JIS Q 21500 は,プロジェクトマネジメントの概念と,プロジェクトを進めるための39のプロセスを示した手引の規格です。 国際規格 ISO 21500:2012 と内容が一致しています(JIS Q 21500:2018)。 プロセスを5つのプロセス群(いつ行うか)と10の対象群(何を扱うか)の組合せで整理しているのが特徴で, 試験では「このプロセスはどのプロセス群に属するか」「このプロセスの目的は何か」がよく問われます。
プロセス群と対象群
- プロセス群(5つ):立ち上げ,計画,実行,管理,終結
- 対象群(10):統合,ステークホルダ,スコープ,資源,時間,コスト,リスク,品質,調達,コミュニケーション
PMBOK ガイド(第6版まで)のプロセス群・知識エリアとよく似た構成です。 ただし,ISO 21500 を英和対訳で引いた平成30年度の問題では「管理」が「コントロール」,対象群が「サブジェクトグループ」と訳されています。
| プロセス群 | 属するプロセス |
|---|---|
| 立ち上げ(3) | プロジェクト憲章の作成,ステークホルダの特定,プロジェクトチームの編成 |
| 計画(16) | プロジェクト全体計画の作成,スコープの定義,WBS の作成,活動の定義,資源の見積り,プロジェクト組織の定義,活動の順序付け,活動期間の見積り, スケジュールの作成,コストの見積り,予算の作成,リスクの特定,リスクの評価,品質の計画,調達の計画,コミュニケーションの計画 |
| 実行(7) | プロジェクト作業の指揮,ステークホルダのマネジメント,プロジェクトチームの開発,リスクへの対応,品質保証の遂行,供給者の選定,情報の配布 |
| 管理(11) | プロジェクト作業の管理,変更の管理,スコープの管理,資源の管理,プロジェクトチームのマネジメント,スケジュールの管理,コストの管理, リスクの管理,品質管理の遂行,調達の運営管理,コミュニケーションのマネジメント |
| 終結(2) | プロジェクトフェーズ又はプロジェクトの終結,得た教訓の収集 |
名前から想像するプロセス群と違うものに注意します。ステークホルダのマネジメントとリスクへの対応は「実行」, プロジェクトチームのマネジメントとコミュニケーションのマネジメントは「管理」です。 リスクの特定・評価は「計画」ですが,リスクへの対応は「実行」,リスクの管理は「管理」と,同じ対象群のプロセスが3つのプロセス群に分かれます。
プロセス群のつながり:変更要求
実行のプロセス群で作業を進めるうちに変更が必要になると,変更要求が管理のプロセス群に出されます。 管理のプロセス群(変更の管理)で評価され,承認された変更が実行のプロセス群に戻ります。 この「実行と管理の間のやり取り」を問う問題が,形を変えて5回出ています。
試験での問われ方
当サイトが収録している午前の問題のうち,JIS Q 21500(ISO 21500)を名指しするのは27問です。 24問がプロジェクトマネージャの午前Ⅱで,平成30年度から令和7年度までは毎回2〜4問出ています。テーマごとに数えると次のとおりです。
- 各プロセスの目的・活動(13問)。コミュニケーションの計画(「プロジェクトのステークホルダの情報及びコミュニケーションのニーズを決定すること」,2問), リスクへの対応(2問),資源の管理(2問),ほかにコミュニケーションのマネジメント,品質の計画,プロジェクト組織の定義,プロジェクト全体計画の作成, ステークホルダのマネジメント,プロジェクト作業の管理,スコープの管理(WBS がインプット)が各1問です。
- どのプロセス群に属するか(5問)。リスクの特定とリスクの評価は「計画」(3問),計画のプロセス群に属するのは「スコープの定義」(2問)です。
- プロセス群の相互作用(5問)。変更要求をきっかけに相互作用するのは「実行,管理」,図の空欄に入るのは「実行のプロセス群」です。
- 役割(4問)。標準化・教育訓練・監視などを担うのはプロジェクトマネジメントオフィス(2問), プロジェクトガバナンスを維持する責任はプロジェクトスポンサ又はプロジェクト運営委員会(2問)です。 ガバナンスの問題は,平成27年度春期(ISO 21500)と令和7年度秋期(JIS Q 21500:2018)に,10年をおいて同じ内容で出ています。
これから問われそうなところ(予想)
これまで問われたのは,計画・実行・管理のプロセスが中心です。調達の3つのプロセス(調達の計画・供給者の選定・調達の運営管理), 終結(得た教訓の収集),立ち上げ(プロジェクト憲章の作成・ステークホルダの特定・プロジェクトチームの編成), 品質保証の遂行と品質管理の遂行の違いは,まだ問いの対象になっていません(当サイトが収録している令和7年度秋期まで)。 プロセス群を問う形で,これらが選ばれる余地があります。
規格そのものの動きとしては,国際規格の ISO 21500:2012 が組み直され,プロジェクトマネジメントの手引は ISO 21502:2020(2020年12月22日発行)に移りました。 試験は今も JIS Q 21500:2018 を名指ししていますが,対応する新しい JIS が出れば,出題の名指しも変わるはずです。
出典:日本規格協会「ISO 21502:2020 プロジェクト,プログラム及びポートフォリオマネジメント-プロジェクトマネジメントの手引」(2026年10月3日に確認)
予想問題(オリジナル)
当サイトが作ったオリジナルの問題です。IPA の過去問ではありません。ほかの用語の予想問題の一覧
問1JIS Q 21500:2018 によれば,実行のプロセス群に属するプロセスはどれか。
- アスケジュールの管理
- イステークホルダのマネジメント
- ウ調達の計画
- エ得た教訓の収集
正解と解説
正解:イ
ステークホルダのマネジメントは,名前に「マネジメント」とありますが,管理ではなく実行のプロセス群に属します。
