNS 権威 DNS ① 名前を問合せ ② 問合せ(ID・ポート) 攻撃者 ③ 推測した偽の応答を大量に 本物の応答(遅れる) ④ 偽の IP アドレス 対策:ID とポートをランダムに,外部の再帰問合せは受けない,DNSSEC
本物の応答より先に,ID とポートが合った偽の応答が入ると成り立つ

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

無線 LAN 環境における WPA2-PSK の機能はどれか。

正解 イ

解説

WPA2-PSK は,アクセスポイントと端末に同じ事前共有鍵(Pre-Shared Key,パスワード)を設定し,それを基に認証と暗号化を行う方式である。アクセスポイントと同じ SSID とパスワードが設定された端末だけが接続できるので,イが適切である。

アは誤り。SSID は無線 LAN を識別する名前で,暗号化の鍵ではない。ウは誤り。WPA2 はセキュリティの規格で,IEEE 802.11ac などの通信規格で接続を制限するものではない。エは誤り。利用者ごとに認証してアクセス権限を識別するのは IEEE 802.1X を使う WPA2-Enterprise で,SSID を利用者ごとに付与するものでもない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

図のような構成と通信サービスのシステムにおいて,Web アプリケーションの脆弱性対策のための WAF の設置場所として,最も適切な箇所はどこか。ここで,WAF には通信を暗号化したり,復号したりする機能はないものとする。

システム構成図。PC 3台がインターネットにつながり,インターネットとファイアウォールの間が a(HTTPS),ファイアウォールと SSL アクセラレータの間が b(HTTPS),SSL アクセラレータと Web サーバの間が c(HTTP),Web サーバとデータベースサーバの間が d(データベースアクセス用サービス)。

正解 ウ

解説

WAF(Web Application Firewall)は,HTTP の通信の中身を調べて,Web アプリケーションの脆弱性を突く攻撃を検知・遮断する。暗号化されている通信は中身を調べられず,WAF には復号の機能もないので,暗号化されていない HTTP の区間に置く必要がある。図では,SSL アクセラレータが HTTPS を復号して HTTP にするので,SSL アクセラレータと Web サーバの間の c が適切である。ウが正しい。

a と b は HTTPS で暗号化されているので,WAF は通信の中身を検査できない。d は Web サーバとデータベースサーバの間のデータベースアクセス用の通信で,Web アプリケーションへの HTTP の入力ではないので,WAF が検査する対象ではない。

WAF は TLS を終端した後ろに置く WAF は HTTP の中身を見て攻撃を見つけるので,TLS で暗号化されたままでは検査できない。ロードバランサなどで TLS を終端(復号)したあとの HTTP を WAF に通すか,WAF 自身で TLS を終端する。 利用者 TLS 終端 (LB など) WAF Web HTTPS HTTP WAF に届くのは復号した HTTP → 中身を検査できる
暗号化されたままでは中身を見られない。復号してから検査する

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

攻撃に HTTP over TLS(HTTPS)が使われた場合に起こり得ることはどれか。

正解 エ

解説

HTTPS は通信を暗号化するので,通信内容を検査する仕組み(ファイアウォールや不正検知など)では中身が見えない。攻撃者が社内ネットワークに仕掛けたマルウェアが HTTPS で通信すると,通信内容がチェックできず,秘密情報が社外に送信されても気付けないおそれがある。エが適切である。

アの SQL インジェクション,イのクロスサイトスクリプティング,ウのブルートフォース攻撃は,いずれも HTTPS でも HTTP でも起こる攻撃である。入力値のチェック(ア),ブラウザのスクリプト実行の設定(イ),ログイン試行の回数の確認やアカウントロック(ウ)は,通信を復号した後の Web アプリケーションやブラウザで行えるので,HTTPS を使ったからといって対策できなくなるわけではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

VPN で使用されるセキュアなプロトコルである IPsec,L2TP,TLS の,OSI 基本参照モデルにおける相対的な位置関係はどれか。

OSI 基本参照モデルの上位層(アプリケーション層)から下位層(物理層)への矢印と,A〜D の積み重ねの図。A は上から IPsec,L2TP,TLS。B は上から IPsec,TLS,L2TP。C は上から TLS,IPsec,L2TP。D は上から TLS,L2TP,IPsec。

