DDoS 攻撃(リフレクション攻撃・Smurf 攻撃)
DoS 攻撃(サービス妨害攻撃)は,大量の通信や処理を送りつけて,サーバやネットワークを使えなくする攻撃です。 多数のコンピュータから一斉に行うものを DDoS 攻撃と呼びます。 情報処理安全確保支援士とネットワークスペシャリストの科目A-2(午前Ⅱ)で繰り返し出ていて, 送信元の IP アドレスを偽ることで何が起きるかが,多くの問題の鍵になります。
リフレクション攻撃(増幅型の攻撃)
UDP は接続の手順を踏まないので,送信元の IP アドレスを簡単に偽れます。リフレクション攻撃はこれを悪用します。
- 攻撃者が,送信元を攻撃対象の IP アドレスに偽った要求を,インターネット上の第三者のサーバ(DNS・NTP・Memcached など)に大量に送る
- サーバは,偽られた送信元,つまり攻撃対象に応答を返す
- 小さな要求に対して大きな応答を返す機能を狙うので,攻撃者が送った量の何倍もの通信が攻撃対象に届く(増幅)
| DNS(DNS リフレクタ攻撃・DNS amp) | キャッシュ DNS サーバと権威 DNS サーバを分け,インターネット側からキャッシュ DNS サーバに問い合わせられないようにする |
|---|---|
| NTP | 状態確認の機能(monlist)を無効にする。大きな応答を返すのはこの機能 |
Smurf 攻撃
Smurf 攻撃は,送信元を攻撃対象の IP アドレスに偽った ICMP エコー要求(ping)を,ネットワークのブロードキャストアドレスあてに送る攻撃です。 そのネットワークの機器が一斉にエコー応答を返すので,大量の応答パケットが攻撃対象に集中します。 ブロードキャストを使って増幅する点で,リフレクション攻撃の一種といえます。
SYN フラッド攻撃と SYN/ACK の観測
SYN フラッド攻撃は,TCP の接続要求(SYN)だけを大量に送り,サーバに接続の途中の状態を溜め込ませて,新しい接続を受け付けられなくする攻撃です。 攻撃者は送信元の IP アドレスをでたらめに偽るので,サーバの返す応答(SYN/ACK)は,でたらめなあて先に散らばります。
どこにも使われていない IP アドレス空間(ダークネット)に,送信元が A で送信元ポートが 80/tcp の SYN/ACK が大量に届いたら, A の Web サーバが SYN フラッド攻撃を受け,偽りのあて先に応答を返していると推定できます。つまり攻撃されているのは A です。
ボットネットと対策
DDoS 攻撃の通信の発信元になるのは,マルウェアに感染した多数のコンピュータ(ボットネット)です。 C&C サーバが,遠隔操作できる状態になった機器に攻撃などの指示を出します。 マルウェアの Mirai は,初期設定の弱いパスワードのままの IoT 機器に次々に感染を広げ,C&C サーバの指令で DDoS 攻撃を行いました。
いくつもの種類の攻撃(SYN フラッドと HTTP の大量の要求,サーバの資源を枯渇させる攻撃と帯域を埋める攻撃など)を同時に仕掛けるものを,マルチベクトル型 DDoS 攻撃と呼びます。 Web サイトの側では,コンテンツを各地のサーバから配る CDN を使うと,通信が分散されて DDoS 攻撃の影響を軽減できます。
試験での問われ方
当サイトが収録している科目A(午前)の問題のうち,DDoS・Smurf・リフレクタ・サービス妨害などの語が出てくるのは38問です。 ほとんどが情報処理安全確保支援士とネットワークスペシャリストの科目A-2(午前Ⅱ)です。型ごとに数えると次のとおりです。
- リフレクション攻撃(16問)。DNS サーバが踏み台にされないための対策(「DNS サーバを DNS キャッシュサーバと権威 DNS サーバに分離し,インターネット側から DNS キャッシュサーバに問合せできないようにする。」など7問), NTP サーバの対策(「NTP サーバの設定変更によって,NTP サーバの状態確認機能(monlist)を無効にする。」,3問),NTP リフレクション攻撃の特徴(2問), リフレクタ攻撃に悪用されることの多いサービス(「DNS,Memcached,NTP」,2問),UDP の性質を悪用した DDoS 攻撃,DNS への攻撃の標的です。
- Smurf 攻撃(9問)。説明を選ぶ問題で,正解は「ICMP の応答パケットを大量に発生させ,それが攻撃対象に送られるようにする。」などです。
- SYN/ACK の観測から推定する攻撃(5問)。正解はどれも「IP アドレス A を攻撃先とするサービス妨害攻撃」です。
- ボットネット(4問)。マルウェア Mirai の動作(3問)と,C&C サーバの役割です。
- マルチベクトル型 DDoS 攻撃(3問)。「Web サイトに対して,SYN Flood 攻撃と HTTP POST Flood 攻撃を同時に行う。」などです。