- ア:管理のプロセス群です。
- ウ:計画のプロセス群です。
- エ:終結のプロセス群です。
問2JIS Q 21500:2018 によれば,対象群“調達”に属するプロセスと,そのプロセスが属するプロセス群の組合せとして,適切なものはどれか。
- ア調達の計画:計画,供給者の選定:計画,調達の運営管理:実行
- イ調達の計画:計画,供給者の選定:実行,調達の運営管理:管理
- ウ調達の計画:立ち上げ,供給者の選定:計画,調達の運営管理:管理
- エ調達の計画:立ち上げ,供給者の選定:実行,調達の運営管理:終結
正解と解説
正解:イ
調達は「計画で調達のしかたを決め,実行で供給者を選び,管理で契約の進み具合を監視する」という流れで,3つのプロセスが計画・実行・管理に1つずつ属します。 リスク(計画・実行・管理)と同じ形です。
出題された過去問(27問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
午前Ⅰ(高度試験 共通)(1問)
- 令和3年度 春期 問18JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメ…
プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ(24問)
- 令和7年度 秋期 問1JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトガバナン…
- 令和7年度 秋期 問2JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)において,“変更要求”によって…
- 令和7年度 秋期 問10JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“リスクの特…
- 令和7年度 秋期 問12JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“コミュニケ…
- 令和6年度 秋期 問3JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“プロジェク…
- 令和6年度 秋期 問11JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,対象群“リスク”の活…
- 令和5年度 秋期 問2JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメ…
- 令和5年度 秋期 問3JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメ…
- 令和5年度 秋期 問4JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネージ…
- 令和5年度 秋期 問12JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“リスクの特…
- 令和4年度 秋期 問1JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメ…
- 令和4年度 秋期 問3JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)において,管理のプロセス群を構…
- 令和4年度 秋期 問6JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,対象群“資源”に属す…
- 令和3年度 秋期 問1あるプロジェクトのステークホルダとして,プロジェクトスポンサ,プロジェクトマネージャ,プロジェク…
- 令和3年度 秋期 問10JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“リスクの特…
- 令和3年度 秋期 問14JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“コミュニケ…
- 令和2年度 10月 問1JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメ…
- 令和2年度 10月 問2JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“プロジェク…
- 令和2年度 10月 問14JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“コミュニケ…
- 平成31年度 春期 問1あるプロジェクトのステークホルダとして,プロジェクトスポンサ,プロジェクトマネージャ,プロジェク…
- 平成31年度 春期 問5JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,対象群“リスク”の活…
- 平成30年度 春期 問1ISO 21500:2012(プロジェクトマネジメントの手引き(英和対訳版))によれば,プロジェ…
- 平成30年度 春期 問5ISO 21500:2012(プロジェクトマネジメントの手引き(英和対訳版))によれば,資源サブ…
- 平成27年度 春期 問1ISO 21500 によれば,プロジェクトガバナンスを維持する責任は誰にあるか。
ITサービスマネージャ 午前Ⅱ(2問)
- 令和7年度 春期 問20JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“品質の計画…
- 令和元年度 秋期 問17JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)において,“変更要求”によって…
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