正解 ウ

解説

OSI 基本参照モデルでは,L2TP はデータリンク層(第2層)でトンネルを作るプロトコル,IPsec はネットワーク層(第3層)で IP パケットを保護するプロトコル,TLS はトランスポート層より上位(第4〜5層付近)で動作するプロトコル。

したがって上位層から順に TLS,IPsec,L2TP と並ぶ C が正しい。

VPN のプロトコルが動く層 L2TP はデータリンク層(第2層)でトンネルを作る。IPsec はネットワーク層(第3層)で IP パケットを守る。TLS はトランスポート層より上(第4〜5層あたり)で動く。上の層から順に TLS,IPsec,L2TP。 アプリケーション層 トランスポート層 TLS ネットワーク層 IPsec データリンク層 L2TP 物理層 TLS はトランスポート層の上(セッション層あたり)
上から TLS → IPsec → L2TP

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

組込み機器のソフトウェア開発にプラットフォーム開発を適用する利点として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

プラットフォーム開発は,複数の機器で共通に使える基盤部分(プラットフォーム)を作り,その上に機器ごとの違いの部分だけを開発する方法である。ソフトウェアを複数の異なる機器で共通に利用でき,開発効率を高められる。ウが適切である。

アは,機器ごとに新規に設計する方法の説明で,プラットフォーム開発は共通部分を使い回すので当てはまらない。イは,ハードウェアとソフトウェアの結合テストは機器ごとに必要なので誤り。エは,複数の機器に共通のバグが発生したときは,むしろ共通のプラットフォーム部分が原因である可能性が高く,除外できない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

汎化の適切な例はどれか。

正解 ア

解説

汎化は,複数のクラスに共通する性質をまとめて上位のクラスとする関係で,下位のクラスは“上位のクラスの一種である(is-a)”といえる。人,犬,猫はいずれも哺乳類の一種なので,アが汎化の適切な例である。

イのアクセル,ブレーキ,ハンドルは自動車の一種ではなく,自動車を構成する部品なので,全体と部分の関係(集約)である。ウの受注,在庫,出荷は商品の一種ではなく,商品に関連する業務や情報である。エの会社名,住所,電話番号は取引先の一種ではなく,取引先がもつ属性である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

流れ図において,分岐網羅を満たし,かつ,条件網羅を満たすテストデータの組みはどれか。

流れ図。a←0,b←0 の後,条件“x≧1 or y=1”が Yes なら a←1。次に条件“y>1”が Yes なら b←1。いずれも No なら何もせず次へ進む。
テストデータの表(x,y)。ア は (2,2),(1,2)。イ は (1,2),(0,0)。ウ は (1,2),(1,1),(0,1)。エ は (1,2),(0,1),(0,2)。

正解 エ

解説

分岐網羅は各判定の Yes と No をそれぞれ一度は通ること,条件網羅は判定の中の個々の条件(x≧1,y=1,y>1)がそれぞれ真と偽の両方をとることを求める。エの3組で調べると,(1,2) は x≧1 が真で1つ目の判定が Yes,y>1 が真,(0,1) は y=1 が真で1つ目が Yes,y>1 が偽,(0,2) は x≧1 と y=1 がともに偽で1つ目が No,y>1 が真となる。全ての判定の Yes と No,全ての条件の真と偽がそろうので,エが正しい。

アは x≧1 が偽になる組がなく,1つ目の判定の No も通らない。イは y=1 が真になる組がない。ウは1つ目の判定がいつも Yes で No を通らない。

命令網羅・分岐網羅・条件網羅 「A かつ B」なら処理 X を行う流れ図。命令網羅は全ての命令を一度は通すので,A も B も真の1件で足りる。分岐網羅は判定の真と偽を両方通すので,(真,真)と(偽,真)の2件が要る。条件網羅は A と B のそれぞれが真と偽を取ればよいので(真,偽)と(偽,真)でも満たせるが,このとき判定は2回とも偽で,処理 X を一度も通らない。 A かつ B 真 処理 X 偽 命令網羅 (A,B)=(真,真)の1件 分岐網羅 (真,真)(偽,真)の2件 条件網羅 (真,偽)(偽,真)でもよい 条件網羅の例では判定が2回とも偽になり,処理 X を通らない 判定条件/条件網羅は,判定と各条件の真偽を両方そろえる
条件網羅を満たしても,分岐網羅や命令網羅を満たすとは限らない

