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秘密計算とプライバシー強化技術(差分プライバシー・連合学習)

シラバスに追加済み・まだ出題なし最終更新日 予想問題へ ↓

秘密計算は,データを暗号化したまま,あるいは分割して中身が分からない状態のまま計算する技術です。 計算を任された側は元のデータを見られないのに,正しい計算結果だけは得られます。 個人情報や企業の機密データを,外に見せずに複数の組織で持ち寄って分析したり,AI の学習に使ったりするための技術として注目されています。

シラバスでの扱い

IPA が 2023年12月25日に公開した応用情報技術者試験シラバス Ver.7.0 で, 「大分類3:技術要素」の「中分類11:セキュリティ」にある暗号技術の用語例に,ハイブリッド暗号やハッシュ関数と並んで「秘密計算」が加わりました (その前の Ver.6.3 にはありません)。この改訂は,ペーパー方式では令和6年度秋期試験から適用されています。 差分プライバシーと連合学習は,Ver.7.2 の用語例にはありません。

当サイトが収録している過去問(令和7年度秋期まで)では,秘密計算・差分プライバシー・連合学習はまだ出題されていません。 個人情報を加工して活用する仕組み(匿名加工情報)や,パーソナルデータを使うサービスは午前で出ています。

出典:応用情報技術者試験 シラバス Ver.7.0, 同 Ver.7.2, 同 Ver.6.3(いずれも2026年10月4日に確認)

なぜ必要になったか

これまでの暗号は,保管中と通信中のデータを守るものでした。データを計算に使うときは,いったん復号して平文に戻す必要があります。 そのため,クラウドに計算を任せたり,他社とデータを持ち寄って分析したりすると,計算する側に中身が見えてしまいます。

秘密計算は,この「使っている最中」のデータも守ります。 病院どうしで患者のデータを持ち寄って分析する,複数の金融機関で取引のデータを合わせて不正を見つける,といった, 一社では足りないが中身は見せられないデータの活用に向いています。 組織をまたいでデータを共有するデータスペースとも相性のよい技術です。

比べて覚える:プライバシー強化技術

データを守りながら活用する技術をまとめて,プライバシー強化技術(PETs:Privacy Enhancing Technologies)と呼びます。 代表的なものは,何を隠すかが違います。

技術仕組み守るもの
秘密計算データを暗号化したまま,または分割したまま計算し,結果だけを取り出す計算の途中のデータ(計算する側にも見せない)
差分プライバシー集計の結果に,決めた大きさの雑音(ノイズ)を加えてから公開する結果から特定の個人の情報を逆算されないこと
連合学習データを1か所に集めず,各組織や端末の手元で学習し,モデルの更新分だけを集めて合わせる元のデータを外に出さないこと

秘密計算の作り方には,データを複数の断片に分けて別々のサーバで計算する方式(秘密分散を使う方式)や, 暗号文のまま足し算・掛け算ができる準同型暗号を使う方式があります。 CPU の中の保護された領域(TEE)で計算し,OS や管理者からも中身を見えなくする方式も,同じ目的で使われます。

法律の仕組みである匿名加工情報・仮名加工情報(個人情報保護法)は,データそのものを加工して個人を識別できないようにするものです。 技術で「見せずに計算する」秘密計算とは考え方が違うので,見分けておきます。

試験での問われ方(予想)

近い論点で出題された過去問

個人に関するデータを守りながら活用する仕組みの問題です。

予想問題(オリジナル)

当サイトが作ったオリジナルの問題です。IPA の過去問ではありません。ほかの用語の予想問題の一覧

問1秘密計算の説明として,適切なものはどれか。

  1. ア共通鍵暗号方式でデータを暗号化し,その共通鍵を公開鍵暗号方式で暗号化して送る。
  2. イデータを暗号化したまま,又は分割して中身が分からない状態のまま演算を行い,元のデータを計算する側に知られることなく結果を得る。
  3. ウ任意の長さのデータから固定長の値を求め,元のデータを推測できないようにする。
  4. エ個人情報から氏名などの記述を削除し,特定の個人を識別できないように加工して第三者に提供する。
正解と解説

正解:イ

秘密計算は,計算に使っている最中のデータも見せないための技術で,計算を任された側にも元のデータが分かりません。

  • ア:ハイブリッド暗号の説明です。
  • ウ:ハッシュ関数の説明です。計算結果から元のデータは戻せず,秘密計算のように計算結果を利用する目的とは違います。
  • エ:匿名加工情報(個人情報保護法の仕組み)の説明です。データそのものを加工する点が,秘密計算と違います。

問2複数の病院が,患者のデータを病院の外に出さずに,病気を予測する機械学習のモデルを共同で作りたい。各病院の手元でモデルを学習させ,学習で得られたモデルの更新分だけを集めて一つのモデルにまとめる方法はどれか。

  1. ア差分プライバシー
  2. イ転移学習
  3. ウ匿名加工情報の第三者提供
  4. エ連合学習
正解と解説

正解:エ

連合学習(フェデレーテッドラーニング)は,データを1か所に集めず,各拠点で学習した結果だけを集めて合わせる方法です。

  • ア:差分プライバシーは,集計の結果に雑音を加えて個人の情報を逆算されないようにする技術です。連合学習と組み合わせて使うこともあります。
  • イ:転移学習は,ある課題で学習したモデルを別の課題に流用する方法で,データを外に出さない仕組みではありません。
  • ウ:匿名加工したデータを外に提供するので,データを病院の外に出さないという条件に合いません。

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