- このほか,CDN を利用して影響を軽減できる脅威を選ぶ問題(正解は DDoS 攻撃)があります。
出題された過去問(38問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)(1問)
- 令和5年度 春期 問12ボットネットにおいて C&C サーバが担う役割はどれか。
情報処理安全確保支援士 科目A-2(午前Ⅱ)(26問)
- 令和7年度 秋期 問7送信元 IP アドレスが A,送信元ポート番号が 80/tcp,宛先 IP アドレスがホストに割…
- 令和7年度 春期 問7マルウェア Mirai の動作はどれか。
- 令和6年度 秋期 問4NTP リフレクション攻撃の特徴はどれか。
- 令和6年度 秋期 問6Smurf 攻撃はどれか。
- 令和6年度 春期 問5送信元 IP アドレスが A,送信元ポート番号が 80/tcp,宛先 IP アドレスがホストに割…
- 令和5年度 秋期 問6マルウェア Mirai の動作はどれか。
- 令和4年度 秋期 問4DoS 攻撃の一つである Smurf 攻撃はどれか。
- 令和4年度 秋期 問5送信元 IP アドレスが A,送信元ポート番号が 80/tcp,宛先 IP アドレスが未使用の …
- 令和3年度 春期 問1リフレクタ攻撃に悪用されることの多いサービスの例はどれか。
- 令和3年度 春期 問4DoS 攻撃の一つである Smurf 攻撃はどれか。
- 令和元年度 秋期 問13マルチベクトル型 DDoS 攻撃に該当するものはどれか。
- 平成31年度 春期 問6DoS 攻撃の一つである Smurf 攻撃はどれか。
- 平成30年度 秋期 問4マルチベクトル型 DDoS 攻撃に該当するものはどれか。
- 平成30年度 秋期 問7UDP の性質を悪用した DDoS 攻撃に該当するものはどれか。
- 平成30年度 秋期 問11マルウェア Mirai の動作はどれか。
- 平成29年度 秋期 問7DoS 攻撃の一つである Smurf 攻撃はどれか。
- 平成28年度 秋期 問2NTP リフレクション攻撃の特徴はどれか。
- 平成28年度 春期 問2次の攻撃において,攻撃者がサービス不能にしようとしている標的はどれか。
- 平成28年度 春期 問7DoS 攻撃の一つである Smurf 攻撃はどれか。
- 平成27年度 春期 問10NTP を使った増幅型の DDoS 攻撃に対して,NTP サーバが踏み台にされることを防止する対…
- 平成27年度 春期 問15DNS の再帰的な問合せを使ったサービス不能攻撃(DNS amp 攻撃)の踏み台にされることを防…
- 平成26年度 秋期 問12DoS 攻撃の一つである Smurf 攻撃の特徴はどれか。
- 平成25年度 秋期 問14DNS の再帰的な問合せを使ったサービス不能攻撃(DNS amp)の踏み台にされることを防止する…
- 平成25年度 春期 問14DoS 攻撃の一つである Smurf 攻撃の特徴はどれか。
- 平成24年度 春期 問14DNS の再帰的な問合せを使ったサービス不能攻撃(DNS amp)の踏み台にされることを防止する…
- 平成23年度 秋期 問9サービス不能攻撃(DoS)の一つである Smurf 攻撃の特徴はどれか。
ネットワークスペシャリスト 科目A-2(午前Ⅱ)(10問)
- 令和6年度 春期 問16Web コンテンツを提供する際に CDN(Content Delivery Network)を利…
- 令和5年度 春期 問17NTP を使った増幅型の DDoS 攻撃に対して,NTP サーバが踏み台にされることを防止する対…
- 令和4年度 春期 問21DNS の再帰的な問合せを使ったサービス妨害攻撃(DNS リフレクタ攻撃)の踏み台にされないため…
- 令和3年度 春期 問17リフレクタ攻撃に悪用されることの多いサービスの例はどれか。
- 令和元年度 秋期 問18送信元 IP アドレスが A,送信元ポート番号が 80/tcp の SYN/ACK パケットを,…
- 令和元年度 秋期 問21DNS の再帰的な問合せを使ったサービス妨害攻撃(DNS リフレクタ攻撃)の踏み台にされることを…
- 平成29年度 秋期 問17未使用の IP アドレス空間であるダークネットに到達する通信の観測において,送信元 IP アドレ…
- 平成29年度 秋期 問21DNS の再帰的な問合せを使ったサービス不能攻撃(DNS amp 攻撃)の踏み台にされることを防…
- 平成28年度 秋期 問18NTP を使った増幅型の DDoS 攻撃に対して,NTP サーバが踏み台にされることを防止する対…
- 平成25年度 秋期 問21DNS の再帰的な問合せを使ったサービス不能攻撃(DNS amp)の踏み台にされることを防止する…
システムアーキテクト 科目A-2(午前Ⅱ)(1問)
- 令和4年度 春期 問17マルチベクトル型 DDoS 攻撃に該当するものはどれか。