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

アジャイル開発で“イテレーション”を行う目的のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

アジャイル開発のイテレーションは,設計から実装・テストまでを短い期間で1周させ,動くソフトウェアを繰り返し顧客に見せる進め方。早い段階で顧客の要求との食い違いに気付いて直せるうえ,途中で要求が変わっても次の周回で取り込める。アが正しい。

イのタスクの実施状況の可視化はタスクボード(かんばん),ウのドライバとナビゲータを交代させるのはペアプログラミング,エの毎日決まった時刻の状況共有はデイリースクラム(朝会)の目的である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

日本において特許 A を取得した特許権者から,実施許諾を受けることが必要になるのはどれか。

正解 エ

解説

特許権者は,業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法 68 条)。物の生産は実施に当たる(同法 2 条 3 項)ので,日本国内で製品を製造すれば,米国へ輸出する製品であっても,特許権の及ぶ日本国内での実施になり,特許権者から実施許諾を受ける必要がある。エが該当する。

アの出願日から 25 年を超えた特許は,存続期間(出願日から 20 年)を過ぎて権利が消滅しているので,許諾が要らない。イは,特許出願の際に既に日本国内でその発明を実施していた者に認められる先使用による通常実施権(79 条)があるので,許諾が要らない。ウの家庭内で個人的に利用するだけの場合は,“業として”の実施に当たらないので,許諾が要らない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

期間 10 日間のプロジェクトを,5日目の終了時にアーンドバリュー分析したところ,表のとおりであった。現在のコスト効率が今後も続く場合,完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。

アーンドバリュー分析の表。管理項目と金額(万円)。完成時総予算(BAC)100,プランドバリュー(PV)50,アーンドバリュー(EV)40,実コスト(AC)60。

正解 エ

解説

現在のコスト効率が今後も続く場合の完成時総コスト見積りは EAC=BAC÷CPI で求める。CPI=EV÷AC=40÷60=2/3 なので,EAC=100÷(2/3)=150 万円。

イの 120 は,残りの作業は予算どおりに進むと仮定した EAC=AC+(BAC−EV)=60+60 の値で,設問の“現在のコスト効率が今後も続く”という条件には合わない。アの 110 とウの 135 は,いずれの EAC の式からも出てこない。

EVM:完成時総コスト見積り(EAC) 5 日目の終わりで BAC 100,PV 50,EV 40,AC 60(万円)。コスト効率 CPI=EV÷AC=40÷60=2/3。この効率が今後も続くなら EAC=BAC÷CPI=100÷(2/3)=150 万円。残りは予算どおりと仮定するなら AC+(BAC−EV)=120 万円になる。 PV 50 AC 60 EV 40 5日目 10日 BAC 100 CPI=40÷60=2/3 → EAC=100÷(2/3)=150
「今の効率が続く」なら BAC÷CPI

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

図のアローダイアグラムから読み取ったことのうち,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日は0日目とする。

アローダイアグラム(矢印の上が作業名,下が所要日数)。開始から A(5日)と B(10日)。B の後からダミー作業で A の後の結合点につながる。その結合点から C(20日),D(30日),E(10日)。C の後に G(20日)。B の後に F(10日)。E と F は同じ結合点に入り,そこからダミー作業で G と D が入る結合点につながる。その結合点の後に H(10日)で終了。凡例:矢印の上が作業名,下が所要日数,点線の矢印がダミー作業。

正解 ウ

解説

開始日を0日目として,各結合点に最も早く到達できる日数を求める。A の後の結合点には,A 経由の5日と,B からのダミー作業経由の10日のうち遅い10日で到達する。そこから C の後が30日,E の後と F の後が合流する結合点は 10+10=20日,H の手前は G 経由 30+20=50日,D 経由 10+30=40日,ダミー作業経由20日のうち50日で,全体は60日になる。

逆に最も遅く到達すればよい日数は,H の手前が50日,E と F の合流点も(ダミー作業でつながるので)50日である。E は最も早く10日目に開始でき,最も遅くは 50−10=40日目に開始すればよいので,余裕日数は30日となり,ウが正しい。

アの C の最早開始は5日目ではなく10日目。イの D は 10+30=40日で H の手前に着くが最も遅くは50日でよく,余裕が10日あるのでクリティカルパス上にない(クリティカルパスは B,ダミー,C,G,H)。エの F の最遅開始は 50−10=40日目である。

アローダイアグラムから最早・最遅・余裕を読む C・D・E が出る結合点は B とダミー作業の後なので最早 10 日。クリティカルパスは B→ダミー→C→G→H の 60 日。E は最早 10 日に始められ,E と F が入る結合点の最遅が 50 日なので,最遅開始は 40 日,余裕は 30 日。D は 10+30=40 日に着くが最遅は 50 日なので余裕 10 日でクリティカルではない。 A 5 B 10 C 20 D 30 E 10 G 20 F 10 H 10 0 / 0 5 / 5 10 / 35 25 / 25 20 / 45 45 / 45 55 / 55 E:最早開始 10,最遅開始 50−10=40 → 余裕 30 日
余裕=最遅開始−最早開始。ダミー作業の先も最遅は同じ値になる

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

PMBOK ガイド 第5版によれば,定量的リスク分析で実施することはどれか。

正解 ア

解説

PMBOK ガイド第5版は,定量的リスク分析を,特定したリスクがプロジェクト全体の目標に与える影響を数量的に分析するプロセスとしている。モンテカルロ・シミュレーションや感度分析,デシジョンツリー分析などの手法を用いる。アが該当する。

イの発生確率や影響度を評価してリスクに優先順位を付けるのは定性的リスク分析。ウのリスクへの対応計画を策定するのはリスク対応計画。エのプロジェクトに影響を与える可能性があるリスクを洗い出すのはリスクの特定である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

PMBOK ガイド 第5版における,マイナスのリスクに対する戦略として用いられる“リスク転嫁”の説明はどれか。

正解 イ

解説

PMBOK ガイド第5版では,マイナスのリスク(脅威)への対応戦略として,回避,転嫁,軽減,受容が挙げられている。転嫁は,リスクの影響や,それに対応する責任の一部又は全部を第三者に移すことで,保険や保証,契約などが使われる。リスクそのものはなくならない。イが該当する。

アは影響が及ばないようにする回避,ウは発生確率や影響度を許容できる水準まで下げる軽減の説明である。エは,事前に対応策を決めずに,発生した時点で対処する(消極的な)受容の説明である。

リスクへの対応の戦略 マイナスのリスク(脅威)には,回避(原因を取り除く・計画を変える),転嫁(保険や契約で第三者に移す),軽減(確率や影響を下げる),受容(何もしないか予備を持つ)。プラスのリスク(好機)には,活用(確実に起こす),共有(能力のある第三者と組む),強化(確率や影響を上げる),受容。 脅威(マイナス) 好機(プラス) なくす/確実に 回避 活用 他者へ 転嫁(保険など) 共有(組む) 小さく/大きく 軽減 強化 何もしない 受容 受容 保険を掛けるのは転嫁,計画を変えて避けるのは回避
脅威は回避・転嫁・軽減・受容,好機は活用・共有・強化・受容

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

ITIL 2011 edition の可用性管理プロセスにおいて,IT サービスの可用性と信頼性の管理に関わる KPI として用いるものはどれか。

正解 ア

解説

ITIL 2011 edition の可用性管理プロセスは,IT サービスが合意した可用性を満たすように管理する。可用性と信頼性の管理に関わる KPI としては,サービスの中断の回数やその影響(インパクト)をどれだけ減らせたかを示す削減率が用いられる。アが適切である。

イの災害を想定した復旧テストの回数は IT サービス継続性管理,ウの処理能力不足に起因するインシデント数の削減率はキャパシティ管理,エの目標を達成できなかった SLA の項目数はサービスレベル管理の KPI である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

新システムの開発を計画している。提案された4案の中で,TCO(総所有費用)が最小のものはどれか。ここで,このシステムは開発後,3年間使用されるものとする。

4案の費用の表(単位 百万円)。A案,B案,C案,D案の順に,ハードウェア導入費用は 30,30,40,40。システム開発費用は 30,50,30,40。導入教育費用は 5,5,5,5。ネットワーク通信費用/年は 20,20,15,15。保守費用/年は 6,5,5,5。システム運用費用/年は 6,4,6,4。

正解 ウ

解説

TCO は,導入時の費用に,使用期間中に毎年掛かる費用を3年分足して求める。導入時の費用(ハードウェア導入+開発+教育)と年間の費用(通信+保守+運用)はそれぞれ,A案が65と32,B案が85と29,C案が75と26,D案が85と24。3年間の TCO は,A案 65+32×3=161,B案 85+29×3=172,C案 75+26×3=153,D案 85+24×3=157 となり,C案の153百万円が最小。ウが正しい。

導入時の費用が最も安いのは A案,年間の費用が最も安いのは D案だが,どちらも3年通すと C案に及ばない。片方だけで比べず,使用期間全体の合計で比べるのが TCO の考え方である。

4案の TCO の比べ方 導入時の費用(ハードウェア+開発+教育)と年間の費用(通信+保守+運用)を案ごとに足し,年間の費用は3年分にする。A案 65+32×3=161,B案 85+29×3=172,C案 75+26×3=153,D案 85+24×3=157 で,C案が最小。 案 導入時 年間 3年の TCO A 65 32 65+96=161 B 85 29 85+87=172 C 75 26 75+78=153 D 85 24 85+72=157 単位 百万円。TCO = 導入時 + 年間 × 3
導入時の費用が最も安い A案ではなく,3年分を足した C案が最小

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

IT サービスマネジメントにおける問題管理プロセスの活動はどれか。

正解 ア

解説

問題管理は,インシデントの根本原因を特定し,再発を防ぐための恒久的な解決策を見いだすプロセスである。根本原因が分かるまでの暫定的な回避策(ワークアラウンド)の記録も含まれる。アが該当する。

イのサービス要求の優先度付けはインシデント及びサービス要求管理(サービス要求の実現),ウの変更要求の記録は変更管理,エのリリースの試験はリリース及び展開管理の活動である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査人が監査報告書に記載する改善勧告に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

改善勧告は,監査証拠に基づいて監査人が改善の必要があると判断した事項を記載するもので,その前提となる事実に誤認がないことを被監査部門に確認しておく必要がある。事実確認を経ずに報告すると,監査報告書の信頼性が損なわれる。エが適切である。

アは誤り。改善勧告は被監査部門が実行できなければ意味がないので,実現可能性も考慮する。イは誤り。監査の結論や指摘は十分かつ適切な監査証拠による裏付けが必要である。ウは誤り。記載する事項は監査人が独立した立場で判断するもので,被監査部門の責任者の承認を条件にすると監査の独立性が損なわれる。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

販売管理システムにおいて,起票された受注伝票の入力が,漏れなく,かつ,重複することなく実施されていることを確かめる監査手続として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。

アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

識別コード及びパスワードによるアクセスコントロール機能を情報システムに組み込むことによって,コントロールが可能なリスクはどれか。

正解 エ

解説

識別コードとパスワードによるアクセスコントロールは,利用者を識別・認証し,権限のない者がシステムやデータにアクセスするのを防ぐ。したがって,権限のない者によるファイルやデータ内容の改ざんというリスクをコントロールできる。エが適切である。

アの通信上のデータの盗聴は通信の暗号化,イのデータの入力エラーは入力データのチェック,ウのハードウェアの物理的な破壊は設備の保護や入退室の管理などで対処するもので,アクセスコントロールでは防げない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。

正解 エ

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。

アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

事業目標達成のためのプログラムマネジメントの考え方として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

プログラムマネジメントは,事業目標の達成という共通の目的に向けて,互いに関連する複数のプロジェクトをまとめて管理する考え方。個々のプロジェクトの成果を足し合わせるだけでなく,プロジェクト間の連携や統合,相互作用を通じて全体の価値を高め,組織の戦略を実現する。アが適切である。

イは個々のプロジェクト管理を細かくする話で,複数のプロジェクトを束ねる視点がない。ウは一つのシステム開発の技術選定によるリスク低減の話。エはプロジェクトマネジメントを組織的に支援する PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

IT 投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いて KPI を設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立った KPI の例はどれか。

正解 エ

解説

バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から戦略目標と KPI を設定する手法である。内部ビジネスプロセスの視点は,業務プロセスの効率や品質を高めるための指標を扱うので,注文受付から製品出荷までの日数の短縮というエが該当する。

アの売上高営業利益率は財務の視点,イの顧客クレーム件数は顧客の視点,ウの利用者研修会の受講率は人材育成に関わる学習と成長の視点の指標である。

バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ 下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。 財務 売上高を伸ばす 売上高・利益率 顧客 顧客満足度を上げる 顧客満足度・シェア 内部ビジネスプロセス 出荷を速くする 出荷までの日数 学習と成長 専門人材を育てる 育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

業務要件定義において,業務フローを記述する際に,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。

正解 ア

解説

アクティビティ図は,処理の流れを開始から終了まで順に表す UML の図で,条件による分岐(デシジョンノード),並行処理への分割と同期(フォーク・ジョイン),担当者ごとのレーン分け(パーティション)を書ける。業務フローの記述に向くのでアが正しい。

イのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係,ウの状態遷移図は一つの対象が取る状態とイベントによる状態の遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも業務の流れそのものを表すものではない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

組込みシステム開発において,製品に搭載する LSI を新規に開発したい。LSI 設計を自社で行い,LSI 製造を外部に委託する場合の委託先として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ファウンドリーは,自社では LSI の設計を行わず,他社から設計データを受け取って半導体の製造を受託する事業者である。LSI の設計を自社で行い,製造だけを外部に委託する場合の委託先に当たるので,ウが適切である。

アの IP プロバイダは,LSI に組み込む CPU コアやインタフェースなどの回路設計資産(IP コア)を提供する事業者,イのデザインハウスは LSI の設計を受託する事業者である。エのファブレスメーカーは,自社の工場をもたずに設計や販売を行い,製造をファウンドリーに委託するメーカーであり,委託する側に当たる。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

多角化戦略のうち,M&A による垂直統合に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

垂直統合は,原材料の調達から製造・販売まで続く流れ(サプライチェーン)の川上や川下の企業を取り込むこと。製鉄メーカが原料である鉄鉱石の採掘会社を買収するのは,川上へ広げる典型的な垂直統合に当たる。ウが正しい。

イの自動車メーカによる軽自動車メーカの買収は,同じ段階の同業を取り込む水平統合。アの銀行による保険会社の買収は関連する事業分野への集中型多角化,エの電機メーカによる不動産会社の買収は関連のない分野への集成型(コングロマリット型)多角化である。

垂直統合と水平統合 原材料の調達から製造,販売へと続く流れの,川上や川下の企業を取り込むのが垂直統合(例:製鉄メーカが鉄鉱石の採掘会社を買収する)。同じ段階の企業(同業他社)を取り込むのが水平統合。 原料 企業 企業 企業 製造 自社 企業 企業 卸・販売 企業 企業 企業 垂直統合 (色の列) ← 水平統合:同じ段階の他社 →
流れの上下をつなぐのが垂直,同じ段階を広げるのが水平

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

SCM の目的はどれか。

正解 エ

解説

SCM(サプライチェーンマネジメント)は,複数の企業や組織にまたがる,調達から生産,物流,販売までの業務プロセス全体の情報を統合的に管理し,コストの低減や納期の短縮などを目指す手法である。エが目的である。

アは顧客情報や購買履歴を一元管理して良好な顧客関係を築く CRM,イは顧客情報や商談状況を管理して営業活動を効率化する SFA(営業支援システム),ウは基幹業務の情報を統合して経営資源を有効活用する ERP の説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

事業戦略のうち,浸透価格戦略に該当するものはどれか。

正解 エ

解説

浸透価格戦略は,新製品の発売時に価格を低く設定し,積極的なプロモーションと組み合わせて短期間に多くの顧客を獲得し,マーケットシェアを拡大する価格戦略である。エが該当する。発売時に高い価格を設定して早期に投資を回収する上澄み吸収価格戦略(スキミング価格戦略)と対比される。

アはコストを引き下げて短期的なキャッシュフローを最大化する収穫戦略,イは事業を分社化して売却し資金を回収する撤退(売却)の戦略,ウは新規事業に進出して成長を図る多角化戦略の説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

他の技法では答えが得られにくい,未来予測のような問題に多く用いられ,(1)〜(3)の手順に従って行われる予測技法はどれか。

正解 エ

解説

デルファイ法は,複数の専門家に同じ質問のアンケートを行い,回答結果を集約してフィードバックしたうえで再度回答してもらうことを繰り返し,意見を収束させて統計的に処理する予測技法である。他の技法では答えにくい長期的な未来予測などに用いられる。(1)〜(3)の手順はこれに当たり,エが正しい。

アのクロスセクション法は同じ時点の複数のデータを比較して分析する手法。イのシナリオライティング法は将来起こり得る状況を複数のシナリオとして記述し,その影響を検討する手法。ウの親和図法は多くの事実やアイディアを内容の近さでグループにまとめて整理する手法である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

セル生産方式の特徴はどれか。

正解 エ

解説

セル生産方式は,部品の組立てから完成検査までのほとんどの工程を,1人又は少人数の作業者がセルと呼ばれる作業場所で受け持つ生産方式である。多品種少量生産や需要の変化に柔軟に対応しやすい。エが該当する。

アのかんばんを使って作業指示と現場管理を見える化するのと,ウの必要な部品,仕様,数量を後工程から前工程へ伝えるのは,かんばん方式(ジャストインタイム生産方式)の特徴である。イの生産ライン上を流れるに従って加工が進むのは,ライン生産方式(流れ作業)の特徴である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

インターネットオークションにおいて,出品者と落札者の間の決済で使用されるエスクローサービスはどれか。

正解 エ

解説

エスクローサービスは,売手と買手の間に第三者が入って代金を預かる仕組みである。インターネットオークションでは,落札者がまずこの第三者に代金を送金し,第三者は商品の受渡しが完了したことを確認してから出品者へ送金する。代金を払ったのに商品が届かない,商品を送ったのに代金が支払われないという取引の危険を減らせる。エが正しい。

アは,個人情報や決済情報の取扱いが基準に適合しているかを第三者機関が審査・監視する認証制度の説明である。イは,送信元やメールアドレスの正当性を確かめる送信ドメイン認証などの説明である。ウは,SSL/TLS による暗号化やサーバ証明書によって通信の安全とショップの正当性を確保する仕組みの説明である。

エスクローサービス 売手と買手の間に第三者が入り,代金をいったん預かる。落札者(買手)が代金を第三者に払い,出品者(売手)が商品を送り,落札者が受け取ったことを確かめてから,第三者が出品者に代金を払う。代金を払ったのに商品が届かない,などの危険を減らせる。 落札者 買手 エスクロー 第三者 出品者 売手 ① 代金 ② 商品を送る ④ 代金 ③ 受け取ったことを第三者に知らせる 届いてから払われるので,持ち逃げを防げる
代金は第三者が預かり,商品が届いてから売手へ

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

インターネットを活用した広告手法のうち,行動ターゲティングの説明はどれか。

正解 エ

解説

行動ターゲティング広告は,利用者の Web サイトの閲覧履歴や検索履歴,購買履歴などから興味・関心を解析し,それに合わせた広告を表示する手法である。エが該当する。

アは,検索キーワードに連動して表示される検索連動型広告。イは,広告タグを埋め込んだ Web サイトのコンテンツに関連した広告を表示するコンテンツ連動型広告。ウは,GPS などの位置情報に合わせて広告を表示する位置情報連動型の広告である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

製造業の企業が社会的責任を果たす活動の一環として,雇用創出や生産設備の環境対策に投資することによって,便益を享受するステークホルダは,株主,役員,従業員に加えて,どれか。

正解 ア

解説

雇用創出や生産設備の環境対策への投資は,工場がある地域の雇用や環境の改善につながるので,株主,役員,従業員に加えて,近隣地域社会の住民が便益を享受するステークホルダである。アが適切である。

イの原材料の輸入元企業,エの取引をしている下請企業は取引先,ウの製品を購入している消費者は顧客であり,企業はそれぞれに対して,取引条件の公正さや製品の品質・安全といった別の責任を負う。雇用創出や環境対策の便益を直接受ける立場としては,近隣地域社会の住民が当てはまる。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

ワークシェアリングの説明はどれか。

正解 イ

解説

ワークシェアリングは,従業員1人当たりの労働時間を短縮したり,仕事の配分方法を見直したりして,労働者の間で労働を分かち合うことで,雇用を維持・創出する取組みである。イが適切である。

アは,他社でも通用する能力(エンプロイアビリティ)の維持と企業による能力開発支援の説明。ウは,実際の労働時間によらず,あらかじめ決めた時間働いたとみなす裁量労働制(みなし労働時間制)の説明。エは,能力や実績を基準に報酬を決める成果主義型の人事・報酬制度の説明である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

定量発注方式の特徴はどれか。

正解 エ

解説

定量発注方式は,在庫量が発注点を下回ったときに,あらかじめ決めた一定量を発注する方式である。発注量は,在庫費用と発注費用の合計が最小になる経済的発注量(EOQ)を用いると効果的である。エが適切である。

アは,発注点を超えたかどうかを知るために在庫量を常に把握する必要があるので誤り。イの需要変動が大きい重点管理品目などには,定期的に需要を見直して発注量を決める定期発注方式が向く。ウの需要予測は,発注の時期と量を需要に合わせて決める定期発注方式で必要になり,定量発注方式の発注時には不要である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

いずれも時価 100 円の株式 A〜D のうち,一つの株式に投資したい。経済の成長を高,中,低の三つに区分したときのそれぞれの株式の予想値上がり幅は,表のとおりである。マクシミン原理に従うとき,どの株式に投資することになるか。

株式 A〜D の予想値上がり幅の表(単位 円)。経済の成長が 高,中,低 のとき,A は 20,10,15。B は 25,5,20。C は 30,20,5。D は 40,10,−10。

正解 ア

解説

マクシミン原理は,各選択肢で起こり得る最悪の結果(最小値)を比べ,その最小値が最も大きい選択肢を選ぶ考え方である。各株式の最小の値上がり幅は,A が 10 円,B が 5 円,C が 5 円,D が −10 円なので,最小値が最も大きい A を選ぶ。アが正しい。

各株式の最大値が最も大きいものを選ぶマクシマックス原理なら,最大 40 円の D(エ)を選ぶことになる。

マクシミン原理(株式の選択) 各株式で最も悪い値上がり幅は A 10 円,B 5 円,C 5 円,D −10 円。その中で最も大きい A を選ぶ。最良の値を比べるマクシマックス原理なら,最大 40 円の D になる。 高 中 低 最小 A 20 10 15 10 B 25 5 20 5 C 30 20 5 5 D 40 10 −10 −10 最小のうち最大は 10 → A 単位 円。最大の最大(マクシマックス)なら D
最小値が最も大きい株式を選ぶ

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

損益分岐点の特性を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

損益分岐点は利益がちょうど0になる売上高で,このとき売上高は費用の合計,すなわち固定費と変動費の和に等しい。ウが適切である。

損益分岐点売上高は 固定費÷(1−変動費率) で求められる。アは誤りで,変動費率が低くなると分母が大きくなり損益分岐点は低くなる。イは誤りで,変動費率は分母の (1−変動費率) の中にあるので,損益分岐点は変動費率に正比例しない。エは誤りで,固定費が小さくなると損益分岐点は低くなる。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

Web ページの著作権に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

著作権法第12条は,素材の選択又は配列によって創作性を有する編集物を編集著作物として保護している。特定の分野ごとに URL を収集し,独自の解釈を付けて整理したリンク集は,その選択や配列,解釈に創作性があれば編集著作物として保護され得るので,エが適切である。

アは誤り。Web ページへの掲載は不特定多数が閲覧できる公衆送信に当たり,営利目的でなくても私的使用の範囲を超えるので,無断掲載は著作権の侵害になる。イは誤り。フリーウェアとして無償で公開しても,著作権は作成者に残り,著作権法による保護の対象である。ウは誤り。シェアウェアを使って利用者が作成したデータの著作権は作成した利用者にあり,試用期間の終了後に掲載してもソフトウェアの著作権の侵害には当たらない(試用条件に反して使い続けることは使用許諾契約の問題になる)。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

コンピュータウイルスを作成する行為を処罰の対象とする法律はどれか。

正解 ア

解説

コンピュータウイルスの作成や提供などの行為は,刑法の不正指令電磁的記録に関する罪(第168条の2,2011年の改正で追加)で処罰の対象となる。アが適切である。

イの不正アクセス禁止法は,他人の識別符号を無断で使うなどして,アクセス制御されたコンピュータへ不正にアクセスする行為を禁止する法律。ウの不正競争防止法は,営業秘密の不正取得や商品等表示の混同など不正な競争行為を規制する法律。エのプロバイダ責任制限法は,インターネット上の権利侵害に関して,プロバイダの損害賠償責任の範囲と発信者情報の開示を定めた法律である。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

発注者と受注者の間でソフトウェア開発における請負契約を締結した。ただし,発注者の事業所で作業を実施することになっている。この場合,指揮命令権と雇用契約に関して,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

請負契約では,受注者が仕事の完成を請け負い,作業者の指揮命令は受注者が行う。作業場所が発注者の事業所であっても,発注者が受注者の作業者に直接指揮命令をすると,実態が労働者派遣となる偽装請負になる。また,作業者は受注者との雇用関係のまま作業を行い,発注者と新たな雇用契約を結ぶ必要はない。エが適切である。

アとイは発注者に指揮命令権があるとしている点が誤りである。アとウは作業者が発注者と新たな雇用契約を結ぶとしている点も誤りで,作業場所が発注者の事業所であることは雇用契約を結ぶ理由にならない。

出典:平成29年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)